官能小説(オリジナル18禁小説)
- Bitter youth。
- 日時: 2017/01/06 23:51
- 名前: ひよ ◆MYD.8XeKXo
放課後の資材置き場に
乱れる男がひとり、喘ぐ女がひとり。
女子高生という肩書きを手にいれたあたしは
16の初夏、まだ仲良くなって日が浅い男に処女を捧げた。
* * *
水瀬(みなせ) 碧(みどり)
それがあたしの名前。
学校でのあたしは、多分第一印象に「近寄りがたい」が来るだろう。
明るい茶髪の腰まであるロング、黒い目。
肌を焼かしたくなくて、夏も肌を極力出さないあたしは、昔から変わらず色白を保っている。
勉強は常にトップだし、運動も人並みにはできるし。
多分「見た目とは裏腹に中身は優等生」っていう感じが、なんだか近寄りがたいんだろうな。
だからあたしは入学してから中学時代の親友とばかりつるんでいた。
それが初夏を迎える今、関わることはないだろうと思っていた男と仲が良いし、カラダの関係も持ってしまった。
宮野(みやの) 蒼(あおい)
俗にいうイケメンという部類に入るであろう彼も、あたしと同じ。
あまり人を寄せ付けない何かがあって、常にひとりだった。
だけど何故か帰り道が一緒になって、名前の話で盛り上がったのが、3週間前くらいの話。
* * *
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- Re: Bitter youth。 ( No.1 )
- 日時: 2017/01/07 00:23
- 名前: ひよ ◆MYD.8XeKXo
あたしは、宮野 蒼を「宮野」と呼んで
宮野はあたしを「碧」と呼ぶ。
ハジメテから何度も肌を重ねたけれど、あたしと宮野の間に「好き」はない。
行為が終われば服を着て何もなかったかのように帰り道をふたりで歩く。
要は、セフレってやつだ。
お互いの虚無感を行為で埋めるだけ。
満たされているし、満たしている。
それがあたしと宮野の距離感だ。
* * *
LHRで委員が配ったプリントには、
【“朝比奈高校 夏祭り”全員強制参加】
と書かれていた。
この高校は、体育祭、文化祭と、その前日の放課後は前夜祭も設けてあるし
あろうことか夏祭りも2日設けてある。
調理部とか文化委員が屋台を用意して、事前に用意したものを売り出していく。
もちろん1日目の前には前夜祭もある。
夏祭りでうかれている人が大半だけど
あたしは心底興味ないイベントだ。
「夏祭りは残念ながら制服で参加。」
という担任の篠田(しのだ) 海大(みひろ)の言葉に、クラスの人は残念そうに声をシンクロさせる。
目の前にいる男子、渡邉(わたなべ) 榛(はる)はあたしの方を振り向くと、キラキラした目を向けてきた。
「なぁっ、水瀬は誰と回る?」
「あたし?サボるよ」
即答。渡邉はキョトンとした様子で3秒ほどフリーズ。
「なんでっ?予定ないなら俺と回ろ!」
「サボるって予定が入ってるから、無理」
ケチ、と拗ねた口調の渡邉を無視しながら、あたしは隣で突っ伏している宮野に声をかけた。
「宮野は参加すんの?」
「しない。碧は?参加すんの?」
「あたしもしない」
「なら俺とサボりだな」
「はいはい」
ドヤ顔で言う宮野を適当にあしらいながら、プリントに目をやった。
夏祭りは、4週間後。
- Re: Bitter youth。 ( No.2 )
- 日時: 2017/01/08 00:08
- 名前: ひよ ◆MYD.8XeKXo
* * *
「水瀬、水瀬!」
朝。登校してくると、渡邉があたしに近付いてキラキラした目で見てくる。
周りからは、渡邉もイケメン認定されてるんだろうなーとか思いながら「なに?」と返した。
「放課後、勉強教えてくれる?」
「…勉強?」
「そ。水瀬って学年トップだろ」
あたしが学年トップとか初耳。
