大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 【文スト】〜愛スベキ愚カ者達ニ〜
- 日時: 2016/06/08 22:51
- 名前: 千羽鶴
どうも、千羽鶴です(´`*)
このスレでは太国を中心に色気話を書いていくスレになります。
…と、自己紹介とかあんまりいうこと無いので、自分の好きなcpとキャラだけ…。
一番好きなのは、国木田ですかねぇ。その次に中原、福沢…の順に。
自分の好きなキャラは、個性的な人が多いんです。
次に好きなcpは、太国と福江…とか…?最近は、太中でもいいなぁとw
まぁ、雑食なので何でもいいです((
リクエストなどありましたら、よろしくお願いします。
喜んで書かせて頂きますので…。
それでは、閲覧よろしくお願いします!
- Re: 【文スト】〜愛スベキ愚カ者達ニ〜 ( No.6 )
- 日時: 2016/06/13 04:19
- 名前: 千羽鶴
白一色で塗りつぶされた病室に、無機質な程規則正しく音を刻む電子図。
開放された窓から吹く風が、カーテンをなびかせる。
今の俺はただ何気ない、そんな景色を見ることで”生きている”と実感する。
あれから日は過ぎ、今日で五日目。
樹の根は驚異的な速さで俺の身体を蝕んでいき、今は左半身が根に絡まれている状態だった。
体内では、というと、手術をしてもどうにもならない程に臓器に絡みついており、今でも俺の感覚お構いなしに締め付けていた。
勿論、与謝野さんの能力を使おうと試みたがあえなく失敗。
それというのも、完治したと思えば翌日、諦めろと云わんばかりに元通りに戻っていた。
「誰も、来んな」
ぽつりと呟けば、口元の呼吸器を外し上半身を起こす。
決して寂しい訳ではない。
事務所の皆も毎日忙しい。やるべきことをやる、それが俺の座右の銘のようなもの。
たかが一人のことに構っていては、仕事は成り立たん。
よって、俺は今の状況下に文句などない。
文句などない。
ない、が。
事務所の皆が忙しいと云っても、社員に一人、不真面目でどうしようもない駄目男がいる。
しかも、
「同性の俺に抱き付くなど...」
未だに引きずっていた。
そんな記憶はいっそ何事もなかった様に忘れてしまえば良かったのだろうが、どうしても其れが出来ずにいた。
忘れられないのは衝撃的な記憶だから、というだけではない。
あの時に相手の口から零れたように発せられた言葉。
『私は、とても心配だ』
あの声音に声量、自分で云うのも気が引けてしまうが、嘘ではないと思った。
本当に、心配してくれていると思った。
「太宰...」
そう思うと、余計相手の顔が脳内から離れずに鮮明に蘇ってくる。
何だろうか、とても複雑な感じだ。
俺はそんなことを思いながら再び横になろうと手を着くと、病室のドアが開かれる音が聞こえた。
「乙女かい、国木田君」
- Re: 【文スト】〜愛スベキ愚カ者達ニ〜 ( No.7 )
- 日時: 2016/06/13 05:56
- 名前: 千羽鶴
にんまりと小憎たらしい表情を浮かべながら、此方を見つめる太宰。
俺が思わず、「誰が乙女だ!!」と突っ込んでしまうと、今度は満足そうな笑みを浮かべながら此方に近付いてくる。
やがて、彼奴はただ笑みを浮かべたまま俺の使用しているベッドの上に腰をかけた。
俺は野良犬のように低く唸る様に、相手を見つめた。
「何の用だ、太宰…。仕事はどうした…」
「いやぁ、それより国木田君。私のことについてそんなに悩んでいてくれたなんて…ッ、私、嬉し過ぎて泣きそうだよ…!」
…何のことだ。
「意味が分からん。怠惰の化身の様なお前などに、俺が悩む訳ないだろう。…悩むのは、お前にどうやって仕事をさせるかだ」
「違う違う」
細く綺麗に整った女の様な指先を、相手は左右に振りながらあっさりと否定した。
「知っての通り、私は君のお見舞いに来たのだけどね?君の病室の前で立ち止まっていたら、声が聞こえるものだから、誰か先客でもいるのかなって。でも、その声、国木田君の声なのだよ」
まさか…。
「君のことだからきっと、内心で思ってたつもりなんだろうけど…
心の声、でちゃってたよ」
俺はそれを聞いた瞬間、全ての力が抜けた様にがくりと項垂れた。
今回に至っては、俺の失態に間違いはない。相手の思惑関係無く、自分で自滅してしまった。
きっと顔を上げれば満足げにほくそ笑んでいる相手の顔があるだろう。
俺は深い溜め息をつきながら、何もしたくないと云わんばかりにベッドに倒れ込んだ。
「あらら…、大丈夫?国木田君」
「煩い…、もう何も云わんでいいから、帰れ…」
「酷いなぁ。私が社員を代表して君のお見舞いに来たんだ、泣いてもいいのだよ?」
「嘘を付け…、どうせ他の奴らに押し付けて来たのだろう。俺のことはいいから、事務所に戻り仕事を終わらせてこい。…来るならば、それからだ」
