官能小説(オリジナル18禁小説)
- 第三の性~少女愛者への贈り物
- 日時: 2015/08/02 06:01
- 名前: 斎藤ロベール
緒言
二十世紀の後半から人類は、民族や人種によって自分を規定する考え方から実際的に解放されてきた。それは先進国において進んだことだったのだが、興味深いことに、思想が初めにあって生じた現象ではなく、国の経済的な理由から外国人労働者が増えたり、子供が生まれぬために外国人の養子を貰ったり、旅行や留学で知り合った外国人との間に子供が生まれたりといった、社会経済環境に促進されて起こったことだった。混血が増え、一民族内の狭い範囲で通用してきた常識や習慣は、多くが過去のものとなった。
他方、性差に基づく人類の対立は全く混乱を極めてきた。男女の二種類に人類全体は分類できるのである。それは人種や民族などより明確な自分の立ち位置となり得る。染色体の異常による性別確定不可能の人々が、例えば第三の性を主張して結束したことはなかった。ジェンダーという概念を創出して、肉体的な性別から精神生活を独立させる試みがはやったが、女は女の立場から自分を主張していたし、性同一性障害と呼ばれる人々は、社会的文化的規定というジェンダーの枠を超えて、精神的な実存としての男女にアイデンティティーを置いていた。同性愛者は、マイノリティーの権利を主張してきたが、畢竟自分達にしか関心がないようだった。ペドフィリアという人々は、子供の人権という、性とは別の概念によって、その存在に価値を認められないままだった。
こういった経過の中にあって、結婚という行為は十九世紀まで持っていた意味をまるで失った。性愛なども、あたかも方向の狂った本能の残存のようだった。
さて、ここに人類を驚かす事態が生じた。かつてヨーロッパでダウン症が注目されたときに結び付けられた黄禍論のような根拠のない思想は最早なかったが、それは人類滅亡をリアルに予感させる出来事だった。毎年数百万人単位で、生殖能力のない子供が生まれるようになったのである。このタイプに二種類が認められた。どちらも、生物としてより原初的である女性の形態をしていた。一つ目は、思春期に入る辺りで成長が止まるものである。知能も同様だった。二つ目は、思春期になって発見されることが多かった、第二次性徴の現れないタイプである。こちらは知能は平均並みで、体つきに女性的な変化がない分、運動能力は高かった。両タイプとも本格的な性欲を知らなかったが、自分の運命を認めることが、生きる上でやはり大きな課題となった。なお、後者はホルモン治療を継続的に行うと、その間のみ女性化することが分かったため、希望者には投与が行われた。それでも、その妊娠率は低かった。
原因として、化学物質の関与、電磁波や放射線の影響などが取り沙汰されたけれども、分からないままだった。これらの異常は、その染色体の類似から、共にウィルギニズム virginismと呼ばれ、前者がタイプB、後者はタイプAと名づけられた。
ウィルギニズムの第一世代は既に四十代になっていた。彼らの誕生が人類全体にとって不幸ばかりだったかと言えば、必ずしもそうではない。
スポーツでは、性別に対する議論が止まないものの、タイプAが女子の記録を塗り替えていった。議論が止まないのは、女性選手の入る余地がなくなるという主張もあれば、ウィルギニズムの方で、自分達は女性であるとの主張もあり、紛糾したのである。タイプBは、幼い頃にデビューし、息の長い活動をするジュニアアイドルになったし、また、それが発展して新たな人気分野を生むことになった。
さて、ウィルギニズムの誕生から恩恵を受けた者に、ペドフィリアの一群があった。タイプBはそもそも知能が充分でないため、子供同様、保護条例が設けられた。それでも、子供ではないことから、ヌード写真や、一部の風俗産業の対象となりえた。彼らは一概に知恵遅れとも障害者とも言いにくく、自活し独立する法整備が今だに進められている。彼らによって、子供同様の女の体に初めて触れることができたペドフィリアは多くいた。タイプAは、ペドフィリアの在り方に一つの進歩を促したと言ってよい。タイプAは成長しても女らしさがなく、少女の体つきのままであった。スポーツをしていれば、体操や新体操選手のような姿になった。次いで心の面でも、小学生の少女のようであり、女性ほどの細やかさや嫉妬心を持たなかった。それで、ペドフィリアは恐れず彼らと友人になれたのであった。
