官能小説(オリジナル18禁小説)
- 聖なる夜に(短編.nl.r18)
- 日時: 2018/12/21 01:52
- 名前: 白楼雪
クリスマス短編nlです。
短編なので、サクサク書ければと思っています。
荒らし等はご遠慮ください。
感想は雑談にて、お待ちしております。
さぁ、クリスマス迄まにあうかな?
※ どうにか、イブ前に書き終えました。
結構後半厳しい感じでした。
その他、作者の呟きは雑談の「私室」にて、つらつらと載せますので、良ければ遊びに来て下さいね。
感想、ご意見、リクエスト等もお待ちしています。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.14 )
- 日時: 2018/12/07 03:07
- 名前: 白楼雪
艶のある声に彼の指先が動く。
距離を詰めた寄月の膝がベッドを軋ませる。
その行為に戸惑い後退る真柴を見つめ、彼が囁く。
「貴女から誘ったんですから、逃げないで下さい」
寄月の言葉に彼女は戸惑いを見せ弱々しく訴える。
「…ぅ…だってそれは、先輩が…」
逃げるのを諦める真柴の胸元は肩紐が緩み、触れれば容易く外れてしまいそうだ。
「俺がなんです?」
微笑混じりに触れる寄月の指先が紐に触れ彼女の両肩からそれらを外すと、恥じらうように真柴の指先が胸元を抑えようと動く。
しかしそれを彼の指先が遮る。
「駄目ですよ。隠さないで…」
「…っ」
耳元で囁かれた言葉に、彼女の指先がベッドに落ちる。
何時もとは違う、どこか嗜虐的な寄月の言動。
それについての戸惑いはまだ消えない。
だがそんな彼女の心に、甘く熱いものが混ざり始めたのも確かであった。
撫でるように触れる彼の指先と、淡く重なる互いの唇。
「…っ、…ん」
歯列を割り、深く触れる寄月の口づけに応えるよう、控えめに舌先を絡める。
それを軽く吸われると、彼女の腰から少しずつ力が抜けていった。
撫で、絡ませ、翻弄する。
思考を奪い、味わうような口づけで、抵抗も忘れたらしい真柴の身体を、寄月の指先が這う。
柔らかな黒髪を撫で首筋を伝う指先は、その背にあるワンピースのファスナーに触れ、その金属の金具を摘まみ下ろす。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.15 )
- 日時: 2018/12/09 02:47
- 名前: 白楼雪
「ぁ…、待っ」
抵抗するように寄月の腕を掴むが、その力はとても弱い。
羞恥に頬を染め口づけから逃れようとする彼女の腰を抱き寄せ、そのしなやかな背から腰にかけたラインを指先で楽しむ。
「…っ、…心臓の音、凄い…」
離れた彼の唇は鎖骨からはだけた胸元へと淡く触れ、その心音を確かめるよう彼女の胸を露にした。
恥ずかしい。許されるのなら隠したい。
でも、彼が、時雨先輩が望むなら。
上半身を露にされ、心音は高鳴り続ける。
両胸の尖りは彼との口づけで、既に硬く張り詰めていた。
「…先輩」
甘く求めるよう溢す真柴の声に誘われ、寄月の指先が彼女の右胸の尖りを掠める。
「っ…ぁ」
艶めいた声を煽るように、左の胸を彼の舌が這う。
「ぁ、…だめ…力、入んな…」
崩れ落ちそうな身体を支えていた細腕を震わせるその様子は、健気でなお責め立ててみたいが、寄月もそこまで鬼ではない。
「良いですよ。ほら…」
胸を責め立てていた指が真柴の腰を抱き、押し倒すようにベッドへと寝かせる。
軋むベッドの音が寝室に響く。
「…っ、…時雨…、先輩」
真柴の方から寄月の背に腕をまわすと、どちらからかともなく互いに唇を重ねあう。
重ねられた口づけはより深いものへと変わり、理性を壊していく。
彼女の腰からゆるりと引き抜いた彼の手は真柴の豊かな胸へと這い、その左胸に淡く沈む。
「んっ、…っ」
