官能小説(オリジナル18禁小説)

Re: 貴方だって、愛してる ( No.2 )
日時: 2015/12/24 20:01
名前: ねむねむ

2、密会


その夜は雨だった。小雨が微妙にパラパラと降りしきり、ずいぶんと中途半端だ。定時の8時に退社してから、服はスーツのままでやって来た。ナンパ相手に私服は、馴れ馴れしい気がしたからだ。折り畳み式の傘を閉じ、改めて自分がやって来たレストランを眺める。分かってはいたが、やはり高級感が溢れている。エントランスには噴水や天使像、バラ園が広がり、綺麗にライトアップが成されている。
「や、おまたせー」
「こちらこそ…こんな綺麗なレストランに誘われたのは、初めてなので。」
「喜んでもらえて嬉しいよ。じゃあ、中に入ろうか。」
彼が先に歩き出し、私はあとに続く。ハイヒールがコツコツと石畳の地面に響き、なんだか不思議な空気だった。カラン、コロン、とドアの開く音と共に、彼がこちらを振り向いた。
「どうぞ、先に入ってよ。レディファースト、かな。」
クスッと笑いながら、私を招き入れる。わざと私を気に入らせようとしているのか、そんな疑いがあった。が、私は好奇心に負けている。
「ありがとうございます。」
笑顔でそう言って、そうそうに中へと入った。