大人二次小説(BLGL・二次15禁)

【完全】穏やかな二人【オリジナル】
日時: 2014/11/28 20:08
名前: 見習い人形師

 初めまして、見習い人形師です。
 此処で初めてスレ作りました。
 R18に立てましたが、その表現は少なくなると思います。そして完全にオリジナルです。
 基本的には短編をぽんぽんと書いていこうと思います、リクエストも受け付けているのでコメント下さったら嬉しいです。
 また、過度の誹謗中傷は止めて下さい、メンタルがぶち壊れてしまいます。
 やんわりしたオブラートに包んだ励まし(アドバイス)ならまだ受け入れられるので、誤字・脱字などありましたら教えていただけるとありがたいです。


・執筆開始
 2014/11/28

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Re: 【完全】穏やかな二人【オリジナル】 ( No.2 )
日時: 2015/08/06 08:49
名前: 見習い人形師

※ちょっと注意 

 菫は一日しか記憶が持たないと言う障害を抱えていた。

 数年前の事故でそうなってしまった。最初は自分の名前すらも明日になれば忘れてしまっていた。人の名前など勿論、誰ひとりとして覚えられなかった。菫、というこの名前も、本来の彼の名前ではない。

 しかし、事故に遭い、この障害を抱えたその日から彼を引き取って世話を続けてきた志野だけは違った。志野は菫にとって特別な存在だった。あの事故から数年が経つ今、菫にとっての既知は志野という人物、ただ一つだけだったのである。

 菫は自分にあてがわれているこの部屋の事も、未だに理解できていない。自分のために用意されたベッドにも初めて触れるのもの様に恐れている節がある。それでも、其処に志野がいて、大丈夫だと頭を撫でてくれさえすれば、彼にとって全てが味方になる。志野は菫の小さな世界だった、彼中心に世界は回っていた。

 朝食が終わると、菫は志野に身だしなみを整えてもらう。歯ブラシの使い方を知らない菫の綺麗な白い歯を志野は丹念に一本一本磨いてくれた。刺激の強い歯磨き粉を使えば菫が怯えてしまうと言って、何も使わずに水だけを使用するのも志野の優しさだ。最初のうちは嫌がる菫も、志野の困ったような笑みを見ると大人しく口を開けるしかない。長時間上を向くことにも耐える。

 次に汗ばんだ体を洗ってもらう。菫が眠る部屋に隣接された部屋にシャワールームも準備されており、菫は其処へ志野に連れていってもらうと服を脱がせられる。菫のしなやかな筋肉が程良くついた褐色の体が露になり、肌は吸いつくような潤いを常に持っている。志野がその肌へと指を這わせると、菫はびくんと体を震わせ、妙に体が熱を帯びることを感じる。

 シャワールームには浴槽もあるが、朝のこの時間に体を流す程度はシャワーで済ませることが多い。今日も少ない時間で済ませなければいけなかったため、志野は浴槽に湯を張ることをしなかった。菫の住むこの部屋には死角がないように隠しカメラが設置されており、電気関係は全て志野が遠隔操作できるようにもなっていた。そんなことを知らない菫は、この部屋で毎晩安らかな眠りに落ちるのだ。

 菫は手をひかれてシャワールームに入り椅子に座らされる。志野はその間、湯が丁度いい温度になっているかを確かめて菫の顔にかからないように優しく体にかけてくれる。一瞬驚いた様子で体を震わせる菫も、志野の笑顔で落ち着くと、心地よく当たるシャワーに目を細める。志野がボディーソープを泡立て、菫の肌を傷つけないように体を洗うと、菫はもどかしそうに体を震わせた。これだけは全く慣れることはない。頭は忘れていても体は忘れられないのだ。

「菫は敏感で困っちゃうね、我慢できない?」
「……っん、ん?」

 分からない、と首を振る菫に志野は苦笑して、既に反応して上を向いた菫のモノの先端を片手で優しく撫でる。

「……っぁあ!」
「此処、熱くなってきたでしょ? もう我慢できない?」
「……っわ、わか、んな……っい」

 我慢できないか、と呟く志野に、この衝動の意味を問いかけたがったが、出来なかった。それに合う言葉が全く見つからなかった。熱い、とにかく体が熱い。体は無意識に何かをせき止めている様子で、それを意識するたびにそれを吐きだしてくてたまらなくなり、言葉にする術もなく首を振ることしかできなくなっていく。