穿った見方をするなら、同性愛者はその同性愛によって滅び、ペドフィリアはウィルギニズムと共に滅んで、健康な人類が残るというシステムである。しかしなお、ウィルギニズムの存在によって、ペドフィリアたちは異性と社会生活を始めたのであった。精神的な進歩がそこにはあった。ペドフィリアたちはウィルギニズムたちを、第三の性として認知していた。
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- Re: 第三の性 ( No.2 )
- 日時: 2015/07/29 18:16
- 名前: 斎藤ロベール
無自覚の若い自覚
「うちらってさ、何で男湯入っちゃいけないんだろうね。女じゃないじゃん。」
「それはね、アーニャ、男じゃないからでしょ。」
「だけど女湯入ってるし。うちらみたいなののお風呂できないかな。」
「場所の無駄。」
サーシャとアーニャは高校に入ったばかりだった。異なる中学校から上がってきたが、互いの体つきを見て言葉をかけあい、ウィルギニズムだと知った。趣味も似ていることが分かった。それで、早速友人になったのだった。趣味はショッピングと散歩。次にコスプレと同人誌。普段は地味だった。お金があれば旅行なのにねと、二人は、雑誌を見ながらよく話した。今日は遠くない温泉に来ていた。
夏にはコスプレの大会があることを二人とも知っていて、何をやろうか時々相談した。
「女の子キャラ飽きちゃった。」
「あたしもそろそろ男子かな。」
サーシャは褐色がかった肌で、目も髪も栗色。背中まで髪は伸びていた。白く大きな前歯が笑顔によく映えた。アーニャはサーシャより小柄で色は白かった。右が緑、左が青い瞳なのを、猫みたいだと少し気にしていた。加えて、茶色の髪とくりっとした目つきがリスのような印象を与えるので、「ねこりす」というあだなが付いていた。
アーニャは顎まで湯に浸かって
「うちらが女湯に入らないといけない法律、あるのかな。」
「あんた意外にしつこいよね。でも男湯入ったらみんな驚くでしょ。」
サーシャが髪を絞ってそう言った。
「髪うんと切ってさ、タオル腰に巻いててもばれるかなあ。」
「アーニャは顔が女の子だから無理。」
「そういうの、男子に流行ってるじゃん?」
「股はどうするのよ。毛もないんだよ、あたしら。」
「えー? かつらとか?」
二人は笑ったが、危険そうな面白い企画だと思われた。仮に見つかったとしても、大したことはあるまい。それとも、男子が女湯に入った時のような騒ぎになるだろうか。
タコになりそうと、アーニャがざっと湯から立ち上がった。サーシャは、その体を見つめてみた。ふと見ると、同じ湯に入っていた数人の女がやはりアーニャの体を見つめていた。
翌週末、ジーンズに半袖のワイシャツという出で立ちでアーニャとサーシャは男湯に現れた。脱衣場でも声を出さないようにして、淡々と服を脱いでいった。男のように短く髪を切り、更に男っぽくセットもしてきた二人は、幼い中学生と言えば通じる自信があった。目の辺りに少しだけメイクもしてみた。下半身は、前が見えないよう注意しながらタオルで隠して脱いだ。二人とも、男の裸を見るのは初めてだったから、老人が多いとは言え、その違和感にひどく緊張した。
入ってアーニャが、人のたくさん腰掛けている場所にわざわざ腰を下ろしたので、サーシャは驚いたが、その位やらなければ来た意味がないと思い直し、近くにやはり腰掛けた。隣はしかし座れなくて、背中合わせになった。
体を洗い、頭も洗った。髪の形は崩れたけれども、なんとか撫でつけておいた。人の裸を気にする者は案外いないらしく、次第に二人は落ち着いてきた。そして、ちょうど誰もいない露天風呂に向かっていった。日差しの下に出たのと、二人だけになった解放感とに、サーシャとアーニャは顔を見合わせて笑い出した。タオルを首に掛けると湯に浸かった。
「あれって、いろんな形があるのね。」
とサーシャが指で作って見せた。
「後ろから見ると袋が垂れてて、引っ張ったら取れそうだし。」
アーニャもタオルを湯で膨らませ、剽軽にそれを真似てみた。二人は寄り合い、くすくす笑いながら、観察した男の話を始めた。だが、そのくすくす笑いに、音もなく入ってきた人の気配を覚りそびれたのだった。
「何やってんだ、お前ら。」
