官能小説(オリジナル18禁小説)
- 【BL】掃き溜め
- 日時: 2022/03/15 03:59
- 名前: 綴 凪
- つづり なぎと申します。 
 創作キャラのBLです。元々昔別の所で書いていたのをこちらに引っ張って来ました。
 ストーリー進行などはあまり気にせず、好きな所だけ小ネタ程度に書いていく事になるかもしれません。
 宜しくお願い致します。
 【登場人物プロフィール】
 [大学生BL]
 広瀬 蒼斗>>1
 相楽 皷>>2
 憂月 薫>>3
 天城 弥生>>4
 澤原 三好>>5
 [高校生BL]
 燈凪 紫>>15
 朽葉 吉乃>>16
 【作品】
 [大学生BL]
 澤原 三好×憂月 薫
 ・三好の家で幸せに苦しくなる話>>6-14
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- Re: 【BL】掃き溜め ( No.9 )
- 日時: 2021/09/07 23:14
- 名前: 綴 凪
- 【澤原 三好×憂月 薫】4 
 「ね、薫先生。…キスしても?」
 ゆっくりと頷くと、覆い被さるように体勢を変え顔が近付く。唇が重なると、顔の角度を変えながら触れるだけのキスを繰り返す。ちゅ、ちゅ、とリップ音が耳に響き、少しの間そうしていたと思うと次に唇をぺろりと舐められた。それを合図に舌を出すと、今度は噛む訳でもなく絡めてくる。互いの舌を舐め合うように動かした後、両手で三好の顔を引き寄せ此方からそのままキスを仕掛ける。玄関先でされたように、口内を蹂躙してやるのだ。上顎を舐め上げ、歯茎をなぞって、また舌を絡めて。三好が吐息を漏らす度に、私も少しずつ身体に熱が篭っていった。
 「はぁ、ッは……、せんせ、何でこんなキス上手いの…」
 「貴方に、仕込まれたんですけれど」
 頬を少し赤く染め肩で息をする三好に、私はしれっと答えると、顔は赤らめたまま驚いたように目を丸くした。
 「…天城先輩じゃ、ないの?」
 そう言われた瞬間に、目を逸らしてしまった。嫌な所を突かれたと思っている事を、相手も簡単に察して来るだろう。それでも三好はそんな事では気を遣ったりしない、土足で人の腹の中に踏み込んで来るような人間だという事を私は知っているから、なるだけ毅然としたように、私は答えなければならないのだ。
 「三好君がいつもしてくれるのが気持ち良いので、それを真似るようにしてみました。…あの人は、私にキスなんてしてくれた事は一度もありませんよ」
 一瞬表情が曇ったような気がしたが、次にはすぐいつもの様子に戻っていた。
 思い違いだったのか、それとも何か気に障る事があったのかは分からないが、考える間もなく私のシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外してからまた三好の顔が近くなる。そして私の首筋に息がかかる所まで来て、ぴたりと動きを止めて口を開いた。
 「触っても?」
 「いちいち聞かなくて良いです!」
 らしくない事をする三好につい腹が立って少し声が大きくなる。三好はそんな私の怒りを尻目にふは、と吹き出すように笑って、首筋にキスをした。そこから鎖骨へと順にゆっくり唇を落とし、そして胸にも。ちろりと舌が当たると、小さな嬌声と共に身体が跳ねた。
 「はは、薫ちゃんここ好きだもんね」
 そう言った後また、執拗に胸を責められる。周りに舌を這わせて焦らし、少しだけ中心の蕾に刺激を与える、なんて意地悪な事を繰り返された。じわじわと押し寄せる快感がもどかしくて仕方がなくて、とうとう自分のモノに手を伸ばした。が、触る事は叶わず三好に手首を掴まれる。
 「やだ、嫌だ何で…!触らせて欲しい、苦しいッ…」
 「駄目。だからこっち……ね?」
 静止をかけたまま、ローションを出し私のお尻に指を当てる。そのまま塗りたくり、ぐっと強く、でもゆっくりと押し込まれた。三好との時は家でも一人で弄ったりなどは全くしない為、指一本の質量でも大分苦しい。毎回の事なのに、三好はまた少し驚いたような顔をした。
 「今日、シャワー結構長かったから解してるのかと思ってた…何、してたの?」
