官能小説(オリジナル18禁小説)

僕の彼女【10/23更新!】
日時: 2016/10/23 21:04
名前: ねむねむ

〜prologue〜

僕の彼女が死んだのは、クリスマスがほど近い、12月のことだった。

テレビでニュース速報が流れていた。
某駅内にて、女性が人身事故______

それを呆然と眺めていると、警察からの電話があった。
ニュースの女性は、僕の彼女だった。

もう、息がなかったという。







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僕の彼女 ( No.1 )
日時: 2016/06/15 18:22
名前: ねむねむ

1、クリスマスプレゼント

小春日和。この言葉は春に使うのではなく、秋や冬の暖かい日に使われるのだと言う。クリスマス・イブでもある今日、12月24日は、ホワイト・クリスマスになんて、絶対になりそうに無い暖かな日だった。

本当は僕も、今日は彼女とデートだったのに。

僕の彼女は、とある駅内のホームにて人身事故に遭った。いや、この言い方だと語弊がある。彼女は自ら、駅のホームに飛び降りたのだ。もちろん、誰かが背中を押したんじゃないかと、そんな疑問が浮上した。しかし、彼女が飛び込んだのは、終電の1つ前の電車。
しかも彼女が立っていたホームには、彼女以外に誰も居なかった。
監視カメラの映像からも、それは立証された。
つまり彼女は、自分自身の決断で、ホームへと飛び降りたのだ。

彼女が死んでから、僕の日常生活も死んだも同然だった。
ただ事務的に寝起きし、大学で講義を受け、そしてまた眠る。ロボットのようにそれを繰り返した。
今日も、その繰り返しのはずだった。
「すみませーん、お届け物です。」
インターホンの音と同時に、宅配便が届いた。やけに大きなその箱は、ずっしりと重かった。
「んだこれ。でも宛先は僕で合ってる。って、重っ……!」
持ち上げるのでも精一杯だった。仕方なしに、玄関で箱のガムテープをビリビリと破った。
「よく持ってたな、あの宅配員……」
僕はこういった荷物を雑に開けることに対して、抵抗を感じない。だけど彼女はいつも、もっと丁寧に開ければいいのに、そう言っていた。
「う、あぁっ…!?」
中身を見た瞬間、僕は思わず後ずさった。中身は、人形だったのだ。とても精密な、まるで人間の女性のような精巧さだった。恐る恐る近づき、その頬をぷにっと押してみる。
「やわらけー……」
可愛らしいワンピースを着せられた人形の頬は、人間のように柔らかできめ細かかった。その小さな体を起こし、箱から引きずるように出してみる。箱を開ける前に対して、この人形は何故か思っていたより軽かった。
そして箱の下には、説明書のような紙があった。小さく折りたたまれたそれは、発泡スチロールに挟まれていた。
「ふーん…ってこれ……!?」
その説明書の一番上に、『貴方だけのラブドール』と、書かれていた。
「なっ……あぁ…!?ら、ららら…らぶっ…」
口に出すのも憚られるような代物が、僕の目の前にはあった。誰の嫌がらせなんだ。
彼女を亡くした僕への、当てつけ________?
「いや、ない。ないないない、ありえない。」
彼女が死んだことは、誰にも言っていないんだ。自分の両親にすら。だからこんな意地の悪いこと、誰にもできない。
それとも僕が、無意識のうちにこんなものを頼んでしまったのか。彼女が亡くなった寂しさを紛らそうと。
「いや、それもない。ありえない。」
僕はそこまで寂しい奴じゃない。と、自負している。とにかく続きを読もうと、説明書に目を落とす。
「名前を、付ける…?名前、付いてないのか。」
目を閉じて、何かを待っているようにも見えるその人形を、もう一度じっくりと眺める。
「……美沙、とかどうよ。」
「………」
返事はない。当たり前だった。なんとなく直感で、「美沙っぽいな」と思った自分が、浅はかだったかもしれない。
「ま、美沙でいっか。」

