―――――――8年前―――――――
「 ……真奈っ おはよう!! 」
「 おはよう、 愛!!!! 」
私の隣には、いつも可愛く微笑む彼女、”黒澤 愛”の姿があった。
私たちは、誰もが羨むくらい仲が良く、
”大親友”そんな言葉が、自然と私たち二人のものになっていた。
「 昨日、可愛いお店見つけたんだ。
お揃いのもの、買おうよ!! 」
「 うんっ!!! 放課後、早速行こうね!!!」
放課後も、ずっと一緒。
時々、マクドナルドで恋バナをしたりもして。
どっちか一人でも失恋すれば、必ず二人とも涙していた。
だって、自分ことのようにつらかったのだから。
彼女の悲しみを、半分労わってあげたい。
そういう気持ちになるくらい、私たちの絆は深く、強い確かなものだった。
毎日が天国のように幸せで、
何度、時間が増えたらいいのに、そう思っただろうか。
何度、一生、愛と親友でいたい、そう願ったろうか。
………でも、ある日を期に、幸せでしかなかった私の世界は、
どんどん歪んで、そしてガラスのようにバラバラに砕け散っていった。
そのきっかけをつくったのは、クラスのある女の子。
…些細な一言から始まってしまった。
「 黒澤愛ってさ、ちょっと可愛いからって、
調子乗ってるよね。」
その子がそう言った途端、みんな一斉に口を出し始めた。
「 わかるわかるっ!! 自意識過剰っていうの?
自覚ありの、ぶりっこだよねー。」
「 超、身の程知らず。
鏡見ろよブース。 」
「 皆言い過ぎだってぇー!!!
ぎゃはははははっ!!! 」
……歪んでる。
皆歪んでるよ。
妬みから始まった、暗い現実。
皆…………狂ってる。
そこから始まった、彼女への陰湿な、”いじめ”。