官能小説(オリジナル18禁小説)
- 中学一年生
- 日時: 2016/03/29 00:01
- 名前: 斎藤ロベール
五十嵐慈縁(いがらし じえん)は寺の息子だった。自分の名前がいかにもそれらしいのを気にしている癖に、頭は丸坊主だった。これは野球部だったせいもある。痩せて小柄な中学一年生だった。
野球部が朝練をしているグラウンドの隣はテニス部のコートだった。男子の部は無くて、女子だけだった。また、同じグラウンドの敷地で陸上部が練習をする。これも女子だけだった。慈縁の中学には男子より女子が多い。野球部も、全学年ふくめ八人しか揃っていなかった。
「臭えなあ」
セカンドを守りながら慈縁は思った。
風に乗って、テニスコートから、そしてグラウンドの反対から、女子のからだのにおいが流れてくる。それがどうにも動物臭くて耐え難かった。
小学生の頃は感じたことがないにおいだった。女子は中学では香水を付けたり、シャンプーのにおいが馬鹿にきつかったりして、それもいやらしかったが、体が臭いのが何より不愉快だった。
女子が集まって声を出す、その部活の声さえも、雌の叫びのように慈縁に感じられた。バレーやバスケが行われる体育館はにおいも声も籠るから最悪だろうと慈縁は思い、土で汚れた自分の汗臭い袖のほうが余程清潔にすら感じられた。モノクロのストイックさ。飾り気のない潔さ。女にはそれが無い。
「こら、女なんか見てるなっ。」
ノックの球が怒声とともに飛んできた。慈縁はすかさずキャッチし投げ返しながら
「女なんか興味ありません。」
そう大声で言うと、周りに笑いが起こったが、向こうのテニス部からも
「ホモ少年頑張ってえ。」
と女の声がして、今度はグラウンド全体が笑いに包まれた。
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- Re: 中学一年生 ( No.2 )
- 日時: 2016/03/30 23:36
- 名前: 斎藤ロベール
朝の勤行は部活よりずっと早い。父親の僧侶は、長男である慈縁を僧侶に育てて継がせるつもりがあまり無く、お前がなりたくないなら養子でも貰えばいいと慈縁に言っていた。慈縁に兄弟はほかにいなかった。
「檀家があるから寺を辞めるわけにもいかんしな。」
朝起きの得意な慈縁は、父親と一緒に好きで勤行もしているのだったが、家を継ぐかどうか決めることはできないでいた。
金色(こんじき)の巨大な阿弥陀像を前にして、暗いお堂に合掌する時間は、一日のうちで最も心が静寂になる時であった。色気など微塵もない。ただ、真剣さと畏敬だけがある。男の世界だと感じた。勿論、現在では僧侶は結婚も認められているし、尼寺というものが昔から存在することは慈縁も知っている。寺を継ぐなら、家族経営でなく、本当に「やる気」のある男ばかりの、出家修行の場にしたいものだと慈縁は思った。
- Re: 中学一年生 ( No.3 )
- 日時: 2016/03/31 18:46
- 名前: 斎藤ロベール
「ねえ、ホモ坊主。」
昼休みに声をかけてきたのは一組の女子のセラフィーマだった。
「殴るぞ。」
慈縁はいま食べ終わった弁当の包みをしまいながら、内容のない若者言葉の意味で反射的に呟いた。
小学校は別だったから、セラフィーマは中学からの知り合いである。それも、テニス部なのでよくは知らない仲だった。慈縁より少し背が高く、綺麗な顔立ちをしていたが、右と左の目の色が違っていて、それが初対面の人を驚かせた。
「あんた、女子の生理が臭いとか言ってるそうだけど、やめなさいよ、そういうの。お坊さんなんでしょ。」
「お坊さんじゃねえよ。生理って何。」
慈縁は本当に知らないのだった。人づてに聞いた話に先入観で脚色していたと、セラフィーマが却って恥ずかしくなった。
「女子が臭いのは嘘じゃない。僧侶は嘘は言わない。」
「ホモなお坊さん、女子のどこが臭いのですか。どう考えたって男子より清潔だよ。何にも知らないくせに。」
「全部。玉ねぎが腐ったみたいなにおいがする。」
「男子だって臭いよ。」
「お前、何しに来たんだよ。」
「あ、コンパス貸してくれる? 忘れちゃった。」
セラフィーマは、クラスの違う男子である慈縁のところに、よく物を借りに来た。忘れ物がもともと多いのだそうだ。借りる相手が遠ければそれだけ借りやすいのだと言っていた。慈縁は言葉を真に受けて、詮索しなかった。
「すぐ返せよ。お前、人に借りた物も忘れてくるから。」
「ありがと。ねえ、あたしも臭い?」
「分かんねえよ。俺は外で遊びたいんだから、早く行け。」
スポーツで鍛えたセラフィーマの、細身の後ろ姿がスキップで教室を出ていった。
- Re: 中学一年生 ( No.4 )
- 日時: 2016/04/02 22:10
- 名前: 斎藤ロベール
「あいつ今日生理だぞ。」