「______ありがとうございます。」


その人形は、いや美沙は、喋った。







Re: 僕の彼女 ( No.2 )
日時: 2016/06/25 13:05
名前: ねむねむ

1、クリスマスプレゼント


「ありがとうございます。」

今のは、幻聴だ。まさか、人形が喋るわけがない。何が、「ありがとうございます」だ。そんな非現実的なことは起こらない。
「疲れてんのな、僕……」
人形____ではなく、美沙を片付けようと持ち上げると、無機質的な声が響いた。
「名前、ありがとうございます。」
「や、やっぱ喋るか……」
諦めて、玄関からワンルームの狭い部屋に運ぶ。無表情な美沙は、全く動じない。「ありがとうございます」しか喋れないんじゃないのだろうか。なんとなく丁重に扱わなくてはいけない気がして、1つしかないクッションの上に座らせる。
「えっと……色々聞きたいんだけど、まず一個聞いていい?」
「ハイ。」
「なんで喋べんの?」
「………」
黙った。そして口をパクパクさせて、何か言おうとしている。言葉が思いつかないのだろうか。少しの間そんな状態が続いて、しょぼんと俯いてしまった。
「あ、えと…なんか、その…ごめんな?」
「ハイ。」
どうやら美沙は、言葉の知識が乏しいようだった。このままではコミュニケーションもままならないだろう。可愛らしいワンピースのスカート部分にちょこんと手を乗せ、慣れない正座に美沙は苦戦していた。これはこれで可愛らしいが、やはり言葉は重要だと、僕は思う。
「うーん……よし、ちょっと待ってて。」
「ドこ。行くノ?」
「あー…ちょっと下のコンビニ。」
「コんビニ?」
「ん、だからちょっと待っててな。」
「ハイ。」
まるで異国から来た外国人が、日本人の言葉を聞こえたままに真似をしているような発音だった。
「よし、じゃあ行ってくるな。すぐ戻るから。」
「ハイ。」
こんなに慌てて階段を降りたことは、今まででに多分ない。なんだか美沙を見ていると放って置けない気がしたんだ。だから、少しでも暮らしやすいようにしてやりたくなった。

「いらっしゃいませ〜。」
まだ8時だから、品薄状態ではない。夕飯も買おうと思ったが、そもそも美沙はご飯を食べるのか。とりあえずおにぎりを手に取り、それから雑貨・文具コーナーを見る。予想通り、端の方に売られていた。
「ありがとうございましたー。」

コンビニでご飯や飲み物しか買ったことのない僕には無縁だった、雑貨・文具コーナーだが、意外と興味深いものがいくつかあったため、思ったよりも買い物をしてしまった。
「ただいまー。」
「ハイ。」
「ほらこれ。」
「エ?」
僕が買ってきたのは、あいうえおの表だ。
「言葉分かんないと不便だろうし、これでちょっとずつ勉強…って、話聞いてないな。」
諦めて、買ってきたものを冷蔵庫に入れてしまおうと立ち上がる。

「あ……あリがとウ。」
「え?」
まさか、僕に____?
期待感で振り返ると、美沙は真顔であいうえお表の「あ」を指差していた。例として乗っている言葉は、「ありがとう」。
「なんだよ。」
なんだか、僕の方が笑ってしまった。


