大人オリジナル小説

戯構築世界ノ終末戦線
日時: 2023/02/25 15:09
名前: htk ◆jXi8pdgzNQ

作者にはほぼオンラインゲームの知識がありませんが、VRものです

内容は主に、NPC側の視点を主題とした物語にしようとは考えていますが、プレイヤー視点の話もよく挿話で挟まれたりして、読み手を選ぶ構成かもしれません

作者の稚拙さもあって、まだまだ作中内のゲームの設定が煮詰まっていないので、場合によってはいつの間にか大幅改訂される場合があります
なるべく読み返さなくても良いような修正に留めようとは考えていますが、そのあたりは先々の展開によって左右されてくると思いますので、予めご了承して下さると助かります



以下、目次
1話目=>>1
2話目=>>2
3話目=>>3
4話目=>>4
5話目=>>5

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Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.4 )
日時: 2023/02/28 00:01
名前: htk ◆jXi8pdgzNQ

1章〜〜第1幕、2話ーー副題(未定)



「接近戦は分が悪イ
術士系と遠隔持ち、前に出な!」
「おっし、出番だな」
 リーダーの合図で口々に意気揚々と出てきたのは術士と弓使いーー他に、投擲槍や投げナイフを手にした者も居る。
 形勢が悪いーー。
ーー今、俺が背にした扉を離れればすぐさま後宮に雪崩れ込まれ、阿鼻叫喚の地獄絵図と化すだろう。
 唖の身になっても尚、この俺を罷免しなかった陛下には特別な恩義がある。
 だから、不利だからといって此処で退くわけにはいかない。
 一歩も引かない構えを見せると、リーダーはそれが望みであるかのように笑った。
「へっ、死にたいらしいなあ?
やれイッ!」
 号令を合図に、術による火球や水弾ーー。
ーーそれにも加え、投擲槍や矢の先端が切り揉んでくる。
 直撃を受ければ、多少は鍛えている俺でも無傷では済まないだろう。
 だがーー。
ーーこの世にはスキルというものがある。
 先に使った【追従身】もそうだし、今この瞬間使用せざるを得なくなった防護の技もそうだ。
〈不動の心得〉からの派生スキル、【不動壁】ーー。
ーー突き立てた剣を境とし、自身の左右及び上方に全身が拡がったかのような錯覚を受けた。
 勿論、それはあくまで比喩表現だ。
 現実に俺の身体が大きくなるわけでも無ければ、今迫る攻撃を全て打ち払えるわけでも無い。
 だがーー。
「……ウ゛ン゛!」
ーー足元に突き立てた両手剣の切っ先を起点に、防護の光膜が展開された。
 しかし直後、手応えを感じたらしい賊が叫ぶ。
「やったか!?」
「おい、それ言っちゃダメなやつ、、
、、そら見ろ!?」
 火球や水弾により発生した霧が晴れ、彼らは驚愕した。
 泰然自若と映るこちらの姿は、ほぼ無傷に近い。
 もしこのスキルが無ければ、俺は無事では済まされず、ほんのまぐれ当たりの致命傷を負わないとも限らなかった。
 しかし、まったく微動だにしない姿を見たリーダーが舌打ちする。
「ちイッ!?無傷だとお!?」
 俺の不退転の意思が伝わったのか、賊共が後退る。
「やっぱ無理でしょう!?
勝てませんって、これ、、」
「ちイ、役立たず共が!?」
 手下を押し退け、リーダーが前に出た。
 焦りを浮かべる顔は、正直ーー見ものだったが、こちらの間合いには入って来ない。
 それを見て、使用人と小間使いの少女を拘束していた大男が頭目に続く。
「俺がやりまっせ!グッヘッヘッヘ
オラ!?
こいつが目に入らねえのか!?アアン?」
 小賢しくも、彼女達を最大限に利用するつもりらしい。
 人質を盾に恥じる様子も無く、前へ進み出てきた。
 若干距離は離れているが、今ーー大男との間に身を置くのは使用人と小間使いだけだ。
 やるなら好機かーー。
ーーそう考えたが、大男が機先を制してくる。
「おおっと!動くなよ!
そこを動けば、この女の柔肌に一生消えない傷跡が付いちゃうかもしれねえぜ!?グッヘッヘッヘ」
 下衆がーー。
ーーとでも、もし俺が喋れたなら罵倒していただろう。
 リーダーはこちらが動けないのを見取ってか、無遠慮に近付いてくる。
「へっ、良い子ちゃんはツレエなあ?
善人ヅラしてるテメエみてえの見るとムシャクシャしてよお?
おらよ!?」
 手にした短槍を、俺の喉に突き掛けてきた。
 だが、その手は中途で止まる。
「おんやあ?よく見たら善良な騎士チャマの喉にはもう傷が付いてるじゃねえか!?へっ
、、んなら、カッコよくその喉に十字傷でも付けてやるぜえ!
おらあ!」