部活でない友達たちが集まったとき、そんな話になった。
「生理ってなんだ?」
慈縁が真面目に尋ねてみた。友人は物知り顔に答えた。
「女は月に一回、股の穴から血を出すんだよ。だから、トイレに行く回数を数えてると、そうかどうか分かる。」
男子たちは話に興奮しているのだが、イメージの持てない慈縁には、聞いていてただ気味が悪かった。どこからどう血が出るのか。そもそも、誰のブラジャーが変わったとか、誰が経験済みかなど、どうでも良いことに思われた。
しかし、自分たちの体のことになると関心は高く、慈縁も話に加わった。男が男の話題で話すのは、純粋なことに思われた。
女は業が深いと仏教では言う。そう父から聞いたことを慈縁は思い出した。ただ、うちの宗派では、結局、男も女も仏から見れば大して変わらないと考えていると、父が言ったことも思い返された。
- Re: 中学一年生 ( No.5 )
- 日時: 2016/04/04 06:53
- 名前: 斎藤ロベール
部活が終わったあと、慈縁は偶然セラフィーマと帰りが一緒になった。慈縁は何気なく
「お前はいつ生理?」
と聞いてみた。いつもの大げさな調子を慈縁が期待したのに反し
「あたし、まだないの。」
とセラフィーマが深刻そうな面持ちで返したので、慈縁は驚いた。
「胸もないから、まだ来ないってお母さんが言うんだけど、クラスでも部活でもあたしだけみたい。病気だったらどうしよう。」
慈縁は返し方が分からず、
「俺は精子出るぞ。起きたとき出てることある。」
「坊主のくせに、相当欲求不満なんじゃないの? 精子って、白いんでしょ。どんなにおい?」
「栗の花。」
「うそ。」
「僧侶は嘘つかない。」
「男子は花で女子は玉ねぎなの。」
「イエス。」
「嗅ぎっこしてみない?」
セラフィーマの声が小さくなった。慈縁が大げさに
「朝のパンツ持ってこいってか?」
今度はいつものセラフィーマらしく目を大きく開き、
「あんた、ほおんとおうに、お馬鹿なのね。パンツなんか持ってこなくても、あたしが・・・」
そこまで言うとセラフィーマは黙ってしまった。
- Re: 中学一年生 ( No.6 )
- 日時: 2016/04/08 19:46
- 名前: 斎藤ロベール
練習のあとで着替える高田先輩の体には、やはり惚れ惚れするものがあると、慈縁は改めて思った。青のブリーフ一枚になった先輩の尻は、野球部員らしく筋肉で盛り上がっていた。背中も広い。先輩の近くにこうしているだけで慈縁には安心が感じられるのだった。
突然、先輩が向き直って、慈縁の股間を握り締めた。
「また見てるだろ。あ、お前、立ってるじゃねえか。」
冗談ぽくそこをさする先輩の手は大きく温かく、また、くっきり割れた青年男子の腹筋が目に美しくて、恍惚となったその時、激しい快感が慈縁の下腹を走り抜けた。
その日から、慈縁は自分ですることを覚えた。先輩の割れた腹筋が忘れられず、する時は必ず思い浮かべたし、反対に、着替える先輩を見ると興奮に襲われた。高田先輩だけでなく、上級生の硬そうな尻のあいだに自分を入れることが想像されてならず、練習のあと、しばしば慈縁はトイレに走った。
- Re: 中学一年生 ( No.7 )
- 日時: 2016/04/11 07:25
- 名前: 斎藤ロベール
しかし、こんな自分のありかたが、どこか真実に背いていると感じた慈縁は、父にさり気なく、仄めかすような言い方で尋ねてみた。父が答えて言った。
「まあ、女がいても男同士でも、人間は大して変わらないということだろ。それで、お前はその女の子のことをどう思った。」
「かわいそうだと少し思いました。」
「先輩のほうは?」
「もっと野球に集中できたらいいなと。」
「それが悲願のはじめだな。」
「頑張ります。」
「頑張りな。でも、大したことはできないかもしれないな。一人で海に漕ぎ出すようなものだ。」
「頑張ります。」
「道を知ってる人が必要だ。その道を歩きつくした人が、まあ、み仏なんだな。それで、勝手に舟を進めないで、任せろと言う。」
人任せでは野球に勝てませんよと慈縁は言いたくなったが、若い時、甲子園に出場している父に、とても言えたものではなかった。
- Re: 中学一年生 ( No.8 )
- 日時: 2016/04/13 19:48
- 名前: 斎藤ロベール
「テニス部やめようかな。」
セラフィーマが帰り道で慈縁に言うともなく呟いた。
「お前、あんな沢山いる部活で選手になれるんだろ。勿体ない。俺なんか、部員がいないから試合に出てるけど、負けばっかだし、実力ある奴が羨ましいよ。俺は辞めないけどな。」
「野球部のマネージャーになる。」
「無駄なことするなよ。だいたい、募集してねえよ。」
「あんたが好きなの。」
セラフィーマは、さらりと言ってのけた。
「俺、割れた腹筋と硬い尻が好きなホモだぞ。」