Re: 僕の彼女【6/19更新!】 ( No.3 )
日時: 2016/06/26 19:51
名前: ねむねむ

2、美沙のお留守番


「いいか?ぜっっったいに外に出たらダメだからな。」
「ソと?」
美沙はこんな感じで、1つのことを話すために、10の単語の意味を教えなければならない。
「外ってのはな、この扉の向こうの事だ。美沙はここから出たら、怖い目に遭うからダメ。」
「だメ…。」
不満そうな美沙の顔には、『私だって___』そんな感情がにじみ出ていた。仕方なしに、さらにもうひと押ししてみる。
「ほら、僕と約束。な?」
床に広げたあいうえお表の「や」を指差す。例として載っている単語は「約束」と「やかん」。なんというか、ミスマッチなペアだ。
「ヤくソく……ワかっタ。」
「ん、よしよし。じゃあ昼はそのおにぎり食べるんだぞ。」
「うん。」
「じゃ、行ってくる。」
すっくと立ったが、小さな美沙が僕のズボンの裾をぎゅうっと握りしめた。何か言いたげに僕を見上げている。
「ん?どした?」
「い…っテ、らっシャい。」
ぐっと溜めて、絞り出された声はなんとも簡素なものだった。一人暮らしを始めてから『いってらっしゃい』と言われたことは無かった。当たり前だ、一人暮らしなのだから。だけど今の僕には、ひどくそれが嬉しかった。しゃがんで、頭をこれでもかと撫でてやる。
「ありがとな。なるべく早く帰ってくるよ。」
「うン。」

僕が部屋を出て、美沙は一人になった。無知な美沙は、僕が帰るまでの8時間、とんでも無いことをしでかしていた。

ガランとした部屋を、美沙はぐるりと見渡した。
「……」
美沙から見れば、ワンルームの六畳間も広く感じる。部屋を探索するように、トコトコと美沙は歩き出した。机の下を覗いたり、棚の隙間に体を挟んでみたり。小さな美沙はベッドの前を通り過ぎると、ちょうどベッドの下が見えるのだ。そこで、美沙は気づいてしまった。男なら誰でも隠す、『あの本」の存在に。
「……?」
美沙はうつ伏せになり、ベッドの下を這うように進む。そして一冊の本を手に取ってしまう。この瞬間、僕の、男としてのプライドは粉々になるのだが、それはまた別の話。
「ぱイ…オつ…」
美沙はあろうことか、そのまま目に見えた文字を棒読みする。他の本もズルズルと引っ張り出し、ページをめくる。当たり前のことだが、美沙が見ても、その本の内容は意味不明な言葉だらけだった。あいうえお表と交互に見比べ、知っている言葉を探して読もうとするが、あまりに知識が足りない。
美沙は諦めて、ぽいと雑誌を放り出した。
「………」
表紙の女性と、自分の体を見比べる。胸の大きさ、ウェスト、脚の細さ。人形とは言えども、美沙はラブドールであることを忘れてはいけない。ただの人間には当然勝る。それでも美沙は気にしたのか、自身の胸をじっと注視していた。
午前中の間、ずっと。

お昼を食べるのも忘れて。

「ぱイ…オつ…」
そして美沙は理解した。胸のことを、パイオツと呼ぶのだと。
美沙にとっては、とんでも無い衝撃。他の何にも頼らず、自分の力で1つの言葉を知り、理解出来たのだ。
もっと、この本を読もう。美沙には、一筋の希望が見えていた。『あの人』が帰るまでに、少しでも沢山の言葉を話せるようにしよう。
きっと、褒めてくれる。また、頭を撫でてくれる。

