大人雑談掲示板
- 林檎の園/小説連載中
- 日時: 2024/10/25 15:15
- 名前: スレ主 (ID: cXmcbA9E)
お相手様達だけとの禁断の楽園─
スレの概要>>1
指名一覧表Part@《簡易版》>>2
シチュ提供込み指名一覧表PartA >>3
Part@の詳細版/新規込み >>4
Page:1 2
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.10 )
- 日時: 2025/02/20 20:46
- 名前: 小町 薄葉 (ID: Ic0GWc5l)
( 希望を汲んでくれた彼女に此方も笑い返して、ありがとぉ、と頬杖突きつつその去り際に片手をひらひらお見送り。それから入れ違いに此方に近付く青年を目で追い、いよいよテーブルの前に来たその姿を見上げ、彼の名乗りと同時にその名札を見上げる。噂の存在を確かめご機嫌に頷いた後、「はぁい待った待ったぁ。」無駄の無い言葉だけを残して離れかけた彼の手首を両手で素早く掴んで立ち上がる。「オレ、君に会いに来たんだよぉ。街の皆が噂する王子様にさ。」のんびりとした物言い。だが自分の十指をしっかり彼に絡めてホールドし、互いが立っている事で元より近いその顔の距離を、ずいっと更に乗り出して近付ける。「噂通り格好良いねぇ。それに、凄く綺麗。氷、って称したくなるのも解るなぁ…」ニコニコと細めた目の内、矯めつ眇めつ彼を映して、弾む声で己の所感を本人に向かって流す。「あぁでも、聞いてた印象よりは幼いねぇ。もしかして年下…?…う〜ん、スケブくらい持ってくれば良かったなぁ…勿体なぁい…」そのあまりにも堂々とした観察行為の後、今度は首を捻ってその鋭い目を真っ直ぐ見詰めてから、吐息混じりに今更の後悔を呟く。「……あ、ごめんごめぇん。」数秒、その感情に目を瞑って、肝心の青年の反応をスルーしてしまっていた事に気付いて軽い謝罪を。そして、互いの表情が見える位置まで顎を引き、「オレはね、小町薄葉っていうのぉ。コマちゃんとか葉っぱちゃんとか、好きに呼んでぇ。」素っ気無くても名乗ってくれたお返しに、渾名候補付きで自己紹介をしつつ、捕まえたままの片手を此方の諸手で包んで上下にゆったりと振り強引にシェイク。「それでさぁ、はーちゃん。」手の動きをピタリと止める。同時に口にしたのは初対面の彼に対して馴れ馴れしい愛称。「良かったら友達になろぉ。オレ、君の事もっと知りたぁい。ねぇ、今日お仕事終わったらヒマぁ?もし空いてたら一緒にご飯行こ〜?オレ奢るよぉ?」まるでその辺のナンパか、幼稚園児のお遊びのような、そんな軽薄さとにこやかさで。しかし無理矢理握った手は離さず、彼を逃がさず、どうかなぁ?ともう一つ重ねて誘いかけ )
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.11 )
- 日時: 2025/04/17 17:38
- 名前: 羽賀 千秋 (ID: b9FZOMBf)
(小ネタとして千秋くんの働くカフェについて…!
