官能小説(オリジナル18禁小説)

Re: からんころん ( No.3 )
日時: 2020/06/17 10:12
名前: 離宮

めがねっ子B おわり





「勉強、できるし」
「大人しいし真面目だし」
「優しいし」

私はたくさん褒められた。
いつものことだ。この子は純粋に、私のことが好きなのだ。

「わたしが知ってるめがねっ子の中で、あんたは、いっちばん____」

言いかけたところで、誰かが横からおーい、とこの子を呼んだ。

あ、ごめん。
ちょっと行ってくる。

すっと、私の机を離れていく。
あの子はいい子だ。人のいいところを見つけるのが上手だ。褒め上手だ。私にだけじゃなくて、みんなに対して。だからみんな、あの子のことが好き。

教室の中、私はひとりきりになった。
向こうの机の島で、他の子に混じって、無邪気に笑い声を上げているあの子を見て、心臓が絞られたような強烈な寂しさがこみ上げた。

時計を見た。休み時間がまだ数分残っていたから、私はそっと教室を出た。
騒がしい。教室の入り口でたむろして話をしている子たち。廊下の真ん中をわーっと駆けて行く子たち。
ぼろっと涙がこぼれたけれど、誰も何も気が付かなかった。

めがねを外して、そっと目尻を拭う。
今すぐ教室に戻ってあの子のそばへ行きたい。行って、みんなに見せつけるようにキスしてやりたい。
涙が溢れて止まらない。
夢でしたキスはなんの味もしなかったけれど、今、あの子の唇を奪ったら、きっとしょっぱい味がするんだろうな。