大人オリジナル小説
- 縁のきれめ
- 日時: 2017/05/15 20:50
- 名前: てがみ ◆svMdfnlanc
初めまして!小説を書くのは初めてですが、頭の中に思い浮かんだストーリーをしっかりと書けるようにしたいです(^^)
どうぞ、よろしくお願いします♪
【あらすじ】
大学2年生の冬、日本はクリスマスで盛り上がっていた。
東京を飾る緑と赤のイルミネーション、歓喜混じりの人々の話し声、繁忙期に入ったであろうレストランのにぎやかさ。
東京のみならず、おそらく日本全体が活気に満ちていると思われる。
この冬、私、松屋亜美はクリスマスどころではなくなっていた。
やり遂げなければならないことがあった。
別に家族なんて崩壊しても構わない、自己満足でいいから構わない。
私は手に携帯電話を握りしめて息を深く吸って「実行」に移した。
・・・と大分シリアスな展開にはしようと思っています♪(笑)
小説初めての方も、そうでない方もよろしくお願いします~!
- Re: 縁のきれめ ( No.2 )
- 日時: 2017/05/15 21:11
- 名前: てがみ ◆svMdfnlanc
#1
今は7月、大学構内は人であふれていて、みなひとりひとり、テストに向けて教科書を必死で読んでいる。
私もそのうちの一人であった。
ベンチで教科書の文字を追っていると、急に後ろから声がした。この憂鬱な気分を吹き飛ばしてくれるかのように、私の視界が明るくなった気がした。
「そんなに必死に勉強してるの」小さな笑い声と幼さを感じさせる笑顔で私の視界に入ってきたのは、付き合ってちょうど1年経った彼氏の高藤みちるである。みちると私は同じ経済学部にも関わらず、授業もあまり被っていなかったのでこうしてテスト勉強の時間だけは一緒にいようと、待ち合わせをしていたのだ。
日が照る外のベンチ、人であふれかえった東京の大学。暑い、という言葉以外形容できない。
「テスト、そろそろ近づいてきたからラストスパートのつもりで詰め込んでるの」私は焦りを見せたように少し微笑んだ。
そんな私に対しても、みちるはつぶらな瞳の笑顔で私の話を聞いていくれるのだ。
付き合って1年、喧嘩もほとんどなく、お互いのプライベートにはあまり入り込まずにいた。心地よいといえば心地よいのだが、周りのカップルよりも距離は離れているようにも感じていた。会話もある意味穏やかで、テスト前は「ラストスパートで、テストが怖い。点数悪いだろうなあ」、これくらいの軽い会話である。
それでも、好き、という自信は私にはあった。
「あ、ねえねえ。俺、最近バイト変えたんだよね」みちるは突如テストの話から自分のバイトの話に変えた。
「え?前にやっていたホテルのレストランは辞めたの?」
「うん、あそこはもういいかな。待遇も環境もあまり良くなくなってきたし。」
「へえ…。」あまり深く突っ込まないようにしたが、たくさんバイトしていたみちるにも辛い事情があったのだろう。とりあえず、新しいバイト先はどのようなことをしているのか、時給や待遇、場所など、基本的なことを質問した。
「えーとね、時給は1300円だし、待遇もそこそこ。何より、ショッピングセンターのカード受付だから研修が充実してる、先輩たちもしっかり者で優しいし。」少しだけ、テスト前とは思えないほど生き生きしているみちるの表情を見た気がする。その顔を見ると、心の底から笑顔で応援したくなった。
「へえ、専門的だろうし大変だよね?頑張ってね。」
私はこのとき、軽い気持ちが少しでも混じっていたことを激しく後悔するのである。
冬までの地獄の道のりはお互い、ここから始まっていたのかもしれない。