名前:「Flan(フラン)」…女性向けの可愛らしい内装、来るお客さんは女性客が大半。店員の男女比率は女8:男2くらい。顔の系統…女性店員は可愛い系、男性店員は綺麗系。ちなみに千秋くんのシフトは朝10時〜夕方4時まで。(土・日・火のみ。他の日は朝9時〜昼0時まで))
(キッチンへ立ち去る腕を掴まれたかと思えば、目の前の"お客様"はマシンガンのようにつらつらと喋り始める。一瞬身を引こうとするものの、五指が一つ残らずホールドされ、逃れようにも逃れられない。逃れるのであれば"お客様"の腕を無理矢理引っ張って抜けなければ不可能であったため、諦めてその場に佇む。聞いている内に頭から抜けそうな長さの内容を要約すると、噂─我ながら下らないと思う、ここで働いている際の自身に関するもの─を聞いて自身に会いに来たらしく、そしてバイトが終わったら食事に行かないか、というものであった。話の途中、高校時代の友人すら呼ばない馴れ馴れしい愛称で呼ばれた気がして、普段から無表情ではあるものの、更に表情が引き攣りかける。周囲で注文を取っている同僚たちからの哀れむような視線を背中に受けつつ、「…お客様。申し訳ございませんが…手を離して頂けますか?このままですと、ご注文された商品が運べませんもので」先程名乗った時と何一つ変わらない、鉄仮面のような無表情と淡々とした一本調子の声色で、自身なりにやんわりと手を離してほしい旨を伝えた。鋭い瞳の奥の眼光は、一瞬ではあったが更に鋭利に輝き、悟られない程度に相手をじろり、と睨め付ける。ひょい、と顔を後ろに向けるとどうやらキッチンの方でも自身が注文の伝達に来るのを待っているらしく、カウンターの方から新人らしい青年バイトが心配そうに顔を出しているのが分かった。うっかりすると此方に出て来かねない雰囲気すらあったため、視線だけで制しておいて)
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.12 )
- 日時: 2025/05/01 21:11
- 名前: 小町 薄葉 (ID: ZFLyzH3q)
( 誘いに返ってきたのはマニュアルのような丁寧な台詞。答えになっていないそれに一瞬きょとんと瞬いて、すぐにまたヘラっと目を細める。「はーちゃんお仕事真面目さんだねぇ。」青年の言葉の意図を受け取ってるのか否か、手を離す気配も無いまま子供を褒める調子で一言。そしてその次、青年が視線を向けた方につられてカウンターを見れば、また別の店員が此方を窺っている。「んん〜…」流石に状況を察しながらも、逃す事を惜しんでか身体ごと首を傾げて悩む仕草を。だがそれからすぐ、あ、と一つ輝く声を上げ、「じゃあさぁ、オレ、ご飯食べたらお外で待ってるよぉ。」人によっては――というか、この初対面相手ならばまず警察案件になる事請け合いだろう出待ち宣言をかます。しかし当の本人はといえば、妙案だとご機嫌に笑んでいる。「あと、それからぁ、」漸く青年から手が一方離れる。しかしまだもう一方では掴んだまま、自らが被っているキャップをひょいと外して、青年の頭へ乗せ、着ているパーカーのポケットから青のサインペンを取り出す。「少ぉし、じっとしててねぇ…」先程よりは僅かに控えた声でのお願い。それを青年が聞くかどうかに関わらず、視線は私物であったキャップに注ぎ、もう一歩彼に近付く。左は青年の手、右は筆記具で埋まっている為、マスクを下げて口と歯を使ってペンの蓋を開け、キャップの側面にその先を付ける。そのままサラサラと迷い無くペンを滑らせながら、雪やこんこ、霰やこんこ、と小さくも楽しげに鼻歌を奏で、「…っと、よぉし。」歌詞の一番が終わるまでの間に、クローバーだけだった布地に新たな絵――スノーマークに、恐らくはイワトビペンギンらしき顔――と、自身の芸名サインを描き足して、それを一つの作品に仕立てる。「この子、はーちゃんにあげるねぇ。」筆記具は仕舞い、空いた指先でキャップの鍔をトントンと叩きながら、青年にまたご機嫌な目を合わせる。「もし、要らなかったらぁ…」その後で、自らが仮定するイフを口にして、それに自分自身落ち込むようで、眉の端を垂らしてしょんぼりと寂しげに。「…君のお仕事が終わった後に、直接返してねぇ?」それでも何とか浮かべた困り笑いと弱々しい言葉を締めに、ようやっと青年を解放し大人しく席に座って、「あの可愛い店員さんにも宜しくねぇ。」女性店員を見送った時と同様にヒラヒラ片手を振り )
