官能小説(オリジナル18禁小説)
- Re: 貴方だって、愛してる ( No.6 )
- 日時: 2016/01/06 18:42
- 名前: ねむねむ
3、走り書きの名刺
小雨の降るなか、将生達の夕食は終わりを迎えていた。将生の言いたいことは、『調教したい』。それだけで、それを強く切望していた。小柄な体型をハイヒールでごまかしている彼女は、かなり戸惑った表情で、困惑を隠しきれないという風だ。
「あの……それって、どういう…?」
やっと絞り出されたその声は、随分と弱々しかった。当然と言えば当然か、将生は後付けでそうも思った。
「どういうって言っても…言葉の意味通りだよ。君を俺の女にしたい。」
それ以上は説明しなかった。想像に任せるように、そのまま口をつぐむ。彼女はまだ悩んでいる。将生を見ては目を落とし、また将生を見る。このままでは話が進まない、将生は仕方なくもう一度、口を開いた。
「じゃあ一回ホテル行こっか。今から。」
「え?ホテル…?」
「決まってるでしょ?ラブホテル、セックスしよう。」
淡々とそう告げると、今度は彼女が口をつぐんだ。重い空気が数分ほど流れていく。
「…でも、私……そういうことは………」
決心が着かない彼女を見ていると、いやに自分が不機嫌になっていくのが分かった。雪が積もるように溜まっていく腹立たしさが、つい頂点に達して、将生はガタッと立ち上がった。
「会計は俺がするから行こうか、ホテル。」
「え…?ま、待ってくださ…」
「待てないよ。俺は君が好きだから、今すぐにでも調教したいくらいなんだよ。」
さっさと会計を済ませ、彼女の手を強引に引く。大股で歩く将生に着いていこうと、彼女は必死に早足で、ハイヒールのかかとを鳴らす。息が徐々に荒くなり、掴んだ手にも痛みが現れ始めたのか、時おり顔を歪めていた。
「一度休もうか。手も痛いだろうし。」
そっと、その折れそうなほどに細い手をはなすと、言い表せない寂しさが込み上げた。
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