 「ああ…貴方との事を考えていました。そもそも、三好君は触ってくれるのだから、自分でする必要なんてないだろう?案外、面倒なんですよ。自分でなんて気持ち良くもないし」
 つい思い上がったような、甘えたような事を言ってしまったが、三好を見ると一際嬉しそうな顔で微笑んでいた。
 「そっか…そっかあ。じゃあ、沢山気持ち良くしてあげないとね」
 ゆっくりと指を奥に押し込まれ、前立腺に指先が擦れる。瞬間、身体に電流にも似たような強い快感が走った。びくびくと身体が震えるのを抑えられず、声も勝手に出てしまう。穴から漏れ出すローションは体温で酷く熱くて、自分がどれ程興奮しているのかを表すようで恥ずかしくなる。しかし、その全部が今の私には堪らなかった。
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.10 )
- 日時: 2021/09/08 00:33
- 名前: 綴 凪
- 【澤原 三好×憂月 薫】5 
 「薫ちゃん、指増やすね」
 「…ッから…いちいち聞かなくて良、ッて、ぁ、ぅあ"ッ…!!」
 返答など待たずに、言うだけ言ってまた二本目の指でこじ開けられ、先程よりもぐちゅぐちゅと空気を含んだような大きな音になり、苦しいような感覚にも段々慣れてくる。相手を受け入れる準備が整って来ている事の表れであった。
 「あは、言われて来るって分かってからの方が気持ちい?いつもより反応良い気がする」
 確かに、何も言われないと急に来るものだから、素直に快感を受け入れられず最初は驚きが勝ってしまう事も多かった。しかし本当に、この人間は身体を触るだけで何でも分かるのかと少し不思議に思ってしまう。
 「ねえ、柔らかくなって来たから指また…」
 言いながら三本目の指を窄みにあてがう。私は三好の手をぐっと押し、そのまま入っていた指も抜かせた。
 小首を傾げながら見つめる三好に、頭が回らないながらもどうにか言葉を紡ごうとする。
 「…も、いい、から…みよしくんの、早くッ…」
 「いや、まだ早いよもうちょっと慣らさないと…薫ちゃんが痛いの、俺やだよ」
 気を遣ってくれているのが伝わるが、生憎私はもう礼を言うような余裕は持ち合わせていなかった。優しくて、でも的確に良い所ばかりを責められて、ずっと甘い感覚が身体の中を巡る。大切にされたいのに、いざそうなると自分ばかりが気持ち良いのも、愛されているように触られるのも、耐えられなかった。多少痛くても、乱暴でも、全身で"好き"を示されるより遥かにマシだった。
 「こ、こんなに、きもちいいの、嫌だ…もっと、酷くて良い、から」
 「何、俺に触って欲しかったんじゃないの」
 何となく真剣な面持ちになる三好。と、本命をつい比べてしまい涙が溢れてしまった。声も、身体も、触り方も。やり方全部が違って、それは至極当然の事なのに、私には酷く惨い事のように思えて、刺さって仕方がなかった。
 情けなくしゃくり上げて、途切れ途切れにしか出て来ない言葉を無理矢理繋げて口に出す。
 「だからって、こんな…!や、弥生君はもっと乱暴で、ぜったい触ってくれなくて、だから優しいのが、こわい…こんなに沢山愛してくれなんて、言ってな…ッ」
 私が声を震わせながらそう言うと、三好は少し悲しそうにへらりと笑う。そして私の頭へと手を伸ばし、髪の毛を梳くようにくしゃりと撫でた。
 「無理だよ。あの人と違って俺は好きだもん」
 組み敷くように片手で私の両手首を頭の上に持って行き、押さえつけられる。何をされるのかと身構えてしまうが、それでも暴れるなんて事はしない。私にはそれだけの力も、気力もなかった。無抵抗にただ目を赤くして見つめていると、三好は空いている片手で再び私のお尻を弄り出す。
 優しく掻き回され、前立腺も執拗に擦られ、涙も止まらないまま気付けば私は、三好の指を三本しっかり咥え切っていた。
 「お願いだから、今は俺だけにしてよ。…天城先輩の事とか、言わないで。俺、薫先生の気が紛れるならいつでも優しくしてあげるから」
