官能小説(オリジナル18禁小説)

僕らがここに集った訳
日時: 2015/01/20 01:02
名前: 鈴音希里

 そう。確かそうだった……私たちがここにやってきたのは偶然なんかじゃない。愛と、魔法と、そして運命と。複雑に絡み合う糸を伝ってここに来た、そんな感じ。

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Re: 僕らがここに集った訳 ( No.1 )
日時: 2015/01/20 01:11
名前: 鈴音希里

 午前9時。私・城宮空乃は枕もとのアラームで目を覚ました。この時間に起きてお弁当を作り始めたら、たくにぃ―兄の拓夜―の出勤に十分間に合う。それにしても、当の本人は起きてこないけど。でもそんなのは毎日のことだった。出勤にギリギリ間に合うように起きてくるたくにぃは、こんな時間はまだ夢の中。それにしても、本当にここの人たちは物音で起きない。近辺でアラームが響いているというのに、よくグッスリ寝れるものだ。
 先述のたくにぃだが、兄とはいっても義理の兄というか……私はもともとここの家の住人ではない。私が4歳のとき――ちょうど10年前、私もあまり思い出せないけど、何か事故で親を亡くした。そして引き取られた先が城宮家だったというわけだ。たくにぃはもともとここの子供で、もう一人私より1ヶ月ほど前にここに引き取られた男の子・祐樹もいる。まぁ私は普段「祐くん」って呼んでるけど。たくにぃは3歳、祐くんは2歳年上で、私は2人ともお兄さんのように慕っていた。
 今までも城宮家の両親は海外出張や滞在も多く、一人にしておくたくにぃが心もとないというので兄弟代わりの子供を引き取ったらしい。私たちが小さいころはよく親戚らしき人たちがきて世話をしてくれたけど、たくにぃは1年もたたずにせっかく受けた高校を中退して、以来働いて私たちを支えてくれてる。
 なんだか今日は、昔のことを考えてしまう。それもそのはず……今日は、私がここにきて本当にきっかり10年の日だもんね。

Re: 僕らがここに集った訳 ( No.2 )
日時: 2015/01/20 01:21
名前: 鈴音希里

「あ、空ちゃん……」
「たくにぃ、おはよっ!今日は起きるの早いね!」
 ちょうど私がお弁当を作り終わった9時40分。たくにぃはあんなに寝たというのに未だ眠そうに起きてきた。
「おう、おはよう……」
 たくにぃはもともと人付き合いが苦手で、小さいころはあまり仲良くしていなかった気がする。でも、やっぱりそこは同じ時間をすごせば打ち解けるもので、今では私に毒を吐くわ祐くんとは叩きあいになるわで毎日部屋は騒がしいことになっている。まぁ、私はそんな雰囲気が大好きだけど。
「ところで、祐くんは起きてないの?」
「あいつなら起きるわけねぇだろ。俺が仕事行くぐらいに起きるかどうかだな」
「そっか……相変わらずよく寝るなぁ。あ、お弁当ここ置いとくからねっ!」
 私はたくにぃの荷物のそばにお弁当を置いておく。
「ありがとう……あ。明日夜勤だから起こすなよ。あと弁当もいらねぇから」
「また夜勤なの?わかった。予定入れとくね」
 私は携帯を取り出して、カレンダーをタップして予定の欄に書き込む。忘れっぽいからこうでもしとかないと、またお弁当を作ってしまうかもしれない。私たち兄妹はよく夜に出かけたりするけど、最近たくにぃの夜勤も増えて祐くんと2人になることが増えた。だからといってどうというわけでもない。ただ……血はつながってないわけだし、やっぱり祐くんのことは……。
「それと、今週は日曜休みだからどこか行こうぜ」
「そうなんだ!よかった〜、久しぶりだもんね!じゃあ……冬だし、スケート行っちゃう?前やりたいって言ってなかったっけ」
「おぉ……いいな。スケート確かに行きたかったしな。多分祐樹もやりたいだろ。空ちゃんは?」
「私もちょっとだけ興味ある!テレビで見るとさ、やってみたいなぁ〜って思うもん!」
 私がはしゃいで、たくにぃは微笑んでそれに返事をする。いつもと変わらない朝の図式。それが、明日のたくにぃの夜勤で変わるだなんて、誰も知らなかった。いや……知ることができなかったのかな。

Re: 僕らがここに集った訳 ( No.3 )
日時: 2015/01/20 01:35
名前: 鈴音希里

 午前11時30分。たくにぃが仕事に行ってしばらく経ってから、祐くんが起きてきた。
「おはよぉ……あれ、たくにぃは?」
「さっき仕事行ったよ。明日は夜勤なんだって。あとね、日曜日スケート行こうって言ってたんだけど――」
「えっ、スケート!?行きたい行きたいっ!」
 祐くんも私と同じ、いやそれ以上に目をキラキラさせてノッてきた。祐くんは柔和で、硬派なたくにぃとは正反対といってもいい性格だった。社交的でマメで面白い。そんな性格。
「ま、まぁ落ち着いてよ。じゃあ日曜日はスケートってことで!」
「やった〜っ!あ〜早く日曜日にならないかな〜」
 そわそわと早くも日曜日を待ち構えている祐くんはとても可愛らしかった。今日はまだ水曜日だというのに……。
 私は、明日のことを考えて、昼間に遊びにいこうかと目論んだ。

Re: 僕らがここに集った訳 ( No.4 )
日時: 2015/02/03 14:40
名前: 鈴音希里

「そーらちゃんっ!」
 たくにぃが夜勤の夜、祐くんが寝そべっている私の上に乗っかって来た。
「うわっ!?ちょ、祐くん、重いってばぁ!」
「えぇ〜重いなんて言わないでよぉ〜気にしてるんだからぁ!」
 思わず女子か、と言いたくなるようなセリフだ。普段ならここにたくにぃも乗っかってきて私がつぶれそうになる。
「にしても……最近、たくにぃの夜勤多くない?」
「うん。だからあんまり3人で遊びにいけないね……」
 またたくにぃがお昼の仕事ばっかりで、よく遊べる日々が戻ってくればいいのになぁ……そんな一方で、祐くんと2人きりというのをどこか喜んでいるところもあった。
「ねぇ空ちゃん。やらない?」
「えっ?何を……?」
「だから……」
 祐くんは意味ありげな微笑みを浮かべると、私の胸を触ってきた。そのいきなりの行動とくすぐったさに私は変な声をあげてしまう。
「こういうこと、やらないかって言ってんの」

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