大人オリジナル小説

【第2部】信じるということ
日時: 2013/07/04 10:28
名前: 哀歌 ◆dcuKuYSfmk

「さぁ、復讐を始めようか」の第2部です。
立てちゃいました。
もうしばらく、お付き合いください。

【目次】
プロローグ

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10



Re: 【第2部】信じるということ ( No.3 )
日時: 2013/07/10 15:07
名前: 哀歌 ◆dcuKuYSfmk

1話 メッセージ

心臓が、五月蠅いくらいに暴れ出す。
私は微笑み、復讐を始める、

『彼女と出会ったのは、小学校高学年の頃。
クラス替えで、同じクラスになったのが始まりでした。
友人とクラスが離れてしまい、ひとりぼっちだった私に、声をかけてくれたのが彼女ーーNさんでした。
Nは優しい声で色々と質問してきました。
どうやら、私は彼女の審査に合格したようで。
彼女と親友ーーいえ、今思えばただの主人と奴隷の関係になりました。
それから3ヶ月。
私の心と体は、ボロボロでした。
それもそのはず。
私は“親友”ーーN・H・Aに、毎日奴隷のように扱われていたのですから。
殴る・蹴る・シカトなどは当たり前。
私が持っていた物も、私が書いた小説も。全て、彼女の物になった。
それから、ここには書けないことも、普通にされてきました。
彼女にはきっと、過去の出来事になっているでしょうが。
『死ね』『ブス』『キモイ』『空気』……
毎日続く、言葉の暴力。
その言葉の通りに私が死んでいたら、彼女はどんな顔をしたのでしょうか?

小学5年生になったある日。
私は自傷行為に手を出しました。
本気で死にたかったわけじゃない。
あの子の言うように、私が生きていても良い存在なのか。
私は生きているのか、確かめたかっただけでした。
傷つけた腕は、痛かった。
痛かったけど、あの子からの暴力ほど、痛くはなかった。
もうあの傷は、消えることはないでしょう。
心にも、身体にも。
彼女は私に、沢山の傷を付けました』

私は微笑み、彼女を見る。

「それなのに『罪悪感がない』なんて、よく言えたものだわ。
貴女にとっては、ただの遊びなんですって?
迷惑なお遊びですこと。
嗚呼、あの時ーー死んでおけば良かった」

涙が一筋、頬を濡らす。

『もう、あの子の言いなりにはなりたくない。そう思った。
でも、私はグループを抜けることが出来なかった。
だって、私を傷つけた次の日は、みんな私に優しいから。
言葉も、暴力も。
いつもより、優しかった……。

小学6年生になり、私は親友だった人と再会しました。
彼女とは1年生の時に出会い、毎日のように喋っていました。
彼女は、完璧だった。
そのせいか、人に弱みを見せなかった。
私にも、誰にも。
私は彼女との関係に、疑問を抱くようになっていきました。

中学1年生になり、私と彼女は親友になりました。
私達は、いつも一緒だった。
とても、幸せでした。
……でも、私は知らなかった。
私達の友情が、少しずつ壊れていると言うことを。

ーー寒い、寒い冬の日でした。
私達の友情が、跡形もなく崩れてしまったのは。
私ばかり話して、何も話してくれなかったね、貴女は。
私、何が本音なのか分からなかったよ。
何も、分からなかった。
私達は、本当に親友だったのかな?

その日から私は、人を信じられなくなりました。
うわべだけの笑顔を浮かべて近づいてくる女子とか。
私だけは味方よ、なんて言ってくる母親とか。
いつも優しい父親とか。
教師は勿論。家族さえも、信じられなかった。
信じるとまた裏切られるって、分かっていたから。

死にたかった。この人生を、終わりにしたかった。
私は生きてても良いのか。その答えが欲しかった。
嘘でも良いから、「生きてても良いんだよ」って言って欲しかったの。

貴女には、親友と呼べる人が居ますか?
この話を聞いて、思い当たることはありませんか?
貴女の周りに、苦しんでいる人は居ませんか?
貴女の周りに、あんなことをしている人は居ませんか?
もしも苦しんでいる人が居るなら、手をさしのべて欲しい。
そうすれば、尊い命が救われるはずだから。
もしもあんなことをしている人が居るのなら、今すぐ止めて欲しい。
お願い、もう傷つけないで。
これ以上、繰り返さないで欲しい。
もう、分かってるんでしょう? 何も変わらないって。

私は、人を信じる心を失った。
でも私は、人を信じたいと思えるようになりました。
人を信じられなくしたのも人。
信じようと思わせてくれたのもまた、人でした。
私はもう一度、人を信じてみようと思う。
“信じるということ”のすばらしさをまた、知りたかったから。

いつか、貴女のことを、信じられるようになるのかしら。
冬の日に失ったあのこのことを、信じられるようになるのかしら。
教師も、家族も、信じられるようになるのかしら。
とにかく私は、人を信じてみようと思う。
疑うのではなく、信じることから始めよう。
“信じるということ”は、とても素晴らしいことなのだから』


私は一礼し、席に戻った。
神崎が、泣いていた。
それは何の涙ですか?

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。