 そう言って離された手首はじんじんと熱を持ち少しの痛みが出る。きっと痕が付いているんだろうな、なんて考えていると、太腿を持ち上げられ挿れるよ、と一言、先程までの比にならない質量をお尻に感じた。
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.11 )
- 日時: 2021/11/14 05:28
- 名前: 綴 凪
- 【澤原 三好×憂月 薫】6 
 「は、ッぁ…、やば……中あっつ…いつもより興奮してる…?」
 呼吸をする事で精一杯の私の頬にそっと右手を添えて、そんな事を訊く。
 「三好君だって、手、こんなに熱い…興奮しているのは、私だけじゃないッ…」
 添えられた手を握りそのまますり寄せてみる。ぴくりと少しだけ指先が動いたので三好の顔を見てみると、緊張のような、恥じているような、変な表情で私をじっと見つめていて。…かと思えば急に腰を動かし始める。指とは全然違うもっともっと熱い物に、捩じ込んで、押し当てて、揺さぶられる。
 ベッドの軋む音も、水音も、相手の吐息や汗ばんだ肌の感触も、全部が刺激になっているようで、昂って仕方がなかった。
 「ぁ、ッう"…待、って、だめ、嫌だッ…!!」
 「何で、何が駄目なの」
 先程までと違う緩い腰の動きになり、じわりと底に溜まるような快感で焦らされる。それでも唇を噛み、何とかもどかしさに震える体を抑えようとした。それなのに急にまた荒く突かれて、思わず声が漏れる。
 「ねえ、薫ちゃん、何が駄目なのってば」
 私が果てないように緩急をつけながら、再び三好は問う。きっと答えるまでずっとこのままにするつもりだと悟り、まだ呼吸も整わないまま口を開いた。
 「これ、以上、ほんとにだめッ…へんになる、何も考えられなく、なってしまう…ッ」
 三好はまた少し動きを止めて、涙でぐしゃぐしゃになった私の目を見つめる。
 三好とのそれはただの肉欲なんかとはまるで違って、触られると苦しい事も辛い事も、何もかも忘れられた。しかしつまりぐずぐずに甘やかされるという事で、内側から溶かされて、この人間が居なくなって生きていられなくなったらどうしよう、なんて不安に襲われる事でもあった。
 しかしそんな私の心情を他所に、可愛い、なんて漏らしながらまた頭に手を伸ばし、男にしては長めな私の髪の毛の間に指を通してさらりと落とす。そして柔らかく目を細めた後、一層激しく前立腺を責めだした。
 「や、だめ、ってほんとに、なんで、ッみよしく…ッ…!!」
 「だめじゃないよ、ッ良いんだよ、いっぱい変になろ?ねえ」
 そう言って、腰の動きはそのままに、これまでずっと触れて貰えなかった陰茎に手を伸ばし上下に扱かれる。
 「大丈夫だよ、俺しか見てない、誰にも言わないから」
 駄目と嫌だを繰り返す私に、三好は優しい声色でそんな事を言う。それと裏腹に動きは相変わらずで、私のを掴む三好の手は止まらない。静止をかける事もままならずに頭が真っ白になり、一際高い声と共に呆気なく吐精した。
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.12 )
- 日時: 2021/11/14 13:29
- 名前: 綴 凪
- 【澤原 三好×憂月 薫】7 
 肩で息をする私の中からずるりと三好のそれが抜ける。終わりなのかと一瞬考えたがやはりそんな訳はなく、私の膝裏に手を入れ脚を思い切り持ち上げた。
 「ごめんね、薫ちゃん…でも俺まだ、イってねえのッ…」
 「や、ッ待ってくだッ…ひぁ"…ッ!?」
 そんな一言を放たれ、何をされるかが分かった頃にはもう遅かった。
 再び中に三好が入り、しかし今までとは全く違い、結腸の奥まで貫かれて息が詰まる。
 「ぁは、ッこれ…すげ、きもちい…持ってかれそ…ッ」
 言いながら三好は動きを緩めない。もっとと望むようにぐりぐりと押し当てられ、その刺激で余計に三好のモノを締め付けた。肉壁を引っ掻いて出て行ってはまた奥に入り込んで、その度に肌の当たる音が響き、三好の荒々しい吐息と、私の理性の欠片もないようなだらしない声が部屋の中に充満する。
 「あぁ"、ッう、んぁあ"…ッ!!くる、しッ…むり、むり、ッこわれる…!」
