官能小説(オリジナル18禁小説)

Re: 貴方だって、愛してる ( No.7 )
日時: 2016/01/11 12:37
名前: ねむねむ

4、つかの間の休息


「……将生さん…本当に行くんですか?」
将生の後で、彼女の不安そうな声が聞こえていたが、あえて無視して別の話題に変える。
「疲れたよね、そこのベンチで待っててもらえるかな。自販機で飲み物買ってくるから。」
「え?……はい。」
冬の寒い夜のせいか、彼女の吐く息は一瞬で白く染まっていく。いつの間にかそぼ降っていた雨もやみ、コンクリートが湿っていた。すぐそばの自販機でホットコーヒーを2本買って、ベンチに座る彼女に渡した。
「はい、コーヒー大丈夫だよね。」
「あ…ありがとうございます。」
冬だからか、彼女の白い肌がよりいっそう寒々として見える。
「そういえば、名前聞いてなかったね。ご飯も食べたのに。」
「……彩希…麻野、彩希です。」
麻野 彩希(あさの さき)、それが彼女の名前だった。
「そっか…麻野さんか、よろしくね。」
彩希はうなずくだけで、コーヒーで手を温めているだけだ。だが、ふと思いついたように口を開いた。
「あの……どうして、私なんですか…?」
「どういうこと?」
「その…どうして私をディナーに誘ったり…するのか、分からなくて…。」
どうやら『ホテルに行ったり』という言葉は言いにくかったようで、一瞬口ごもった。だがとても素直で純粋な質問だと、将生は感じていた。
「君が好きだからだよ。今まであったどの女性よりも、ずっとずっと好きなんだ。だからついついご飯に誘っちゃったんだ。」
「でも…私は……。」
「麻野さんは俺が嫌い?」
「そ、そんなこと…でも、わからないんです…まだ……」
それは当然だと、将生も分かりきっていた。急に、しかも今日初めて会った男に『好きだ』と言われても、素直に喜べるわけがない。むしろ不審がるくらいだ。
「分かってもらいたいから、これからホテルに行くんだよ。」
「………」
麻野さんは何も答えられなくなっていた。
「じゃあ行こうか。場所は俺が知ってるから。」