官能小説(オリジナル18禁小説)

電子からの-某生主とリスナー-(NLr18
日時: 2018/10/21 04:53
名前: ワイト


   お試しnlです。
   お試しなので、どこまで表現出来るかな---



 ※ ワイトと、白楼雪は同じ人物なので、おきになさらず。

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Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.5 )
日時: 2018/09/22 00:23
名前: ワイト

「ミツハ…と、うん。これからよろしくね」
優しい声と
キーボードを叩く音。
お互いに顔もわからず本当の名も知らないというのに、なぜこんなにも落ち着くのだろう。
穏やかなBGMのせいだと、蜜羽自身の心を誤魔化す事にした。
そうしないと自身を納得させる事など出来ないと思えたのだ。
暫し流れる穏やかな時間。
しかし、このまま互いに無言というわけにもいかないだろう。
「何か、話題はないかな。やっぱり私から振った方が良いよね」
そうは思ったもの初めて話す人と突然話題なんて---。
初めて話す相手と共通の話題など、せいぜい天気の話題くらいしか思いつかない。
だがそんなものは、すぐに会話が途切れてしまいそうだ。
何せお互いの事など、まだ何も知りはしないのだから---。いや、だからこその話題があるではないか。
数十秒の無言の時は、彼の方も言葉に詰まっているからだろう。
蜜羽は僅かな勇気を胸に文を打ち込む。
『主さん、質問しても良いですか?』
そう、互いを知らないから豊富に話せる話題。それは質問である。
知らないのなら聞けば良いのだ。そして共通点を探せば話題に苦労もしたりはしないはずだ。
「質問?良いよ。あと、主さんじゃなくて、紫(ムラサキ)って呼んでくれても良いんだよ?」
明るく答えるその言葉にある『紫』とは、彼のコテハンである。
親しみやすい返しに蜜羽の表情も和らいでいった。
「えっと、でも、質問って何を聞けば良いんだろう」
話題を考える事でいっぱいだったため、肝心の質問について考えていなかった。
「とりあえず、定番のもので良いよね。『紫さんの好きなものは、なんですか?』っと…」
先ほどより柔らかくなった動きで指先から文字を打ち込み、微笑みを浮かべながら紫の言葉を待つ。

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.6 )
日時: 2018/09/24 02:11
名前: ワイト

温かなパソコンの温もりと紫の選んだBGM。
それらを味わいながら待っていると、彼の言葉とともに新たな変化が訪れた。
「俺は煙草と、女の子が好きかな」
紫のからかいを含んだ言葉よりも、蜜羽の意識は別の方へと向いていた。
『わこ〜。こっちでは久しぶりだね、紫』
「お?珍しいな。芽李(メイ)だ」
芽李と呼ばれた人。彼の反応からしておそらくかなりの常連の人なのだろう。
数分間二人の会話を聴いていると、どうやら芽李と呼ばれている人は女性のようだ。
(そうだよね。こんな優しくて、いい人そうなんだから、他に沢山リスナーさんもいるに決まってるよね)
小さな溜め息を吐きながら、蜜羽は指先に戸惑いを纏う。
紫はとてもいい人だ。フォローという登録のようなものもするつもりである。
でも今は---。
「あれ?ミツハ、寝たのかな」
『ミツハ?あぁ、初見さん?』
二人のこちらを思う声に我に返り、蜜羽は急いで指先を動かす。
まずフォローを。そして今日はもう寝るという言葉を打ち込む。
こちらの文が読み込まれる間、二人の話題は昨日行ったらしい、スカイプという音声通話の話で盛り上がっていた。こちらの文もそこそこに彼らは楽しげに会話を進めていた。
「良いな。芽李さん…、って、私、なに言ってるんだろう。常連さんなら、話が楽しそうなのも当たり前なのに」
不意に溢れた自身の言葉に蜜羽は僅かな驚きを覚えた。
良いも悪いも蜜羽は今日初めて紫の所に行ったわけで、常連の芽李とは差があるのは当然である。
その上蜜羽は別に、彼の所以外多くの所を渡り歩いてきた。現実の世界では友人もそれなりにいる。
そんな自分がたった一つの、初めて留まっただけの場で嫉妬のような感情を懐くのは、些か勝手が過ぎるだろう。
「今日はもう寝よう」
寝てしまえば、朝になれば気も晴れているはずだ。
そして気持ちが落ち着いたら、また覗いてみよう。
そう思い、蜜羽はパソコンの電源を落とし、傍らにあるベッドへと向かった。
ベッドスタンドの照明を落とすと、ゆっくりと睡魔が寄り添ってくる。
柔らかな夜の闇に、蜜羽の意識が薄れていった。