背後から聞こえた声に、きゃっと女の子そのものの反応をして二人が振り返ると、同じクラスの磐田元気( いわたもとき )が立っていた。磐田は確信があったわけではなかったようで、二人を認めると目を丸くして固まった。アーニャがさっと立ち上がった。そしてさっき話していた内容よろしく、磐田の股間をつかんで引っ張った。湯に引きずり込まれた磐田から手は離さず、アーニャは左右色違いの瞳を見開いて
「でかい声ださないの!」
と、必死の形相で囁いた。磐田は堪らず隣のサーシャにしがみついてきた。
「ばか、騒いでると人がくるじゃない。」
と出来るだけ声を抑えたサーシャも、磐田を抑えようとして咄嗟にアーニャの手の横から握り締めた。芝居の女形のように華奢な磐田には似つかわしからぬ大きさだった。アーニャは緊張のあまり手がつってしまったらしい。離そうとすればするほど、細い指の全力でますます固く締めていった。計らずも生じたこの状況に、過剰な反応を二人の高校生は見せていた。アーニャはのぼせ上がって真っ赤になり、サーシャは怯えて青ざめた。磐田はうずくまって泣いていた。
「もう出よう。」
とサーシャが言った。言うとアーニャの手から中身を力ずくで、部分ごとに引き抜いた。白い汁が先から漏れて浮いていた。二人は、ぐったりした磐田を置いて、そそくさと戻っていった。
入る時は楽しかったが、帰りは気まずい雰囲気になった。うち、もう学校行けないとアーニャは落ち込んでいた。露天風呂で思いきり漏らしちゃったよとも言った。サーシャは慰めるより
「あんた、女みたいなヒステリーがあるんじゃない?」
と友人をたしなめた。
しかし、月曜日にはこの三人はまた学校で顔を合わせた。磐田は二人の視線を明らかに避けていた。
磐田は昼休み、アーニャ一人に呼ばれて、人の来ない被服室に来た。
「悪かったわよ。」
と怒ったようにアーニャが言った。猫リスというものがいたなら、きっとこんな顔ではにかむのだろう。目を合わせないでいる磐田に、ほら、と言ってアーニャはスカートを上げて見せた。何も穿いていなかった。テーブルに腰掛け、脚を開くと片膝を立てて見せた。子供のままの溝が湿った赤い口をあいた。
まだ十六歳の磐田にとって、女の体の実際を知る機会は無かったが、先日目にしたアーニャたちの体は新鮮だった。磐田はやや離れた所から、洗い場の彼女たちを、男ではないと気付いて見ていたのだった。磐田は、膨れたような高校生の女子たちより、細い中学生を美しいと感じ、小学生に対しては尚更そのように思った。そして自分が異常ではないかと悩んでいた。しかし、同い年のアーニャやサーシャにも美しさを感じることができたのだ。磐田は安心した。受けた痛みはひどかったが、彼女たちの手の感触が忘れられず、その日、磐田は随分ひとりで漏らしたものだった。
放課後、サーシャが心配して磐田のことを尋ねると、アーニャは
「あの子、触る前に舐めてきたんだよ。変態だよ。そのあと、おなかの中掻き回されちゃった。でも仲直りした。」
と答えた。
サーシャは、磐田をコスプレに誘って、女役をしてもらおうと提案した。アーニャはまだ痛む下腹を押さえながら猫リス顏をして、もっと女を仕込んでやらないとと、意地悪そうないひひ笑いをしてみせた。
- Re: 第三の性 ( No.3 )
- 日時: 2015/07/29 21:23
- 名前: 亞狗兎
読みづらい…
- Re: 第三の性 ( No.4 )
- 日時: 2015/08/02 05:44
- 名前: 斎藤ロベール
進学予備校
リュボーフィは今年十五歳になったばかりだった。胸が大きくならないのはスポーツのせいかと思っていたが、同級生に彼女以外、生理のない子がほとんどいないのを怪しく思った親が検査を昨年受けさせたところ、ウィルギニズムだと分かった。幸い妹は健常だったので、親の悲しみは幾分やわらいだのだが、本人のショックは大きかった。ホルモン治療で女性として生きていけるし、子供も産めるだろうという医者の言葉が慰めにはなった。しかし、よく考えてみれば、家庭を持つことに興味がある訳でもなく、スポーツも既に女子とは差がついてきて、このまま記録を伸ばしていける。他のウィルギニズムの先輩や後輩など、知り合いもいる。どうなるか分からない将来に不安を持つのはやめようと思った。何より今年は受験で忙しい。生まれた時に検査して分かっていたのだったら、こうも慌てることは無かっただろうにと、少し親を恨んだ。
