大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- モンブラン博士VS薬袋 合作 【完結!】
- 日時: 2017/06/18 13:24
- 名前: モンブラン博士
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=30871
彩都さんの連載しているプリキュアバトラーズ アナザーストーリー ラストフールの外伝的作品です。
本人から許可はとっています。
彩都さんの作品のURLを貼りました。
彩都さんとの合作作品になります。
- Re: モンブラン博士VS薬袋 合作 ( No.6 )
- 日時: 2017/06/15 19:46
- 名前: モンブラン博士
翌日の巨大ホールで私と薬袋は対峙した。
この仮想世界にとって有名な悪役レスラーとして鳴らしていることもあってか、会場には一万人以上もの観客が詰めかけてくれた。入りきれない客は外のパノラマテレビの実況を視聴している。
試合開始時刻から五分遅れて、ようやく薬袋が入場してきた。
「悪い悪い。会場がどこなのかわからなくて戸惑ったぜ」
「ふーん」
「テメェ、また馬鹿にしやがったな!」
掴みばからん勢いの彼をレフリーが制止し、試合のルール説明をする。
「この試合は時間無制限三本勝負とする。反則は自由だ。わかったな?」
レフリーの説明が終わり、私達はそれぞれのコーナーポストに戻る。
因みに私が赤で彼が青だ。
レフリーは私と彼との試合が怖いのだろうか、自分だけさっさとリングを降りて逃げてしまった。レフリーとしては失格の態度ではあるが、賢明な判断だ。
私の繰り出す反則の巻き添えを食らったら命がいくつあっても足りない。
白いマットに三本ロープの四角いジャングルで、私と薬袋は決戦を始める。
「逃げずに来たことだけは褒めてあげるよ」
「お前との勝負が怖い訳ないだろ。すぐさま連れて行ってやるよ、冥土にな」
「それは楽しみだね。期待しているよ」
カーン!
試合開始を告げるゴングが高らかに鳴り響き、私達の試合が始まる。
私はゆっくりとした足取りでリングの中央まで歩みを進めると、手を広げて仁王立ちになる。
「さあ、どこからでもかかってきたまえ」
「後で泣きべそかいても知らねぇぞ!」
彼はいきなり肘うちを見舞って私をダウンさせると、そのままマウントをとって顔を何発も殴る。彼のパンチをガードもせずに受け続けたものだから、身体が痺れてきた。
流石はプリキュアを全員殺めた男だけのことはある。
彼は私の腹の上を何度も踏みつけ、蹴り上げ、髪を掴んで立ち上がらせると持っていた白いタオルで首を締め上げる。その怪力の凄まじさたるや、呼吸が苦しくなるほどだ。
目の前の景色が霞み、次第に意識が遠のいてくる。
「どうだい。自分の攻撃は?」
「……意識が遠のいてそのまま天国に旅立ちそうだよ」
「そうだろうな。じゃあさっさと、あの世へいけよ!」
彼は空いている方の手で隠し持っていたナイフを私の首元目がけて突き刺そうとする。
鋭い感覚を感じ首元を見てみると、そこからおびただしいほどの血が流れていた。
更に薬袋は容赦なく私の心臓にナイフを突き刺す。
感じる。私の身体が傾いているのを。
「どうした、モンブランさんよぉ? この前自分を襲った時の威勢はどこへ消えちまったんだい」
「ハハハ……君には勝てなかったみたいだ……」
身体が傾き、仰向けになり倒れ伏した。
大の字で倒れる私に彼は覆いかぶさり、フォールに入る。
「ワン!」
レフリーがカウントを数えるが私は起き上がれない。
「ツー!」
どんなに力を込めても体は全く動かない。出血がそうさせているのだろう。
「ス……」
遠くでレフリーのカウントをとる声が聞こえる。
結局、私の努力も水の泡に消えたな……
最後にプリキュア達の無念を晴らしてやりたかった。
なんてね。
レフリーが最後のカウントを言い終わるよりも早く、私は薬袋の身体を弾き返し、サッと立ちあがる。
弾き飛ばされた薬袋はコーナーに激突するも、どうにか立ち上がり、信じられないと言った表情で私を見ている。
私は首をコキコキと鳴らし、彼を見た。
「自分は確かに首と胸を刺したはずだ! その大量出血が何よりの証拠!
