官能小説(オリジナル18禁小説)

ぼくのせんせー(完結)BL R15
日時: 2019/04/07 23:51
名前: 追坂金夏

追坂です。テンションが上がりました。ほけんしつのせんせー×バスケ部です。BL。
そのうちイラストを描こうかと。

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Re: ぼくのせんせー ( No.1 )
日時: 2019/03/18 22:20
名前: 追坂金夏

保健室の先生というのは、ヒマそうでヒマじゃない。
増してそれが、男子中の保健室となれば、週一単位で死者がでる勢いの怪我をする。
例えばほら、こんな昼下がりにも...
すっぱーーーーーーん!!!
「せんせー!!!怪我した!!!」
お前ドアの耐久4年分は下げたろどうしてくれんだあと5年は俺ここの主なのによええ?
という目で見たが気にしないこいつはバカだ。いや間違えた。土倉だ。
土倉翔真。この話のなかでは主にこのばかを指す。全国の土倉さんすまん、こいつが土倉さんなばかりに。
「...あんなあ土倉。元気なのはいいんだがよ、怪我多いぞお前。もっと気を付けろ。」
「いやあ、でも今日のは仕方ないんだ。聞いてくれ先生。なんと卓球部のサーブがとんでもないスピードで」
「嘘いうな。治療してやんねえぞ。」
「それは困る。本当だ。」
「そんなサーブできる中学生がどこにいるんだよ」
「いるじゃないか。テレビをつければ。張本選手は中学生だ。」
「お前は張本選手にやられたのか?..で、どこをだよ。」
「うむ。腹なのだが」
と、そこで初めて土倉は保健室に入ってきた。
こいつとの立ち話も手慣れたものだ。
そして図々しくも回転椅子に進められる前に座り、ぺろんとユニフォームをまくって見せた。ぴちっとした黒いタンクトップも同時に。
「あー、アザだね。うん、アザアザ。良くある良くある。...ん?これピンポン玉か?」
「ぎくっ」
「サイズ的にも...っていうかいくら強くても、ピンポン玉で、しかも服の上からで、こんなになるか?普通。結構ひでえアザじゃねーの、これ」
「ぎくぎく」
「つーちーくらー」
絶対嘘だ。
「ほけんしつのせんせー」を始めてはや10年。数々の生徒の悩みを聞き相談してきた俺だ。じゃなくたって、中学生男子の嘘くらい、大抵の大人は見抜くだろう。
「せ...先生頼む...なにも言わず治療に専念してくれ...」
「アザの治療なんてねえよ。どうしてもってんならブラックジャック先生に頼め」
「ぶらっくじゃっく?」
「おっといけない」
時代のずれが起きてしまった。
しかし通じねえもんだな、ぶらっくじゃっく。
手塚先生と言や、昔は通じたんだけどな。
俺がこの仕事に就いた頃には。
「土倉。話してみろよ。暴力か...そうでなくとも事故じゃねえだろそのアザは。」
「...殴られた。」
「...っ!!」
「先輩に...部の先輩に、俺が、」
ゲイだからって。
そう言った土倉は、おっさんの俺と違って元気のいい前髪一本一本ですら、下を向いてしゅんとしていた。

Re: ぼくのせんせー ( No.2 )
日時: 2019/03/18 22:46
名前: 追坂金夏

「どうにかしてくれないか、先生。」
「どうにかって...そりゃ、同性愛に対する授業とかはしてやれるけど、それで改善するかはビミョーだぞ。どうゆう状況なのか、いまいち良くわかんねーけどよ。」
「そうか」
自分がゲイだという生徒にも何人か会ったことがある。絶対数少なくはあるのだが、確かに存在し、その多くが、追い詰められていた。
何度もやって来た。
先生にはこれ以上どうにもできないと告げ、生徒を下に向かせること。いっそ本気でがっかりしてくれれば、こっちもなんつーか見きりつくんだけど。
唇を噛み締めて。
頬の筋肉をひきつらせて。
そんな泣きそうな顔で、辛そうな笑顔を向けられたってーー
はあーーーーっと息を吐いた。
「でもまあ、やれることはしてやりてえからよ。お前の味方についてやるくらいしか、どっちにしろできねえし。お前がなんか、してほしいってんならーー」「先生」
俺が見るのも辛くて目をそらしていたこいつの顔は、今度は輝いていた。
「やれることはしてやりてえって...俺がなにか、してほしいんならって、言いましたよね」
「?言ったけど...お前、そんな大層なことはできねえぞ?いじめについて社会に訴えたり...メシくらいならおごってやってもいいと思ったけど、今はそういうのだめなんだっけ。」
「いや...そんなことしなくていい。ご飯をおごってくれるなら喜んで頂くが、そっちでもない」
「ああ?」
じゃあなんなんだよーーー金はそんなに貸せねえぞ?
もちろん教職員として、学校からそういう差別をなくす取り組みには参加することになるだろうと思ったが、俺一人じゃそんなことはできない。
こいつの性癖は公になるし、無害じゃすまないだろう。
「そうじゃなくて先生ーー俺の。」
がしっ、と書類にシャーペンを走らせていた俺の右手を掴みーー握力つよっ。
くるくるメカの椅子を利用し、物理的に俺に近づいた土倉は、こう言った。
「恋人になってくれないか」