その純粋な気持ちだけで、僕の恥ずかしい性的嗜好を全て知ってしまった美沙だった。





Re: 僕の彼女 ( No.4 )
日時: 2016/07/03 20:27
名前: ねむねむ

2、美沙のお留守番


僕は珍しく足早になっていた。大学に着いてから、美沙に電気の点け方を教えていなかった事を思い出したのだ。冬の今は日が暮れるのが早い。ことさらに小さな美沙は、暗闇を知らない。怖がっていたらどうしよう。
今日に限ってなかなか電車がホームに入ってこない。イライラする中で、かつての彼女を思い出していた。
「ただいま!美沙ごめん…っ」
日が落ちるすんでのところでアパートのドアを、勢いよく開けた。ほとんど真っ暗な中に、美沙が佇んでいる。そのまま振り返って、開けたドアから漏れる光を頼りに、美沙はトコトコとこちらに歩いてきた。
「おカエりなサい。」
「いや、ただいま…なんだけど、真っ暗で怖かったろ。ごめんな?」
パチンと電気を点けて、部屋が照らされると、その光景に絶句した。
「な、なんで!?僕の…こ、これ!」
「?」
そこには、僕のエロ本が床に全てばらまかれていた。美沙は悪びれもせず、ただ首をかしげるだけだ。
「これ!美沙がやったの…?」
情けなさすぎて、声も弱々しくなってくる。当たり前だ。僕の性的嗜好の全てがばらまかれているに等しいんだ。男として、これほど辛いことがあって良いのか。
「うン。ワたが見タ。」
「な、なんで!?」
美沙はキョトンとしたまま、何故ここまで怒られているのか分かっていないようだった。ということはつまり、美沙はこの本の内容を知らずに、ただ好奇心で引っ張り出しただけかもしれない。
「美沙。もう、これは片付けるからな?これは美沙は読んじゃだめ。」
「なんデ?じ、いっパい。じ、おボエる。」
純粋にこちらを見上げている美沙に、返す言葉もない。でもこの本を美沙の好きなようにさせるのは、絶対にいけないのだ。金庫でも買おうか。
「コレあれバ、わたシ、じブンで字、オボえらレるよ?」
「いや、でもな…」
食いさがる美沙は、そのまま続けてまくしたてるように喋る。
「ワたし、自分でおぼえタの。……パいおツ!」
「ど、どこでその字を見た!?」
美沙が自慢げに胸を張って、そして出てきた言葉は、とんでもないものだった。美沙は無言で散らばった本の1つを指差し、「ほら」と言うようにトントンと小さくつつく。表紙にデカデカとその字は書かれていた。いやでも目についてしまうほどに。
「もおおぉ……分かったよ。本買おう。この本は美沙にはまだ早い。早すぎる。絵本買う。」
完全なる僕の落ち度だった。
美沙は「絵本!」と、嬉しそうにはしゃいでいた。
「明日、買いに行こうな。大学休みだから。」
「あシタ?」
そうだ、日付の感覚も教えなくてはいけないのだ。エロ本なんかより、美沙にとって大事なことは多い。やれやれと一息ついてベッドに腰掛けると、美沙がズボンの裾を引っ張ってきた。
「んー?」
「パイおつってネ、ここのコト!」
美沙はドヤ顔で自分の胸を指していた。
「その話はお終い!ってその本持って……いや、そんな目で見ても字は教えないから!」
「エー?」
少なくとも、僕の部屋は平和だった。
明日は、絵本を買いに行こう。








