官能小説(オリジナル18禁小説)

悪い飼い主、無知な猫(NLR18)
日時: 2022/02/06 01:44
名前: 白楼雪


悪い飼い主、無知な猫というタイトルの官能小説を淡々と亀更新で書いていきます。
内容は売れ残りだった猫の獣人の女性と、何と無くそれを飼う事にした家事に無頓着な男性の話です。
所謂「なんか可愛い獣耳女が俺を求めていたから飼う事にしたぜ!」的なある意味夢のあるテーマです。

一応R18なシーンのある物ですが、主の思考書き方から恋愛要素が濃い事だけ了承して貰えたら助かります。

では、始めます。

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Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.6 )
日時: 2022/05/22 05:59
名前: 白楼雪

 ※※※

黒い猫耳と流れるような黒いロングストレートの艶やかな髪が風に揺れる。紺のカーディガンと水色のワンピースの隙間からはしなやかな長い黒尻尾が柔らかに左右に揺れていた。
獣人の知識がないものならばその種族は獣臭いと思うのかもしれないが、実際隣に歩く彼女は獣というよりは女性特有の甘い桃のような、花の蜜のような香りがして、それなりに精気が強い若者には毒とも言えるだろう。
「たくさん、かってくれてありがとう」
桜色の花弁を思わせる口元から発せられた可愛らしい声はどこか淡白だが、黒猫の獣人の尾は機嫌良さそうに緩やかに揺れていた。
先程の服屋を出て、亮と黒猫の彼女は今街中を歩いていた。
亮の片手には大きな手提げの紙袋が三つと、スーパーの買い物袋が一つ。もう片手は、日焼けを知らない肌の色の彼女の手を握っていた。
「いや、必要なものだろう。こういうものは」
女性の衣類は男性では分かりにくいものも多い。
実際スカートの種類や下着の事は、亮だけではどうにもならなかっただろうし、あの活発で明るいお姉さん店員には感謝しかなかった。
流されるように大量買いさせられたのは少し思うものもあったが、その分かなり割引いてくれたし、黒猫の彼女にも差別する事なく、寧ろ可愛がり優しく接して貰えたのだ。会員カードも作った事だし、今後もあの店には世話になるだろう。
そんな事をぼんやり考えていると、ふと手を引かれる感覚があった。
「どうした?」
正確には手を引かれたのではなく、彼女がとある書店の前で歩を止めただけだったらしい。
店前には幾つかの本が平積みされており、彼女の視線にあったのはその内の一角。幼児向け絵本のコーナーだった。
なんて事はない、有名な二匹のねずみのシリーズ本。青と赤の帽子を被ったねずみの兄弟がテーマに添って色々な事柄をする本である。
「これ、みたことある。おじさんたちが、べんきょうにってよませてくれた」
黒猫の言葉に、そういえば彼女はひらがなは使えるのだったと思い出す。
おじさん達とはおそらく、獣人の売人等の事だろう。最低限の会話を出来るように育てる事で値が上がり、売り物にするのに勝手が良かったのかもしれない。
「絵本、買おうか。良い勉強になるからな」
無理に勉強させたいわけではないが、彼女の琥珀の瞳は絵本に釘付けで輝いている。きっと絵本は好きなのだろう。
これから一緒に暮らす以上、彼女が文字を学んだりしてくれれば、互いの生活をより良いものになりそうだ。
「好きな本、二冊選びな。とりあえず今日は二冊だけど、他に読みたいのはまた今度買ってやるから」
そう亮が言うと、彼女は彼の顔を見上げ『良いの?』と言わんばかりに猫耳を小さく揺らしたが、亮が頷くと嬉しそうに瞳を輝かせ、手を引き絵本コーナーへと連れ立った。
(俺の本は、別の日でいいか)
絵本コーナーで幾つもの本を見つめ選ぶ彼女を見守りながら、温かな思いを心の内に落とした。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.7 )
日時: 2022/03/07 20:00
名前: 白楼雪

