大人オリジナル小説
- 君を探し、夢に囚われる
- 日時: 2012/08/05 17:54
- 名前: 黒雪
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11566
夢の中で出会った君に誓ったのは、現実世界でも君を探すこと。
でも――その夢から『抜け出せなくなって』しまったら、どうすれば良いのだろうか?
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初めまして! あるいはこんにちは。
黒雪と言います。
複雑ファジーで参照の小説、『あなたの薔薇は何色ですか?』を書いています。
まぁ、それが初めての作品な訳でこの話は2作目ということになります。
完結しないうちにスレを立てている私は地雷に片足を乗せたようなものですね。
でも、更新を放棄することは絶対にしないので、よろしくお願いします。
おかしな所があっても、生暖かーい目で見てくださると嬉しいです。
更新開始日
2012,08,03
+目次+
始めに
>>1 >>2
プロローグ
第一遍 >>3-4
第二遍
本編
- Re: 君を探し、夢に囚われる ( No.4 )
- 日時: 2012/08/05 17:48
- 名前: 黒雪
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
プロローグ 第一遍 第二幕
「うわああぁぁぁあぁ!」
飛び起きて辺りを見回すと、ドアの近くに跳ね飛ばされた掛け布団と、自分が寝ているベッドと、ドアの上にある監視カメラが目に入った。
――ゾワリ。
びっしょりと汗を掻いて濡れた肌に鳥肌が立つ。
まるで誰かに見られて監視されているような。その誰かは自分を見て笑っているような。
「あああぁぁぁあぁぁあ!!!」
俺は叫びだした。全部夢だ。これも夢だ。いったい、いつまで自分が殺される夢を見続けなければいけないんだ。
永遠に同じ夢を見続けるなら、いっそ。
「――いっそ、俺のことを殺してくれ!」
固い床に、囚人番号――10976番が崩れ落ちた。
「囚人番号――10976番。室内にて発狂しました。これより、第二段階へと移ります」
地下深くに作られたモニタールーム。壁一面に並べられた画面からは、独房の監視カメラの映像がリアルタイムで送られてくる。
モニタールームには男女二人ずつ、合計四人の人が居た。四人とも好星企業の幹部であり、社員からは四天王として恐れられている。
それもそのはず。彼らの家は、日本の中でも特に有名な、名家中の名家――天楼、神楽、胡蝶、幻紗。
迂闊に何か口走ろうものならば、即座に首にされるのだ。
先ほど、無機質な声で告げたのはキキョウ――本名、胡蝶 桔梗。真っ白な白衣を着た女性の顔は、この世のものではないのか、と誰もが思うほどの麗人。笑った顔に、一目で虜になる男性も多くない。しかし、笑った後には必ず寂しそうな表情が顔を出す。
その様子を紅葉――赤く染まった葉が、美しく散ってゆく様子、美しい笑顔が寂しそうな表情へと移り変わっていく様子――に喩えて、キキョウのことを『紅葉の麗人』と呼ぶ人は後を経たない。
「そうか。引き続き監視を続けてくれ」
別の独房を監視しながら言ったのはアオイ――本名、神楽 葵。同じく白衣を身に纏った男性は、白衣よりスーツが似合いそうで、夜の街でスーツを着てホストだと名乗ったら誰もが信じてしまうだろう。顔立ちは整っているが、どこか触ったら火傷しそう。そんな妖しげな魅力を秘めた笑顔だ。
その笑顔を見た女性は彼のことをこう呼ぶ。『灼熱のギムレット』。
ギムレットとは、ジンをベースにした中辛口のカクテル。『ギムレット』の意味はT字型の柄のついたねじ錐(ぎり)のことで、刺すような味わいがあることからこの呼び名がついた。
彼は、カクテル・リキュールなど酒に精通しており、そこからこの名がついた、という人も多くいる。
彼らが行っているのは囚人の監視。
2400年。死刑制度が廃止された日本で、新たに取り入れられたのが『Traum Morgen』、直訳すると『夢・明日』。一呼んで『明日の夢』だ。
「この装置をどのように使うのか?そうお尋ねになられましたね。お客様ご自身がこの装置を使って寝てみれば分かることです。
怖い夢を見そう? 先ほどの清水君のように、殺人等の罪を犯していなければ怖い夢を見ることはありません。」
「その通り。『Traum Morgen』をお使いになるかならないかは、お客様の自由でございます。
ただし、お気を付けくださいませ。
――『夢』という名の快楽に囚われることのありませんように。」