大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 銀土 (注意書き読み必須)
- 日時: 2020/05/21 22:02
- 名前: 月
別に、約束していたわけではない。
俺たちは最近付き合い始め、やっと初デートまで、体を重ねる関係まで行った。
ただ、俺がたまたま会えるかと期待して、馴染みの呑み屋の前をうろうろしていただけだった
そして案の定、ふわふわとした銀色に輝く頭髪を持った男が目の前から来た
しかし、その隣には
花魁と見間違うほどのとても綺麗な女が、男に腕を回して一緒に歩いていた
男は俺の視線に気付くと驚いたように目を開いて、気まずそうに笑った
俺はいたたまれなくて、何も言わず、気付いていないフリをして通り過ぎるのだった
君を忘れられるまで、後〇〇日ーーー
初めましての方は初めまして。
前作から読んでくださってる方はありがとうございます
月、と言います
自分は切甘しか書けないので、これもまた切甘です。
注意
・演出上銀さんとモブ女がおセッセしている、イチャコラしている場面が御座います
モブ、NLが地雷な方は閲覧をお控え下さい
・土方さんの情緒が不安定です
・沖田君が何故か土方さんに対して優しいです
それでもよろしい方はゆっくりしていってくださいね
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- Re: 銀土 (注意書き読み必須) ( No.5 )
- 日時: 2020/05/21 22:31
- 名前: 月
それからまた数日経った頃、いつも通りの呑気な顔で旦那は屯所を訪ねてきた
俺は追い返そうと提案したが、何の用件か聞くぐらいでも良いだろうと近藤さんが言ったので、俺と近藤さん、そして土方さんを含め4人で話し合いをする事になった
「それで、今日はどんな用件で来たんだ?万事屋」
「どうも何も、そこの副長さんに用があって来たんだけど」
名指しで呼ばれてキョトン とした表情で土方さんは旦那を見た
俺はわざと聞こえる声で土方さんに言ってやった
「土方さん、この人が万事屋をやってる旦那でさァ」
そう伝えると土方さんは納得したかのように二、三度頷いて
「お前が万事屋か、総悟から話は聞いてる、いつも総悟が世話になって悪ィな」
そう、旦那に微笑みかけながら言った
予想通り旦那は怪訝そうな顔をして、ちらりと俺の方を見た
俺は旦那から視線を外し、近藤さんに説明するようにちらちらと合図を送った
俺の合図に気付いた近藤さんがこれでもかというぐらいの笑顔で
「トシには、万事屋の記憶を忘れて貰ってる。都合が良いだろう、お前は新しい女を手に入れたみたいだしな。さぁ、大方用件はそれだろう、気にしなくて良いぞ、トシはもう二度と、お前に恋心を持つ事は無い」
笑顔で、しかし言葉の最後の方で眉を顰め、圧をかけながら旦那に説明した
「さて、用件が終わったみたいなので帰ってくだせェ、部外者は本来は立ち入り禁止だったんですからねィ」
俺がそう言って旦那を追い返そうとすると、土方さんが小さく
「銀時…」
と呟いたのが聞こえた
旦那にも聞こえたのか、土方さんに駆け寄ってもう一度、もう一度、と聞き返そうとするが、土方さんは困ったように笑うだけだった
その様子を見た旦那が俺に
「話があるから外へ」
と短く耳打ちをして、出て行った
俺は深く溜息をつきながらも、心配そうにこちらを見る近藤さんに微笑みかけながら、後を追うように部屋を出た
- Re: 銀土 (注意書き読み必須) ( No.6 )
- 日時: 2020/05/25 22:17
- 名前: 月
で、どういう事なの?」
屯所から出て暫く歩いた所で旦那は急に止まり、くるりとこちらに振り向いた
「どうもこうも、俺ァ土方さんを手伝っただけでさァ」
「手伝ったぐらいであんなすっぽり俺の事忘れるわけねぇだろ、どういう催眠の類を使ったんだよ」
どこか不機嫌そうに呟く旦那に、都合が良すぎるだろうと心の中で舌打ちをしつつも簡単に説明をしてやった
「土方さんが、旦那に浮気されて、旦那の事忘れたいって言うから俺は天人から押収した薬を渡しただけでさァ。毒性は無いんで、安心してくだせェ。」
