大人オリジナル小説
- Stop war. ―銃声と親子―
- 日時: 2011/10/11 17:55
- 名前: バード(,,・θ・) ◆Nlab369rtc
- 参照: http://ameblo.jp/reborndaisukikko/
少女は問う。
「ママ……何でパパが帰ってこないの?」
母親は少女に銃声を聞かせないように耳をふさぎ銃声がやんだところを見計らって言う。
「パパは他の国へ行っているのよ。」
酷く痩せこけた親子だった。彼女たちは運命を背負っている。
―――戦争という不運を背負っているのだ。―――
バード(,,・θ・)です。前のスレは計画倒れな結果になってしまいましたが今回はイジメやら虐待を忘れ戦争という社会問題に向かっていきたいと思います。
意外と身近にある戦争。人は一人じゃ無力で刃向うことなどできないのです。
貴方がもしこの立場に立ったらどうしますか?
そしてわたしたちの国日本が戦時中だったとしたら貴方は国民としていきますか?
非国民になり逃げますか?
〜用語解説〜
日本
民主主義国家はなく天皇が政治をしている天皇中心国家。国民が下手に何かを言えばすぐさま死刑にしたり、無礼を働けば首を切って詫びろなどという発言をする悪垂れぶり。国民は暴動を起こせずひっそりと暮らしている。
軍法
一般に言うところの法律。しかし軍が仕切っているため軍法という。
〜人物紹介〜
梨絵/リエ ♀
この物語の主人公であり日本国民の一人。独裁国家の仕組みを理解した上で不審に思う反対派。
圭太/ケイタ ♂
主人公の幼馴染でお金持ち。父親が天皇に使えている。
零子/レイコ ♀
梨絵の親友。非国民と言われ続けている家系に生まれてきてしまう。
冬華/フユカ ♀
天皇陛下の娘。二人の姉が病死してしまったため次期皇后陛下となるが箱入り娘なため生きて行くということが何かを知らない。
「戦争」と一言で言ったとしても辛いことは一言では言えないのです。
〜目次〜
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- Re: Stop war. ―銃声と親子― ( No.6 )
- 日時: 2011/12/08 22:21
- 名前: バード(,,・θ・) ◆Nlab369rtc
- 参照: http://ameblo.jp/reborndaisukikko/entry-11055997063.html
3「意」
天皇の娘。それだけで優しくされる。それだけで愛でてくれる。そんな生活が嬉しいと思うことが一つもなかったのはこの少女。
「……冬華様。是非私とご結婚いただけませんか。」
そう切り出してきた青年。冬華と結ばれれば一族は安泰だ。そう言われて出てきたこと位冬華には安易に想像できた。そう思うと本気で自分を好きになってくれているのではなく、自分の立場が好きなだけだと言うことが簡単に連想できる。そんな彼女は優しさを知らなかった。
「断るわ。」
切り捨てる様に言った。別に心残りなどない。婚約者を決められようが何だろうが自分の立場を好いている奴は嫌いでしかたがないなのだ。
「そんな……。」
青年はそういうと怒ったような面持ちで部屋から追われるように逃げて行った。
「権力が欲しいだけの愛など愛と呼ぶ価値もないわ。」
箱入り娘と言われる由縁はそこにあった。良い見合いの話は今までにもたくさんあった。それを全て承諾し、良い人を探していたがやはり相手の視界にあるのは自分ではなく権力だった。そんなに天皇の座が欲しいならばくれてやりたいくらいだ。そんな時に一人またやってきた。
「失礼します。」
青年というにはまだ幼い少年。しかし少年というには少々老けている印象だ。
「貴女が四季野宮 冬華様?」
彼はアハハと笑った。
「確かに可愛い。うわさ通りだな。でも箱入り娘ってことではなさそうだ。」
理論的に話していた。その話ぶりに少し苛立ちを覚えた冬華だったが彼の持つ不思議な雰囲気に引き込まれたせいかしばらく何も言えなくなった。無言の時間が長く続くと痺れも切れてきた冬華はようやく言葉を発した。
「貴方は誰?」
冬華は問う。
「俺?俺の名前は圭太。一般市民代表で冬華様に直々に礼を言いに来たわけさ。」
天皇の娘。独裁的政治の陰でいろいろ言われる身であるはずの彼女が何故礼を言われるのか?まさか彼は天皇崇拝者などではないし神をあがめるような宗教柄でもない。
「いつも食料を分け与えてくれてありがとうございます。」
冬華は現代で言う『拒食症』に悩まされていた。育ち盛りに食べないのはいささか不安になるが、このご時世拒食症ほど便利なものはないと一般の母親は言う。しかし天皇一家はしっかり最後まで食べることを礼儀とし一番初めに教育することと定めている。食べれないからという理由で一般の人にとって喉から手が出るほど欲しい美味な食事に毎回裏ルートでやってきたものは涙を流すのだ。戦争さえなければ一般市民でも食べることのできるような現代の金で買うならば安い食事だがこの『別の日本』ではとても高価な食事なのだ。
「俺実は冬華様と見合いをしないか?って話しが出てるんだ。」
冬華は複雑な顔をした。天皇になると言うことを目的に来ているのではないか。だとすれば先ほどの前置きは『天皇の娘は優しいフリでもするのかよ』と言いたいだけだったのだろう。
「可愛いな冬華様って。」
そういって圭太は冬華の頬に右手を置く。
「やっヤメテ。」
冬華はそういって顔を赤くした。
「もしかしてこういうことされるの初めてなの?」
ただ頬に触れただけなのに何故耳まで真っ赤にするんだ?と言いたいような顔をしていた。
「私はそういうはっ破廉恥なことはしたことが無いもので。」
「頬に触れたら破廉恥って初めて聴いたぞ。まっ俺そういうことでお前と付き合わされるッぽいから適度に頼むぜ。」
圭太はフレンドリーに話した。
それは今日から数日前の出来事だった。
まさかそれを梨絵や零子に告げるはずもなくココまで来てしまうとは自分でも思わなかった圭太だったが、確かに梨絵と零子はココに来ていた。
『逃げろ』
因果関係がばれれば多分消される彼女らに自分は自然と拒否反応を示したのだ。
それにもしかしたらこの冬華という女は実は幸せではないのかもしれない。
そんなことを思っての結果だったのだ。
「そこで何をしている。ココに来ていいものなどほぼ皆無。貴様ら庶民が来ていいところではない!」
悪かった。俺が悪かったさ。梨絵、零子。好きなだけ俺を呪ってくれ。
圭太はそう思うと自然と悔しさが目から流れてきたのだった。
続く