官能小説(オリジナル18禁小説)

Re: 貴方だって、愛してる【5/3更新!】 ( No.23 )
日時: 2016/05/15 14:46
名前: ねむねむ

5、結婚生活


久しぶりに彩希の実家から、夕飯に誘われた。彩希の自宅は将生たちの新居とはそう遠くないため、こんな機会は何度かあった。今回も、その1つだと思っていた。
彩希の両親は、将生に会うたびに口を揃えて「いい人と結婚してくれた」と笑みを浮かべて言う。そんな時、将生は決まったように「それはこちらもですよ。」と、人の好い笑顔で答えた。
だが将生には、1つだけしこりのように気になっていることがあった。夕飯前にトイレを借りた際、彩希の兄とすれ違ったのだ。彩希の兄は将生を呼び止めた。彩希の兄は将生より歳上だった。
「将生くん。彩希とは上手くやってるか?」
実に当たり障りない問いだった。将生は当然と言わんばかりに「もちろんですよ。」と答えた。これまた、人の好い笑顔で。彩希はどうか知らないが、将生には彩希が必要不可欠だ。
「そうやって笑顔で答えていれば良いと思ってるんだろう、将生くん。」
「なんのことですか?」
「そんなの、自分が一番よく分かってるだろう。」
その1分にも満たない会話が、酷く将生を悩ませていた。彩希の兄は、彩希には優しく甘いようだった。昔から友人が少なく、病院に通いがちな彩希のために、勉強を教えたり、世話を焼いたり、兄は尽くしていたのだと言う。
将生の脳内では、嫌な予測が完成していた。
彩希が、将生の酷い仕打ちを告げ口したのではないか。
大いにあり得ることだった。将生にとっては、とんだ不覚でもあった。

***

泊まっていくように勧められたが、それをやんわりと断り新居へと帰ってきた。途端に将生の態度は豹変する。
「お前、兄貴に俺のことをどこまで言った?」
「そんなこと…ただ、ちょっと将生さんが横暴だって……」
「兄貴に言ったんだろう!?」
気づいた時には、もう怒鳴り散らしていた。それと同時に平手打ちもしていた。
「ふざけるな!俺を舐めやがって…兄貴にならバレないとでも思ったのか!?」
「ごめんなさい…でも。」
「口答えするな!」
髪を掴んで引っ張りあげると、また怒鳴り散らす。
「どこまで話した!?」
彩希は黙って、首を振りおどすばかりだった。これでは埒があかない、彩希をベッドまで引きずるようにして連れていく。
「いやっ!今日はもうやめて!」
「黙れ!俺に逆らった罰だ!」
そこからはもう、将生自身も深くは覚えていない。感情のままに彩希を犯し、殴り、蹴ったような気がする。そんな大体的なことだった。

ふと深夜に目が覚めた。犯してそのまま寝てしまったのか、将生は裸のままだった。横で、彩希も寝ている。

彩希だ、将生はそう思った。だが、一瞬だけ彩希の顔が、彩希の兄の顔に見えてしまったのは、きっと見間違いだ。