「っし、の、さん……志野、さんっ」
「分かったよ、そんな苦しそうにしないで……」

 縋りつくように必死で名前を呼ぶ菫に、志野は困ったように笑いながらも頷いて、その頭を撫でてやっていた。自分でも何が何だか分かっていない菫の目は得体のしれない欲でぼやけている。

 志野はゆっくりと菫のモノを包み込むと、上下に手を動かし始める。それだけでも菫は体を震わせて、つま先に力が込められる。自分の中で暴れる感情が制御できず、弱々しい声が唇から洩れる。

「あぁ、本当に菫の声は可愛いね……」
「ひゃ、あっ……し、のさん……しのさ、ん……ぁ」
「大丈夫、恐くないよ」
「っや、やぁ……ああ、っあ、ぁあ」

 麻痺した頭の中に、志野の声が響いてくる。そして彼の指が自分の体に這う感覚が伝わってくる。全てを感じる自分の声が一段と高くなっていく。もう駄目だ、と自分の中の誰かが叫んだとき、彼の中の何かが外れ、びくりと立ち上がったモノが震えた。

Re: 【完全】穏やかな二人【オリジナル】 ( No.3 )
日時: 2015/08/06 10:19
名前: 見習い人形師

 熱が一斉に吐き出されると、菫の中に充満したのは気だるい心地よさだった。深く息を吐き出して、いつの間にか閉じていた目を恐る恐る開いてみる。目の前には志野がいて、優しく笑いかけてくれていた。

「菫、いっぱい出せたね。いい子だよ」
「……志野、さん?」

 菫は何が起きたか全く分かっていなかった。ただ、我慢していたものが全部なくなって、外に出たという実感しかなかった。それが目の前にいた志野の服を汚し、顔にまでかかっている白濁した液体だとは思えなかったのだ。

 どろどろとしたその液体を、志野は愛おしそうに指ですくって舐めていた。何故だか菫の体が再び熱くなる。

「菫のいっぱいもらって俺は嬉しいよ……菫の事、独り占めできるから」
「……志野、さん、俺、は志野さん、のだよ」

 菫の言葉に志野は一瞬驚いた顔をして、そして嬉しそうに微笑する。その表情が菫はたまらなく好きだった。志野の細くてきれいな指が濡れたままの菫の髪を梳き、いい子だね、と頭を撫でてくれる。菫はただ嬉しそうに口元に笑みを浮かべ、気持ち良さそうに目を閉じる。そっとその頬に手が宛がわれ、菫が目を開くと、志野は普段とは違う表情を見せていた。

「……そんなこと言ったら駄目じゃないか。この後も仕事があるのに」
「……あ、ご、めんな、さい」

 優しげな言い方だったが、菫は思わず謝っていた。何かいけないことを言ってしまったのだ、自分では分からない何処かが、志野にとっては不快なことだったのだ。不安げな菫を見て、志野は違うよ、と慌てたようにそう言って、また菫の頭を撫でた。

「怒っている訳じゃないんだ、ただ、今日は時間がなくていつまでも此処にいられないんだよ」
「……はい」
「……でも、あいつに菫を弄られるのも気分が悪いんだ」
「……?」

 何でもないよ、と優しく笑う志野を見上げて首をかしげる菫の唇を撫でると、簡単に小さく口をあける。菫はまた何か口の中に入れられるのかと、反射的に目を閉じていた。唇に柔らかいものが触れ、口の中に温かいものが流れ込んでくる。不思議と甘いそれを、菫は無意識のうちに吸い込んで飲み込もうと必死に舌を動かし始めた。つたない舌が柔らかい何かを撫で、口いっぱいに溜まった甘く温かいものを何度も必死に飲み込んだ。息が苦しくなっていく。それでももっとこの味が欲しかった。腕を伸ばすと体があって、それを強く抱きよせる。もっと頂戴、と心の中で何度も繰り返していた。

「……っそんなに急がなくても、まだ十分にあるよ」
「っは……し、の……さん……」

 意識が遠のきかけた時、ふと口の中から全てが消え、近くで困ったような志野の声が聞こえた。新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込む。いつの間にか菫も志野も息が切れていた。菫は口の端から伝う志野の唾液を慌てて飲み込む。涙で滲んだ黒く綺麗な目が物欲しげに志野を見上げていた。まだ満足していない様子だった、それもそうだ、これだけで彼が満足するはずはない。志野の口元に優しい笑みが浮かべられる。