「んな事…」
「してないって言い切れるんですかィ、どれだけ舐めてるんで、土方さんと、真選組の存在を。それに、旦那が良い女捕まえたって噂は、外に出てりゃ嫌でも聞こえて来まさァ。案外世界は狭いんでねィ」
「あれは…ちょっと、土方くんに嫉妬して貰いたくて…」
「嫉妬をそのままぶつけられるほど無神経な野郎じゃねェんで、土方さんは。それに男同士だ、女と浮気しているところを見れば誰だって、女の方が良いのだろうとぐらい思うでしょうけどねィ。旦那は案外頭が悪いんですねィ…」
「でも、それは何も言ってくれないし、甘えてもくれない、恋人らしい事簡単にさせてくれない土方君が…」
「土方さんは悪くねェとは言い切れませんけどねィ、人一倍不器用で繊細な事ぐれェ、旦那なら分かってたでしょ。責任を全部土方さんに擦りつけるのはやめなせェ、どんな理由があろうと、浮気という結果に走った奴は屑同然でさァ」
暫く口論を続けていたが、埒が明かないと思い
「もう、土方さんにとってアンタは、この江戸の中の住民の一人に過ぎないんでさァ。もう、近付いて来ねェでくださいねィ」
と早口で伝えると旦那に背を向け、足早に立ち去った
視界から旦那が消えるぐらいに差し掛かった頃、ちらりと旦那の顔を見ると面白いぐらいに青ざめているのが見えた
今更遅ェんですよ
心の中でそう呟きながら、俺は屯所へと戻った
- Re: 銀土 (注意書き読み必須) ( No.7 )
- 日時: 2020/05/25 22:28
- 名前: 月
屯所に俺が戻ると、心配そうにこちらへ駆け寄ってくる近藤さんと、遠くから見つめるだけの土方さんが居た
心配した、などと言葉をかけてくれる近藤さんを軽くいなして、俺は土方さんの元へ行くと思いっきり抱きついた
土方さんは昔、10年前しか俺に甘えられた事が無かった為物凄く驚いた様な顔をしつつも、俺を抱き締めてくれた
「どうした、あの銀髪に嫌な事でも言われたか」
喫煙者な為か、隊服に煙草の匂いが染み付いていて、いつもなら嫌な匂いなのに何故か今日は、不思議と心が落ち着いた
優しい声色で俺を心配する土方さんが、姉上の姿と重なったような気がして
知らぬうちに俺は泣いてしまっていた
子供の頃に戻ったかの様に土方さんの腕に包まれ、その隊服を涙で濡らし、それでも通常の様に悪態をついていたが、土方さんは何も言わず、俺の頭を撫でてくれていた
涙の訳は、土方さんを思ってなのか、姉上と姿が重なって懐かしんでしまったのか、今までの俺の役割が辛すぎたのか、真相は分からないが、泣いてしまうとスッキリとはした。
暫くして俺は泣きはらした目を擦り、顔を洗ってくると言って部屋から出た
俺が出た後、近藤さんと土方さんが何か話しているのが聞こえたが、内容までは聞き取れなかった
- Re: 銀土 (注意書き読み必須) ( No.8 )
- 日時: 2020/05/25 22:37
- 名前: 月
…総悟が、俺の前で泣いていた
理由はよく分からないが、あの銀髪に何か言われたのだろうか
そもそも、俺を頼るという事自体、今の総悟は珍しくて、昔に戻った様な気でいて、昔のように泣いている総悟の頭を撫でていた
それでも嫌がらないぐらい、弱っていたのだろう
顔を洗ってくると言って部屋を出て行った後、近藤さんが俺によく分からない事を言ってきた
「トシ、万事屋の事、思い出さなくていいのか…?」
何を言っているのかと思ったが、近藤さんの目は真剣だった
俺は困惑し、暫く考えた後
「忘れてるって事は、思い出さない方が良いって事だろ。俺ァ、その銀髪については何も思わねえからなァ…」
と煙草を吸いながら少し笑って返した
近藤さんは俺の言葉を聞いて少しだけ悲しそうな顔をしていたが、それもすぐに戻して
「そうか、まぁ、トシの好きにすると良いさ。俺は、トシの選んだ道を信じるさ」
といつも通りの眩しい笑顔を見せながら俺に言ってくれた
銀髪の彼奴が近藤さんにとってどれだけ特別なのか、俺には分からなかったが、いつも通りの笑顔を見せてくれた近藤さんに安心して、俺も自然と微笑み返した
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