返しながら、告白とはこんなに人を圧倒するものかと、慈縁は内心たじろいでいた。
黙ってセラフィーマは制服の裾を捲った。白い少女の腹に、形良く腹筋が浮き出していた。慈縁の目は驚いて釘付けになった。
「あたし、あんたより筋肉あるんだよ。」
そう言うとセラフィーマは、慈縁の手を取り、自分の腹に触れさせた。それからぱっと離れて、
「もう一つのほうはまた今度。あした返事ちょうだい。」
そして走って帰っていった。慈縁は
「なんの返事だ。」
と大声で言ったが、セラフィーマにはもう聞こえていなかった。
- Re: 中学一年生 ( No.9 )
- 日時: 2016/04/17 16:17
- 名前: 斎藤ロベール
セラフィーマの腹は、思い出せば、肌に触った感触は冷たかったけれども、じっとりと湿っぽく、確かに熱かった。そして硬かったが柔らかかった。ほかに類のない手触りだった。それは慈縁にとって、甘さに似た感覚だった。先輩のは、思い出せば寧ろ苦味だった。どちらがいいのか分からない。しかし、とにかく慈縁に火を点けた。手の感触が抜けないので、二度も三度も繰り返した。
腹に触られたセラフィーマは、うちへ帰ると堪らなかった。肝を冷やす恥ずかしさも、振り返れば男に触られた感触に似て、セラフィーマをのぼせさせた。セラフィーマは部屋の戸を閉めきると、たちまち下着を脱いで我を忘れた。終わってから嗅いだ指のにおいが玉ねぎみたいだとは、とても思えなかった。女の子のがどんなにおいなのか、自分の感想を言ってやりたくなった。
- Re: 中学一年生 ( No.10 )
- 日時: 2016/04/20 22:42
- 名前: 斎藤ロベール
「先輩のお尻とどっちが好き?」
あれから付き合いに承諾した慈縁は、土曜日の練習の帰り、セラフィーマの家に誘われた。慈縁は、部屋での見せ合いに応じたのだったが、セラフィーマに教えられるまま、もう肌を重ねて、少女の中に入ってしまった。もちろん、誘ったセラフィーマも今日が初めてだった。
その言葉が終わると同時に温かく口に含まれたのを下腹に感じた慈縁は、ぶっきらぼうに
「しゃべらせるなよ。」
慈縁のほうでは、とっくにセラフィーマの奥に舌を使っていたのだった。そう言われた途端、これまでにない気持ち良さにセラフィーマの気は遠くなって、自分も喋れなくなった。痒みにそこが引き締まった。今、おねしょの感覚で男の口に漏らしたのだと、喜びの波が引いてから思った。
セラフィーマは男の皮をゆっくり剥いてやった。濡らした唇で丁寧に拭い取ると、口の中でまた栗の花が咲いた。五回目かしらとセラフィーマは思った。
セラフィーマの波は慈縁よりずっと多く、速かった。しかも段々高くなった。もう、来ると分かって、慈縁を喉へ吞み込むように吸った。止まらないおねしょの感覚があったが、お尻のほうをこすられるのがあまりに気持ち良く、力んで開いて慈縁の顔に押し付けてみた。慈縁はされるがままにしていた。
慈縁にもう残りのないことを知ると、セラフィーマは皮を戻してやった。隣に身を寄せようとしたら、慈縁が腰に抱きついて離さなかった。顔はまだセラフィーマにうずめていた。
- Re: 中学一年生 ( No.11 )
- 日時: 2016/04/21 20:01
- 名前: 斎藤ロベール
「女の子の、臭くて驚いた?」
「うん。でも、好きになってきた。」
聞いて、セラフィーマにまた波が来そうだった。
「毎日嗅がせてあげる。ホモなんて忘れるくらい、女の子のにおいで一杯にしてあげる。あんたの栗の花はあたしに全部ちょうだい。」
いつしか硬くなっていた慈縁に気づいたセラフィーマは、素早く身を翻してそれを自分に差し込んだ。
美しい筋肉の浮いた肌が赤く染まり、セラフィーマの体から女のにおいが濃く漂ってきた。慈縁をさんざん締めつけたあと、倒れるようにセラフィーマは慈縁の上に覆い被さった。汗で濡れた髪がまたにおった。
力の抜けた女の重さがなんだか嬉しく、女はこんな彩りを添えてくれるのかと慈縁は心に思い知った。
「俺のこと、なんで好きになったの?」
「初めて会ったとき、あたしの目のこと、気にしないでくれたから、かな。」
小声で辛そうに、疲れ果てた様子のセラフィーマが言った。
なんだそんなくだらないこと、と慈縁は思った。
ふと、高田先輩のことが思い出された。自分はやはり先輩が好きである。しかし、果たして先輩とこんな事ができるだろうか。 できたにしても、さっぱりしたものだろう。そう立ち返ってみると、女はぬるぬるした軟体動物のようで、やはり不潔な気もするのだった。
慈縁は、世の中も人の心の動きも、なんだか分からないものだと感じた。そして、父の言うとおりに、やっぱりみ仏に任せていこうかと本気で思い始めたのだった。
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