Re: ぼくのせんせー ( No.3 )
日時: 2019/03/19 08:59
名前: 追坂金夏

「恋人...」
それって..どうなんだ?その...教育者としては..。別に俺だって、他の生徒と同レベルにはこいつがかわいい。しかもそれ以上に、良く保健室に来て手当てをする距離感で生まれた愛着もあるーーー総じて、恋人になってもいい、と思うんだけど。
他に女の恋人がいるわけでも、家族がいるわけでもない。
この際胸を張って言おう、近藤朝広は、正真正銘、35歳独身のおっさんだ。
太ってとか、禿げてとかはいないものの、やはり体力の衰えや毛髪の弱さが身に沁みる。比較対象が男子中学生だからってんのもあるにしても。
だから、こんな若くて、その上バスケもうめえんだろ?そんでもって美形だし、筋肉もついていて、性格もいいーードアを壊すかもしれないが、元気があってよいと言うことにしておこう、そんなやつ、他に貰い手が要るんじゃねえの?
嫁じゃないけど。
「イやだめだ。先生とじゃないと嫌なのだ。」
「嫌なのだって...そんなバカボンみてえなしゃべり方されてもよ...」
「だーめなーのだー(゜o゜)」
「ぶはっ」
くくくくく。
俺大爆笑。
かわいいなー、こいつ。
...よっしゃ、じゃあよしとするかな。
俺は照れ隠しに後頭部をほりぼりかいた。
「わーったよ、土倉。お前の恋人になってやる。その代わり、剥げても肥えても見捨てんじゃねえぞ」
ぱあああああああっ。
土倉の回りが照明で照らしたように明るくなるーースポットライトの有無を確認したいくらいに。
「ほんとか...本当なのか先生!!先生と...恋人なのか!!!」
「ああ。良かったな」
「うんっ」
ずっきゅん。
あーなるほど、これが萌えってやつなんだね。

Re: ぼくのせんせー ( No.4 )
日時: 2019/03/20 22:31
名前: 追坂金夏

俺と恋人になったことがどうやらよっぽど嬉しかったらしく、土倉は常時「∠※。.:*:・'°☆」
みたいなのを振り撒いていた。
いやこれは比喩だ。たぶん振り撒いているのは花粉だろう。
やめろ。動くな。先生は花粉に弱い。
「な、なあ先生、恋人というのはいったい、何をするものなんだ」
「ああ?だから...デートしたり..メシ食ったり....」
「セックスしたりだよな!!」
どさっ。
展開早いなー。
作者急いでんのか?
「お...おい土倉。先生は男だ。」
「しっているそんなこと。」

Re: ぼくのせんせー ( No.5 )
日時: 2019/03/29 13:30
名前: 追坂金貨

だから好きなんだろうーーその実直な土倉の言葉に、心打たれたのは偽れない。
時に大人よりも、子供の方が人を驚かせるものだ。
「先生...嫌か...?やっぱり男では...」
「や...そうじゃなくてなんつーかさ...お前は俺でいいのかな、って」
「.....先生。」
ちょっとひでえこと言ったかも、と思い顔をあげると、そこには唖然ともきょとんともつかない顔の土倉がいる。
かわいい奴なんだけどな。
かわいいからこそ、他のいい男にーーーって。
おもっちまうんだよ。
「...先生、紙をくれないか」
「(゜ロ゜)」
「先生!?あ、いやすまんそうじゃないんだ。折り紙...じゃなくてもいいから紙を..」
「なんだ?なんだこいつ!?紙?何に使うんだ?ナニか!?」
疑問におもいつつも、そこにたまたまあった「ほけんだより」を手渡す。
「ありがとう」
土倉はなんとその紙を二つにびびびっと割き、器用な手つきで折り紙をやって見せた。
「...何つくってんの?」
「え?あ、見ちゃダメだ、先生。」
そのしぐさがちょっとかわいかったので、見ないことにする。
「できた」
だいぶん小さくなった「ほけんだよりだったもの」を両手の中に隠し、俺に近寄る土倉。虫を捕まえた子供のようだ。
「えー、選手宣誓。」
「は?」
とうとう脈絡の無さすぎることを言い出したかーー病院を紹介してやらねば。
「僕たち、わたした...僕は、先生のことを、一生を通じ、お嫁さんとして可愛がり、愛し合うことを誓いますーーー先生、左手を出してくれ。」
お前そりゃ選手宣誓じゃなく結婚式のあれじゃねえかーーと思ったけどしかし、土倉が「出してくれ。」と言った左手を土倉本人が取り上げてーー指輪?
「拙くて申し訳ない限りだがーー指輪だ。大事にしてくれ」
「...ははっ」
照れ臭そうな土倉ーーーかわいい。
こいつがおれの、旦那さん?
笑わせるぜ。
「....土倉、」
耳貸せ、のハンドサインをすると、土倉は素直に近づいて来た。
その隙を見逃さずーー
「あ、せんーーんむっ」
唇くらい、こっちから奪ってやらあ。
「っっ...はっ」
「せ、先生、...先生、抱かせて...抱かせてくれ...先生...」
犬見てえにすり寄ってくる土倉。
「だーー、やめろ土倉。あんまし先生を誘惑するな。お前に抱かれたりしたら先生はお縄だ。刑務所だ。だから土倉。俺まってっから。お前が高校出るまでさ。」
「...先生」
「指輪もあることだし...早く大人になってこい。」
「.....はい!!!」
運動部特有の「大きい返事」のエコーを狭い保健室に響かせ、土倉は帰っていった。
俺はあいつに、言い忘れたことがある。

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