官能小説(オリジナル18禁小説)
- 鬼灯の冷徹【R18】
- 日時: 2015/11/10 08:33
- 名前: 忌み子
私なんて。
私なんて不良品なんだ。
私なんてただのグズなんだ。
私なんて………私なんて………。
生きる価値も無い。
そう考えていた。
いつも、自分の存在を拒否し続けて。
だけど。
「大丈夫ですか。」
そう言って私の涙を拭ってくれた貴方は、
鬼神にしては優しく、
尋ねてくれたんだ。
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- Re: 鬼灯の冷徹【R18】 ( No.1 )
- 日時: 2015/11/10 08:37
- 名前: 忌み子
地獄の第一補佐官・鬼灯は、悟られないように溜息をついた。
此処の所、あの阿呆が仕事を貯めまくってくれたおかげで
日々残業残業。三徹・四徹も珍しくない。
今日は賽の河原に地蔵菩薩と一緒に行く日だ。
- Re: 鬼灯の冷徹【R18】 ( No.2 )
- 日時: 2015/11/15 19:54
- 名前: 忌み子
賽の河原の餓鬼どもは小癪な者ばかりで話にならない。
完全に鬼を舐め切っているのが見て取れるし、
あそこにつかせた鬼もかなり子供に甘い。
この間なんて、転成させろと反乱を起こしてきやがった。
子供特有のキンキン声は実に癪に障る。
しかし、自分は閻魔のようにナヨナヨした漢ではないのだ。
きっちりと仕事をこなさないといけない。
鬼灯はそう肝に命じて、賽の河原へと向かうのであった。
- Re: 鬼灯の冷徹【R18】 ( No.3 )
- 日時: 2015/11/15 20:17
- 名前: 忌み子
賽の河原付近でもう、餓鬼どもの罵声が聞こえてくる。
また鬼を人質にしているのか、
それとも喧嘩をしているのか。
その光景を考えるだけで、正直頭痛がする。
鈍痛はストレスとなって彼の脳に伝達された。
非常にイライラする。ブン殴ってやろうか、それとも拷問にかけてやろうか
徹夜でクラクラする頭の中で鬼灯は悶々と考えた。
「汚いんだよ、近寄るなっ!」
「アンタの菌が病染るでしょうが!」
酷い言葉が俯いていた顔を上げさせた。
自分に言われているのかと眉間にシワを寄せたが、
それは自分に向けられているわけではなかった。
そこには幼い少女がいた。
毛先は揃っていない。無理矢理切られたのだろうか。
俯いて必死に涙を我慢しているようだ。
その小さな背中に容赦なく投げられる石。
子供達を獄卒たちがたしなめようとするが、
何人かの餓鬼に遮られ、行動を阻まれていた。
(…………助けて……………)
少女の悲鳴が聞こえた気がした。
あまりの光景に言葉を失っていた鬼灯の前に進み出て、
「みんな落ち着いて。そんなことしたらいつまでたっても出られないよ」
地蔵菩薩は優しく言った。
光を体に纏い、穏やかな笑みを浮かべる地蔵菩薩に
子供達は皆全員パッと駆け出した。
「地蔵様、私を助けてー!」「僕!」
しかし、その中に少女の姿はなかった。
彼女はこちらから目を背けるように、うずくまっていた。
似ていた。
丁と言われていた頃の自分に。
昔を思い出せば、胸が苦しくなる。
あの頃の付けられた傷は、憎悪となって心に残っていた。
あの痛みを忘れたことが今まであっただろうか。
地蔵菩薩は三人の子供を転成させた。
それに対して残った餓鬼どもが、えーっ、と声を上げる。
注射針を向けると、それでも大人しくなったが。
地蔵菩薩は一通りの仕事を終えると背を向けた。
しかし、あの少女を放っておくことが、鬼灯にはできなかった。
傷ついてほしくない
そんな気持ちが胸を渦いた。
幼少の自分のようになってほしくない
- Re: 鬼灯の冷徹【R18】 ( No.4 )
- 日時: 2015/11/15 22:05
- 名前: 忌み子
「大丈夫ですか。」
声をかけると、少女は自分の方に顔を向けた。
生気を失った暗い瞳は何も映していない。
幼き身体には無数の痣が影を落としていた。
その顔には見覚えがあった。
たしか、昨日の判決で賽の河原行きが決まった子だ。
「痛かったでしょう。手当をします。」
鬼灯は彼女を閻魔殿に連れて行くことにした。
そっと抱きかかえる。
すると、あろうことか、彼女は泣き出したのだ。
「うっ、うあああああっ……………」
嗚咽を我慢せず、鬼灯の着物を握りながら泣く少女。
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