官能小説(オリジナル18禁小説)
- Re: 貴方だって、愛してる ( No.5 )
- 日時: 2016/01/05 08:18
- 名前: ねむねむ
3、走り書きの名刺
これが、俗に言う一目惚れか。
打ち合わせにに来た会社の受付で、山代将生は驚愕した。それは自分に対するものであって、べつに会社がどうこうというわけではない。いや、目の前に座る受付嬢を一瞬で好きになってしまうとは、この会社は末恐ろしいのかもしれない。
「……社長に取り次いで貰えるかな。今からここの社長と打ち合わせでね。」
言いたいことはそんなことではないんだ。だが将生もそう子供ではない。打ち合わせだ、と本当に必要なことしか言わない。代わりに、エレベーターの中で、名刺の裏にペンを走らせた。慌てていたせいか、大した言葉も浮かばず、ありきたりな内容だ。だが、それもどうでもよかった。
『今夜9時、会いましょう』
それと、将生の行きつけのレストランの住所を書き終えると、ふぅと息を吐いた。エレベーターが止まると、将生はペンをポケットに戻し、名刺を読み返して、最終確認をする。
「……?どうぞ。」
彼女の不思議そうな声だ。声も可愛らしく、しかし大人らしさも含まれた女性の声だ。将生はまたその声に、心が跳ねるのを感じていた。
「あぁ、待たせてごめんね。」
さっさとエレベーターから降りて、彼女にまた微笑んだ。まだ形を持たない、狂気をはらんだ恋愛感情が積もっていくのが、将生自身にも分かっていた。
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