他人にも自分にも興味ないあたしからしたら、順位とか関係無いし。
あたしの順位とか知ってるなら2番とかも知ってるだろうし、頼むならその人に頼んでほしい。
…とは言えず。
目の前の渡邉は、お願い!と手を合わせて頼んでいるし、何よりキラキラした目をしてる。
放課後は、あたしが唯一全てを忘れられる時間なんだけどなあ。
「…考えとく」
「やった!後で返事聞かせて」
そういうと、渡邉はまた男子の輪に入ってしまった。
* * *
昼休み。昼食を済ませ、
人気のない廊下を適当に歩いていると、前から一人で歩いてくる渡邉を見つけた。
渡邉も気づいたようで、ぱっちりと目があう。
「水瀬!」
小走りで駆け寄ってくる渡邉。
渡邉は、相変わらずキラキラした目。
「…渡邉、あのさ。
勉強教えるの、今からじゃだめ?」
あたしがそういうと、キラキラした渡邉の目は、少し輝きが消えた気がした。
「いいよ!むしろ宜しくお願いします、水瀬先生!」
…気のせいだったかな。
「じゃ、図書室___」
「資材置き場」
図書室に行こう、と言おうとしたあたしの言葉を遮り、渡邉はにっこり微笑んで提案する。
資材置き場、は。
あたしと宮野の場所、だから__。
「でも、資材置き場は埃っぽいし。
…図書室が、」
「資材置き場、いくよ」
有無を言わせない口調でそういうと、渡邉はあたしの手を引いて資材置き場へ向かった。
- Re: Bitter youth。 ( No.3 )
- 日時: 2017/01/08 00:50
- 名前: ひよ ◆MYD.8XeKXo
* * *
資材置き場は、相変わらず少し埃っぽいけど、落ち着く場所だ。
でも。
「渡邉、教室行って道具取ってこようよ。勉強できないよ」
あたしも渡邉も手ぶらだ。
渡邉は、あたしをじっと見てきた。
その目は、キラキラしていない目。
妖艶な、獲物を惑わすような…そんな目。
脳が、いい知れぬ不安を感じとる。
罠だ、と直感的にそう思った。
「…だいじょーぶ。
道具とかいらない勉強だから」
「…道具とかいらない勉強なんてあったっけ?」
ここで弱気になったら漬け込まれる。
だから敢えてあたしはいつも通りに振る舞った。
だけど、向こうも負けてない。
「あるよ、探せばたくさんね。
…今から俺が教えてもらうのは、水瀬と俺のカラダの相性、かな?」
妖艶に笑い、ぐいっとあたしを引き寄せられる。
カラダの相性…つまり、今からすることは、そういうコト?
「それ、学年トップとか関係ないよね」
「そうだね。でも呼び出す口実なら勉強が一番だと思ったんだ」
渡邉はふっと笑って、まだ言い返してやろうとしていたあたしの唇にキスを落とした。
角度を変えながら何度もついばむようにキスを落としてくる。
「…ふ、っぁ…」
あたしの唇が少し開いたのを見逃さなかったらしい渡邉は、舌を入れてくる。
上顎に舌を這わせ、歯列をなぞり、舌を絡めて、吸って。
悔しいけど、それだけであたしは反応するし、イきそうになる。
「…っは、水瀬、カオが誘ってる女のカオだよ?」
唇を離し、悪戯に笑う渡邉。
宮野に言われても恥ずかしくないのに、渡邉がいうと恥ずかしくなる。
「…ね、今月はもう終わった?」
今更かよ、と思いつつ、あたしは答える。
「あたし、ピル飲んでるから」
「…それは中に出してもいいよってコト?」
「そういう意味じゃないんですけど」
軽く睨むあたしを無視して、渡邉は机の上にあたしを座らせ、さっきのキスで濡れているソコに中指を突き立てた。
「っ、ひぁ…!」
掻き回したり、撫でたり、擦ったり。
豊富で巧みなテクニックが、あたしのカラダの熱を煽る。
「ぁ、やぁっ!」
「…へぇ。ココ、好きなんだ?」
彼は、獲物を見つけたら逃がさない。
あたしのイイところをひたすら擦ったり押したりしてる。
「ひ、んっぁ…やだっ、わたなべ…っ」
「…嫌じゃないでしょ?