塞がれた吐息は、微かな声とともに呑み込まれた。
沈みゆく指先がその感覚を味わうよう彼女の胸を柔らかく揉み始め、もう片方の寄月の手が真柴の太股を撫でる。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.16 )
- 日時: 2018/12/11 01:39
- 名前: 白楼雪
「っ、んぅ…」
その感覚に恥じらいを覚えたのか、彼の背に触れていた真柴の手が力なく彼の肩に触れる。
だがそんな弱い抵抗など、男性を煽るだけでしかない。
「…ん、…はぁ」
離された寄月の唇は彼女の柔らかな胸を這い、その桜色の尖りに淡く触れる。
「…ここ、硬くなっていますね」
軽く吸い甘く噛まれたそれに吐息をかけるよう、彼が囁く。
「っ…ゃ、…いわなぃ…ぁ…ん」
羞恥に潤んだ瞳を逸らし、彼女は小さく言葉を返す。
そんな仕草がもっと見たい。
柔らかく胸を揉む指は濡れていない胸の尖りを指先で摘まみ撫で、寄月の唇で含んでいた尖りには濡れた舌先が擽る。
「ゃ、先輩…ぁ」
甘い酔いに戸惑い、彼女の指が彼の背に触れた。
しかしそれも、彼をただ煽るだけの事でしかない。
真柴の太股を撫でる寄月の指はいつのまにか彼女の内股へと流れ、その艶やかな蜜が溢れる秘部へと指先が触れた。
「…ん、こっちも、もの欲しそうだ」
囁きとともに秘部を撫でる指先が、蜜の溢れる内へと沈む。
「っ…ん、…ぁ」
その感覚に瞳を閉じ、甘く鳴く真柴の声を楽しむよう、彼の指は熱く蕩けた内壁をぬるりと動かしていく。
「こんなに濡らして、そんなに気持ち良いですか?」
彼女の首筋を甘噛みしつつ、彼女の内を責める指を一つ増やす。
「…っ、…ぁ…先輩、身体…熱っ…」
甘えるように寄月の背に抱きつく仕草と、その潤んだ瞳が映すのは理性のない彼の表情。
それは今まで見た事がない程に真柴を求めていた。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.17 )
- 日時: 2018/12/12 23:05
- 名前: 白楼雪
そんな目で見ないで欲しい。囚われて何もかも受け入れてしまいそうになるから。
潤んだ瞳で見つめ返す真柴の心には、そんな思いが濃い色となって染まる。
だが、その思いも束の間。
熱く蕩ける彼女の内を責めたてる寄月の指は、巧みに感じやすい部分を探り当てる。
「っ!?…ん、だ…め、そこは…」
強すぎる快楽に怯えるよう左右に首を振り、彼女は拒絶を表す。
しかしその願いは彼の意地の悪い笑みで、消え失せる。
「だめ?…気持ち良いの間違いでしょう」
水音を立て内部を責める指はそのままに、彼の親指が真柴の秘部にて艶やかに主張する小さな粒を器用に撫でる。
甘い痺れは熱くより高みへと彼女の身体を蝕む。
「ん、…っ、は…ぁ、先輩…も、イッちゃう…」
全身に纏う甘く、どこか自身の心を壊すような感覚は、何度寄月に経験させられても慣れない。
すがるように寄月に抱きつく彼女に、寄月の言葉は媚薬を思わす。
「イッて…。霞さんの淫らにイク表情、見せて」
彼の声が真柴の心音を高め、彼の触れる部分が全て熱く身体を犯していく。
半端に脱がされたサンタクロースの衣服が乱れ、しなやかな足を包むニーソックスだけが唯一その位置を維持している。
「っ…ん、ぁ…やっ…んぁ!」
激しく責められ蕩けた内側。撫でるよう擦られた小さな粒。
そして寄月の甘い声に、真柴は呆気なく果てさせられた。
力の抜けた身体は、怠さを感じずにはいられない。
呼吸も荒く、瞳に浮かんでいた涙は目尻を伝い落ちた。
「嫌って…言った、のに…」
不満げな声で訴えるのは、強い快楽を強引に味わされた恨みと微かな羞恥。それと彼を少し困らせたいという、愛らしい思いからである。