短距離の選手としてスポーツ推薦の道もあったが、リュボーフィはもう少しレベルの高い高校を狙うことにした。突如、人権や精神医学、また哲学に関心が向き、勉強したいと思ったのである。それでリュボーフィは高校受験の予備校に通い始めた。それまでスポーツばかりして勉強に気が向かなかった分、知識の吸収は速かった。
公民の講師である藤枝永吉をリュボーフィは尊敬した。藤枝は落ち着いていて、何でも知っているように見えた。痩せて口髭を短く生やした三十初頭の男だった。服装に気を遣うたちらしく、ブランドものなど着ないのに垢抜けていた。藤枝と講義中に目が合うと、リュボーフィは決まって頬笑んだ。この藤枝がペドフィリアだったのである。予備校は大学受験の高校生と、それに近い年齢の高校受験の生徒ばかりだから、藤枝は心を揺さぶられることなく、仕事ができていた。但し家では、少女の画像や、タイプBのヌードと、インターネットで買い付けたその下着などをたくさん持っていた。勤めてまだ二年、講師としての人気はまずまずだった。人付き合いを好まなかったが、生徒に対しては気さくであった。
リュボーフィは講義が終わると藤枝によく質問しに行くようになった。子供らしい尊敬と好感から藤枝に憧れた。この年齢の女子生徒としては開放的すぎる態度だったろう。そもそもウィルギニズムとはそういう存在なのだった。そして、リュボーフィの純粋な信頼は藤枝の心を打った。また、普通なら自分を押し返す女の重みを彼女から感じないのを藤枝は不思議に思った。
夏休み、夏期講習の初日が台風で休校になった。予備校のメールで知らせを受け取ったリュボーフィは、自分の所に警報が出ていないのを見て、確認のため電話してみると、藤枝が出た。遠方から来る生徒の状況も考慮して、予備校はやはり休みになるそうだ。非常勤講師の藤枝は今から帰るのだという。うちで勉強しておくよう電話口で言われたが、一度ウィルギニズムについて藤枝と話したいと思っていたリュボーフィには、その時が今だと思われた。それを正直に伝えると、藤枝は会うことを承知した。
結局、喫茶店に入るまでに随分降られて、リュボーフィは、傘をさしていた上半身も濡れたありさまだった。コーヒーを飲んで待っていた黒い背広姿の藤枝は、リュボーフィの格好を見ると、着替えなければならないから家まで送ると言い、勘定を済ませて車に誘った。話は道道すればよいとも言った。リュボーフィは助手席のドアを開けた。
迷惑かけてごめんなさいとリュボーフィは藤枝に謝った。探究心があって結構だと藤枝は言いながら、コンビニを見つけて駐車した。そして、タオルとティーシャツを買って戻ってきた。
「下はどうにもならん。」
と冗談めかして笑い、リュボーフィに手渡した。
- Re: 第三の性 ( No.5 )
- 日時: 2015/08/02 05:58
- 名前: 斎藤ロベール
リュボーフィは濡れた長い髪をまず拭くと、部活動の時するように後ろに縛った。それから青のワイシャツのボタンを外し始めた。下は裸だった。驚いた藤枝は車を発進させ、人に見られないよう脇道に入った。平気で前をはだけたリュボーフィが言った。
「何にもないから見ても大丈夫ですよ。」
男子よりずっと華奢な、しかし同世代の女子とは違う裸だった。胸は、何にもないのではなく、小さな乳首の周りだけ盛り上がっていた。リュボーフィは体を拭き、ティーシャツを着た。乳首がはっきりと浮かんでいた。
「こんな体、気持ち悪いですか。」
不安になったリュボーフィが尋ねてみた。藤枝は車を再び発進させていた。答えを待つリュボーフィに藤枝が、君は自分がウィルギニズムだとは言わなかったじゃないか、でもかっこよかったよと呟いた。藤枝がタイプAの体を直接目にしたのは初めてだったのだ。安心した様子でリュボーフィは脚を拭き始めた。濡れたスカートを捲ったままにして
「下は女の子と同じなんで見せられません。」
と笑い声を上げながら言った。ちらと藤枝がそこに視線を送ると、黒い縁取りのあるパンツの中心に溝ができて、布を挟み込んでいた。リュボーフィは腿をタオルで隠した。
雨が一層強くなってきていた。おうちで心配しているぞと藤枝は言ったが、おとといから親戚に出かけて皆いないのだと返した。リュボーフィは、大学での自分の夢を話した。藤枝は、まず高校で身を以ていろいろ経験しておくことだと答えた。そして、ウィルギニズムであることが自分個人にとってどの程度重要なのか考えなければならない。それは君の属性の一つに過ぎない。藤枝はそう言った。それから、藤枝はペドフィリアについて話し始めた。リュボーフィはその存在を知らなかったが、ペドフィリアの起こす性犯罪に深く考えさせられた。