Re: 僕の彼女【7/7更新!七夕限定秘話】 ( No.5 )
日時: 2016/07/08 16:22
名前: ねむねむ

七夕小話


「ねェ。」
「んー?」
美沙は今日もまた唐突だった。ふいに顔を上げ、思いついたままに喋るのが美沙の常だ。
「たナバたってな二?」
我が家にたった1台ある小さなテレビには、七夕の特集が流れていた。地元の幼稚園を訪ねているリポーターが、「どんなお願いごとをした?」と、猫なで声で幼稚園児にインタビューしている。
「あー……七夕ってのはな、こう…紙に願い事を書くんだよ。」
「ねガいごト?」
「そ、『お金持ちになれますように』とか。って、情けない願い事だな。」
なんとなくで言ったのだが、口に出すとなんだかヒモの男のだらしない願望のように聞こえる。思わず苦笑すると、美沙はハッと思いついたように、ぽんぽんと机を叩いた。
「ん?どした?」
「かみ、ホしいっ」
「えー、でも美沙、字書けないだろ?」
美沙は泣きそうな顔で黙り込んでしまった。そして不満げにベッドの下に潜ると、見る見るうちに僕のエロ本を引っ張りだしてきた。
「巨にゅ____」
「ストーーップ!!!」
「んー?」
「分かった。紙出すから、な?」
「うン。」
美沙はこれでもかと言わんばかりに、大声でエロ本のタイトルを読もうとしていた。危ない、意外と美沙は学習能力が高いようだ。
ノートをちぎって、ハサミで短冊型にシャキシャキ切っていく。
「よし、こんなもんだろ。」
「ダメ。」
「え?」
美沙は指をピースにして、「二枚。」と要求していた。仕方なしにもう1枚同じ行程を繰り返す。
「これでいい?」
「うんっ。」
笑顔が可愛いから、ついつい油断してしまう。エロ本を引っ張り出すような子には全く見えないのだ。騙されてしまう。
「字、かケなイ。」
ほら見たことか。だから言ったのに。とは言わずにあいうえお表を見せる。
「なんて書きたいんだ?」
「お、おしエナいっ。」
何度か聞いたり、のぞき見しようとしたのだが、美沙は気配を察知して慌てて隠してしまう。僕は諦めて、自分の分を書くことにした。
さて、どうしようか。
美沙はあいうえお表を指でなぞり、何度も短冊と字を見比べている。
「よし、っと。」
美沙は書けたようで、僕のことを待ちくたびれたように見ていた。自分で七夕がどうこうと言い出したくせに。
「さてと、飾るはいいけど、竹とかないし……」
「あレは?」
「お?」
美沙が指さした先は、部屋干し用の物干し竿だった。梅雨の明けた今は滅多に使わないため、ただ釣り下がっているだけの物干し竿を、美沙は見上げていた。
「あー、いいね。美沙ナイス。」
「なイス?」
「そ。よく出来ましたってこと。」
美沙の短冊を受け取ると、ちらりと中身を覗いてしまった。そういえば、僕の分は美沙に見せていないな。
「ま、いっか。」
「ナにガー?」
物干し竿にぶら下がった2枚の短冊は、小さくゆらゆらと揺れていた。


「〇〇〇と、いっぱいおはなしできますように。 美沙」

「美沙の読み書きが上達しますように。 〇〇〇」

まるで相思相愛の恋人のように、短冊は寄り添っていた。




Re: 僕の彼女【7/7更新!七夕小話公開】 ( No.6 )
日時: 2016/07/10 18:58
名前: ねむねむ

〜自己紹介〜


読者の皆さま、こんにちは。
話も落ち着いて来たので、登場人物の紹介を入れたいと思います。※そうは言っていますが、公開できないことの方が多いです。

***

〇〇〇(主人公の男子大学生)

クリスマス間近に自分の彼女を無くした大学2回生。薬学部に在籍。
つい最近までは彼女を無くしたショックで不眠症に陥り、うつ病になりかけていたが、突然と現れた美沙に戸惑いながらも救われていく。巨乳好きとの噂も。
・身長…176cm・体重…58kg
・誕生日…9月7日・血液型…B型
・一人称…僕


美沙

クリスマス・イヴに宅配便として届けられたラブドール(オ〇ホール内蔵)。しかし〇〇〇はそのことに気づいていない。基本的にあらゆる事への知識が乏しく、喋り方も、異国からやって来た外国人が、日本語を見様見真似で話しているような程度。しかし意外とその行動は大胆で、〇〇〇のエロ本を引っ張り出したり、覚えなくてもいい言葉を自主的に覚えようとしたりする。最近はあいうえお表がお気に入り。
・身長…123cm・体重…12kg
・誕生日…×月×日・血液型…無し
・一人称…わたし


〇〇〇の彼女

12月はじめに駅のホームにて飛び降り自殺をした。しかし事件の真相はまだ解明されておらず、「自殺の線が強い」というだけである。生前は几帳面な性格で、大雑把な〇〇〇をよくたしなめていた。美沙と代わるように居なくなった彼女は、〇〇〇と同じ大学に通っていた。文学部に在籍していた模様。彼女が自殺してから、〇〇〇の部屋は日増しに汚れていっているとか。

・身長…154cm・体重…50kg
・誕生日…1月21日・血液型…A
・一人称…私


***

さて、いかがでしたでしょうか。一番重要なところがまだまだ秘密に覆われていますが、新たに情報が増えてきましたら、改訂・再更新しようと思います。
前作「貴方だって、愛してる」に比べて、官能的なシーンはまだですが、後から溢れるように出てきますので、しばし日常的な愛をご堪能ください。
それでは、これからも作品ともどもよろしくお願い致します。