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.13 )
- 日時: 2025/05/15 21:07
- 名前: 羽賀 千秋 (ID: EByIShHF)
(「……畏まりました」暫しの間直立不動で"お客様"にされるがままとなっていたが、漸く開放されるなりお辞儀を一つ、やや早足でキッチンへと向かっていった。注文を伝達し、またホールへ向かいかけた所で「黒木」の名札を付けた女性店員から「…あのお客様には私が運んどくから。羽賀くんは違う所行きなよ」と気遣うような言葉を掛けられる。それには軽く頭を下げ、キャップの取り扱いをどうするか悩んだ挙げ句一旦控室へと引っ込んでいった。自身の頭に被せられたキャップに手を触れ、一瞬躊躇った後それを脱ぐと自身のロッカーの上─主に予備のエプロンなんかが乗せてある場所─へちょこんと乗せる。ふと時計に目を向ければもう昼の0時を回っており、従業員控室からランチタイム目当てらしい女性団体客が入ってくるのが目に入った。あと2、3時間程度で今日のシフトは終わりか、とぼんやり思えば、先程の"お客様"の発言、「仕事が終わるまで待っている」という旨のものを思い出す。─一般的に考えて、通報すべきだろうか?そんなことを思考している内に例の団体客から呼び出しが入り、気持ちを切り替えて別の"お客様"の方へと向かう。彼女たちはどうやら昼休みらしいOL数人連れで、自身の顔を見るなりホントに"氷の王子様"だ、と黄色い悲鳴を上げた。溜息を吐く代わり、比較的落ち着いている女性の一人に目線を向け、「…ご注文はお決まりでしょうか」と尋ねる。尋ねられた彼女は多少自身にちらちらと視線を投げつつも注文を済ませてくれたもので、先程より何倍もスムーズに仕事が進んだ。そうこうしている内にシフトの時間が終わり、控室で普段着に着替えるとロッカーの上のキャップを回収し、「…失礼します」とカフェを出る。渡されたキャップを良く見れば、素人目にも上手いのだろう、と分かるような可愛らしいイラストが描かれていた。そのイラストを眺めていると─どうせ今日の講義は無いのだし、少し話す程度なら別に何とも無いだろう。何か怪しい雰囲気になれば通報すればいい、と普段の自身なら確実にならないであろう思考になったようで、"お客様"の姿をそれとなく探し)
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.14 )
- 日時: 2025/05/22 17:14
- 名前: 小町 薄葉 (ID: ovjUY/sA)
( 一度離した彼はあっという間に向こうに行ってしまい、しかし見送った手前伸ばしかけた指は髪の毛先を絡めて誤魔化す。その後の此方の対応は女性店員、青年はといえば後から来店したお客達の接客中。それを目で追いながら多少退屈そうに膨れっ面に、しかし大人しくテーブルに届いた注文品で腹を満たしてお会計。マスクを付け直し店を出てそのすぐ前――では営業妨害になりかねないので、少しズレて斜向かいのコンビニの壁へ寄りかかる。「……ホントに人気だねぇ。」待つ間の時間潰しは、此処からでも窺えるカフェ内の様子見物。彼方のカウンター、窓際のテーブル、その次は…と、“氷の王子様”は引っ切り無しに客の視線を浴びているのが遠目でも見えて、思わず言葉を溢していれば、丁度店から出てきた女性客達と視線がぶつかる事が屡々。それに一度一度ニコニコ手を振り愛想を撒いて、その時々には声を掛けてのお喋りを。――さて、どの程度待ったか。