「性欲から解放されているなんて、ウィルギニズムは最初から宗教の修行をワンステップ登っていて、ずるいじゃないか。」
藤枝がおどけて言うと
「あたしエッチですよ。」
と答えた。続けて
「子供とセックスできたらペドフィリアの人は満足なのかな。でも、子供が、あ、子孫が欲しくてするわけじゃないんだし、子供はきっとセックスなんて嫌がるだろうし。一方通行の欲望だなあ。それから、子供は女性に必ずなっちゃいますよね。あと、ペドフィリアの人は集まって権利とか訴えても、別に子供とそれで付き合える訳じゃないから、結局ばらばらで意味なくないですか。」
「そう。だからせめて、女子の古着やトイレなんかの物を自由に配給するか、売っていいことにする。女子は儲かる。ペドフィリアは喜ぶ。結果的に犯罪も減る。」
「それは変態です。」
「じゃあ去勢だ。」
「去勢って何ですか。」
「自分で調べてごらん。」
風が強まる中、車はリュボーフィの家に着いた。上がって話しましょうと誘ったが、藤枝は断った。ちゃんと見送りしたいから、着替えるまでコーヒー飲んで行ってくださいと藤枝を引き止めた。藤枝は、玄関でぼそりと
「僕もペドフィリアなんだ。」
と言った。リュボーフィは、言ってはいけない冗談があると、藤枝を部屋に通し、にこやかに奥へ入っていった。
ぽつねんと部屋に座って考えていた藤枝の鼻をコーヒーの香りがくすぐった。ちょっと来てくださいというリュボーフィの声に呼ばれた。
台所にリュボーフィがすっかり裸で立っていた。子供の形だから、見てくださいと俯いて言った。
「だから駄目なんだ。」
と声を幾分荒げて藤枝が叫んだ。藤枝の言葉は、衝動を我慢できない藤枝自身が駄目だとも、俯くリュボーフィが駄目だとも、またリュボーフィを俯かせた藤枝の行為が駄目なのだとも取れた。しかし、藤枝が目を離せないでいるのをリュボーフィは覚った。ペドフィリアの実際をウィルギニズムが体験している稀有な瞬間だとリュボーフィは感じて胸が高鳴った。
リュボーフィは裸のまま近づくと、藤枝を椅子に座らせた。ウィルギニズムの体を知っておいてもらいたいと言って、真向かいに立ったが、辞書があるのをテーブル横の棚に見つけて、手に取った。藤枝がこちらの目線を気にしないで済むだろうと思ったからでもあった。リュボーフィは男の視線を感じた。脚のあいだが痒くなってきた。かっこいいなと藤枝の声が聞こえた。
「見るだけなら画像でもできます。あたし生きてるんですけど。」
喉につかえた言葉で言い放ったあと、辞書を顔の前にしているリュボーフィの胸の先が指を感じた。しこりになっている辺りを強く摘ままれた。
「痛いです。」
やめろとは言わなかった。それから、指は臍に触れた。リュボーフィは次のことを予想して、藤枝がしやすいように脚を広げてやった。片手全体が温かく触ってきた。さすられてくすぐったかった感覚が、開かれると涼しさに変わった。藤枝はどうしても見たいらしく、椅子から下りて頭をそこに近づけてきた。ところが、辞書を引き当てたリュボーフィが急に笑い出してしまった。腰が大きく動いた拍子に藤枝は床に倒され、その顔をリュボーフィが跨ぐように続けて倒れこんだ。顔に体重がかかるのを防ぎながらも、その両手で藤枝は広げて見ようとしていた。自分の心を謂わばさらけ出している藤枝にリュボーフィはほっとした。喜びから笑いがまた込み上げてきた。その声で
「先生、あたし去勢の意味わかりました。やってみていいですか。」
リュボーフィは、藤枝のズボンに片手を入れると摑みあげ、ズボンはもう一方の手で引き下ろした。
この日、男の造りの大部分を彼女は詳しく体で知った。
翌日からも藤枝に対するリュボーフィの尊敬は変わらなかった。あんなことならいつでもしてよいと思った。また、ウィルギニズムであることの価値を認められた自分を内心自覚していた。この気持ちをうまく藤枝に伝えられたらと思った。
藤枝にとって、これは恋であった。何をしたらよいのか分からなかったが、体も開いて信頼してくれるリュボーフィを大切にしようと思った。虚しさの砂漠が潤って、明日への活力が新しい自分に湧いてくるのを藤枝は感じていた。
- Re: 第三の性~少女愛者への贈り物 ( No.6 )
- 日時: 2015/08/02 10:02
- 名前: 亞狗兎
だから!読みづらいです!