____みどり。」
今までは水瀬って呼んでいたのに、いきなり名前を呼んでくる。
それだけでもカラダは反応する。
それをまたもや見逃さなかった渡邉は、指を増やしてバラバラに動かしたり、擦ったりしてナカを攻め立てる。
「っ、ひぁ、あ、ぁぁ…イッ、ぁ、」
「…ん。みどり…イッていいよ」
渡邉の声を合図に、あたしはナカを軽く痙攣させ、大きくカラダを揺らして果てた。
- Re: Bitter youth。 ( No.4 )
- 日時: 2017/01/08 06:23
- 名前: ひよ ◆MYD.8XeKXo
息を整えているのに、お構いなしに渡邉は大きくなったモノをあたしのソコに当てがう。
「わたなべ、まって…」
「無理、待てない」
あたしのソコから溢れる蜜をモノに絡めて、渡邉はあたしのソコに先端を少し挿れてきた。
「っぁ…」
カラダの熱が一気に上がって、脳がもっと奥まで、と求めてくる。
「わたなべ…も、」
「ん?だって待ってほしいんでしょ?」
わかっているはずなのに敢えてわからないふりをする渡邉。
焦らされるのは嫌いだ。
「…渡邉、も…ちょうだいっ…」
「…ん。あげる」
ぐんっと奥まで押し広げて入ってくるモノ。
声にならない声をあげて、あたしは軽くイきかけた。
「やば、っ…まだ動いてないのに。俺らカラダの相性いいみたいだね?」
「ん、はぁっ、ぁ…」
「みどり、動くよ?」
あたしがこくっと頷くと、ゆっくりピストンを始める。
熱い肉棒がナカを往復する度イイところに当たって、震えるくらい気持ちいい。
「…っぁ、あ、やぁ…、ん、ふぁああ…」
「っは、締めすぎッ…」
「だ、って、ぁ、わかんな、…!」
ピストンのスピードが上がって、ぐんっと奥を突かれる。
「…っひぁあっ!」
「…出していい?」
「、や、ぁあ…!」
最奥を抉るように突かれて、あたしは呆気なく達する。
渡邉の欲が奥に注がれる感覚で、敏感になってるあたしは矯声をあげる。
「…みどり?大丈夫?」
「ん…っ、ふ…」
渡邉のモノがズルリと引き抜かれる。
同時に言い様のない眠気がきた。
* * *
暖かくてふわふわした感覚で目が覚める。
これは…お風呂?誰かに入れてもらうのはいつぶりだろうか。
両親が事故で他界してから、お風呂なんてひとりで入っていたし。
「___起きた?」
「…渡邉?」
「ん。ここ、俺んちの風呂。体ベトベトだろうから連れてきた」
確かに体はもうサラサラだ。
…渡邉が洗ってくれたんだろうか。
「ありがと…」
「体は洗っておいたよ。髪はまだしてない」
「ん、大丈夫。髪は自分で洗う」
「じゃあ、先上がってるね」
* * *
- Re: Bitter youth。 ( No.5 )
- 日時: 2017/01/08 09:46
- 名前: ひよ ◆MYD.8XeKXo
「お風呂さんきゅ」
髪を洗って乾かして、上がったのは10分くらい経ってからだった。
ん、と軽く返事をする渡邉。
話すことはお互いにない。
何分も続く沈黙に、生活音だけが響く。
___先に沈黙を破ったのは、渡邉だった。
「俺さ、小さい頃に両親が死んで、ずっとひとりだったんだ。
親戚は葬式のとき俺の押し付けあいばかりしてたから、一番良くしてくれた人のとこで生活して、中学からは一人暮らしはじめて。
こういうの理解できるのは近場にいないし、自分の一番の理解者は俺だけなんだろうなって思ったまま高校にあがった」
渡邉から聞いた話は、まるであたしだった。
両親の葬式のとき、親戚はあたしを押し付けあった。
この子どうするの、可哀想ね、とか言いながらあたしを押し付けあうのを見て、どこにいっても歓迎されないのはわかった。
だからあたしは家から一番近い親戚の家を選んで、そこにしばらく住んで生活の基礎を学び、小4のときには一人暮らしをしていた。
理解してくれないことされないことが寂しくて、でもあたしはそれを割りきって生きていた。
渡邉も同じなんだ。
「でも、水瀬が俺と同じって聞いて、ちょっと安心したんだ。
ひとりじゃないなって。
…なぁ、水瀬。我が儘言っていい?」
渡邉の問いにあたしは沈黙で返した。
「…俺と一緒に住んで。
誰かがいる生活を送りたい。
変な同情を持ってる大人よりも、
同じ気持ちの人と」
この人はどこまであたしと同じなんだろうか。
* * *
いよいよ夏祭りまで1週間というところ。
『水瀬 碧と渡邉 榛が同棲してる』
あたしと榛のシャンプーの匂い、柔軟剤の匂いとかが同じ。
あと、急に前より親密になってる。
それだけで一気に広まった噂。
『俺と一緒に住んで』
あのとき、あたしは何を考えていたんだろう。
気付けば頷いていたし、一緒に住むことに抵抗がなかった。
もちろん体を重ねた日の昼休みから、ふたりが失踪した!ってクラスで騒がれていたし、
翌日から同じシャンプー、柔軟剤の匂いを纏って
名前で呼び合うのは、急に親密になりすぎだろうな。
付き合ってるの?って質問された。
だからあたしたちはこう答えた。
付き合ってはいないよ、って。
付き合ってはいない。
身体の関係も持ったし、一緒に住んでるけど
あたしと榛の間に好きが生まれることはない。
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