俺は布団の中で小さく丸まる様に、身を縮こませた。
きゅるきゅると肺や心臓が痛むのが明確に感じられてくる。絡まっている根が、俺の臓器を締め付けているのだろう。
痛い。
奥歯を噛みしめながら耐えていると、布団が引き剥がされ、黒い影が俺を覆った。
「君は君が思ってる以上に繊細で、分かりやすい。そのくせ、いつも強がった様なことを言いながら自分のことを後回しにする。…今だって、本当は寂しい筈なのに心にもないことを言っている。そうだろう?」
「いや、少しは思ってるだろうけど」と付け足しながら、相手は俺を見つめた。
「だからなんだ、俺のことなど構っていたら何もかもが遅れてしまう。俺の所為で関係の無い誰かが傷付いてしまうのは、言語道断、俺の理想ではない」
そうだ。
そうなのだ。
全ては己の理想の為に。命が尽きてしまおうとも、この世に俺が消えてなくなるまで、信念は曲げぬ。
それで良いのだ。
それで、良い。
「ふざけるなッ!」
耳元で発せられた大音量の声。
キンキンと頭の奥が痛くなるくらいの声量に、俺は思わず肩を跳ねさせ相手を見やった。
初めて見た、相手の怒り狂ったような目付き。ひそめた眉に、噛みしめられた歯からの歯ぎしりをする音。
そして何よりも、今の俺の患者服の胸ぐらを掴む、包帯の巻かれた手。
目を丸く見開きながら相手を見つめていると、目元に何やら冷たいものが幾度も落ちてきた。
「何で君はいつもそうなんだ!理想、理想、理想って、自分がもう後数時間で死んでしまうのにまだそんなことを言うのか!?」
「それは…、俺の貫くべき信念であって…」
「君は自分を分からな過ぎだ。そういう自分を無理矢理、理想なんて言葉で締め付けて、私にはそれは正しいものには見えない!」
「君が望む世界は、誰も傷付かない様なそんな世界なんだろう。でも必ずしも良い世界とは限らない。それが人間であり、私だってそんな人間を嫌という程見てきた。どれだけ君が高望みをしても、理想に向かって進むのもいい。でも…」
「大勢の人の為に、君だけが傷付くようなことを、どうしてするんだ…!」
「それは…」
言葉が見当たらない。
…図星、だった。
俺の自分でも見えない暗幕で隠されていた内なる感情を、相手が全て代役してくれたみたいだ。
俺が云うことは、もう何も残っていない。
俺は何処に向けるべきか分からぬ視線を泳がせたまま、沈黙に従う。
「国木田君…、私の思いに気付いてくれ給えよ…」
ぽつりと、消える様に、溶ける様に、零れた言葉。
相手のその言葉に、頭がぼうっとする。
そしてそうこうしている間に、相手の胸ぐらを掴んでいた手はほどけており、俺はベッドに仰向けでいる状態だった。
急いで相手を確認すると、相手はベッドの横にうつ向きながら立っていて。
「また、来ることにする」
そう口にして、俺に踵を返した。
「太宰ッ!!」
俺は手を伸ばし、相手の手を握った。
「太宰…、太宰ッ!!」
全ての力を込めて、相手の手を握る。
痛い、放せ、と云われても離す気は毛頭ない。
ずっと、何があっても握ったままにしようと、そう思うくらいに。
「行くな、俺を置いて行くな…!」
『後数時間で死んでしまうのに…!』
乱歩さんに頼んだのだろう。
あの人ならば、俺の状態さえ知ってしまえばそれが事件ではなくとも余命くらい分かる筈。
そう思うと、いきさつも何もかも予想出来た。
「国木田君…」
此方を見つめた相手は、俺を強く抱き締めた。
それでいて、温もりを感じられるような和らいだ、そんなふうに。
「国木田君ったら…、何、泣いてるの…」
目頭が熱くなり、ぽろぽろと宝石のように落ちていく涙。
泣いたのはいつぶりか。
相手の指先が俺の目元に触れ、涙をすくいとっては泣くなと云わんばかりにそれを繰り返す。
「泣いてなどない…、目に何か入っただけだ…!」
「何それ、ベタだねぇ…。しかも何かって何?」
「何か、だ…!阿呆…!」
こんな他愛のない時間で、俺の最後が埋め尽くされてしまえばいい。俺の最後が、彼奴で終わるのも中々いいと思う。
そう感じる程に、相手の声は俺の中に届いていた。
END
- Re: 【文スト】〜愛スベキ愚カ者達ニ〜 ( No.8 )
- 日時: 2016/06/13 06:06
- 名前: 千羽鶴
終わった…(´`*)
長かったなぁ…、本当にはもう少し早く終わってたのになぁ。
布団入りながら書いてたらいつの間にか消えていることが何回もありw
さぁて、今度は何を書こうかなーと思いながらもう決めた((
今度はまたまた奇病パロで太宰×中也を書きますん。
閲覧してくれた方、ありがとうございました。
- Re: 【文スト】〜愛スベキ愚カ者達ニ〜 ( No.9 )
- 日時: 2016/06/13 11:47
- 名前: 黒兎
[壁]^p^)チラッ
病室の情景が目に浮かぶと切ない(´;ω;`)
奇病系は書いたことないんで勉強になります♪
次回の太中も楽しみにしてます┌(┌^o^)┐