彼女が絵本を選んでいる間に、亮は自身の新作本の売れ行きを見に行く事も出来ただろう。
しかし彼はそれをせず、黒猫の側で絵本と彼女を見守り続けていた。
単に今日飼い始めたばかりなので、不慣れなうちは傍らにいるようにしていたと言えば嘘はない。
だがそれ以上に彼女の綺麗な淑女を想わせる雰囲気に、他の男達が寄ってきては事だと無意識に思っていたのかもしれない。
「これにする」
数分流れた頃、彼女は二冊の絵本を抱え亮の顔を見上げた。
彼女の抱えている絵本は表表紙を見る限り、どちらもねずみシリーズの物のようだった。
「じゃ、買って帰るか」
亮が絵本を受け取ろうと手を伸ばすと、彼女が躊躇うような素振りを見せる。
その仕草に訝しげな表情を浮かべると、彼女が困惑した様子で彼を見つめた。
「にもつ、わたしももつ。そしたら、て、つないでいられるから」
強い意思を滲ませた彼女の言葉に一瞬意図に悩むが、亮はすぐにその意味を理解する。
今の亮は食料品等のビニール袋に加え、ペットショップで購入した獣人の躾本や細々とした雑貨を入れた手提げ袋、更に服屋の紙袋も多く持ち歩いていた。
健康の為に其なりの筋力と体力はあれど、このまま絵本もとなれば荷物で両手が塞がるのは当然と言えるだろう。
そうなれば残念ながら彼女と手を繋ぐのは難しい。それを寂しいと思うのは彼女も同じなようだ。
「ありがとうな。それじゃ、絵本だけ頼む」
苦笑して告げると、初めて彼女が小さく微笑んだ。嬉しそうな、気合いをいれたような微笑みに、不覚にも亮の心音が僅かに乱れた。
それを誤魔化すようにレジに連れ立ち会計を済ませると、黒猫は左手に本の入った手提げの紙袋を、右手で亮の手を柔らかく握ってきた。
柔らかい、滑らかな女性の手を、成人男性特有のゴツゴツとしたお世辞にも繊細とは呼べない手で握り返す。
それだけの事だが、彼女の手を意識してしまうと何かいけない事をしているような気持ちになるのだから不思議なものだ。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.8 )
日時: 2022/03/11 20:04
名前: 白楼雪

居たたまれない気持ちになり視線を泳がす亮に黒猫が訝しげに小首を傾げる。
そんな彼女に声を掛けよう思った時、ふと大切な事を思い出した。
「お前、名前とかあるのか?」
ペットショップで売られていた個々の生体に、普通は名前など付けられていないだろう。
名を付ければ情が湧き、新たな飼い主になつき難くなる可能性があると昔何かの本で読んだ事もあったが、それが言葉の通じる獣人にも同様なのかまでは分からない。
単純に彼女に名前があるのなら知りたいという気持ちもあったが、今後の会話にも必要だという理由もあった。
「なまえ?なまえ…、おまえ?くそねこ?」
しかし彼女の返答を聞くに名前などなかったという事が分かり、亮の口から呆れ半分の溜め息が溢れ落ちた。
お前はまだわかる。亮自身も彼女の名が分からずにいたためそう呼んでいたのだから。だが幾ら獣人とはいえ女性にくそ猫とは酷すぎる。もう少しこう、言葉を選ぶべきだろう。
人間の言葉への理解が薄い分、彼女が意味を理解していなくて良かったと思いながら、隣で亮を不思議そうに上目遣いで見つめる彼女を見つめ返しながら数分悩む。
クロ、タマ。駄目だ。それは淑女な彼女には似合わない。
青(あお)は彼女の服の色が青いというだけで安直過ぎる。
せっかく可愛らしい綺麗な容姿に生まれたのだ。それに見合う名前を付けてやりたい。
そう、この純粋で綺麗な琥珀色の瞳を持つ黒猫に良く似合う…。
「琥珀(こはく)とか…どうだ?お前の名前」
時間にして数分。だが亮にとっては絞り出すような思いで浮かんだ名前を彼女に告げてみる。
「こはく…。うん、わたしのなまえ、きょうからこはく」
亮の付けた名前に、琥珀は嬉しそうに長い黒猫の尾を緩やかに一振りする。
その仕草はやはり、ペットというより一人の女性に思えて、亮の心音が再び小さく鼓動を高鳴らせた。
まだまだ物事を知らず勉強不足な彼女の心は、純粋な子供そのもの。
しかし容姿はペットショップで管理されていた事と生まれ持った資質か。顔は繊細で硝子細工のように触れたら壊れてしまいそうな綺麗さに、成体特有の僅かな艶やが色気を見せる。体型は育つところは豊かに育ち、腰は健康的で尚且華奢に見えた。
つまりは中身は子供、身体は大人の女性といったところか。
本当に良い買い物をしたものだ。出会いと言っても構わないが。
琥珀と歩く街並みは、昨日までの世界よりも綺麗で温かく感じた。
こんな日々がこれから続くのならば、やはり今日の出会いは素晴らしいものなのだろう。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.9 )
日時: 2022/03/13 23:23
名前: 白楼雪