それを理解しているのか否か、慰めるよう、寄月は彼女の唇に淡い口づけを降らす。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.18 )
- 日時: 2018/12/15 04:29
- 名前: 白楼雪
「霞さん…、良いですか」
優しく囁く彼の問いの意味は、真柴の身体を求めての意味だろう。
今までは寄月の指や口で、求められるがまま、流されるように身体を重ねてきた。
だが頼りきりのそれに思い悩む今は違う。これからは、彼の思いに答えたいと思うのだ。
「…時雨…さん」
プライベートでも『時雨先輩』と慕っていた彼女が、初めて彼の名を一人の男性として呼んだ瞬間だった。
その呼ぶ声は辿々しく、小さな囁きでしかない。
「霞さん?」
僅かな驚きを見せる寄月の頬に、真柴からの口づけが降る。
「私にも、させてください」
未だ熱の冷めない身体を気だるげに起こし、彼を押し倒す。
乱れた赤いワンピースからは豊かな胸が露出しており、彼の腰を跨ぐ彼女の姿を月明かりが照らしている。
頬を薄紅に染め、寄月に触れられた事で欲という熱に犯された彼女は艶やかな美しさに溢れていた。
決して卑猥ではない。魅惑的なそれに彼の心が奪われていた。
ほんの数秒の事。
しかし彼が見惚れているその数秒の時も、真柴の指先は動き続ける。
細い指先は寄月のワイシャツに触れ、留められた釦をゆっくりと外していく。
一つ二つ、外されていくたびに彼の胸元は露になった。
「あのっ、霞さん?」
我に返り動揺を見せる寄月の唇に、今度は彼女から深い口づけを重ねる。
こんな、自分から彼を押し倒す真似が出来るなんて、真柴自身が一番驚いている。
でも、彼が、寄月時雨が喜んでくれるならと思うと、不思議と積極的になれた。
「…ゅ…ん、…っ……ぁ、…時雨さん、好きです」
柔かに離された唇から溢れたのは、彼への思い。
戸惑いを浮かべる寄月の表情に微笑みをかけ、彼女の唇は、彼の露になった腰へと触れる。
「なっ、ちょ…待っ…」
声こそ慌てている様子を見せていたが、真柴の行為を彼は制止なかった。
それはつまり、少なくとも嫌悪感を懐いてはいないと言う事なのだろう。
「…私からするの、嫌ですか?」
寄月の腰のベルトを外し、彼女の指が彼の下肢を露にしていく。
下肢を包む衣服を緩め、寄月の下着を脱がす真柴の指は懸命だが、不慣れだった。
その仕草に焦らされている感覚を懐き、寄月は身体を起こす。
「…嫌、ではないですよ。でも、せめて衣服は自分で脱ぎます」
困ったように苦笑を溢す彼の声に、先ほどの焦りはない。
「わかりました」
小さく頷き彼の上から降りると、寄月は慣れた仕草で衣服を脱いでいく。
程好く筋肉がつき、だがしなやかでごつごつしくない身体。
脱ぎ落とされた衣服が、ベッドの横に落ちるその様は夜空に舞い落ちる綿雪を思わせた。
「これで、良いですか?」
一糸纏わぬ姿の寄月が、苦笑混じりに彼女に問う。
そんな彼に寄り添い、真柴は頷いて見せた。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.19 )
- 日時: 2018/12/18 12:49
- 名前: 白楼雪
無駄な脂肪のない腹部。薄く付いたバランスの良い筋肉。
屋内での仕事が主なせいか、日に焼けてこそいない寄月の腰に、真柴の指先が這う。
「っ…、ん」
腰から下腹部へと彼女の指は撫で下りていく。
その感触に擽ったさを覚えてたのだろうか。吐息と共に彼の声が微かに室内に落ちた。
寄月の一つ一つの反応が、彼女にとって愛しく思える。
だからこそ真柴の指は、彼の熱く硬さを得たそれに触れる事が出来たのだ。
「ぁ…」
寄月の芯は、既に真柴の身体を求め熱く大きさを変えていた。
指先に触れた感覚に、戸惑いがなかったかといえば嘘になる。