それなのに、お前はなんで動けるんだよ!?」
これまでずっと堪えていたのだが、もう我慢ができない。
ついに私は大声を上げて笑い出した。
「何が可笑しい?」
「君が騙されていることだよ」
「自分が騙されているだと」
「君は首と胸を刺したつもりのようだが、残念だったね」
試合開始前に筋肉に見える服を着ておき、首と胸の部分に動物の血を入れた袋を隠しておく。私の推測通り彼は見事に袋を破いて、吹き出た血の量に動揺と私に止めを刺したと確信を得た。
当然ながら服、それも丈夫な作りなので私はノーダメージ。
彼は見事に私の作戦に引っかかったと言う訳だ。
薬袋はあれだけ劣勢に追い詰められている姿を見て私のファンが一言も発しないのを不審に思うべきだった。
皆、私が普通、こんなにやられることはないと気づいているのだから。
実況席の解説によりようやく私のトリックに気づいた彼は怒り心頭。
仕掛けの服を脱いだ私にナイフを光らせ飛びかかってくる。
だが、彼のナイフを受け止め奪いとって右肩にサクリと刺すと、彼の顔が苦痛に歪んだ。
「さあ!残酷ショーのショータイムだ!」
- Re: モンブラン博士VS薬袋 合作 ( No.7 )
- 日時: 2017/06/16 11:32
- 名前: モンブラン博士
肩口からナイフを引き抜きリング外に放り出すと、彼の後頭部を掴んで何度もコーナーの鉄柱に顔面を叩き付ける。薬袋は瞬く間に流血し、その顔が血で真っ赤に染まる。
そして先ほど彼が使用した白タオルを首に巻きつけ、彼の首をじわじわと締めていく。
「これまで君が殺めたプリキュアも、こんな苦しみを味わってきたのかもね」
「ぐ……が……」
「安心したまえ。じっくり、ゆっくり、息の根を止めてあげるから」
一瞬だけ手を緩めて安心させておき、またすぐに首絞めを開始する。
緩めると締めるを何度も繰り返すことにより、ジワジワと相手を甚振るのは格別だ。
十分も同じことをしていたら流石に飽きが来た。
そこで私はタオルでの首絞め地獄から解放し、滅多蹴りにしてリングから落とす。
反則自由で時間無制限、リングアウトのカウントもないこの試合ではカウントを気にすることなく好きなだけ場外乱闘ができる。
まず最初に行ったのは隠し持っていたフォークによる額への攻撃だ。
ただでさえ先ほどの鉄柱で傷ついている彼の額に追い打ちをかけるのだから、食らう側にしてはたまったものではない。
鮮血が滴り落ち床を真紅にする中、彼を鉄柵に叩き付けて身動きを取れなくした状態でパンチとキックの雨嵐を炸裂させる。
気の弱い女性の観客達はあまりの凄惨さに悲鳴を上げるが、まだ私の反則オンパレードは始まったばかり。
エプロン下から机、椅子、ハンマーなどの凶器を次々取り出し、それらが使い物にならなくなるまで半死半生の薬袋を殴り続けた。
更に細いワイヤーで彼の首を締め上げつつ、鉄柱まで走っていき彼の頭部を激突させる。
ここで薬袋をリングへ放り投げ、自らもリング中央に上がった。
そして虚ろな目をした彼を髪を掴んで無理やり立ち上がらせて言った。
「君は東せつなちゃんに言われた最後の言葉を覚えているかね」
「東? そういえばプリキュアにそんな名前のような奴がいたような気がするが、そいつがどんな遺言を言ったんだ」
「『あんた絶対許さない。死んだら絶対祟ってやる』……とね」
「そんなこと言ってたっけな」
「忘れた振りをして自分を誤魔化そうとしたところでもう遅い。あの時の彼女の無念をを私が代わって晴らしてやろう」
「!!」
懐から五寸釘を取り出し、彼の胸元に思いきり突き刺した。
当然ながらギリギリで心臓を避けて刺したので即死にはならないが、致命傷は免れない。
「これでまずはせつなちゃんの怨みを晴らすことができた。次は私個人の怨みだ」
「お前の怨みだと!?」
「そうだとも」
答えるなり私は一気に怒りを解放させて、本気モードになる。
シルクハットと黒のタキシードを脱ぎ捨て身軽になると、軽く薬袋の顔面に拳を打つ。