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.7 )
日時: 2018/10/19 04:01
名前: ワイト




 *****

あれから一週間が過ぎた。
あの夜紫の処にに初めて行き、たわいのないやりとりをして、ちょうど一週間。
その一週間でいくつか気づいた事がある。
まず、紫の枠は過疎という程過疎ではない。人の出入りが少ないと、すぐ閉めてしまうのかもしれないが、あの苦悶した翌日の夜、再び彼の処に行くと最初に訪れたときより明らかに賑わっていた。
優しい声、穏やかな空間。
人気があっても可笑しくはない。むしろあの夜、人が少なかった事の方が可笑しかったのだ。
そしてもう一つ。彼のリスナーさんは女性が多い。らしい。
あくまで紫自身が告げた事なので比率は不明だし、リスナーさんの性別は自己申告なので、それが事実かはわからない。
しかし、会話の様子からリスナーさんの大半が女性である可能性は、非常に高いように思えた。
そしてこれが一番の悩むどころなのだが---。
「スカイプ、か…」
蜜羽の口からため息を重ねた呟き。
スカイプ。インターネット上で音声通話を可能とする、アプリケーションの一つである。
現在の日本では、ツイッター、SNS、チャット、ツイキャス等々数多くの通信機能が存在する。
その内の一つにスカイプというものもあるのだが、蜜羽はそれらの機能を利用した事が一度もない。
理由は簡単。蜜羽自身が酷い人見知りのせいだ。
当然、一定の距離を保つため互いの身の安全、機械のウイルス感染の予防等もあるが、それ以上に蜜羽は人が怖かった。
この世は悪人ばかりではない、善人も少数ながら存在する。
蜜羽自身生まれつきの人見知り。幼い頃の虐め。そして、過去に手酷く傷つけられた交際経験が、蜜羽の人見知りを異常な程に悪化させたのだ。
特に異性が怖かった学生時代はあまりの恐怖に、一定の距離を保たないと怯えて逃げ出してしまう始末であった。
「まぁ、昔よりは平気になったけど、どうするかな」
社会人になった今、蜜羽の異性への人見知りも、日常生活に支障が出ない程度には良くなった。
だが、そんな矢先に紫から提案されたのがスカイプである。
「紫さん、色んなリスナーさんとスカイプしているんだよね。どんな話しているんだろう…」
彼の話の内容から、多くのリスナーさんと音声通話をしている事は良く伝わってきた。
そして紫のリスナーさんは殆どが女性。
つまり多くの女性と会話を楽しんでいるという事だろう。

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.8 )
日時: 2018/10/21 04:51
名前: 白楼雪

