大人オリジナル小説

修羅
日時: 2010/03/21 21:28
名前: マナ

私の中には、もう一人の私がいる


ナイフを持って、
クスクス笑って、
目の前の肉体にナイフを振り下ろして

引き裂いて、
ぱあっと血が飛んで、

それを浴びる、私が。

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修羅 ( No.15 )
日時: 2010/04/25 20:57
名前: マナ




「奏、仕事よ」

「・・・」

私は無言で立ち上がる

行くか・・・



川原に集まる人々

私はそれをじっと見る

「何人いる?」

母が私に訊く

「見えないのですか?」

「こないだ眼をちょっとやられてね・・・。 幸い盲目にはならなかったけど、視力が低下したのは確かでね・・・見えないのよ」

「・・・そうですね、」

私は影の濃い所を探す。

「40あたりでしょうか・・・」

「・・・まずいわね、それだけ人が集まれば、関係者以外の人にも気配は伝わってしまうわ・・・」

「早く片付けましょう」

そう、人は密集するほど 気配が強くなる

気配の濃度によれば 一般人にだって 気配を伝達してしまうのだ

―――ましてや現代 夜中に眼を覚ましてる人は ごまんといるのだ―――――


「お前達、何をしている!」

ほら、 見つかった

どうやら私達の出番は無いようだ

敵は慌てて逃げていく

「おーい、其処にいる人ー」

その人間は声をかけた

・・・私達に?

「追われてたんですよねー? もう大丈夫ですよー」

・・・嘘だ

一般人に 私達が分かる訳無いのに・・・!

「どうします? お母さん」

「口封じでもしとく?」

「いえ、一般人には私達があいつらに追われているように見えています。 心配は無いでしょう」

「では、何故私達の居所が掴めるの?」

「・・・さあ」

トンッ

さあっ


「へえ、足速いね」

「私を誰だと思っているの? 貴方、私を知っているんでしょう?」

少年は背が高く、茶髪で、今時の典型的な男子、といったようなイメージが彼の周囲を徘徊している

「んー・・・知らないよ? 見覚え無いし。

 ただ、裏世界の住人っぽいって思うだけ。

 俺がかつていた世界の匂いがする、あんたからは」


こいつ、鼻がきくのか・・・

「お前、何をしていたんだ?」

「特別に教えてあげてもいいけど・・・。

 殺し屋だよ?」

にっと笑って彼は言った

「何故あんなことをした」

「駄目だよ、あんな屑と闘っちゃあ。 あんたの才能が廃れるぜ?」

相手のことを知っているらしい・・・

それにしても、私には理解出来ない

目の前にあるのを殺す  それが快感なのに・・・

「それだと、あんたは修羅に食われちまうぜ?」

!?


「どういうこと・・・?」

今にも跳ね上がりそうな鼓動を抑制する

「俺、読心術、使えるの♪」

――読心術?

まさか!

「あんた、まさか、一宮―――」

「ピンポーン! 一宮家の一人息子でーす」

一宮

世界の企業を統括する財閥のことだ

裏世界ですら その殆どを支配されている

彼ら一族は 人の心を読める

「読心術」を使う・・・・・・


「あんた達の偵察に来たんだぜ? お嬢様」

寒気を覚えた

「殺しに来たのか」

「違うけど、場合によってはそうしてもいいってさー、親に言われたんだよねー」

「・・・」

「だけど俺、不要な血は流させたくないからね。

 血って神から授かったもんじゃん? それを無駄にするなんて人間としてどーなのって俺ぁ思うわけよ。

 だから良かった。 あんた等はまだまだ動けそうだしね。 せいぜい修羅に取りつかれないようにしろよ? 俺ぁそれで裏世界からおさらばしたんだからさ」

・・・修羅

私の中に 芽生えた修羅

「修羅は、手前(てめえ)を壊すよ」

再度にこっと笑って そいつは去った



「お母さん・・・どうします」

母の方に向き直る




母は息をしていなかった

胸元から血を流し 無様に転がっている「物」だった



「・・・あーあぁ・・・」


死ーんじゃったぁー。

私、どうしよっかなー。



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