 三滴目 無知な猫と理性


時崎亮の住居は、築三十年の二階建てアパートの一室。
六畳のリビングと別にリビングと同じ広さの寝室がある一DKの部屋が彼の住まいだった。
風呂とトイレは別。玄関は狭いが、ネット回線も繋がっており、男一人で住まうには充分な部屋と言えるだろう。
最寄り駅からは徒歩十数分掛かるが、その辺りも目を瞑れない事はないのだから。
「はい、あんまり片付いてないが、その辺は勘弁してくれ」
部屋の鍵を開けると、黒猫の彼女を室内へと促す。
彼女は躊躇う事もなく玄関で靴を脱ぐと、サンダルを脱ぎ散らかしたまま廊下へと上がった。
亮も決してマナーが行き届いているわけではなく、この部屋においては彼女のこの程度の事にお小言を口にしようとは思わない。
だが、それはきっと彼女の為にならないだろう。
「琥珀、今日からここが琥珀の家にもなる。家に帰ったらただいまだ。それと靴も揃えなさい」
見本を見せるように、普段はしない靴を揃えるという行為をまずは亮自身でして見せる。
履き古した黒い革靴を玄関端に揃え置くと、琥珀が隣に寄り添いじっと見詰めてきた。
「こう?あと、ただいま?」
白い革のサンダルを、細く滑らかな彼女の指が絡み掴む。
それから辿々しくサンダルを亮の革靴の隣に揃え並べると、疑問を交ぜた声で帰宅の言葉を発した。
そんな仕草を見せる彼女も可愛らしく思えて、亮の右手が彼女の髪を優しく撫でた。
「ん、おかえり。ただいまには、おかえりって返すものだ。さて、夕飯にするか」
靴を揃え終え、立ち上がると琥珀を連れて一先ずリビングへ向かう。
リビングには明るい茶色のウッドテーブルに二人掛けソファーと一人掛けソファーが一席ずつ、壁掛けテレビは一般的な大きさで、あとは壁掛け時計にベランダ窓。窓の外には狭いベランダもあるが、埃にまみれて使い勝手も特になく放置してあるままだ。
「荷物置いて、とりあえず手洗いな」
雑貨やら衣服やらの紙袋を二人掛けソファーの横に無造作に置くと、琥珀もそれに習い絵本の入った袋をソファーの上に置いた。
そのまま共にリビング置くの脱衣場兼洗濯機置き場に向かい手を洗い、嗽を済ます。
琥珀のコップが無い事にその時気づいたが、それはキッチンの適当な硝子コップで済ました。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.10 )
日時: 2022/03/21 02:07
名前: 白楼雪

彼女は本当に最低限の躾だけをされていたのだろう。
手洗いや嗽の勝手が分からなかったらしく、亮の動作を真似るようにそれらをしていたのだ。
それでも、直ぐに物事を行えるという事は、琥珀という獣人な彼女がそれなりに賢い事を証明していた。
その後に亮が冷凍チャーハンを電子レンジで温めていた時に、彼女が隣で観察していた事と、始めこそスプーンの使い方も覚束無かったが食事を終える頃にはなれたように扱えていた事も、琥珀の賢さの一端を見た気がしたものだ。
「おさら、あらうのおしえて?」
夕食を終えて台所にて亮が食器をシンクに置き、濡れたスポンジを片手に洗い物を始めようとすると、隣に張り付いていた琥珀が辿々しく問い掛けてきた。
「俺がスポンジで洗うから、琥珀はお水で食器に付いた泡とかを綺麗に流してくれるか?綺麗になったら、隣の籠に入れてくれ」
ぬるま湯になるよう温度を調整して流れるようにすると、蛇口から温かなぬるま湯がシンクに流れていく。
隣に立つ琥珀が興味深そうに泡の付いた皿を一枚持つと、真剣な表情でそっと湯に皿を潜らせた。
温かな湯は汚れも洗剤も落ちやすい。
皿を落とさぬように両手で確りと食器を持つ彼女の表情は、幼子が初めて親の手伝いをするような色を見せており高揚と緊張の滲んだ彼女の表情に、亮は思わず小さな笑い声を溢してしまう。
「ふっ…ははっ。いや、ごめんな。大丈夫。ちゃんと出来てるぞ。そう、割らないように、籠にそっとな」
亮の笑い声に、琥珀は小首を傾げ綺麗になった皿を両手で持っていた。
不思議そうに皿と亮を交互に見ていたが、亮が指示すると頷き皿を静かに籠に入れていく。
「明日は、琥珀がスポンジで洗う番にしようか」
そのまま二人、食器洗いを進めながら小話をすると、琥珀は小さく頷き尾を緩やかに一振りした。
「さて、洗い物終わり!ちょっと休憩しよう」
濡れた手をタオルで拭き、彼女と共にリビングに戻ると二人でソファーに座り、亮は獣人の知識についての書籍を、琥珀は書店で買った絵本を読み始める。
獣人についての書籍は思いの外為になった。
まず、獣人の食事についてだが、獣人という生き物は通常の獣と違い、食事は人間とそれほど変わらないらしい。
特別食べさせてはいけないという物もなく、人間と同じでアレルギーはある事もあるのでそこは病院で調べる必要があるらしい。
寿命も人間と変わらない。病は、少し特殊な病も有る。身体能力は高い者が多いが、知力は種族によって変わるとの事だ。
性格は、獣の特徴が強く出やすいらしく、猫の獣人である彼女も猫らしい性格なのだろう。
繁殖は獣人同士か、獣との繁殖のみ可能。人間とは不可能。
肉体的に人間との性行は可能。
そんな物事まで書かれている事に、獣人という者が人間にどの様に扱われてきたのかを改めて感じた。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.11 )
日時: 2022/03/29 06:24
名前: 白楼雪