するとそれだけで、彼は三本ロープを飛び越え盛大に吹き飛び、客席を守っている鉄柵に激突した。
持ち前のタフさで立ち上がりリングへ舞い戻る薬袋であるが、私は見逃さなかった。
彼の両足が恐怖によりブルブルと激しく震えていることを。
- Re: モンブラン博士VS薬袋 合作 ( No.8 )
- 日時: 2017/06/17 15:21
- 名前: モンブラン博士
「たぁッ!」
私は飛び上がり空中で一回転して彼の背に回ると、手刀で斬撃を浴びせ彼の背中にXの傷を付けた。切り裂かれた箇所から血を噴き出し片膝を付く彼に、私はエプロン下から壺を持ってくる。
「なんだそれは?」
「傷薬だよ。痛いだろうからね、これで痛みを和らげようと思ってね。よく効くよ」
そして彼の傷口にハケで赤い薬を塗りつけると――
「ぎゃあああああああッ!」
薬袋の絶叫が会場に響く。
当たり前だ。私が彼に塗りたくったのは唐辛子なのだから。
唐辛子に含まれるカプサイシンが神経を刺激し、激痛を引き起こす。
更に彼の身体から流れ出た汗が傷口に染み込み、更に痛みを悪化させていく。
しかも、この激痛はカプサイシンが消えるまでなくなることはない。
リングを転がりのたうち回り続ける薬袋。
その光景は地獄絵図そのものと言ってもいっていいだろう。
唐辛子の入った壺をリング外に捨てて口を開く。
「どうだね。よく効いただろう」
「ああ。滅茶苦茶にな……」
「それはよかった」
一瞬で間合いを詰め、素早くズボンとパンツをずり降ろしその秘部を露わにする。
大衆の前で自らの一物を晒された薬袋はあまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にするが、彼がパンツを履くよりも早く彼の金色の玉にデコピンを食らわせる。
男子にしかわからぬ痛みを味わい、下半身を抑えて倒れ込む。
「私がなぜ全国放送にしたか理由がわかったかね。君の一物を全国に見せしめて大恥をかかせたかったからだよ。これで君は明日から、二度と学校に通うことが出来なくなったね」
「テメェ、自分をからかうのもいい加減にしやがれぇ〜ッ!」
「やよいちゃん達のパンツを見た君が文句を言う資格はないよ。これでパンツを見られたプリキュア達の怨みも晴らせたね」
「ふざけるな!」
キレた薬袋の拳を食らって後退する。
会話に夢中で虚を突かれたとはいえ、彼のパンチは確かな重さを持っていた。
「流石は殺人を生き甲斐としているだけのことはある」
「自分は人を殺さないと食事が不味くなるんだよ。今日は誰も殺していないから、うまいコンビニ弁当を食べるためにもテメェを始末しなきゃな!」
「そうなのか。ではまずはその手を破壊するとしよう」
私は彼と手四つで組み合う。ようやく本格的なプロレスらしくなってきた。
互いに一歩も引かず、がっちりと力比べをする。
怪力が自慢なだけあり、薬袋君は私を相手に互角だった。
けれど私も黒板を持ち上げ相手に叩き付けるぐらいの力は備えてある。
プロとして素人に負けはしない。
力比べは暫く続いたが、その結果は薬袋に軍配が上がる。
彼は私をヘッドロックに決めぐいぐいと締め上げる。
「へへへ……このまま脳波を狂わせてやるぜ」
「ぐぐぐ」
「自分の怪力の凄さは言葉にならねぇみてぇだな」
「君の怪力は素晴らしいが、プロレスラーにヘッドロックをかけるとどうなるか考えなかったようだね」
「どうなるんだ」
「こうなるんだよ!」
彼の腰を両腕で掴んで持ち上げると、そのまま後方に相手と一緒に私自身も倒れ込み、そのまま彼の脳天をマットに叩き付ける。
これぞプロレスの王道技、バックドロップ。
まさかこのような外道相手に使うとは思わなかったが、とにかくフォールだ。
彼の上に覆いかぶさり、カウントを待つ。
「ワン!」
「ツー」
「ス……」
なんとカウント2・5で薬袋は私を押しのけ立ち上がってきたのだ。
必殺のバックドロップを食らってもなお立ち上がるとは恐るべきタフネス!