数分思考を巡らせ、小さく溜め息を落とす。
このような事を考えても仕方がない。
蜜羽の指先がパソコンを起動させ、慣れた手つきで生動画のサイトを開く。
「あ、今日はやってる」
昨日一昨日とタイミングが合わなかったのか、紫と話せていない。
昨日は蜜羽が早く寝てしまったし、一昨日は放送していなかったのだ。
そして、三日振りに紫の生放送に参加出来た。
『こんばんは』
指先をキーボードの上で踊らせ、文字を打つ。
紫の枠内は今夜もリスナーが多く、賑わいを見せていた。
「こんばんは、ミツハ」
それでも賑わっているなか、新たに来たリスナーさんに挨拶を返してくれる、そういう真面目なところも彼の良いところだろう。
話の内容はスカイプについてのようだ。
「…だからさ、誰か話せる人いないかな?」
紫の軽くそれでいて望んでいる気持ちのわかる言葉に、蜜羽は苦笑してしまう。
『そんな事言って、紫さんならお話相手も多いんじゃないですか?』
手早く文を打つと他のリスナーさんも、苦笑混じりな返答が主だった。
しかし、一人のリスナーさんだけは反応が違った。
『私で良ければ良いですよ』
その勇気あるリスナーさんは今日来たばかりらしく、明るく素敵そうな人だった。
その言葉に嬉しそうに返す紫。
「うぅ…、や、やっぱり私も!」
蜜羽の指先が素早く動く。メッセージを送るためではない。
「これかな?」
蜜羽の見つめるパソコンの画面には、スカイプのサイトが映されていた。
慣れない動作で登録を進め、完了するとそれを画面端に寄せ、再び紫の枠へメッセージを打ち込む。
『あの、私もスカイプ参加したいです』
打ち込んだ文字を見つめ、彼の反応を待つ。その僅かな時が蜜羽の鼓動の高鳴りを感じさせる。
断られる事はないだろう。だが多くのリスナーさんがいるのだ。埋もれて気づかれない可能性もある。
大丈夫だろうか。不安に思い待っていると、紫から優しい返答が返ってきた。
「嬉しい。ID載せるから、登録して」
そう言葉を発して十数秒後、コメント欄に紫のIDが表示されてくる。
「えっと、登録は…」
不慣れながらも蜜羽は、再びスカイプの画面にて紫のIDを登録していく。
「ん、出来たかな?たぶん…」
何度も画面を見つめ、登録を終えた事を確認すると、再度紫のもとへ。
そして登録を終えた事、そして明日の夜にでもお話ししたい事を告げる。
「わかった。それじゃ明日」
紫の言葉に画面越しで頷き、今日はそろそろ寝ると言う事を告げ、蜜羽は紫のもとから去った。
「ふぅ…、何か、疲れた」
か細い呟き。椅子の背もたれに腰を預け、瞳を伏せる。
我ながら随分と勇気のある行動をしたものだ。
少なくとも、人見知りの人間にしては積極的な事だと思う。
「…寝よう」
パソコンの電源を落とし、蜜羽はベッドに身を預ける。
明日は帰りに買い物をして帰ろう。
新しいヘッドホンとマイクを買ってこよう。
今のままでも問題ないが、そんな気分になったのだ。
そうして蜜羽は深い眠りへと落ちていった。

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.9 )
日時: 2018/10/23 01:48
名前: 白楼雪