「ごめんね、菫。俺はそろそろ仕事に行かないと」
「……分かり、ました」

 寂しそうにしながらも頷く菫に、志野は愛おしげな表情でその額に口づけを落とし、すっかり汗がにじんだ肌を洗い流してやった。それから寝癖の着いた髪を洗い、ドライヤーで乾かしていく。

 最後に動きやすいようにとラフなシャツとズボンを穿かせ、朝食の後片付けも終ると、菫は志野にベッドへと移動させられる。名残惜しそうな志野は菫の手を取り、一人きりでも安心するように、と何度も言って聞かせ、卵型の手のひらサイズの機械を渡す。その中心には大きなボタンがあった。

「何かあったらこのボタンを押すんだよ、そうしたら俺が助けに来てあげるからね」
「……はい」
「此処に人が着たら必ず名前を聞くんだよ。『河野』って言う人だけしか、中に入れちゃ駄目だからね」
「……はい」

 一つ一つの確認事項を優しく丁寧に教え、菫が頷くのを確認する。志野はそれに満足したように笑うと、再びいい子、と菫の頬にキスをし頭を撫でる。そろそろ出掛けないといけないから、と腕時計で時間を確認し、寂しそうな顔を我慢する菫に行ってきます、と声をかける。

「……行ってらっしゃい」

 弱々しくこぼれた菫の一言に、志野は一日の元気をもらう。志野の笑みに菫も励まされた様に笑顔を浮かべた。

Re: 【完全】穏やかな二人【オリジナル】 ( No.4 )
日時: 2016/02/06 17:33
名前: 見習い人形師

※ご注意ください。 



 志野がこの部屋に帰ってくるのはいつも随分と夜が更けてからだった。

 彼には彼の仕事があり、また重い責任を負う立場にもあった。彼は周りに菫の事を言うことはなかった。言ったとしても、周りは理解を示してはくれなかっただろう。見ず知らずの男を世話していることに賛美は果たしてあっただろうか? あったとしても、志野には見解のないことだった。

 菫の住む部屋は都市部から離れた静かな場所にある。志野が菫のためだけに買った小さな一軒家で、家の周りは木々に覆われ、家の中への侵入を防いでいるような格好だった。その木々の間に唯一ある細い通り道を通り抜けながら、志野は空を仰いだ。満天の星空に微かに表情を歪める。

「菫」

 玄関口で声をかけるも、菫の姿は一向に現れなかった。志野の声がすると、菫は必ず近づいてくるものだった。そうしないと菫自身が心配になるためだ。彼にとってただ一人の人間である志野に嫌われることを何よりも恐れる。志野はどんなことがあっても菫を嫌いにならない自信を持ってはいたのだが、帰ってくると玄関口に飛んでくる菫の様子を気に入り、何も言わなかったのだ。

 しかし今日はそうはいかなかったらしい。志野は息をつめて奥へと足早に入っていく。長い廊下には複数の防犯カメラが付いており、赤く小さなランプが不気味に点滅していた。

 奥の部屋――菫の寝室兼リビングにたどり着くと、志野はここ数週間連続して見ることとなった光景を見ることになる。

 菫は両手両足を縛られた格好でうつ伏せのままベッドに横になっていた。腕はねじられて背中で安っぽい手錠の玩具で止められ、足首はベッドの柵に同じような玩具で止められている。暴れたのか、髪は乱れ、表情は苦しげだった。意識はないらしく浅い呼吸を繰り返している。身体には今朝着せた服を身にまとっておらず、裸のままだった。褐色の皮膚は微かに赤くなっており、所々ミミズ腫れができている。そして時折むず痒そうに体をくねらせる仕草と、微かに聞えるバイブの音。ベッドは得体のしれないもので濡れて汚れている。

 どうやら志野の悪い予感は当たってしまったらしい。

 苛立ちとともに玩具の手錠を外そうと辺りに目線を走らせる。すると案の定テーブルの上に数枚の便箋と液体の入った瓶、手錠を開けるための小さな鍵が四つ置かれていた。手紙には罵詈雑言が並べ立てられており、日本語として果たして成り立っているのかどうか、内容すら把握できないような殴り書きの文字が志野に対する恨みと菫に対する愛情を綴っている。

 もっとも、手紙の主は菫の事を『宮田』と書いてはいるが。

 志野はその手紙を一瞥しただけで中に目を通す気は起らなかった。鍵を手にとって菫の傍に行くと、やはりどぎつい色の玩具が細かな振動を続けていた。身動きで向きが変わり、敏感な部分を刺激され、菫は小さな声を上げている。