そろそろ夕方に差し掛かろうかという時刻。店内に青年の姿が見えなくなった為、もしやと辺りに目を巡らせれば、己と同様何か探す様子の青年が視界の内に入った。「はーちゃん、こっちこっちぃ。」その仕草を何の根拠も無く自分の捜索だと決め込んで、此方から彼を呼んで傍へと駆け寄る。「来てくれたんだねぇ。えっへへ、嬉しいなぁ。」彼が目の前に居る。それだけを理由に満開の笑顔を咲かせて、「じゃあ、何食べに行こっかぁ?まだ時間早いし、ご飯よりアイスとかクレープの方が良いかなぁ…はーちゃんは食べたいのあるぅ?」来店中の約束、正確には一方的なナンパをまた持ち出して、此処に来るまでの最中に見た店の売り物を言い並べ、彼の希望も気に掛け首を傾ぐ。「……あ。」と、そこで青年の手にあるキャップに気が付いた。「…その子、気に入ってくれたぁ?」即席であれ自分の作品、想いを乗せた自分の子。愛おしむようにそれを映す目をまろやかに細めて、そのまままた彼を見詰め、先程の返事が来るより先にもう一つ、柔らかに微笑ましい声で問い )
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.15 )
- 日時: 2025/05/30 16:28
- 名前: 羽賀 千秋 (ID: pNKCfY7m)
(夕暮れのカフェから出て店の近く辺りを見回している内、向かいのコンビニの方に探していた"お客様"の姿が目に入ったかと思えば、いきなり近寄ってくるなり自身が一言言おうと口を開くより先に彼は人懐こく明るい笑顔を浮かべながら十の事柄をつらつらと語り始める。出鼻を挫かれる形で開きかけた口を噤み、その姿を静かに観察していると、─ああ、この人は自身と正反対のタイプなのだな。お世辞にも仲良くはなれないだろう、と相手を睥睨するような冷え切った、何処となく皮肉めいた笑みが心の中、凪いだ海にふと浮かぶ潮騒のように揺らめいて一瞬の内に消えた。相変わらず馴れ馴れしい愛称で呼ばれることに眉が若干ぴくり、と反応する。普通の人間なら怯えてしまうような眼光鋭い眼差しを"お客様"─確か、小町さんと言ったか─に向けながら、自身に投げかけられた言葉に一つずつ対応していくことにした。「…お待たせして申し訳ありません」とまずはシフト終わりまで彼を店外で待たせたことへの軽い謝罪を、次いで「いえ、食事は結構です。初対面の方にそこまでさせるのは心苦しいので」と食事の誘いに対してのやんわりとした断りを、最後に手に持ったままだったイラスト付きのキャップに目を落とし、自身なりには精一杯の笑顔─と言っても、端から見れば元々鋭かったものに輪を掛けて眼光が刃の切っ先のように鋭く研ぎ澄まされたようにしか見えないが─を浮かべると、「…可愛らしいイラストだとは思います。絵、お上手ですね。そういうお仕事でもされているんですか?」と出来る限り当たり障りのない言葉を選ぶ。その後キャップの取り扱いに一瞬躊躇ったらしく、目の前の彼とキャップを見比べたかと思えば「…有り難く頂いておきます」愛想の欠片も見当たらない声で深々とお辞儀を)
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.16 )
- 日時: 2025/06/22 15:51
- 名前: 小町 薄葉 (ID: SSatGfsz)
( 自分に向けられている眼差しを正面から捉えながら、謝られる事にはいいよぉ、とだけ緩く笑って、「え〜……そっかぁ…残念だねぇ…」次いだ断りの方に大きく言葉通りの悄気た顔を見せるが、それ以上無理には誘わない。そして最後、笑みなのか睨みなのか微妙な表情の変化と共に職を問われ、「うん、そう。オレねぇ、画家さんやってるの。いつもは油絵の子とか水彩の子とかを描いてるよぉ。」そのリアクションに一瞬間はあったものの、“作品”を褒められてまたパアッと頬を緩めつつ、筆を持ちキャンバスに描く様を上げた空の右手で象ってみせた。