大人オリジナル小説
- kill you
- 日時: 2014/04/25 23:31
- 名前: 花崎結香
長い長い校長の話。耳障りだ。さっさとおわれ。死ね。偽善者の振りをした教師たち。消えればいいのに。私の心を自由にするのは復讐だけだ。
……………………………………ホームルームが始まった。担任の名前は伊藤圭介。いずれ私が消してあげるわ。それまで宜しく。私にとって人間は、最低だ。これは3年前。遠いようで近い日の話。
……………………………………
「いってきまーす!」
私は、中学一年。私には一つ年上のお姉さんがいた。名前は吉原香奈恵。
「お姉ちゃん!待ってよ!」
「ったく…遅刻するじゃん!急いでよ!楓!」
そう言っても私を待っていてくれる優しいお姉さん。
これが最期なんて思いもしなかったんだ。
同じ中学校のお姉さん。私の大好きな彼女は…
「「きゃー」」
数人の女子の悲鳴。何事かなど気にもとめなかった。いつも騒がしいこの学校では日常茶飯事だ。
「吉原楓さん、居る?」
1人の男子が息を切らして、私を呼んだ。
「私ですが。」
恐らくお姉さんの同級生だろう。
「吉原が飛び降りた。今すぐ行くぞ」
私の周りはやけに静かになる。悪い冗談か?
しかし、彼は私の手を引いて走った。走った。
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- Re: kill you ( No.15 )
- 日時: 2014/06/01 13:58
- 名前: 花崎結香
#15私の中で
「おはよう。楓」
笹原は相変わらず笑顔で私に微笑んだ。
「おはよう…」
何か企んでいるんじゃないよね?
「笹原さぁん!そんな奴と一緒にいたら華ちゃんみたいに殺されちゃうよぉ!」
かつての共犯者、福原が嫌な声で言う。
「私、死んでないよ?」
いつの間にかそこには葵井が立っている。
「華ちゃん、大丈夫?」
皆の言葉には耳も貸さず、葵井はこちらに向かって真顔で歩いてくる。
私は見せる顔がなくて葵井の視線から逃げるように俯いた。
しかし,
「顔をあげて。吉原さん。」
葵井はそれを許さなかった。
(私から逃げるな)
そんな声が聞こえたようだった。
私が恐る恐る顔をあげると葵井はまだ真顔で私を見つめていた。
「ごっごめんなさ…
バシッ!
私の謝罪を遮るように、葵井さんは私をビンタした。
「ごめんなさい」
葵井さんは私に深々と頭を下げた。
「えっ…」
戸惑う私に今度は葵井は笑顔を見せた。
「お互い様だよ」
そういって葵井は私の手をつかんだ。
「仲直り。」
わたしは耐えきれなかった。これまで自分の犯してきた愚かな罪を彼女は“仲直り”それだけの言葉で受け入れてくれた。
私の目からとめどなく涙が溢れ出す。葵井は私のことをみつめて優しく言った。
「私はもう大丈夫だから。」
私は分かった。葵井は自分に怪我を負わせた私に、自分をいじめて傷つけた私に、復讐しようと考えなかった。それよりも私に寄り添ってくれた。
私はお姉ちゃんのことで復讐しか考えられなかった。
復讐なんて、くだらないことだな。私は葵井に教えられた。
「楓、今日一緒に遊びに行こう。」
笹原が笑顔で私の手を取った。「もちろん、葵井さんも」
私は決めた。復讐なんて終わりにしよう。もう私は自分らしく生きれば良いんだ。
「うんっ!ありがとう。椎葉、華」end
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