 「うん、ッうん、いいよ、俺に壊されてよッ…」
 暴力的なまでの快楽に、半ばパニックになりながら三好に訴える。苦しさすら快感として拾い上げてしまう身体には、これ以上は本当に限界だった。これ以上続けられたら、本気で駄目になると思った。それなのに三好は愛おしそうに私を見て、その全てを肯定する。
 全部、どろどろにされる。
 何も考えられなくなって、ただ目の前に居る人間の事しか見えなくなって、それで、次は。
 「ほら薫ちゃん、前、ッ自分で触って」
 手を掴まれ自身に当てがわれる。空の頭で言われるままに擦ると、熱くなった箇所からは先走りが溢れていて、上下する手を簡単にどろどろに汚した。過ぎた快感はそれでも留まる所を知らず、ひたすら与えられて、受け入れる事も上手く出来ない。
 「だめ、ッも、すぐいく、でる、でるッ…ぅああ"、やぁ…ッ!!」
 「いいよ、俺も限界、ッ出すね…」
 自分本位な動きですら、甘ったるく焼きつくような気持ち良さでいっぱいになる。
 私の叫びにも近いような声が三好の籠もった声と重なり、瞬間、私はまた腹を自身の液で汚し、中には脈を打ちながら、三好の熱いものが入って来た。
 「は、ッはぁ…ッ薫ちゃん、大丈夫…?」
 三好の問いに大丈夫だ、と答えてやりたかったが、漸く終わりかと思うと一気に力が抜け、言葉が、声が全く出て来ない。
 片付けもしなければ、服も着なければと思いはしたものの、思うだけで身体も動かず、視界がぼやけ、瞼が落ちて来て、そのまま意識が離れていった。
 次に目を覚ました時にはもう外は明るくなっていた。夢の余韻が抜けきらない中、大きめなベッドの上、隣に人の温みは殆どなく、三好は既に起きているようだ。
 全裸のまま何も出来ずに落ちた筈なのに気付けばぶかぶかのTシャツを着て、下着もしっかり穿いている。あの後全部やってくれたんだな、なんて少しの罪悪感に見舞われた。
 「い"ッ………」
 時計を見ようと起き上がろうとしたが、腰に痛みが走り、倒れるように元の仰向けに戻る。昨晩散々愛されて、滅茶苦茶になった事の証明であった。
 眼鏡を掛けようと意を決して体を起こした時、ふと、不安が過ぎる。最中の私は変な事を口走ったりはしなかっただろうか。
 快楽にかまけて、もし、好きだなんて零してしまっていたら、それは。
 そんな考えを掻き消すように、無理矢理ベッドの端に座りそのまま立つ。一つ一つの動作に痛みは伴うが、余計な事を考えるよりもずっと良い。
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.13 )
- 日時: 2021/11/14 14:27
- 名前: 綴 凪
- 【澤原 三好×憂月 薫】8 
 寝室から出てリビングに向かうと、三好がキッチンの方で何かをしているようだった。
 「三好君、おはよう御座います」
 「アワッ…あ、お、はよ」
 図らず背後から声を掛ける形になってしまい、驚いたように三好の体が跳ねた後、振り向いて挨拶を返される。その手にはマグカップが握られていて、すぐ側にはインスタントコーヒーの袋があった。
 「コーヒー、私が淹れます。座っていて下さい」
 マグカップを此方に渡して、と手を差し出して示す。三好は少しの驚きと心配を混ぜたような顔で私の事を見ていたが、真っ直ぐな目で見つめ返すと、折れるようにカップを渡してくれた。
 「私も頂いて良いですか」
 「あ、ッうん、良いよ、どうぞ」
 せめてこれだけでも、と三好が私の分のカップを出す。その後は大人しくソファに座り、私が来るのを待っているようだった。
 ケトルに水を淹れて沸かし、その間にカップに二人分のコーヒーの粉を入れておく。
 「三好君、台所、もう少しお借りしますね。冷蔵庫の中、使っちゃいけない物はありますか?」
 「エッ…いや、ない、大丈夫」
 先程と同じような返事を三好の口から聞き、まずは目についた食パンをトースターに入れる。そして冷蔵庫を見ると、卵とベーコンがあったのでそれを出した。
 油をひいたフライパンを火にかけ、ベーコンを焼く。その上に卵を一つ落とし、水を入れて蓋をする。
