官能小説(オリジナル18禁小説)
- 結局最後は仲良し(BL)
- 日時: 2017/05/21 21:37
- 名前: ねむ猫
どうも!ねむ猫です!
これはとある不良とヤクザのお話です。
- Re: 結局最後は仲良し(BL) ( No.1 )
- 日時: 2018/04/25 20:04
- 名前: B
ベッドボードに凭れ、汗で額に貼り付いた前髪を掻き上げる…
金色に近い茶髪…
地色の黒髪が地肌からそれを僅かに持ち上げていた…
「またぁ指名していぃ?〜」
年甲斐もなく甘い声を出す“おばさん”…
俺は精一杯の作り笑顔で頬を上げる…
「いいんですか?…俺なんかで?…」
性欲に飢えた中年女…
俺はほぼマグロだった…
「何ぃ言ってんのぉぉ〜私、若い身体が好きなのよぉ〜」
そう言って身体を密着させてくるおばさん…
その手は俺の下半身をまさぐってくる…
「あの…延長料金掛かりますけど…」
俺の言葉なんて耳に届いてはいないおばさんは、シーツの中にその身を潜らせた…
- Re: 結局最後は仲良し(BL) ( No.2 )
- 日時: 2018/04/05 23:29
- 名前: B
皺になったYシャツに袖を通し、尻ポケットに紙幣を押し込む…
¥68,000…
平常時よりも頑張ったのだから当然の額だけど、俺の手元に入るのはこの1/3にも満たない…
ラブホを出た所で…おばさんとのお別れの口づけ…
次に指名して貰えれば指名料は丸々俺の懷に入るのだから、これも仕事だ…
それでもおばさんの姿が見えなくなった処まで来ると唇を手の甲で拭い、地面に向かい“ペッ”と唾を吐く…
事務所に連絡を入れる前に公園に寄り道…
このラブホを使う時には必ず立ち寄る俺にとってはお気に入りの場所だ…
いつもの木製のベンチに座り炎を灯す…
上がっていく紫煙を見詰めると、蒼い夜空に浮かんでいたのは…朧月だった…
- Re: 結局最後は仲良し(BL) ( No.3 )
- 日時: 2018/04/06 07:44
- 名前: B
「サボってんじゃねーよ…」
朧月に被る男の顔…
テツと呼ばれる事務所の舎弟だ。
「一服ぐらいさせてくださいよ;…こっちは延長でクタクタなんですから…」
3度の射精…
男は女と違って割りが合わない…
「まぁ、お前はトンズラなんか出来ねーことは分かってるけどな…」
そう言って缶コーヒーを差し出すテツ…
こんなもんを用意してくれていたなんて、ラブホの前で見張っていたに違いない…
「勘弁してくださいよ;…もうあんな目に合うのは懲り懲りなんですから;…」
お仕置きと称した強姦…
本来、俺にはそういうケは無い…
「よく言うぜ…あんなによがっていた癖によ…」
皆の前での見せしめ…
当然このテツにも見られていた…
「それゃあ性感帯を刺激されりゃあ…誰だって;」
男とはそういう生き物だ;…
そうじゃなきゃ、こんな仕事…やってはいられない…
- Re: 結局最後は仲良し(BL) ( No.4 )
- 日時: 2018/04/06 20:33
- 名前: B
製薬会社の社長の息子…
組にとってこの冴島シンジは、将来いい金づるになるであろうカモだった…
そんなシンジのことを逃がさないよう証拠を残す…それがあのお仕置き…
事務所と称した組の金庫には、あの時に収められたDVDが大切に保管されていた…
「シンジはよ…男相手の方が客が着くんじゃねーの?…」
テツの脳裏には、今だあの時のシンジの姿が焼き付いていた…
「馬鹿言わないでくださいよ;…俺にそんな趣味はありませんから…」
確かにあの時は射精に導かれてはしまったものの、男と寝るなんてことは2度とごめんだ…
「だよな…シンジは金に困っている訳でもないんだもんな…」
お金持ちのお坊っちゃんであるシンジが、何でこんな仕事をしているのか?…テツは今でも分からなかった…