 *****

翌日の夜九時過ぎ。
「あとはこれを、こうして…」
蜜羽は沢山の紙袋に囲まれていた。
理由は簡単。衝動買いである。
仕事帰りに家電量販店にて、マイクやヘッドホン等を購入したまでは良かった。
初のスカイプ、初の紫との音声通話。少しでも楽しく気分の良い会話をしたいと思うのは、女心と思えば許される買い物のはずだ。そうであってほしい。
だが、その先が問題だった。
『どうせ話すのなら、新しいルームウエアの方が…』そう言ってお気に入りの服屋さんで、白い羊を思わせる柔らかな半袖、ホットパンツのルームウエアを購入。
『お話中、喉を痛めたら良くない』と言って休日通っているレトロな喫茶店で、美味しい紅茶と蜂蜜を購入。
そんな寄り道を続け予定より遅い帰路についた結果、両手には沢山の紙袋。そして紫との約束の時刻まで残り一時間と少し。その現状に気づいた蜜羽。
非常にピンチとなっていた。
「ここがこうなるから………出来た!」
着替えもせず奮闘する事十数分。漸くマイクやヘッドホンの接続を終え、蜜羽は達成感を含む笑みを浮かべる。
そして辺りには幾つもの紙袋。紫との約束した時刻は夜の十時。
時計をチラリと見ると、現在の時刻は九時半過ぎ。
「…急がないと」
先ほどまで接続していた機器を家電量販店の紙袋に丁寧に片付け、一先ずクローゼットの棚にしまい、喫茶店のシックな紙袋をキッチンにて開封する。
紙袋の中にはダージリンの茶葉と、琥珀色の蜂蜜。
香りの良い紅茶と、優しい甘味の蜂蜜はとても相性が良い。
「何とか間に合いそうね」
最後に残った可愛らしい紙袋を片手に、蜜羽はお風呂場へと急ぐ。
手早く衣服を脱ぎそれを洗濯機へ。そして浴室へと入り温かなシャワーを浴び、髪を、そして肌の疲れを優しく洗い流していく。
心地の良い湯をゆっくりと楽しみたくはあるが、あまり時間はない。
肌を伝う水滴を柔らかなタオルで拭い、大きなその紙袋からもこもことしたルームウエアを取りだし、下着の上にそれを着込む。
脱衣場からリビングへ出て時計を見ると、時刻は十時十分前。
髪を乾かしながらキッチンへ向かい、電気ポットにて湯を沸かす。
ティーポットとスプーン、そして愛用のカップを取り出した。
ティーポットとカップに電気ポットの湯を注ぎ、軽く温める。
そして充分温まったところで湯を捨て、ティーポットには茶葉を、そして新たに湯を注ぎ、紅茶を楽しむためのそれらをパソコンとの距離を少し離し用意した。
時刻は十時数分前。
使いなれた椅子に座り、パソコンの電源を入れた。
「ま、まにあった…」
ヘッドホンとマイクはまだしも、紅茶とルームウエアの用意は本来特別必要なものではない。
そんなことは、帰宅した時点で気づいてはいた。
だが、ここまできて今さら後には引けず、慌ただしいなか蜜羽はなんとかすべての準備を整える事に成功出来たのだ。
「あ、スカイプ開かないと」
いや、正しくは二分程遅れてしまった。

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.10 )
日時: 2018/10/25 01:35
名前: 白楼雪

スカイプのリストから、紫を選び音声通話が繋がるのを待つ。
昨夜約束していたためだろうか。待ち時間は数分もなかった。
「こんばんは」
生動画と同じ優しい声がヘッドホンから溢れ落ちる。
優しい声は昨夜よりも近く思え、その事に嬉しさを覚えた。
「…あの、こんばんは…です」
だが、急に縮まった心の距離は、嬉しい事ばかりではない。
元々人見知りな性格の蜜羽にとって、初めての紫との声での会話は荷が重く、緊張ばかりがましていく。
もう通話を切ってしまいたい。怖い。
そんな思いが蜜羽の心に染まり行く。
しかし、それは紫に悪い気もしてしまう。
「緊張してる?俺って、怖い?」
今にも涙目なりそうだった蜜羽に、紫の苦笑混じりの声が届く。
「怖くないです!紫さんは怖くなんかないです!」
反射的に発した蜜羽の声は強い意思を露に、はっきりとしたものだった。
彼が怖いなどあるわけがない。
何故なら蜜羽は彼の声に、優しさに、いつも癒され惹かれていたのだから。
だから、大丈夫。彼は大丈夫だと、蜜羽は自身に言い聞かせた。
深い深呼吸を一つ、そして今まで伝えたかった思いを紫へと伝える。
「紫さんは、優しいと思います。少なくとも私にはそう思えます。いつも貴方の声に元気を貰っているんです。だから、こうやってお話出来てとても嬉しいです」
辿々しくも嘘のない言葉を、彼は黙って聴いてくれた。
それは嬉しくもあり、その後の彼の言葉が不安でもあった。
しかし、十数秒。今度は紫の方が黙ってしまう。
音声通話は正常に繋がっている。だが、彼の反応はない。
「あの、紫さん?」
不思議に思い声をかけるが、返事がない。
どうしたんだろうと蜜羽が小首を傾げ数秒後、漸く届いた彼の声は何時もと違っていた。

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.11 )
日時: 2018/10/28 04:37
名前: 白楼雪