 食パンが焼き上がり卵も良い半熟になれば、パンの上に乗せて塩胡椒を振って、軽い朝食の出来上がりだ。
 ケトルのお湯も少し前に沸いていたようだったので、カップに注いで朝食の皿と共に持って行く。
 「少しお待たせしてしまいましたね、どうぞ」
 皿をソファ前のテーブルに置く。三好は一瞬目を輝かせた後、すぐに怪訝そうな顔になった。
 「…薫ちゃん、自分のは?」
 「血圧が低くて、朝はどうも食欲がないんですよ」
 「そっか。…そういえば朝、いつもコーヒーだけだったね」
 納得したような表情になり、行儀良く手を合わせて頂きます、と言う。そして一口齧って、美味しそうに笑った。まるで子供みたいな表情だ、なんて考えた後、いつも大人びているから意識しないけれど、そういえばまだ19歳なのか、と思い直した。
 「うま……ありがと、薫ちゃん」
 「別にこの位五分で出来ますから、全然。…私の方こそすみませんでした。後処理、全て任せてしまって」
 「それこそ全然大丈夫だよ。俺がやりすぎたんだし、薫ちゃん軽いし」
 大きな口に食べ物が吸い込まれるようになくなっていくのは、食い手の表情も相まって見ていて何だか気持ちが良い。会話をしながら、コーヒーも飲み進め、いつの間にかすっかり食べ切ってしまった。
 「ご馳走様でした!」
 「はい、お粗末様でした」
 私もカップを空にしたので、二人分のカップと皿をシンクに置いてすぐに洗い物を始める。その様子を、三好はぎこちないような表情でじっと見ていた。
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.14 )
- 日時: 2021/11/14 15:51
- 名前: 綴 凪
- 【澤原 三好×憂月 薫】9 
 「三好君、何ですか?さっきから、というか起きてきてからずっと、何だか変ですよ」
 皿を洗い終えて一息つき、ソファで三好の隣に座ってそう尋ねた。
 もうあまり目を合わそうとはしてくれなくて、此方が一方的に顔を見る形になる。三好は変わらず緊張や気不味さもあるような、何やら困った顔をしていて、見ている此方も少しばかり不安になった。
 「いや、えーっと……引かない、?」
 「ええ、別に」
 もじもじと両手を合わせて指先を弄りながら、漸く口を割る。
 「あの、ね、…昨日の薫ちゃん、まじで可愛かったから、気ィ抜いたら、また勃ちそうで……ごめん…」
 「…は?」
 拍子抜けして、目を丸くしたまま一気に顔が赤くなる。それにつられるように、三好も耳まで赤くなっていた。
 恥ずかしい事をぽん、と言って、言わせたのは私だけれど、だってまさか、そんな答えが返って来るなんて思わないじゃないか。
 呆気に取られていると、三好が何か急ぐように立ち上がった。
 「いや、まじでごめん!しない、しないよ大丈夫!多分落ち着くし、俺先に大学行くッ…」
 言葉を遮るように、立ち上がった三好の服を掴んで引き寄せる。三好は驚いてよろけ、バランスを崩しながら何とかソファの背もたれ部分に手をついた。
 「今日、一限ないじゃないですか…一回位、出来ますよ」
 まさか自分から、そんな事を言う日が来るなんて。どうして言ったかも分からない、柄でもない、なんて言った側から後悔していると、余裕のない表情と共に後頭部を押さえ込まれ、噛み付くようなキスをされた。
 体の芯から蕩けるような、しっかりと熱を孕むような、そんな三好のキスが堪らなく好きで、もう何でも良いか、と思考を溶かす。
 暫くして離されると、お互い息も上がり、三好は先程までと違う切なそうな表情になっている。それを見て私も、何だか胸の奥がきゅっと締まるのだった。
 「…正直本気でしたいけど、でも駄目だよ。薫ちゃんまだ痛むだろうし、無理かけちゃう。やっぱり出て適当に時間潰すから、薫ちゃんも適当に出て来て」
 そう言って私の頭を撫で、家を出る準備を始める。シャツを着てスキニーを履いて、上着を羽織って玄関に行った所で私は三好を追いかけ、声を掛けた。
 「あ、ッあの、三好君」
 「ん?どうしたの」
