大人オリジナル小説
- bl)瓶詰め
- 日時: 2019/03/02 18:42
- 名前: 百田 ◆yaY4zarJ.M
短編を不定期で投下したいスレ。
基本bl。
***
執筆中
>>1 ~
(養護教諭×淫乱生徒)
- Re: bl,r-18)瓶詰め ( No.4 )
- 日時: 2019/02/17 00:23
- 名前: 百田 ◆yaY4zarJ.M
笑ってはいなかった。
いいや、正確に言えば表情は確かに笑っていたけれど心は泣いていた。
可笑しな表現だと自分でも思う。魔法使いじゃあるまいし人の心情なんか読めっこない。それでも確かに彼の心は悲鳴をあげていて、僕に助けてと呼びかけているんだと魂か、心か、この際どうでもいい、どこかがそれを感じとったんだ。
「駄目!...ですよ。痛みに慣れたら、何れ壊れてしまいます」
少し大きな声を出してしまったものだから僕も彼も驚いた。それでも構わず彼の目を見て続きを紡げば今度は彼だけがもっと驚いた顔をする。
それからまた、心では泣きながら表面では笑った。
「何言ってんの、せんせー。痛いのなんか感じない方がいいに決まってるじゃん」
どちらかというとそれは目の前の僕というよりも自分に言い聞かせるニュアンスが強いように感じられた。痛く感じなくなったのは幸いだと。
左手でジャージで隠れた右手の甲をさする動作をして少しだけ眉を潜めた後にまた、遠くを見る。ベッドの上へ戻って再び膝を抱えて。何にも写っていないようにすら感じられる彼の瞳は何を捉えているのだろう。
デスクから立ち上がり怖がらせないようにそっと隣へ腰掛けて割れ物を扱うよりもっと優しく彼の右手を掬った。抵抗されるかと思ったけれどそんなことはなくて、未だ何処かを見つめていた。
「痛い、でしょう?ほんとはどこもかしこも」
ゆっくり捲ったジャージの下の白い右手にはくっきりとした青あざがあって、腕まで上げてしまえばそれが数カ所に散りばめられていた。
視線が此方へ戻って、ぶつかる。途端に黒髪が降ってきて華奢な体が僕の腕へと収まる。反射でもなんでもなくて自分の意思で抱きとめると声を殺して泣く彼の背をたださすった。
なんとなく、いい子だねと声を掛けると背が跳ねて噛み砕く嗚咽音が大きくなった。