「……それは、駄目」
何故か微笑の含まれた声。
何が駄目なのかと蜜羽は、きょとんとした表情を浮かべてしまう。
「…そういう、真っ直ぐな言葉は、照れるからさ」
彼の微笑を含んだ声は笑い声ではなく、羞恥の声だったらしい。
それに気づくと、蜜羽の内から微笑ましさが溢れだして止まらない。
「ふふ、あはは、っ…、くっ、ふふは…、紫さん、可愛い…」
この紫への愛らしさに笑いを抑えずになどいられるわけもなく、蜜羽の瞳にはうっすらと涙すらも滲む。
「いやいや、笑い過ぎだから、そんな面白い事言ってないから」
苦笑混じりの紫の声を聞きながらも、笑いが収まるのには、数十秒を要した。
そして落ち着きを取り戻した蜜羽は、ふと別の思いを浮かべた。
彼には多くのリスナーさんがいる。そして、こうやって会話を重ねる人達も沢山いるのだろう。
聞いても良いのだろうか。
心の内に灰色の靄を抱き続けるのは、辛いものだ。
それに人の命は儚い。
明日必ずまた彼と話せる保証などないのなら、聞ける時に聞く。それが最良と言うものだろう。
「あの、普段はどんな話をしているんですか?」
「どんなって、何が?」
依を決して聞いた蜜羽の問いは、簡潔過ぎたようだ。
「その、他のリスナーさん達と、どんなお話をするのかなーって…」
先ほどよりは意図を強く混ぜ、だが後ろめたさから語尾は弱くならざる得ない。
そして再び僅かな間。自分の家だというのに、この居心地の悪さは何なのだろう。
「…気になる?」
紫の言葉に気持ちだけなら、物凄く気になると言いたい。
だが、それを露にしては、気味悪く思われ兼ねない。
「少し…」
本音を抑え、声に滲まぬよう慎重に返す。
「でもなぁ、話す事って人それぞれだし、一つ一つ思い出すのは…」
溜め息と共に吐き出されたそれを聞き、蜜羽は申し訳なく思う。
わかっていた。わかってはいたのだ。
しかし一度吐いた言葉は、無いものにはならいない。
無くなりはしないが…。
「それなら、経験の無いものは何かありませんか?しようと思えば出来るけど、出来ていない事とか、何かありませんか?」
経験のあるものを思い出すのは難しいかもしれないが、無いものを思い出すのは幾らか容易い。
最早本来の意図は消えつつあるが、気まずい思いをするよりはましだ。
「リスナーさん達と、カメラ使った事はないな」
残念ながら、蜜羽のパソコンにカメラはない。
使う勇気もありはしないが、購入しなかった事を悔やんでしまう。
「他には、何かありませんか?」
蜜羽の声に必死さが滲む。今さら後には引けないという、謎の意地である。
すると口ごもりつつ、紫から衝撃的な発言が溢れた。
「…スカイプ越しで、その…Hな事は、したこと…ない、かもな」

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.12 )
日時: 2018/10/31 00:07
名前: 白楼雪

紫の言葉に時間が止まる感覚を蜜羽は覚えた。
スカイプ越しで、Hな事。
それはつまり、この状態で互いに自身の欲を充たすという事だろう。
蜜羽自身、恋愛も人並みに経験を重ね、男女の行為も経験済みではある。
だが、音声通話越しでその様な事をした経験はない。
硬直した蜜羽に紫の濁す声が届く。
「いや、違うんだ。その、した事がないものって言うから…」
困惑した、その言葉に蜜羽の声が重なる。
「紫さんは…その、興味…あるんですか?」
羞恥の混ざる声で紫に問う。
蜜羽としてはそんな行為、羞恥心で堪えられそうもない。
そもそもこんな質問、普段の蜜羽ならば絶対に出来ないだろう。
しかし、今だけは違った。
紫が望むなら、少し、ほんの少しならばしても良い。そんな不思議な思いに駆られる。
「…それは、興味がなければ、そもそも考えないと思うんだけど…」
言葉を濁しながらも、紫の答えは良く理解出来た。
ならば問題は、あと一つだけだ。
「…なら、その初めての相手は、私でも良いですか?」
自分から誘うという羞恥と、断られたらと思う不安が蜜羽の心を染める。
ヘッドホンから溢れる戸惑いの音が、それらを余計強めていく。
「…ミツハが良いなら、したい」
十数秒の間を置き届いた声は、淡く甘い言葉だった。