 先端で抉るように、じわじわと甚振るつもりだったのだろう。
 だが、その間も防護のスキルが働いていた。
 俺はさしたる手傷を負わず、リーダーの持つ短槍に僅かな血が滲んだに過ぎない。
「ちイッ、硬えな!こりゃスキルか!?てめえ、、
、、ぺっ!」
 苛立ち、唾を吐きかけてきた。
 頬に掛かる前にスキルの光膜で弾かれたそれを無視し、俺はリーダーから視線を逸らさずにいた。
 その態度がカンに触ったらしい。
「へっ、でもまあよ?おチャベリ出来ない騎士チャマなんか虐めても可哀想だしなあ?
そう思うだろ?お前ら!?」
「へいっ、そら悪人っすわ!」
 下卑た笑みを浮かべ、手下の一人が応じた。
 リーダーは何が愉快なのか、口の端を釣り上げーー使用人の彼女の方へと向かう。
「だからよお?
てめえが負えねえ分の痛みは、誰かが代わってやんねえとなあ?」
 探るような目付きだ。
 この賊の頭目は下卑た表情の裏で、それなりの狡猾さを備えている。
 これまでの振る舞いでそう確信した俺は、後宮との間を阻んでいた【不動壁】を解いた。
 それを見た使用人が、諌めの声を上げる。
「いけません、副団長様、、
、、私共の身柄なんて、捨て置いて下さればよろしいのです
どうして、、」
 悲嘆に暮れたように、彼女は言った。
 その傍らで何処となくーー何故か超然と事態を見守っていた少女が口を開く。
「あなた達もしかして、、
PKなんですか?」
「はあ?てめ、、
、、よく見たらプレイヤーじゃねえかあ?
こんなトコで何してやがる?」
 よく分からない言葉だ。
 ぴーけーーー?
 ぷれいやーーー?
ーー聞き慣れない言葉を口にした少女が、憤ったように言う。
「ナニもアレも無いですよ!?
せっかくサービス開始で先行出来ると思ったら、資格は戦闘力皆無の小間使いですし、いきなりスタート地点のお城は攻められてますし、これどうしてくれるんです!?
運営に言い付けますよ!?」
「へっ、運営チャマと来たか!?
ここの運営チャマはプレイヤー間の諍いにはほとんどノータッチなんだよなあ?
、、そんかわし、時々とんでもねえ制裁が飛んでくる事もあるけどよお?」
 運営ーー?
ーー何処かの商家か組合の話だろうか?
 会話の流れが掴めない俺を無視し、少女は尚も食い下がる。
「は、良い気味ですね
あなた達、もしかして前作でもプレイしてた悪質プレイヤーの人達ですか?
そういうの聞いた事がありますよ?」
「へっ、だからどうしたってんだあ?
、、あんたもプレイヤーなら、ここの運営会社のコンセプトはよく知ってる筈だ
まさに俺らの為に存在するようなゲームなんだぜ?」
「それは絶対に違います!
ゲームはみんなで楽しくやるものですし、あなた達だけのものにして良いわけがありませーっんだ!
頭の中スッカスカのバッカじゃないですか?
よく居るんですよね、そうゆう人達、、
、、リアルでどんだけストレス溜めてるのか知らないですけど、鬱憤晴らしならソロゲーで解消したら良いんじゃないですか?
一人じゃ何も出来ないんですね、プふっ、、!」
 軽蔑したように小間使いの少女は言い切った。
 会話の内容はよく分からないが、この少女の発言が賊共に刺さったのは分かる。
 言葉に詰まったリーダーは、どうやら実力行使に出るつもりらしい。
「、、へっ
俺らの言う事聞くなら仲間にしてやっても良かったんだがよお?
そこの便所女と同じ目に遭いてえらしいな?」
「、、勝手にしたらどうですか?
どうせ、この事態に気付いた他のプレイヤーが遠からず此処に向かってきます!
あなた達の栄華が長続きするとは間違っても思わないで下さいね?
、、とっとと死んで下さい!?クソヤロー共!」
 勝ち誇ったように言った少女の衣服に、リーダーの手が掛かった。
 歳頃の少女が穢されるのを黙って見ている事は、俺には出来ないーー。
ーー一瞬だ。
 賊共の注意が小間使いの少女に向いた今、意識の空白がそこにあった。
 俺は両手剣を握る手を振り絞り、同時にもう一方の動きを確認する。
 考えは同じだったらしい。
 使用人の彼女は後ろから拘束する大男に後頭部をぶち当て、更に肘鉄を決める。
「グヘッエ!?」
 その大柄な手から逃れ、すれ違ったのはーー【追従身】から解き放ったもう一人の俺≠セ。
 目配せで少女を示したこちらの意図を察してくれたのか、使用人は驚愕に染まるリーダーの顔面を蹴り上げた。
 そして彼女は、自身より小さな彼女に覆い被さる。
 今この瞬間ーー俺を縛るものは何も存在しない。
もう一人の俺≠ニ互いを背に振り払われる、二つの剣筋ーー。
ーー賊共の攻囲は今この瞬間、二振りの斬撃により決壊した。



次話、>>5

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