僕の彼女【7/10更新!】 ( No.7 )
日時: 2016/07/17 14:20
名前: ねむねむ

3、美沙とおでかけ


「さっみぃ〜……やっぱり出かけるのやめない?」
「ダメッ。」
やはり断られてしまった。朝起きた時の寒さにげんなりしていた僕は、美沙の反応にさらにげんなりした。
「美沙は寒くないの?」
「さムイ?」
「あー、マジか。」
美沙は寒さを感じていないのだ。この展開でいけば、「暑い」も分からないんじゃないだろうか。しかし、人形だから当たり前か。
テレビをつけると、あたたかそうなコートに身を包んだ女性ニュースキャスターが、白い息を吐きながら「今日は今年一番の寒波です」と言っていた。個人的に好みな顔のニュースキャスターさんだ。直感でそう思った。
「へー。安藤奈津子アナさんか。」
「むー……」
美沙はいつの間にか、つまらなさそうな顔で僕を見上げていた。まるで僕の下心を見透かしているかのような顔だった。
「えっ?あ、なんかごめん……?」
「はやク!ヨウいして!」
美沙は心底気に入らないといった顔で、僕をグイグイっと引っ張った。僕は僕で何度も「ごめん」を繰り返し、なんとも情けないなと実感した。
そういえば、美沙はご飯は食べられる。言葉も喋ることが出来る。それに、字も読める。なのに「暑い」、「寒い」は感じない。大学に入ってすぐの時、何かの講義で言っていた気がする。
人間には5つの「感点」がある。痛みを感じる「痛点」。触れられたことを感じる「触点」。冷たさや涼しさ、寒さを感じる「冷点」。熱さや暖かさ、もう一つの暑さを感じる「温点」だったか。美沙は多分、「温点」や「冷点」を感じていない。しかし「触点」は感じている。何故なら、僕が撫でた時に、美沙はいつも嬉しそうな顔をしていた。
なら、「痛点」は____?

「まダー?」
歯を磨く僕に、美沙は急かすように声を飛ばしてきた。そこで僕の真面目な思考は現実に引き戻され、何を考えていたのかもうやむやになってきた。
「美沙、お待たせ。行くか。」
「うん!」
そのまま玄関を出ようとして、僕はピタッと止まった。ちょっと待て。1回落ち着いてみよう。
美沙は傍から見れば小学校低学年くらいの可愛らしい少女だ。その可愛らしい少女を連れて、僕が出かけようものならば、
「かんっぜんに不審者じゃん。ド変態じゃん僕。」
流石に危ない人物になってしまう。警察に連絡でもされたら、どう説明すればいいんだ。
「ナにー?行かナいノ?」
「い、いや行くけどな。今のままじゃまずいっていうか……」
美沙は理解していないようで、相変わらず「早く行こう」と急かしてくる。さてどうしたものかと部屋を見渡してみると、もう長い間使っていなかった小ぶりなリュックサックが目に付いた。
「これなら、いけるかも。美沙はちょっと窮屈かもだけど。」
「わタシ?」
「ん。よし美沙。ここに入ってくれ。」
「イヤ。」
即答。美沙はリュックサックを手で押しのけ、僕の膝にピタリとくっつく。
「これがいい。」
「いや、これこそダメに決まってるだろ。」
「うぅ……」
いかん、美沙が泣いてしまう。出かける前に泣かれては、空気は最悪になって買い物すら中止になる可能性だってある。
「んー……じゃあ____」
僕の提案に美沙は顔を輝かせ、颯爽とリュックサックに入ってくれた。あとはこっちのものだ。チャックを半分開けて、美沙はそこから半分顔を出した。
「これで大丈夫かな?」
「うんっ!行こ!」
その日美沙は、狭いリュックサックに入る代わりに、絵本を2冊買ってもらえることになったのだった。

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