この時、初めて背筋に冷たいものが流れるのを感じた。
どうやら僅かな攻防で試合開始序盤の攻防が逆転してしまったらしい……
「今まで散々自分を甚振ってくれたなぁ。今度はこっちからいかせてもらうぜ!」
- Re: モンブラン博士VS薬袋 合作 ( No.9 )
- 日時: 2017/06/18 22:07
- 名前: モンブラン博士
それからの薬袋の攻撃は圧倒的だった。まるでこれまで味わった苦痛を全て返すとでも言うかのように、殴る蹴るのラッシュである。正直、彼がこれほどの力を持っていたとは思わなかったために完全に面食らい、ペースを崩してしまう。試合展開は次第に薬袋が有利になっていき、気が付くと私は視界が逆さまになっているのがわかった。
「まさか! この体勢は!」
「自分にだってこれぐらいのプロレス技は使えるんだよぉ!」
脳天に強烈な衝撃が走り、目の前が暗くなっていく。
遠くでレフリーのカウントが聞こえるが今度は立ち上がる力がない。
意識を取り戻した時には、薬袋にパイルドライバーで一本取られた後だった。
この試合が三本勝負で本当によかった。
そうでなければ私の負けは確定していたのだから。
もう油断は禁物だ。彼をただの人間と侮ってかかったのが間違いだった。
五分間の休憩が過ぎ、二本目が開始される。
「フンッ!」
試合開始早々、私は彼を持ち上げて空中に放り投げる。
それを追いかけ、相手と背中合わせになると、彼の顎を両腕でガッチリとロック。
続けて足を固め、そのまま一気に降下していく。
技の入り、極まり、落下速度、全てにおいて完璧な私の得意技――
「マッキンリー颪!」
漫画『キン肉マン』の登場人物〈完力〉ポーラマンの必殺技が絵に描いたように決まり、薬袋は白目を剥いて吐血。技を解くとピクリとも動かなくなっていた。
すかさずフォールに決めて二本目は私が奪取した。
さて三本目だが、ここまで互いに一勝一敗。
次を獲った者が勝利者となるが、私の答えは決まっていた。
先ほど脱いだタキシードを着て、いつも羽織る黒マントを彼に被せて目隠しをする。
「うわッ! なんだ、見えない……ッ!」
慌てふためく彼に私はたった一発の打撃を浴びせ、マントを取る。
「今の攻撃、痛くもなんともなかったぜ。不意打ちにもなってねぇ」
「君は今の攻撃の恐ろしさを知らないからそう言えるのだ」
「生憎自分は今まで恐怖を感じたことはないのでね」
「……私はさっきの一撃で新血愁という秘孔を突いた。秘孔とは体のツボのことだ」
「それがどうしたっていうんだよ」
「新血愁は突かれたら最後、三日後に凄まじい激痛に襲われ全身から血を噴き出して死ぬ」
「!!」
「治す方法はない。せいせい死ぬ瞬間まで苦しみたまえ」
「おい、待て!待ってくれぇ!」
彼の悲痛な叫び声がこだまする中踵を返し、足早にリングを去った。
私の同居人、腰まである金髪に赤い瞳、美白で女神を思わせるほど美しい少年は私が会場を出るのを待っていたのか、優しく微笑み言った。
「お疲れ様。試合を途中で放棄するなんて君らしくないけど、何かあったのかな」
「彼に勝利を譲ってやったんだ。最後くらい花を持たせてやるのもいいだろう?」
「最後……」
少し首を傾げる彼の耳元で私はそっと囁く。
「彼は三日後に死ぬ」
「なぜ?」
「それが彼の運命だからだよ。こればかりはどうやっても逃れられないからね」
すると同居人の目が大きく見開かれ、顔が青くなる。
「まさか君はアレを――」
「その通り。そうでもなきゃ、私が勝利を捨てることはあり得ない」
「そこまでするほど彼を憎んでいたなんて……君に恨まれた彼は可哀想だ」
「そうかもね。それじゃあ今までありがとう。私は彼より一足早くに現実世界に帰るよ」
同居人と握手をすると、彼の左目から一筋の水滴が流れ落ちた。
優しすぎる彼は薬袋君の残された命に心から悲しんでいるのだろう。
そこで私はせめてもの安らぎとして、薬袋君が息絶えたら彼に迎えに行くように伝え、現実世界へ帰る。
現実世界へ帰ってから三日後、新聞に26歳の殺人鬼の男が全身血達磨なり死亡している記事が載った。
これが薬袋だった男の正体かと思いながら天井を見上げる。
新現実世界へ戻った彼は何人の人を殺めただろう。
そしてその報いが凄まじい激痛を持って一気に襲いかかったのだ。
恐らく彼は私を怨んで地獄へ堕ちていったに違いない。
彼にとって唯一の幸いだったのは、地獄へ迎えにきたのが天使だったことだろうか。
まあ、これまで人を大勢殺めてきた当然の報い。
そして仮に今度生まれ変わることができるのならば善人に生まれてきてほしいものだ。
おわり。