それから、身体を少し屈めて、彼の手にある帽子の端をつつき、「可愛いって言われて良かったねぇ、ペンギン帽子ちゃん。」まるで幼子に伝えるような柔らかい声で話し掛けた少し後、深く頭を下げた青年に、それまでの騒がしさを潜めさせる。「うん。……うん。」嬉しそうなのに微かに震える声。間延びも消えた静かさで頷き、つついていた帽子をそろりと一撫で。「…大事にしてあげてね。この子は、君の為の子なんだから。」そのまま指先が青年の手の甲をなぞり、爪を辿って離れる。目は“我が子”に伏し、共に告げる声は只の言い聞かせのようなのに、密やかでほんのり甘さを持っていた。「…ところでさぁ、」さて一呼吸間を置き、背筋を伸ばして青年と向き合い――それまでとは一転、話の区切りに急カーブを描く。「さっき外からはーちゃんのお仕事見てたけど、ホントお客さんに人気だよねぇ。羨ましいなぁ……オレがはーちゃんとおんなじ接客してたら泣かれちゃうよ、あんなのぉ。」またポンポンとポップコーンの如く言葉が弾け回る。その話題は青年の仕事ぶり、並びに人気について。「というか実際、子供には目が合っただけでギャン泣きされるしぃ、知り合いにも“お前見てるとゾワゾワする”とか“顔怖いから隠してくれ”って言われるしぃ…まあ、別に慣れてるから良いんだけどぉ。」 そこから少し脱線して、己の見目の評価についてもマイナスを気にして頬を膨らませたが、直ぐ様ケロリと笑い飛ばして目の前の彼に顔を近付ける。「でも、つり目の方がクールそうで格好良いのかなぁ…はーちゃんはどう?やっぱそういう方が好きぃ?」黒い瞳を直接覗き込む距離で、自らの垂れた目尻を両手の人差し指で引っ張ってつり上げてみながら、よくある好みの問いも兼ねて話を振って )
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.17 )
- 日時: 2025/07/15 15:55
- 名前: 羽賀 千秋 (ID: xXhZ29pq)
(質問に対する彼の答えは、ほぼ自身が想像していた通りであった。画家、やアーティスト、といったジャンルで一括りにするのはあまり頂けないのだろうが、そうであると言うならばその─控えめに言って奇抜な、言葉を選ばなくて構わないのなら可笑しな恰好も頷ける。静かな声で帽子を見つめて語り掛ける姿からは、今しがたの賑やかな雰囲気は微塵も感じ取れなかったことに少々驚く。─常にこの雰囲気でいてくれたならば、自身も多少は気楽に接することが出来るのに。─そんなことを思いつつ、大事にしてくれ、との言葉に「…勿論です」と答えておく。ところで─目の前の彼は、何がどうあっても自身を"はーちゃん"と呼ぶ気らしい。最早反応するのも疲れてきた。心ではそう思っていてもやはり肉体は不快だと感じたのだろうか、一瞬だけ呼び名への不服を訴えるように右瞼の筋肉が痙攣したが、それもすぐに治まる。自分の容姿の事を卑下する、相変わらず引っ切り無く寄せては返す波のように言葉を紡ぐ彼の姿を改めて眺めてみると、確かに多少不気味な雰囲気を纏っていた。どことなく精巧な作り物のような、人間らしくない、例えるなら切り絵か彫刻かのような─だが、まあ。それで言えば、友人曰く自身も鷹だの鷲だの、猛禽類のような顔立ちをしているらしいのでお互い様だろう─近付いてきた彼の顔には多少驚いたのか身体を僅かに反らし、彼とかっちり噛み合うような位置にあった視線を気まずいのか彼の額、髪の生え際辺りへそれとなく移した。「……そうですね。俺のような吊り目よりも、小町さんのような垂れ目の方の方が優しそうな印象は受けますね」相手の問いにどちらとも答えぬ返答を返しつつ、自身は相変わらず眦のきゅうと吊り上がった鋭利な瞳で、眼光鋭い眼差しを相手の方へ向け)
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.18 )
- 日時: 2025/07/29 19:48
- 名前: 小町 薄葉 (ID: rh5Dd4le)
