官能小説(オリジナル18禁小説)

Re: 秘密の、恋。 ( No.8 )
日時: 2017/02/27 21:29
名前: とある少女 ◆BaquC25tEw

どこか遠い夢

「茜ちゃん、ごめんね…。もう行かなくちゃだめなんだ。」
「え、もう?やだ、やだぁ!君がいないと、友達がいなくなっちゃうの!」
細い腕で男の子を引き留める少女は、今にも泣きだしそうな顔だった。
「大丈夫だよ、茜ちゃん!俺達は、どこへ行っても友達だよ!」
そう言っても少女の顔は泣き出しそうで。
男の子は、困っていた。

「今日は、暑いね。…そうだ!見て、このネックレス!西瓜なんだよ!」
今日は、真夏だった。空を見上げれば、青い空が広がっていた。
男の子は自分の首からネックレスをとると、
「これ、あげる。」
「わぁ!可愛い!でも、大事なものなんでしょ?」
「いいの!茜ちゃんは友達だから!」
そう言って、少女にネックレスをつけさせた。
「ありがとう!一生、大事にする…。忘れないでね、茜のこと…」
いつのまにか、少女は笑顔になっていた。
「うん、じゃあ行くから…。またね、茜ちゃん!」
そう言って、男の子は車に乗り込む。動きだした車に、少女の顔がまた暗くなってゆく。
「あ!茜ちゃん!俺、茜ちゃんのこ……」
窓を開けて何か言おうとしている男の子に、少女は「なんて言ったー?」と聞き返す。だけど、車の音で聞こえなくてー…
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「ん、んん…」
目覚まし時計がピピピ、と鳴る。
あれ、なんであんな夢見たんだろう。懐かしいなぁ、小学生の時だっけ。
最後まで、なんて言ったか分からなかったなぁ。たしか、あの男の子の名前はー…
思い出そうとしても、思い出せない。なぜだろう。
「んー…あんなに好きだった初恋の男の子の名前まで思い出せないなんて…」
背伸びをしながら思う。どうしてるんだろう、とか好きって言えば良かったって。
「眩しー…」
カーテンを開ければ、あの頃と同じ青空。後悔しか残らなかった初恋なんて、思い出にもならない。
ふらふらと歩き、カレンダ―6月に変える。
「もう、6月かぁ。たまには、あのネックレス、してみようかな」
もう一度、空を見てふとよぎる初恋の思い出。
真夏はもう、近づいている。