- Re: 第三の性~少女愛者への贈り物 ( No.7 )
- 日時: 2015/08/03 09:49
- 名前: 斎藤ロベール
粛々と進めます・・・。
- Re: 第三の性~少女愛者への贈り物 ( No.8 )
- 日時: 2015/08/03 18:03
- 名前: 斎藤ロベール
神話と昔話と馬鹿騒ぎ
画家の焼津啓( やいづひらく )が女性モデルを募集したところ、二人のウィルギニズムしか期日までに来なかった。それも、来たのはタイプAとタイプBだった。タイプAは二十歳の大学生で、民俗学を勉強していると言った。調査研究にゼミで行くのにお金が要るので、長期のアルバイトとして雇って欲しいという。いかにも性格が明るそうな、溌剌とした金髪碧眼だった。ヌードだよと焼津は念を押したが、全然かまいませんと答えた。タイプBの方は、もう二十五になるそうで、仕事がないから困っているとのことだった。以前は子供服のモデルをしていたという。こちらも金髪碧眼、すらりと美しかった。タイプBは全く焼津の募集内容にそぐわないのだが、二十五歳の子供という異様な対象を何かのテーマにできるかもしれないと、雇うことにした。
大学生は名をカーチャと言った。二十五歳の子供はマリーナと言った。狭いアトリエにいるのはいつでも焼津一人だけだった。焼津は二人を一度に呼んで裸になってもらった。悪いねと、五十を過ぎた近眼の画家は二人の体を、近寄ってまじまじと見た。そして面白いものだと感心した。丈の違いこそあれ、全体的によく似ていることが分かったのである。カーチャの体は、男ではもちろん、女でもなかった。肩が華奢なところは女性的なのだが、腰も細いのである。高校ではテニス部だったという。その筋肉の確かにある臀部は少年のようにも見えた。だが、前に回ればペン先に似た少女の性器だった。前の骨にも女性的な盛り上がりはなかった。マリーナの体はただ単に小学生の高学年であった。少女の体になど、焼津はこれまで関心を持った試しがなかったのだが、いま二人を比べてみると、ウィルギニズムの体が、なにか人間の本来の姿を示しているかのように思われた。もしくは、未来の姿であった。原罪以前の、アダムからエバがまだ分けられていなかった人間の身体を、キリスト信者の焼津にそれは彷彿とさせるのだった。男女はいずれ融合し、彼らのような形になるのだろうか。こうして、焼津に創作テーマが与えられた。
男を一人と女を一人、描きたす必要があると焼津は思った。女のモデルは募集し続けることにしたが、さて男をどうしたものか。焼津の脳裏に、知り合いの四十代半ばの男が浮かんだ。農業とアルバイトで暮らしている独り者だったから、時間の融通がきくはずだと考えた。案の定、声を掛けてみたら二つ返事で引き受けた。ところが、他のモデルを男とばかり思っていたので、アトリエに来て裸の二人を前にしたこの男は大変たじろいだ。ウィルギニズムの二人は、天性の子供らしさから男とすぐ親しくなろうとし、その場で男を裸にさせてしまった。この男、島田安春はペドフィリアだった。
初日から島田は失態をした。脱いだそばから勃起したのである。それをいつまでも収められないで、二人にげらげら笑われた。お世辞のつもりだったのか、カーチャから、凄いですねと言われた。焼津は、素人だから仕方がないとして、島田にトイレでしてくるように言った。マリーナが、何をしてくるのと聞いたが、さすがにカーチャは恥ずかしがって言えなかった。手伝ってくれよと言う島田を焼津が叱りつけた。その後もたびたび同じことがあり、アトリエのメンバーは、そういう島田さんを自然なことだと受け入れていった。
- Re: 第三の性~少女愛者への贈り物 ( No.9 )
- 日時: 2015/08/03 18:10
- 名前: 斎藤ロベール
仕事が終わったある日の午後、マリーナとカーチャが島田に向かって、おうちへ遊びに行きたいと言いだした。島田は喜んだ。ペドフィリアの島田に女は無論いなかったし、仕事を除けば友人などいない人付き合いの悪さだったから、気安くしてくれる二人が嬉しかったのだ。
二人はケーキを持って現れた。家に入ると島田の前ですぐ裸になった。島田はあまり驚かない自分に却って驚いたものだが、違和感がないのは、三人が集まっているとき、服を着ていたことがなかったからだと分かった。島田も着ているものを全て脱いだ。一枚でも身につけているほうが、恥ずかしいくらいに感じた。
せっかくだからと、島田はワインを出してきた。無農薬で有名な商標のある高価なワインだった。三人はケーキを食べながら乾杯した。
「今日は立たないんですね。」
カーチャが言った。何がと島田が聞くと