( 己が彼を呼ぶ度の反応を見ていないのか、それとも見た上でそう呼び続けているのか。真意の程はおくびにも出さない。「優しそうかぁ…確かに。可愛いってイメージもタレ目の方が強いよねぇ。」青年からの回答で指を離し、また元のように垂れた目尻を更に弛めながら、曖昧なそれにどことなくご機嫌な言葉を繋げ、「でもオレ、はーちゃんの目、好きだなぁ。」その後で、己の方からは彼を好みと直球に告げる。「射干玉みたいな色とか、三日月みたいに鋭い形もそうだけどぉ、」そこからより具体的に、まずは外見を讃え、その次には自身が感じ惹かれるものを。「何よりその、目の前なのに何か遠いような…空、星……ん、違う。もう少し近い……鳥、かな。梟、鳶…」それは話しているというより独り言に近い。思考の雫をポタポタと口から降らせ、だが視線は彼の瞳から全く逸れない。――寧ろ、より深く探るように、その奥を貫くように、観察側に寄って熱の籠る目で青年を真っ直ぐ覗いている。「…そういう、閑寂としてて、だからこそ“もっとこっちを見て”って言いたくなる、その眼差しの向け方が――」最後、観るだけには飽き足らなくなった両手が上がり、輪郭に触れんと指が伸び――彼の頬に短い爪が届くその直前、ポケットの携帯が制止を掛けた。「ん〜…?ちょっとごめんねぇ。」呆気ない程あっさり手を引いて二歩退き、己を呼ぶ物を取り出せば、画面には仕事関係者の名前が。思わずうえぇ、と情けない声を漏らし、「こんな時間に何のご用ぉ、パトロンさん…」楽しい時を邪魔された事、イレギュラーな連絡。その両方に眉とマスク下の口の端を下げ、解り易く面倒と困惑が混ざって萎れた顔で首を傾げる。「え〜…ヤダなぁ……」出る事を躊躇う内に音は一度切れる。しかし、また鳴るのも時間の問題ではあるだろう。「…もっとお話したいなぁ。オレ、まだはーちゃんのフルネームも聞けてないしぃ…」両手持ちにした携帯の不在着信と青年に何度も交互に視線を移し迷い、もうちょっとくらい、と社会人としてあまり宜しくない方向にモゴモゴと考えを纏め始めて )
- Re: 林檎の園/小説連載中 ( No.19 )
- 日時: 2025/08/24 11:00
- 名前: 羽賀 千秋 (ID: SqYHSRj5)
(一旦指を離して貰えたことに内心安堵し、少しばかり唇の端から吐息が漏れる。が、再び彼と目線が噛み合った瞬間背筋がぞくりと寒くなった。─やはり、この人は不気味だ。周囲の人間と違って、底が知れない─自身の心が本能的にそう感じたようで、彼の眼差しから逃げるかのように、無意識の内に若干目を伏せてしまう。梟だの鳶だのと何事かを呟きながら自身の黒い瞳を真っ直ぐに見つめる彼の眼差しは、自身の心の奥底を見ようとしているような、─言うなれば自身すらも知り得ない深層心理を見透かしてくる鏡のような─近付いてくる彼の指を避けるように、一歩後退りかけた時。彼のものらしい携帯電話が、雰囲気に似合わぬ軽快さで鳴り響いた。彼の意識はどうやらそちらに向かったらしく、自身から指先が離れていく。呟きを拾うに、仕事の関係者かなにかなのだろう。大人しく引き下がってくれるのかと思えば、彼は何やら不服そうな表情を浮かべ、同じく不服そうな呟きを溢しつつ、自身と携帯電話をちらちらと見比べていた。このままだとかなり長い時間拘束されそうな気がして、彼が何か面倒なことを言い出す前に口を開く。「…明日、シフトが終わってからなら…話す程度の時間はあります。明日は特に予定もありませんので、別に構いませんよ」その言葉は本当、ではあった。事実、明日のシフトは昼の0時まで。─そこからならば、多少の長話に付き合わされたとしても夜までには帰ることができるだろう。とは言え初対面の相手にフルネームまで教える気は流石に無かったが、「…名前だけは…容姿に似ず、女性らしいとは言われます」とかなりぼかし気味に、遠回しに想像できる程度の手掛かりは与えておいた。そこまで喋ったところで「では、失礼します」と軽く会釈をし、駅の方向へ向かって踵を返し)
Page:1 2