 人を呼び止めておいて、何となく、言葉に詰まってしまった。訊きたい事は明確に決まっているのに、焦って喉につかえてしまう。落ち着かなければ、なんて考えながら一呼吸置いて、少しずつ言葉を出していく。
 「その…昨日、弥生君とキスの事を答えた時、少し怒ったような顔をしたのは、どうしてですか」
 三好はああ、と言った後、振り返ってあの時と同じ顔をして答える。
 「薫ちゃんにこんなに好かれてるのに、キスの一つもしてやらない天城先輩にむかついたから」
 前を向き直って立ち上がり、とんとん、と靴の爪先を地面へ落とす。
 「そうですか。…あの、こういう事を言うのは、卑怯だって分かっているんですけど」
 再び此方を向いて様子を伺うような三好に私は目いっぱい抱きつく。泣いて縋る子供のようで、情けなくて顔は見せられなかった。
 「私は、やっぱり、弥生君が好きです。…けれどセックスは、貴方とする方がずっと幸せだ」
 それだけ行って離すと、そっか、なんて言葉を聞く。前を見ると、三好が玄関の扉を開け、背を向けたままひらひらと手を私の方に振っている。私は行ってらっしゃい、と小さく呟いたが、聞こえたのかそうでないのかも分からない内に扉が閉まり、私達を隔てた。
 リビングに戻り、人の居ない他人の家に少しの違和感を覚える。
 再びソファに座り、重力のままに倒れ込んでまた目を閉じた。
 澤原三好という人間は、非常に愛情深い男だった。誰にでも優しいが、特別とそうでない者の区別はついている。
 弥生が好きで、心酔していて、それ自体は何も変わらないけれど。
 それでも三好に愛された後だけは、弥生と話したいとか、触りたいとか、そんな情は何故か持てないのだった。
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.15 )
- 日時: 2022/03/14 19:47
- 名前: 綴 凪
- 新しい子の追加です。今までの子達とは別の作品になります。 
 「燈凪 紫(ともなぎ ゆかり)」
 176cm 俺/お前・あんた/◯◯君・呼び捨て
 高校二年生。タチ。
 吉乃とクラスは違う。しかし帰りは毎日吉乃のクラスに迎えに行くから、クラスメイトからは「回収業者」と呼ばれてる。面倒見が良く、吉乃にも何かと口を出したり手を貸したりしていたら、その内世話役も兼業になった。本人としては不服らしいが、吉乃の側に居る口実になるのでこれはこれで良いかとも思っている。
 勉強もスポーツもそこそこ出来るけど好きではない。
 切迫詰まると口が悪くなる。それが本性って訳でもなく、どっちも素。
 行為中、相手の身体を噛む癖がある。
 吉乃の事は大切にしてるし、同じように大切にされてる自覚もある。ただ此方は抱えてる想いの一握りしか伝わってないと思ってるし、自分が居なきゃ生きていけない程になれば良いという願望もある。
 吉乃が自分にしか頼らない、自分しか吉乃の根底を知らない事実に依存してるし興奮してる。
 「吉乃、早く教室戻って。怒られるの俺」
 「何で俺が世話役認識なの、自分でやってる事の方が多いでしょ」
 「…ッ分かってる、欲しいだけやるから余計な口開くな」
 「てめえは爆発する前に言うって事出来ねえのかよ」
 「…俺が、俺だけが吉乃の事救える、って。そんな脆いモン大事にしてんの、本当どうしようもねえな」
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.16 )
- 日時: 2022/03/14 19:50
- 名前: 綴 凪
- 「朽葉 吉乃(くちば よしの)」 
 171cm 俺/お前・君/◯◯君・呼び捨て
 高校二年生。ネコ。
 何に関しても割と周りから頭一つ抜ける苦労人。その癖ストレスには弱く、親を含めた周りからの重圧に耐え切れなくなる事がある。
 誰にでも世話を焼く紫の事は調停者だと思っている節がある。でも自分のものという認識も常に持っているし、他の人に頼られている所を見るともやりとする。
 時折妙に大人びた表情や考え方を示す事がある。達観というよりも寧ろ諦観的な一面もあるが、片鱗を理解すると男女問わず好かれるタイプ。