だが、それ以上に彼を良くしてあげたい。その思いが勝った。
「ん、…ゅ…」
特有の香りはそれほど濃くはなく、寄月の芯に唇を触れさせる事に嫌悪感はない。
「っ…、霞さん…」
寄月は小さく反応を見せ、彼女の黒髪を優しく撫でた。
その声に微かな熱が含まれている事を察し、真柴の口元に笑みが溢れる。
寝室には二人の吐息と、艶のある水音だけが響く。
「……ゅ、…ん…時雨さん、気持ちいいですか?」
彼の熱いそれに舌を這わせ先端を淡く吸う。
その行為が淫らだという事を自覚している為か、彼女の瞳は羞恥で潤んでいた。
「…ぅ、…とても、良いですよ」
そして寄月もまた、積極的な真柴と、そんな彼女を魅了させる乱れた衣服に、理性は薄れ彼女を求めずにはいられずにいた。
「霞さん…」
身体を起こし、寄月の手が彼女の行為を止める。
その意味を誤解したのか、真柴は困惑したように彼に寄り添い問いかけた。
「あまり、上手く出来なくてごめんなさい」
健気な声を発する彼女をふわりと抱きしめ、苦笑混じりの言葉を囁く。
「違います。…ただ、最後は貴女のなかで、と思いまして」
耳元に吐息とともに届いた寄月の言葉に、真柴の鼓動が高鳴る。
心の内に動揺が溢れる。夜闇と月明かりのみの寝室。乱れたベッド。互いの身体に熱を灯しあえば、そこに至るのは想像に難くない。
だが、それを直接口にされては、視線を逸らせずにはいられなかった。
それでも、思いは同じだとせめて伝えようと、彼女は小さく頷き呟く。
「…私も、時雨さんのが…欲しいです」
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.20 )
- 日時: 2018/12/18 23:12
- 名前: 白楼雪
*****
十二月の冬の夜。
夜闇と粉雪が聖夜を白く染めていく。
そんな純白の雪に染まる街の片隅で、二人の熱が重なり合っていた。
シーツに仰向けで寝転がる真柴に、寄月の身体が覆い重なる。
決して体重が掛かる事のないよう、バランスを保ちながら彼女に重なる。
理性の薄れた状態でも愛しい人を思う。それも彼の美点と言えるのかもしれない。
「霞さん…好きです」
潤んだ瞳で見つめる彼女の頬を、寄月の手がふわりと触れる。
そして、彼の熱を帯びた芯を、真柴の蜜を滴らせた秘部へと宛がう。
その触れる感覚に、彼女の心が揺れる。
「ん、私も…好きです」
その心の揺れは、彼への思い。
寄月時雨を愛しく思う感情と、その自身の思いの強さによる恐怖心というものだ。
世間でいう『幸せ過ぎて怖い』という感情だろうか。
そんな真柴の髪を撫で、寄月はゆっくりと腰を進める。
「ひぁ…、ん…」
蜜の溢れた彼女のなかは熱く蕩け、彼の芯を柔らかく絡めていく。
奥深く迄埋めると、彼女が彼の背に手を伸ばした。
甘えるようにすがりつくその仕草が、寄月を駆り立てる。
「霞さん…」
真柴の華奢な腰に手を這わせ彼女の内を、緩やかに責め立てていく。
「ん、時雨…さん…っ、ぁ」
真柴の腕は彼の背を抱き、その内は寄月の硬いそれを締め付ける。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.21 )
- 日時: 2018/12/19 10:02
- 名前: 白楼雪
真柴の甘い鳴き声に煽られ、律動は激しさを増す。
普段は謙虚で寄月を慕う彼女が、今はこうして艶やかに乱れている。
蕩けるように蜜を滴、彼の芯を締め付けて求めていた。
熱を帯びた吐息。彼を見つめる瞳。そのどれもが寄月の欲を駆り立て離さない。
「…ん、…ぁ…激し…」
激しく快楽に、彼女の瞳から一滴の涙が溢れた。
互いの熱が蕩けあう感覚は、理性をも壊す。
「や、…っぁ、また…」
瞳を臥せ鳴く彼女に、意地の悪い囁きをかける。
「…また、何ですか…?」
