大人オリジナル小説
- いじめ、解決するよ。
- 日時: 2013/10/01 17:19
- 名前: ost
はじめまして! ostと申します。おーえすてぃーなりおすとなりどうとでも呼んで構いません。
今回はタイトル通りいじめに正面から向き合い、解決する物語です。
更新はゆっくりですが、暖かく見守っていて下さい。
プロローグ >>002
1話 初対面@天然 >>003
2話 初対面@印象 >>004
- Re: いじめ、解決するよ。 ( No.3 )
- 日時: 2013/09/30 22:32
- 名前: ost
「おはよう、貴方が転校生の紫呉樹君ね」
学園から出された案内に従い一角の教室に足を運ぶと、若い女性が出迎えてくれた。今時珍しくストレートの長い黒髪を整え黄緑のカーディガン、薄いピンクの膝丈フレアスカートをはいている姿は清楚と言えよう。ナチュラルメイクにたれ目なのだから、尚更印象が強くなる。
「……あ、はよございます」
加えて柔らかい笑顔で俺を見つめるが、同性である俺はなんとも思わずに、ただ二言だけ返す。実にボリューム小さめで適当な返事だが、相手は恥ずかしい故の反応だろうと曲解してくれるだろう。
「私が貴方が新しく入る1―2組担任の奥栄小百合です。宜しくね」
俺の思惑通りとまではいかないが、少なくとも不快感を与えてはいないようだ。見たところ笑みは保たれているし、他の顔のパーツの変化も見られない。気遣いは不要だろう。もともとそのような気は皆無だが。
「……おねがいします」
誰だって分かりそうなほどかったるい口調だが、やはり彼女はニコニコしている。生徒に軽い態度を取られているのにどうして嫌な顔一つしないのだろうか。
「じゃあ、教室行きましょうか。あ、そうだ……」
彼女が放った次の一言で、俺の疑問は晴れる。
「紫呉君、多分女子が煩くなると思うけど、ごめんなさいね。私のクラス、格好良い男の子に目が無いから……」
「おと、こ……のこ……?」
ちょっと待った、俺を男に見間違えるのは分かる。声質もテノール寄りのアルトと言われたことがあるし、紫色のショートカットに肉つきの無い身体も散々男と判断されてきた。一度女子から告白されたこともある。だがしかし俺が通うことになった学園は男子禁制。女子のみが通うことを許されているのだ。
「先生、ここ女子校……」
「えっ……あ……!」
そのことを伝えると理解したようだ。間違いに気付いた彼女は俺に何度も頭を下げる。
「ごめんなさい! 先生うっかりしてました……」
ああ、こいつは抜けていて鈍感なのか。悩みが一つ、解決した。
「大丈夫です」
別に俺は先生のような人に何度も出くわしているし慣れっこだ。特に気にしていない。
「それより……」俺はちら、と時計を見やる。「先生、時間……」短針は8の字を越え、長針は2の字の手前だ。だいたい8時7分位だ、そろそろ教室に行かないとまずい気がする。
「そ、そうですね行きましょうか。では、私についてきて下さい」
若干早口になりながら、せかせかと先生は歩いて行く。
――大丈夫かぁ?
俺はあくまでも自分のペースで、彼女を追いかけたのだった。