「っふ、ぁ……あ」

 バイブを続ける玩具を抜くと、菫は身体を震わせ、甘い声を上げる。意識が回復したらしく、拘束に驚き動きだそうとするのを抑えながら、手錠を一つずつ丁寧に外していく。

 跡がついていないだけまだ救いだった。束縛から解放された菫は志野を見て箍が外れたように泣き始めた。

「……ごめんね、菫。痛かったでしょ……大丈夫?」

 痛くはなかった、と菫は首を振る。空になった媚薬の瓶と共にローションのボトルが転がっているのを見つける。出来る限り菫に痛みを与えたくないのだろう。だからと言って自分の欲を抑えるけることのできない人間だ。抵抗すれば腕や足を縛りつけ、痛めつける。菫の恐怖を植え付ける。そんな人間に彼を渡したくはない。

「……誰が来たの?」

 分かっていることを菫に聞くのは、彼が記憶を取り戻していないかどうか、それを確認するためだった。何かの拍子に事故の前の事を思い出してしまわないかどうか、志野は心配だった。しかし、菫はいつも通りのたどたどしい口調で知らない男がこの部屋に無理やり入ってきて、何かを話して来た、と言った。

「お、俺の、事……み、宮田、って……」

 しゃくりあげながらそう言う菫の肩を抱くと、彼の瞳からは再び涙があふれ出してきた。菫に男は志野が菫を事故に遭わせた本人だと言い、拉致も同然で此処に閉じ込めているのだと言ったそうだった。菫は必死に否定したが、そんな菫に痺れを切らした男が怒り始め、先程の拘束をされ、薬を飲まされたのちに犯されたらしい。

 思い出して、とその男は半ば泣いていたと言う。

「……そっか、怖かったね。もう大丈夫だよ……」

 菫の背中の艶やかな肌を直接撫でると、彼は微かに反応を見せた。媚薬がまだ残っているらしく、不思議そうに涙にぬれた目を上げて志野を見上げてくる。いつも以上に敏感になっているのだろう、肌と肌が微かに擦れあ追うだけでびくりと体を震わせて、熱い息を吐き出していた。

 菫は志野と出会う前から媚薬をよく服用していたようだった。身体の感度は通常の人間よりもずっといい。彼が以前どんな仕事をしていたのか、どんな暮らしをしていたのか、志野はよく知っている。友好関係や両親の事など、全てを熟知している。それを彼に教えないのは、その現実が彼にとって全て残酷なものだからだ。

 何も知らないまま、赤子のようなまま、志野に守られるまま守られている菫は今きっと、幸せしか知らないのだろう。温かなベッドや食事しか知らないのだろう。志野はそうであってほしかった、彼に初めて会ったとき、彼の記憶の中から冷たいものや嫌なものを全て取り除かないと、幸せを彼が覚えることは不可能だと直感したのだ。

 菫の、鮮やかで艶やかな口元を指でなぞる。彼は微かに震えながら口を開け、志野からの贈り物を待っている。その唇に己の唇を重ね合わせると、彼の体温をじかに感じ取れた。

「……大好きだよ、菫」

 そっとベッドに横にさせると、菫は物欲しげな目で志野を見上げてくる。身体にたたき込まれた、相手を誘う目をしてくる。彼の脚が志野の腰に巻きついて自分の方に引き寄せる。菫の裸体に志野は自然に手を伸ばし、優しく愛撫を始めた。額からキスを初めて、口の中を舌で隙間なくなぞり、胸を舐めて、腹、そのまま菫のものを銜えこみ、既に濡れていた其処を優しく舐めまわす。

「っひゃぁ、っあ」
「……今日は何回出しちゃったの? ……あぁ、でもまだ出るんだね」
「ふぇ、あ……っあ」

 首を振って喘ぐ菫だったが、嫌がってはいなかった。菫は目をきつく閉じ、いかにも辛そうにしているその表情とは裏腹に、志野の髪を掴み、もっと奥へと、と己のものを押しこむように志野の頭を引き寄せる。