「おちんちん」
とマリーナが口にケーキを含んだまま返した。
慣れてるからなと、太り気味の腹の下で小さくなっているものに目を向け、島田は言った。
「もしここに普通の女の人がいたら、立ってましたか。」
「どうかな。君らだから、あんなに立ったんだよ、むしろ。」
「ロリコン。」
マリーナがにやりとして言ったのに続けて
「そうそう。それそれ。」
と島田はあっさり言った。
「あたしたち、狼のいるおうちに来た赤ずきんちゃんだね。」
と、マリーナは三杯目のグラスを空けた。どうやらマリーナは酒に強いらしく、飲む速さも尋常でなかった。しかも酔うのに乱れなかった。
なんで立たないんだろうと、カーチャが後手を突いて残念そうに言った。島田さんらしくないですよと、酔った目つきで加えた。
「女子大生のセリフじゃないよな。もう酔いやがって。」
「御神体のこと調べてるから、本物をよく知りたいんだって。でも、ほっといていいですよ。カーチャ、あんた、明日のジョーって昔の漫画知ってる? コーチが酔っぱらいで、選手もパンチドランカーっていう酔っぱらいにみんななっちゃうの。」
マリーナは話題を変えたいらしかった。
「ジョーは立つのにさ。」
博識なカーチャは漫画も知っていて、話は逸らされなかった。
「ジョーのファンに怒られるぞ、お前ら。」
島田は二本目を取り出して開けた。二人に注ぎながら
「ロリコンはセックス魔じゃないからな。」
と呟いた。カーチャが、どうだか、と言って、立てた膝を開いてみせた。人差し指と中指で広げて
「こちらに御神体の入る穴が見えます。」
そう言いながら自分でも覗いた。
しかしすぐ
「うわ、この姿勢だと臭い。あたしのが臭い。」
と、手つきはそのままで大袈裟に言った。それを見たマリーナは嬉々として
「知ってる。それ、エロいお姉さんのポーズだ。」
と叫んだ。立ち上がると、知っているありがちなポーズをやってみせて笑った。
島田は、ちょっと嗅がせてと、カーチャの脚のあいだに顔を持っていった。カーチャは上を向いて、はははと楽しそうに高笑いした。島田は、開いているカーチャのそこを触って押してみた。穴が見えなかったからである。下のほうに力を入れると、親指が刺さるように肉に隠れた。カーチャは痛いと腰を引き、同時に
「ほら、立ってる立ってる!」
と、指差してマリーナに見せた。
「嗅いだら立った。やっぱり変態さんなんだ。」
マリーナが片手をひらひらさせながら、もう片方の手で鼻をつまんだ。
当たり前だろと島田は言って、自分のグラスに注いだ。カーチャはいきなりごろりと横になった。腹這いで寄ってきて島田のあぐらの上に頭を置いた。
「お前、酒癖すごく悪いだろ。」
「捕まえた。もう離さない。」
カーチャは言って、硬い島田のものを握り、頬に寄せた。間近に眺めて口に当てなどしていたが、やがて深々と寝息を立て始めた。
「ちょっと、あたしも抱いて。」
立って飲んでいたマリーナがグラスを持って来た。島田の腿を跨いで座った。島田は手をマリーナの尻の下に入れて、子供にも本当に穴があるのかどうか、カーチャにしたことを試してみた。中指が探し当てて入った。深く差し込むと、奥に届いた。我慢しているのか固く抱きついて、しかし島田のしたいようにさせながら、マリーナは、あたしたちの絵はどうなっていくんだろうと真面目な疑問を口にした。焼津が話してくれたアイデアをマリーナは耳元で島田に語り始めた。マリーナのよく通る綺麗な声を聞いているうちに、島田は快く酔いが回って、あぐらをかいたまま眠ってしまった。
島田は夢を見た。神がアダムを創った場面だった。神は人を男と女とに創りたまえり。そう聞こえた。しかしアダムは男でも女でもないように見えた。しかも、アダムは何人もいて、親と同じ顔形の子供を自分で産んでは死んでいった。人が一人なるは良からず。アダムたちに変化が起きた。アダムから生まれる子供に、男女の別が生じたのである。それから男女は二人で子を生むようになった。男がアダム、女がエバと呼ばれた。エバが蛇に誘惑され、そのエバにアダムが誘惑された。アダムの時代の名残から、子は親と同じ名前を継いでいたが、誘惑ののち、人は次第に親に似なくなっていき、何世代かすると一つの名を冠した一族は滅びた。また、男女の分業が進み、性はますます乖離していった。人間は、時代が下るにつれ、一人一人違っていることを互いに喜ぶようになった。
ところが神は、ばらばらになっていく人間をも良しと見た。それどころか、その創造性の進歩を頼もしく思った。蛇に誘惑されながら、蛇とは異なるもの、それまで存在しなかった何かが、いつか生まれるという希望を神は楽しみに抱いた。