 人望はあるのに善良な人間とは到底言えない。紫と関係を持つまでは他校の人間でローテ回してたし、紫以外は友達だろうが居ても居なくても変わらないと思ってる。
 煙草吸ってるけどそんなに多くないので、普段からないと困る訳ではない。
 紫にしか頼れないし頼る気もない。紫だけが自分の欲しい物を的確にくれるのを分かってるし、紫が自分を好きなのと同じ位紫に心酔してる。
 「はは、でも俺の事好きだろ、紫クン?」
 「凪、悪ィけど帰り待っててくんね?頼まれ事あんだわ」
 「…なあ。今日ちょっと俺、駄目、かも」
 「紫、ゆかりもっと、もう、全部忘れてえよ」
 「紫が俺に必死になって皆が絶対知らねえ部分見せてくれんのが、堪んねえの。優しくて凶暴なあいつは、俺にしか向かねえから」
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.17 )
- 日時: 2022/04/25 00:11
- 名前: 綴 凪
- 【燈凪 紫×朽葉 吉乃】 
 『一挙両得の案』
 「お前さ、他校の奴取っ替え引っ替えヤってるってマジ?」
 発端は自分の放ったこの一言だった。二人きりとはいえ勉強中、そんな真面目なシーンでこんな話を切り出してしまった事に、もう手遅れな所まで来て漸く少しだけ後悔した。
 吉乃は驚いた顔で、お茶の入ったグラスを持ちかけた手を引っ込める。そして目を泳がせ、口を薄く開けて、何を言おうかと迷う様子を見せた。しかしその反応こそ、言葉を使うよりもずっと分かりやすく雄弁で、つまり肯定なのだと安易に察する事が出来てしまう。
 「ああ、マジなんだ。…何で?」
 「……頭、空っぽに出来る何かがしたくて…」
 尻すぼみに何とか答えたと思えば、また俯いて黙りこくる。糾弾するつもりで訊いた訳ではなかったのだけれど、人の腹の中に土足で踏み入るような事をしたのは確かだ。何だか居た堪れない気持ちになりつつも、口を止める事は出来なかった。
 「で、そのセフレ達と寝た結果は?情でも湧いた?」
 「湧か、ない。上手い事没頭する事も、出来なかった」
 ふうん、と適当な相槌を打つ。相手は今度こそグラスを持ち、こくりと一口喉へ流して、次にはやはり気不味そうに目を伏せるばかりだった。
 吉乃とは中学に上がった時に同じクラスになり、家が比較的近い事もあってそこから今まで何だかんだ仲良くしている。そうしてずっと一緒に居たからこそ気付く相手の違和感が、最近はどんどん膨れ上がっていて。だから何かあったかと本人に訊こうとした矢先だった。
 高校の分かれた元同級生、そんなに仲良くはないが、たまに連絡を取り合うような間柄。それから久々にメッセージが来たと思えば、吉乃のそんな話だ。時折感じていた妙に大人びたような雰囲気は、肯定された今、何となくその裏付けになっている気がした。
 「…紫、やっぱ引いてんだろ」
 「いや?別に」
 羨ましいとは思ってるけど。なんて、そんな事は言えなかったけれど。実際、幻滅したりは全くない。寧ろ此方には好都合にも思えた。ずっと、ずっと好きだったから。吉乃への恋心を自覚してから、迷惑がかかるとか、世間体を気にする人間だったらどうしようとか、まだその時幼いなりに随分考えた。その末諦める事も出来ず、一番近くに居るのが自分であるように相手にも周りにも示して、外堀を固めて伝えるタイミングを伺っていた。それが漸く、こんな形でも好機が訪れたのだ。
 少しだってこいつの何かが手に入れられる可能性があるなら、逃す訳にいかない。
 「…なあ、吉乃。俺ならお前の欲しいモン、全部与えてやれると思うけど」
 至って真面目な顔をして言ったつもりだが、本気だと思われていないのか、吉乃は一つふ、と笑った後眉を顰める。
 「何、じゃあ俺の事愛してくれんの?どうせ無理…」
 「愛せるよ」
 食い気味に言った後すぐ隣に移動して、今度こそ真っ直ぐな目で見つめる。次は伝わったらしく、冗談でないと分かった瞬間に頬を赤く染めて目を見開いた。
 自棄になって出て来ただろう言葉でも、これから自分のする事は拒まれないと分かる。それだけで十分、この男の欲しい物に応えられる。
 「なん、で…?」