- Re: 結局最後は仲良し(BL) ( No.5 )
- 日時: 2018/04/08 15:24
- 名前: B
只の親への反抗…
世間から“お坊っちゃん”と呼ばれることへの嫌気…
そんな詰まらないもんで“不良”と呼ばれる人種になってしまったことは自分でも分かっていた…
「親と俺とは関係ないですよ…現に金にだって困ってますからね…」
家出同然で飛び出して以来、学校にだって行ってはいなかった…
「お前はお前でいろいろあるって訳か…若さ故の悩みってやつだな…」
そう大して年齢は変わらないだろうに、テツはこうやってよく歳上面をする…
「はいはい、俺はまだまだ子供ですよ;…」
肩を竦めておどけて見せる…
テツの前では素直になれる…
「その子供が中年女と延長か?…ヤってることは17歳とは思えねーけどな…」
テツの笑顔を見ると癒される…
俺は普通の17歳の少年に戻り、笑顔を返した。
- Re: 結局最後は仲良し(BL) ( No.6 )
- 日時: 2018/04/11 15:44
- 名前: B
松坂哲也…
哲也の也を取って、皆に“テツ”と呼ばれるのは子供の時からだ…
考えてみると初めは俺もシンジと一緒…
親と世間への反抗心から不良になり、そのままずるずるとこの世界に入ってしまったんだ…
それゃあ初めは自分の入った組が、資金源として売春行為の斡旋をしているなど思いもしなかったけど、これも今の世の中…こういうことをしていかないと組も生き残っていけないことをテツも分かってはいた。
だけどテツのような下っ派にはそこで働く少年を街中でスカウトしてくることしかなく、そんな毎日に嫌気が差していたことも事実だった…
それも冴島シンジに出会う前までは…
組では上玉と言われるシンジ…
それは勿論、製薬会社の社長の息子ということもあるのだけど、それだけではなかった…
どこか影のあるその容姿には惹かれるものがある…
それでいて無垢な普通な少年…
とてもこんな仕事をしているとは思えない擦れた感じがしないところもシンジの魅力だ…
シンジが組で働くようになって、自分自身の中で何かが変わったことをテツも分かっていた…
テツにとってシンジは気になる存在として自分の中に大きく蔓延っていることを自覚はしていたのだ…
- Re: 結局最後は仲良し(BL) ( No.7 )
- 日時: 2018/04/25 20:03
- 名前: B
渋谷センター街の裏路地…
あの日…
家出してきたばかりのシンジは途方に暮れていた…
ビル群の上に見える灰色の夜空に立ち登っていく紫煙を見上げながら膝を抱えるしかなかった…
「ちょっといいかな?…」
そんなシンジに向かい声を掛けてきた男…それがテツだった
「話すことなんてありませんけど…」
無愛想に応える…
こうしている間中、何人もの勧誘に声は掛けられていた…
「いや、こんな時間に青学の生徒が珍しいなと思ってさ…」
確かに俺は制服を着たままだった…
校則に緩いお坊っちゃま学校とはいえ、こんな時間に制服姿で繁華街にいるヤツなんて誰もいやしなかった…
「これ、別にイミテーションじゃありませんよ…」
有名校の制服を買い求め、そこの生徒に成り済ますやからがいることは知っていた…
「だと思うよ…君、見るからに金持ちのお坊っちゃん感が漂っているからな…」
シンジにとっては言われたくはないその一言…
つい反撃に出てしまう…
「別に親なんか関係ありません…俺は何だって出来ますから」
「そう強がることも無いさ…君みたいなお坊っちゃんは、いざとなったら親に泣き付くに決まってるさ…」
何でもお見通しとでも言った風にニヤつく男…
よく見ると歳は俺と大して変わらない…
「そういうことはその”いざ“という時に判断して貰えます?…」
こうして俺は、この訳も分からぬテツの口車に乗って…身体を売る仕事を始めてしまったんだな…