一方で、人類が混乱を自分で解決に導く助けを神はいくつも与えてきた。今、神の手の中に、取り置いておかれた古いアダムがあった。ウィルギニズムだった。神はそれを人類に注入した。
- Re: 第三の性~少女愛者への贈り物 ( No.10 )
- 日時: 2015/08/03 18:37
- 名前: 斎藤ロベール
島田はそこで目が覚めた。彼女たちは二人とも島田の横で眠っていた。神様の顔が焼津だったような気がしたが、もう思い出せなかった。まだ全く酔っていた島田は、トイレに行こうとして、ふと目覚めの勃起に気が付いた。島田は思い出したように、カーチャとマリーナの中に入った。どちらも確かに処女であった。長い時間、中で動き続けたが、誰も起きずに寝たままだった。トイレに立たず、用は全部カーチャの腸で済ませた。穴と人を替えては、三度目、四度目と熱を入れていた島田も、そのうち疲れて眠ってしまった。
翌朝おそく、三人はばらばらと目を覚ました。一番にカーチャは気持ち悪いと言ってトイレに立った。マリーナは、迎え酒だと言ってグラスをあおった。島田は頭がぼんやりしているだけで、酔いはなかった。
戻ってきたカーチャはばたりと島田の上に倒れかかり
「食べてないから吐けません。」
と唸った。汗なのか、吐いたものなのか、ほどけた腰まである金髪が濡れていた。
「お前ら、今日はどうすんの?」
と島田が聞くと、予定は全然ないからもう一日やりましょうと答えた。カーチャは勢いよく起き上がって、ワインを飲んだ。
「お尻がすごく痛いんだけど。お尻っていうか、御神体の・・・」
アルコールが回り返して赤い顔をしたマリーナの言葉を遮るように、あたしもとカーチャは声高に同意してから
「下痢がひどいの。」
と尻に手を当てた。切れてるでしょと島田に突き出した。島田はその下の違う切り傷を見て、したことを少し思い出した。ワイン片手に、横にいたマリーナが同じ所を見つめた。マリーナは、にやりとしたおよそ子供らしくない笑顔で
「やりましたね。」
と島田に言った。そして
「赤ずきんちゃんは、狼に食べられてしまいました。」
と言って笑ってから
「本当にそういう話だっけ?」
と、グラスをからにした。
「ハンターが来て狼の腹を裂いて、代わりに石詰めて、井戸に沈める。俺もそうなるのか。」
「前のはペロー、後のはグリム。女の子が裸で逃げてく話もあるわ。お尻の穴出させたまま二人とも無視しないで!」
カーチャが叫んだ。
「ご馳走をもらった狼は、お婆さんと赤ずきんちゃんと仲良く暮らしましたとさ。もう悪さをすることもないでしょう。ちゃんちゃん。今風でしょ? はい、穴は仕舞って。」
そう言ってマリーナは、乙女の印の傷ついたカーチャのそこに人差し指を突き入れた。カーチャは痛いと尻をひねってから
「穴が違う。御神体の穴は今いいの。お姉ちゃん、分かってやってるの?」
カーチャはまじめに酔いの戯言( たわごと )を口走っていたが、マリーナをお姉ちゃんと呼ぶのは普段からのことだった。
「何か温かいものでも作るか。」
島田はそう言って立ち上がり、マリーナに手伝わせて簡単な鍋料理を拵えることにした。
「あたしにも島田さん、はいれましたか。」
島田のほうは見ずに、小学生の明るい声でマリーナが聞いた。
「うん。中が伸びるみたいだった。」
「気にしないでときどき入れていいですよ。あたしも、あるものは使わないと。」
他人事みたいに言った。性行為ではないのだなと島田は思った。
鍋が出来ると、改めて飲み直し、ということになった。カーチャは横になっていた。島田がもう一本、赤ワインを持ってきた。
「ロリコンに乾杯!」
マリーナがグラスを挙げて言った。
「ロリコンて言うな。ウィルギニズムに乾杯!」
島田が言うと今度はカーチャがむっくり起きて
「人類に乾杯!」
と言った。杯を交わした後で、いいモデルの女の人、来るのかなとマリーナが呟いた。
焼津の絵は順調に進んでいった。こんなに息が合って仲のいいモデルはいないと、焼津も描きやすいようだった。
島田は、佇むマリーナとカーチャの脇に座るポーズを取り、見た夢のことを考えた。彼女たちに心で傅いていた。その敬虔な思いはアトリエに雰囲気として漂い、焼津の筆をまた進ませた。この絵を完成させることになる女性のモデルを皆待ち遠しく思っていた。
- Re: 第三の性~少女愛者への贈り物 ( No.11 )
- 日時: 2015/08/04 20:20
- 名前: 亞狗兎
読みずらいから、直した方がいいかと・・・
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