官能小説(オリジナル18禁小説)

Re: 現在、幼馴染みと同居中。 ( No.4 )
日時: 2016/02/12 21:07
名前: 夜風 閖 ◆nEsySIDBY6


 事のはったんは、母のある一言だった。

「六花〜ちょっと来なさ〜い」

 金曜日の朝。
 いつも通り学校がある日に、朝食を準備してる母がのんびりしながら言った。

「……何?」

 眠い目を擦りながら、出されたチーズトーストとスープを受けとる。

「お母さんとお父さんね、仕事の都合でしばらく家を空けなきゃいけないの。一人で暮らすのも寂しいし……俊太くんのおうちにお世話になることになったから」

「ぶっ」

 ──出そうになっちゃったよ。コーンスープ。
 いや、出してないけど。音出しただけだけど。

「……は? お世話って──?」

「だから〜今日から俊太くんのおうちで暮らすのよ」

 そう言って、コーヒーを一口飲む。
 え。いや、何? 俊太の家で……一緒に暮らす?

「それじゃあ行ってくるからね」

 呆然としてると、母はそう言い玄関へ行き、靴を履いて家を出てしまった。
 父はもう車のなか。
 ──やがて、車のエンジン音が聞こえて辺りは静かになった。
 テレビをつけて、スープを飲む。

 時刻は7時。
 急いでトーストとスープを飲み干すと、制服のブレザーに袖を通す。
 鞄を持ち玄関へ行こうとしたその時──。

ピンポーン……

 鳴った。朝のお決まりのチャイムが。
 急いで靴を履き、音を立てて乱暴にドアを開ける。

「はよ。早く行こうぜ」

 ドアの前には見慣れた二つの顔。
 言葉を発したのは先程母の話題にも出てきた八重野俊太。隣で無表情なのが如月玲夢。
 どちらも、かっこよくて──私の幼馴染み。

「おはよ。ねぇ俊太。お──」
「聞いてると思うけど、今日からお前俺の家で暮らすから

お母さんから聞いたんだけど、私俊太の家で暮らすの?──って聞こうとしたのに。一文字目で遮られた。

「じゃあ俺も遊びに行こっかな〜♪」

 呑気に、隣で玲夢が言う。
 遊びに行くって──隣の家だけど、泊まりに来る気だな、こいつ。

「これ、鍵。先帰ってて。俺委員会あるから」
「──え。」

 渡されたのは可愛い黒猫のストラップがついた俊太の家の合鍵。
 黒猫って──私が好きなものじゃん。

「今日からそれお前のな。無くすんじゃねぇぞ」
「──うん。ありがとう……」

 いやいや。人の家の鍵が私のって。
 ──無くさないけど……クラスの人たちにバレたら大変だな、これ。

「お、やっとついた」

 喋ってるといつのまにか校門の前。

 横を通る女の子達がチラチラと俊太と玲夢のことを見ている。きっと、
 そりゃあ目立つでしょうね……。

Re: 現在、幼馴染みと同居中。 ( No.5 )
日時: 2016/02/13 22:26
名前: 夜風 閖 ◆nEsySIDBY6



[ 放課後 ]

 全ての授業が終わり、いつもなら部活があるのだが──今日は先生が出張でいないので休みなのだ……!
 当然、早く帰れるわけで。でも俊太は委員会だから──

「玲夢、帰ろ──」

 何時ものように、隣の教室にいる玲夢を呼びにいこうとした──けど、私は目の前の光景を疑った。
 ドア越しだけど、しっかり見える。

 電気が消えて教室のなかには玲夢がいた。──けど、一人じゃない。

 女の子と二人でいる。

 壁際に女の子で──あれだよ、壁ドン。

 で、玲夢の顔は女の子の顔の方にある。

 ──あ、ちょっと見えた。

 女の子は学年で一番の美女と言われる蜂谷 みみ。
 その、みみちゃんと玲夢が──


 キス、してる。



 数分後。何事もなかったかのようにミミちゃんは一足先に教室を出た。
 あとからゆっくり、玲夢が来る。

「……り、玲夢……帰ろ……?」

 出来るだけ平常心を装うけど、出来ない。
 ──なぜかって? だってさ……

「ん。帰ろ♪」

 玲夢の顔が、凄く良い獲物を食べ終わったみたいな動物の顔してる。見たことないけど。
 ニヤッて笑ってて──これは想像ができる。
 今までの経験からして、今玲夢は超機嫌が良いと思う。


Re: 現在、幼馴染みと同居中。 ( No.6 )
日時: 2016/02/13 22:36
名前: 夜風 閖 ◆nEsySIDBY6

「ねー今日さー俺、六花に会いに言っても良い?」

「……うん、いいよ」

 下校中も、彼の表情は変わらない。
 迷わずいいよといってしまったけれど、玲夢がこう言うときって……何か企んでる時なんだよね……

「じゃ、あとでね」

「……うん」

 家の前で別れて、私は新しい鍵を新しい家のドアへ差し込む。

 ドアを開けて、慣れた手つきで部屋の電気をつけていく。

 ふと壁を見ると、ホワイトボードにおばさんから私へのメモが書かれていた。

 私の部屋は俊太の部屋の隣……内容はそんなことだ。
 ──いや、ちょっと待てよ。
 思春期男子と女子を隣の部屋にしてはまずいのでは?
 いや、そうでないとしても、俊太と隣の部屋って──

「ただいまー」

 ビクッ、と肩が震えた。なにやってるんだ自分。不法侵入した訳じゃないんだから。

「……お、お帰り……」

 帰ってきたのは勿論俊太。

「今日、母さんと父さん帰り遅くなるって」

 そう言って、鞄を床に置く。
 そっか。二人とも共働きだもんね。
 ──でも、私はその瞬間を見逃さなかった。
 『帰り遅くなるって』っていったその瞬間──彼がニヤリと笑みを浮かべたのを。