 吉乃が力なく此方の腕を掴む。が、それは無視して更に近付いた。震えた声で再び同じ質問をするので、焦ったく思いながら此方も口を開く。
 「は、"何で"?そういうの、もう良いだろ」
 早く自分の物にしたい、さっさと手に入れたい、と、その一心でキスをした。初めて感じた相手の唇は思うよりずっと暖かくて、口の中は、身体はもっと熱いのだろうかと考えると、この後の期待と共に少しだけ緊張が走る。
 「な、吉乃。ベッド行こ」
 そっと頬に手を寄せると、彼は畏まるようにゆっくりと頷いた。
- Re: 【BL】掃き溜め ( No.18 )
- 日時: 2022/05/11 14:17
- 名前: 綴 凪
- 【燈凪 紫×朽葉 吉乃】 
 『一挙両得の案』2
 閉めたカーテンの隙間から夕日の橙が覗き、その明かりを頼りに相手の身体を触ろうとする。頬を掴み唇を重ねて、舌を強引に口内へ滑らせると、彼の方からそれを絡められた。
 今まで散々遊んでいた分キスのやり方も分かっている。それは当然と言えば当然の事なのに、何か無性に腹立たしい。しかしその意に反して、舌の刺激で身体は快感を拾い上げてしまっていた。堪らず彼のシャツに手をかけて一つ一つ釦を外していけば、息を少しずつ吐きながら此方の手の動きを追うように身を動かす。そのまま脱がせてぐっと肩を掴んで押し倒すと、彼は目を丸くした。
 「待…っ紫、俺が下なの…?」
 「はァ?与えてやるっつったろうが。女と同じように腰振られんのなんか御免だし」
 自分も制服を脱ぎながらそう返す。ネクタイを外し、シャツを床に置いた所で、それまで此方をじっと見ていた彼の目は逸らされた。怪訝な表情で吉乃のスラックスに手をかける。そうして下着だけの状態にすると、頬をほんのりと赤らめながら股の辺りに手を持っていき、もじもじと恥ずかしそうな様子を見せた。
 「隠すな。どうせこれから全部見るんだぞ」
 そう、全部。全部だ。今までこいつと肌を重ねた人間達の誰よりもこいつを見て、触れて、根底にある濁った感情だって一つも残さず暴いてやるのだ。それがどんなに汚かったとしても、須く愛してやるのだ。新鮮なような反応を寄越されるのは可愛いと思わない事もないが、これでは先が思いやられる。手をぐっと掴むと、瞬間耳まで赤くして再び此方をそろりと見た。
 「…で、どう?これで初めて同士とすんのは」
 訊きながら掴んだ手を外側に持って行き、隠していた箇所を晒させた。ボクサーを下ろして既に窮屈そうに押し上げているそこを寛げると、触ってくれと主張するようにふるりと揺れる。その様子に、のぼせそうな程体温が上がるのを感じた。
 「…わ、かった」
 困惑と熱っぽさが入り混じった瞳で、此方の問いに吉乃は漸く口を開き答えた。少しだけ震えた声とその表情に背筋がぞくりとして、抑え切れずにふ、と笑みがこぼれて。そのまま覆い被さるように抱き締めれば、相手はびくりと身体に力を入れる。気にせず首元に顔を埋めて舌を這わせると、小さく悲鳴のような声を上げた。
 「何、首弱い?」
 「分かんな、っけど、擽ってえ」
 そのまま吸い付いて唇を離せば赤黒い痕がくっきりと残り、独占欲なんて刻んではいけないのだと思っても、もう止められなかった。
 本気でこの男を手に入れたいなら、望むのではなく与える側で居なければならない。一つだって奪ってはならないのだ。本当に欲しい物だけで、満たしてやらなければ。それなのに今自分は点々と痕を残している。目の前の欲に抗えなくなっている。
 でも、だって、仕方がないだろう。ずっと待っていたんだ。ずっと、欲しかったんだ。…いえ、どれ程切望していたかなんて、こいつは全く知らなくて良い事なのだけれど。
 「紫、もう、ちゃんと触って…っ」
 背中に手が回り、ぎゅっと抱き締め返される。その言葉に少しだけ体を起こし、彼のモノに手をかけた。それは思うよりずっと熱く、まだ碌に触れてもいないのに先走りが溢れとろとろとしていて。上下に扱いてやるとぐちぐちと音が立ち、彼は涙の滲む目で此方を覗きながら紫、と拙い息遣いで自分の名前を呼んだ。
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