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.13 )
日時: 2018/11/09 02:09
名前: 白楼雪

熱を帯びたその声は、蜜羽に覚悟を決めさせるには充分なものだった。
羞恥心を覚えないかと聞かれれば、頬を薄紅に染めざるえない。
だが、紫とならば、彼が望むなら、ほんの僅かな勇気を振り絞ろうと思えた。
「私、通話越しでした事はないので、色々教えて貰って良いですか?」
微かな声の震えは恐怖ではない。紫に教わるこの先の行為への羞恥と僅かな期待の表れである。
「わかった」
たった一言。先程と変わらない距離なのに、彼の声が蜜羽の耳元を擽る。
それだけで互いの意識は甘く艶のあるものと変わっていく。
不意に彼の音声に小さな金属音が短調的に響いた。
金属の金具を外すようなその音は、蜜羽の心に緊張を生む。
おそらく、いや、ほぼ間違いないだろう。
紫が腰のベルトを外したのだ。
それを意識しただけで、蜜羽の鼓動は高鳴りを覚える。
「あの、私、ルームウエアと下着だけなんですけど、脱いだ方が良いですか?」
「ルームウエアって、どんなの?」
要領がわからず紫にすがり問うが、彼の琴線に触れたのは、どうやらルームウエアについてらしい。
彼の意図はわからないが、始めに教えを望んだのは蜜羽の方だ。
「柔らかくてふわふわした白い半袖の服に、同じ素材のホットパンツですけど…」
紫に問われた事をそのまま口にしただけなのに、なぜだろうか。
彼にこの服装を知られた事。それが酷く恥ずかしい。
特別露出が激しい服装ではないし、下着も下肢には身に付けている。
それなのに不思議と落ち着かず、蜜羽は自身の太股を小さく擦り合わせた。
だが、そんなものは次の紫の言葉に比べれば可愛いものでしかなかった。
「…下着は、どういう感じ?」
先程よりも艶の濃い声。
それは彼の心にも熱い欲の熱を、帯始めている為だろう。
衣服について語るだけでも羞恥に染まらざる得なかったというのに、下着についてなど言葉に出来る筈もない。
意識をすればする程、蜜羽の身体も熱に犯されていく。
「答えて、知りたいんだ」
紫の音声の向こうから、微かな衣擦れの音が聞こえた。
それは、彼が自身の衣服を緩めた音だろうか。

Re: 電子からの-某生主とリスナー-(NLr18 ( No.14 )
日時: 2018/11/15 03:06
名前: 白楼雪

ヘッドホン越しの繋がり。それだけのものが、蜜羽の頬を薄紅に染めてやまない。
数秒言葉に詰まる。だがそれも、すぐに羞恥が滲む声となる。
「…小さな花の刺繍が…ついた、薄いライトグリーンの…、普通のです!」
後から冷静に考えてみれば、わざわざ本当の事など告げる必要はなかったのだろう。
衣服や、下着。器用な者なら、その先の行為も嘘で誤魔化せたりするのだから。
しかし、残念ながら蜜羽はそこまで器用ではない。
「へぇ、可愛い下着だね」
紫の深い声が、蜜羽の下肢に甘い熱を灯す。
ふと意識を自身の下肢に向ければ、その薄い布越しに僅かな湿り気を帯びている事に気づいた。
下肢を露にしたわけではない。
紫に触れられたわけでもない。
ただ彼の問いに答えている。それだけの行為で、蜜羽の秘部は熱く蕩けていく。
「何で、そんな事…」
訴えるように告げる蜜羽の声は、既に甘く切ない。
このまま下着を伝い、ルームウエアを汚すのは、あまり心地良いものではない。
レザー素材の椅子を濡らす事にも抵抗はあるが、このままだときっとどちらも汚れてしまう。

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