大人オリジナル小説
- 存在価値 *短編集
- 日時: 2013/10/09 08:01
- 名前: あかね ◆Z8TvnklKi.
弱くて消えてしまいそうな少年少女の
精一杯の想いを一つの翼に乗せて運んでいく
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- Re: 存在価値 *短編集 ( No.2 )
- 日時: 2013/10/16 22:40
- 名前: あかね ◆Z8TvnklKi.
どう思ってるって何だ?
ドクドクドクドクドクドクドクドク――
心臓が五月蝿い。幼なじみだって言ってはいけない、と。
「……」
ナコの瞳は今まで一度も見たことが無い様子。
潤んでいるのか、真剣な眼差しなのか。
「悪い。わかんねぇ」
馬鹿みたい、このマヌケ。自分を責める。
何て答えればいいのかが分からなかった。
でも、ナコが求めていた答えは想像できた。
「そっか。忘れてくれる?」
「……あぁ」
何を忘れればいいかくらいは分かった。
そんなことしか分からないのか。僕もアホだなぁ。
また、心の誰かが僕に罵声を浴びせた。
「あのさ、ナコ」
「なぁに?」
数秒前の緊張感が解けていくのを感じた。
「頼りないけど、何かあったら言えよ」
「ありがと」
ナコは僕の知るナコに戻ってくれた。優しく笑う水原菜子。
……もしかしたら、これって仮面なのかな。
「いや、ないな……んじゃ」
片手で手を振ってギシギシと軋むアパートのボロい階段を降りた。
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