 芯が通って半ば起き上がっていたその先端から液体が漏れ始める。もどかしげに腰が細かに浮き沈みを繰り返し、足の指先が張り詰める。笑みを浮かべた志野は、彼のものへの刺激を優しい愛撫から激しいものに変える。菫の口から甘い声が漏れ、苦しげな声を共に絶頂を迎えて、志野はその全てを飲み込んだ。まだ菫の出したものが残っている口内で再び唇を重ねる。余韻に浸り、声を上げていたため、口を開けさせる必要はなかった。

「っしぃ、の……さ」
「ん、何?」

 呼吸をさせるために唇を離す。息も絶え絶えになる菫の目は快楽に蕩けている。菫の脚が強く志野の腰を締め付けている。

「……あ、つ……い、………っ熱」
「どうしたの?」
「……っあ、つい、……の」

 表情を歪めながら頷く菫は、志野の肩に顔をうずめる。志野に抱きつくような格好で身体を丸くしていた菫の背中へと腕を回すだけで、彼は期待に身体を震わせる。言葉を知らない菫が懸命に志野を誘っていた。

「……分かってるよ、此処だよね」
「っあ、ああ!」

 其処は昼に犯されたことが分かるほど、緩くなっていた。まだローションが残っており、指はたやすく奥に入っていく。締め付けも緩いはずなのに、菫は声を上げていた。早くと急かすように自分でも腰を動かし、快感を与えるその一点に志野の指を導いていく。

「……っひん、あ、ああぁああ!」

 とうとうその場所にたどり着いた。――菫は志野の胸の中で快感の声を上げた。

「……全く、そんなに急がなくて大丈夫なのに」
「っやぁ、……っら、っはん、やってっ、っひあ、やってっ……っあああああ!」

 ぐちゅりぐちゅりと音をさせながら志野は菫の喜ぶ場所をいじり続ける。菫は緩みきった体内でその刺激を受け、腰を浮かせ、動かしながら更に強い刺激を求め続け、何度も白濁した液体を飛ばした。

Re: 【完全】穏やかな二人【オリジナル】 ( No.5 )
日時: 2016/02/06 17:52
名前: 見習い人形師




 菫が意識を失ったのはそれから少し経ってからだった。褐色の肌には白濁とした液体がかかっていたが、それは全て菫自身のものである。志野は菫の中に自分のものを入れたことは一度もなかった。まして彼の前で服を脱ぐこともしない。いつも決まったスーツ姿のまま、彼に接していた。

 自分の欲のために菫を使わないために。

 きっと菫は、一度中に入れられることをされると、その快感を覚えてしまうだろう。志野と言う人物を唯一の既知とする菫は今日出会った男のことも、明日になれば忘れてしまい、何をされたかなんて覚えてなどいない。記憶を捨ててしまうのだ。

 しかし志野のしたことを菫は明日も覚えている。志野が与えた快感を覚え、菫は毎日志野にねだってくることになる。その中には完全に自分の欲がある場合も、志野を恐れて、その様子をうかがいながらの場合も、きっと含まれるはずだ。

 志野は菫を利用する大勢の中の一人になりたくはなかった。その為に菫を此処に閉じ込めておいているのだと、そう実感したくはなかった。

 ベッドの端で落ちそうになりながら眠りについた菫の身体を整え、服を着せる。疲れてしまった様子で菫は何をしても起きなかった。軽く身体を拭いてやると、その都度小さく反応を示す。まだ媚薬が残っているようだった。

 この薬には依存性があった。それは記憶とはまた別のもので、身体が直接覚えていくものだ。男が与えた快感も、この身体は徐々に覚え始めている。以前よりも感度の高くなった身体をむやみに触ることもできない。志野は菫の額にそっと唇を落とし、その家を出た。

 あの男が入れないようにしなければならない。時刻を確認しながら思考を回す。菫の居場所がばれてしまったその日から、あの男は執拗にあの部屋に入ろうとする。防犯を強化するとしばらくは入れないが、それをも破って入ってくる。それが今続いている状態だった。

 志野はあの男を知っていた。以前菫とあの男がどういった関係だったのかをも把握していた。あの男がいつか菫を自分の元から奪い去っていくことさえ、微かに分かっていたことだ。それでも許せない、菫を利用する大勢の輩の一人であるあの男の元に、菫を再び預けることも、毛頭ない。

 たとえこれが自分の欲求だったとしても。自分自身のエゴだったとしても。”菫”は志野を望んでいる、あの場所を欲している。

 それならばそれでいい。

 ”宮田”は死んだとしても、”菫”は此処にいる。

 それだけでいい。

 志野はゆっくりと吐息を吐いて、帰路についた。


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