大人オリジナル小説
- 生きる許可が欲しい (BL)
- 日時: 2021/12/09 23:44
- 名前: 佐藤さん
これは、病み気味の年下の男の子と、少し煩い元気な年上の男の子の、初々しい恋愛物語(になる予定)です。
注意、
この小説には、
自傷行為、暴力・流血表現 等の要素が含まれているので、苦手な方は閲覧を控えるようにしてください。
更新ペースは遅いと思われますが、どうか暖かい目で見守ってやって下さい。
12/09 ※追記
過去の文を読み返していると、様々な矛盾点や誤字、納得のいかない表現などを、発見しました。(><;)ヒェェ
そういったのを見つけた場合、予告なく修正します。なので、文章の内容などが変わっていることがあるので、予め御了承ください。
お見苦しい文で申し訳ないです…
- 生きる許可が欲しい かもめside ( No.1 )
- 日時: 2021/12/09 22:56
- 名前: 佐藤さん
死ぬのではないかというぐらいの勢いで、自分の手首を切った。
その、細く深い切り口から大量に溢れ出てくる赤黒い液体。
痛いといえば痛い。だけど、こうすれば自然と落ち着いてくるから、自分がしたいから、してるだけ。
他人に迷惑をかけるつもりはなかった、でも、母さんに怒られてしまった。
理由は、俺が “商品” だから。
春の温い空気が肌に触れる。太陽の光が、肌色のカーテンの隙間から、俺の目に直接差し込んできた。
「ん…」
……起きたくない。重い瞼がそういってる。
その上、体も重いから、尚更起きようとする意欲が無くなってくる。
起きたらまたつらい一日が俺を迎えに来るから。
ずっと寝ていられれば、他人の話し声、雑音、全て聞こえなくなるのに…
それでも俺は起きないといけない。起きないと、怒られ、叩かれるから。
どれほど嫌でも、起きなければならなかった。
今は…朝の5時。ちょっと早い時間だ。昨日は確か…3時ぐらいに寝たっけ…俺にとっては2時間寝られていれたのは良い方だ。
美里さんと恭太さんの朝食を作らないと…
朝食を作るために台所へ向かうが、先程からとてつもなく体が重い。
体に何か重い物でも繋がっているんじゃないか…?そう思って体全体を見てみたが、何も繋がってはいなかった。
こうしてもたもたしていると、また叩かれてしまう。早く朝食を作って学校に行こう…。
今日は和食にしようかな。確か昨日、美里さんは久しぶりに和食を食べたい、と言ってた。…ような気がする。
階段を降りて、台所につく。
和食なんて、未熟な俺には上手に作れないと思うけれど、美里さんたちのためだ、頑張らなきゃ。
………ふぅ。我ながら上出来だな。
と思う程、料理は上手じゃないから、今回もあまり自信がない。
美味しくなかったら怒られちゃう……。
……卵焼き、食べたいな…。
そういえば、最近はおにぎりしか食べてなかったな…。
でも今日はなんか何も食べたくない。
日頃から、食事を毎日取れていなかったせいか、食べる意欲さえも無くなってしまったようだ。
このままだと死んじゃうかな…。
………別にそれでも良いけど。
…まだ5時半だ。どうしよう…。
もう出ようかな。朝から怒られたくないし…。
そう思って、テーブルの上に二人分の料理を運び、蓋を被せた。
俺の家、というより、美里さんと恭太さんの家は、そこそこ広い二階建ての一軒家。
外からこの家を見ると、金持ちが住んでそうな外装で、その二階の隅の押し入れみたいな部屋に住まわせてもらっている。
扱いは相当雑だと思われる。恭太さんとは地味に血は繋がっているけれども、ほぼ赤の他人みたいなものだから、邪魔者扱いされても仕方がないのだ。
その住まわせてもらっている部屋には、丁度俺の身長ぐらいのシンプルな縦に長い鏡があって、それでいつも体の傷が服に隠れているか確認している。
学校に行くために、指定の制服を着始める。
「ぁ………」
首の左らへんにタバコの火傷痕が少し見えてしまっている。
昨日の“お仕置き”はいつもよりひどかった。門限より少し遅く帰ってきてしまい、ひどく怒られた。
恭太さんが仕事でちょっとしたミスをしてしまっていたようだった。それで吸っていたタバコを俺の首に押し付けたのだ。
俺は恭太さんたちのストレスの吐け口。どんなひどいこと、痛いこと、苦しいことをされても、俺は道具だから、抵抗してはいけない。俺は別にストレスなんて溜まらないし、恭太さんたちに対して怒ったりしない。だから、“人形”とか“道具”って言われるみたい。
でも、こんな俺でもちゃんと生きてはいるし、皆と同じことはちゃんと、ちゃんと出来る、はず。
だから、傷付けたり、壊されたりするとちょっと面倒だから、控えてほしいとは思ったりする時がある。
だって俺は、生きている “商品” なんだもの。
いざとなったとき、使えなくなってたりしたら、
俺も、困っちゃうからさ。
よし、制服に着替えたぞ。もし、タバコの火傷痕が見付かったとしても、誰も俺のこと心配しないし、大丈夫だろう。
鞄を持って、足音を立てないように階段をまた降りていく。音を出しても怒られるから。
学校の登校時間まで結構時間があるな…。公園で暇潰しでもしてようかな。変な人に見付かんないといいけど…
靴をはいて、また音を立てずにドアノブに手をかけ、ドアを開ける。
「いってきます。」
重い足取りで、俺は家を出た。