彼の言葉に真柴は恥ずかしさを見せるよう抱きつき、顔を隠した。
だがその問いは、彼女をより深い羞恥へと追い込むよう続く。
「…ほら、言ってください。そうじゃないと、イかせてあげませんよ?」
小さく笑みを溢しそう囁くのは、戸惑う彼女を愛しく思うがゆえだろう。
突き上げる度に甘く鳴く真柴は、途切れ途切れに願う。
「…ぁ、…その…っ、イかせて…欲しいです…ん…ぁ」
艶めいた声と、羞恥に染まる表情。
彼の言葉一つにも反応を露にして、すがりつくように求める仕草。
そんな彼女を存分に貪れば、果てを懐くのも無理はない。
「ん、俺もイきそうです…」
優しい声で告げると、寄月は律動の激しさを増させる。
荒々しさをも覚えるそれに、真柴は彼の硬く大きなそれを締め付けた。
そして…。
「…っ、ん…やっ…ぁ…!」
「…ぅ、…っ」
彼女は甘い吐息と共に。彼は真柴の蕩けたそこで。
抱き合い果てたのであった。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.22 )
- 日時: 2018/12/19 22:12
- 名前: 白楼雪
*****
薄暗い寝室。窓の外の雪は、いつの間にか止んでいた。
外は冬の夜の寒さに晒されているというのに、二人の休む寝室は穏やかな温もりに満ちていた。
「…喜んで、貰えましたか?」
寄月に抱かれ休む真柴の口から、彼への問いが溢れる。
十数分前の熱は互いに冷め、鼓動も落ち着きを取り戻し始めていた。
今夜の寄月の反応を考えれば、おそらく彼を喜ばせる事には成功したと思う。
寧ろ喜ばせ過ぎて、真柴は少し後悔すらも感じてしまった程だ。
「嬉しかったですよ」
柔らかな寄月の言葉に、真柴は笑みを溢す。
雑誌の情報を信じて良いものかと悩んだものだが、やはりサンタクロースの衣服を着て正解だったらしい。彼女は心からそう思っていた。
だが、どうやらその考えは間違っていたらしい。
「霞さんが、俺の為に色々考えて頑張ってくれて、嬉しかったです」
温かなシチューも、一ヶ月前から練習を重ねたティラミスも、全ては彼に喜んで貰うため。
恥ずかしい思いをしてまで着た衣服も、ほんの少しの勇気も全部彼女なりに彼を思っての事だった。
そして、それらの行為を喜んでくれた様な寄月の言葉に、真柴は内心驚きを覚える。
「私は、先輩の喜ぶ姿が見たかっただけです」
照れた表情を隠す様、視線を逸らし彼女は呟く。
- Re: 聖なる夜に(短編.nl.r18) ( No.23 )
- 日時: 2018/12/21 01:48
- 名前: 白楼雪
こういう時、素直に言葉を返せないのは多くの女性の共通点だと、真柴は強引に自身を納得させる。
「…先ほどは、とても素直だったのに…」
彼の胸に埋まり、表情こそ分からないが、寄月の声に苦笑が混じりあっている気がした。
「素直じゃない女性は、嫌いですか?」
僅かに彼の表情を窺うよう、寄月の顔を上目遣いで覗き見る。
すると不意に彼と視線が交わった。
「積極的な貴女は、確かに魅力が溢れていました」
寄月の指先が、真柴の頬を撫でる。
「ですが、素直じゃない貴女も、俺は好きですよ。きっと、全部引っ括めての『真柴霞』さんという存在が好きだからなんだと思います」
寄月の言葉に、思いに、彼女は言葉を失う。
確かに、真柴もどんな寄月時雨をも、愛しく感じてしまうものだ。
優しい彼も、意地の悪い彼も、どちらも寄月時雨という存在に代わりない。
そして、そのどちらも受け入れられるという事は、それだけ彼を愛している証拠と言えるだろう。
「時雨さん、来年のクリスマスもまた一緒に過ごしたいです」
微笑みを宿し、真柴は囁く。
「俺は、再来年もその先も、霞さんの傍に在りたいですよ」
彼女の笑みに、寄月は微笑とともに紡ぐ。
白い街並みの聖なる夜は、恋人達を優しく見守っていた。
END