呆れ半分に書籍の紙片を捲りながら、静かに視線だけを琥珀の方へと向けてみる。
するとどうやら彼女は亮に身を寄りかかりながらも、真剣な表情で絵本に夢中になっていた。
寄り掛かる彼女の肩や二の腕、時折揺れる髪の先に、一度意識してしまえば体温の上がらない男性等いないだろう。
若い女性特有の甘い果実を想わせる香り。呼吸で微かに揺れる胸の動き。化粧をせずとも桜色の柔らかそうな小さな唇。
(いかん、見るな。俺。今は目の前の本に集中しよう)
心の内で自身の欲に言い聞かせながら、再び書籍に視線を向けた。
獣人の排泄や入浴等は人間と同じ物を使わせる事が可能である。
しかし獣人の出生や飼育環境に問題がある場合は、飼い主による躾が必要である。
「琥珀、お前、今までトイレとか風呂とかどうしてた?」
余計な事は考えぬように努めて冷静に、視線は書籍に向けたまま琥珀に問い掛けてみる。
できれば両方とも彼女一人で出来ますように。動揺を表情に出さぬよう、亮は祈る気持ちで答えを待つ。
結果、彼女の答えは最悪の事態だけは避けられていた。
「トイレは、おみせのにんげん?のでしてた」
恥ずかしげもなく彼女は亮の方をチラリと見て答えてくれる。
その気配に亮は内心安堵していたが、彼女の次の言葉に再び亮は悩む事となる。
「おふろ、は、タオルでふいてた」
彼女はそう答えると再び絵本に視線を向け、真剣に読み更けていく。
タオルで拭いていた。つまり、湯を浴びたり浴槽に入った事はなく、濡れタオル等で身体を拭い最低限の衛生管理だけをされていたのだろう。
いや、確かにそれでも家畜としてならばそういう環境に置かれる事もあるのだろう。
しかし亮から見た彼女は容姿も美しく愛らしい、性格は純粋で声質も繊細で俗に言う『良い女性』なのだ。磨かなければ勿体無い原石とも呼べるだろう。
何よりもこうして彼女を家族として迎え入れた以上、一人の男性として幸せにしてやりたいと思ったのだ。
その第一歩として風呂の良さを教えてやろうと思い、亮は書籍を閉じ本棚にそれを片付けた。
「琥珀、風呂入ろう。おいで」
隣に座る琥珀に声を掛けると、彼女がチラリとこちらを訝しげな目で見つめてきた。
彼女の手元にある絵本のページは残り二ページ程。
彼女のしなやかな黒猫の尾は不機嫌そうにソファーの縁を叩いていた。
どうやら『あと少しで読み終わるんだが?読み終わってからじゃ駄目なのか?』という意図の尾の揺れなのだろう。
「タオルや着替えの準備してくるから、読んでて良いぞ?」
彼女の不機嫌な表情に戸惑いながら告げると、琥珀は頷き再び絵本に意識を向け始めた。
その様子に内心安堵して、亮はリビングから風呂場前の脱衣スペースにてタオルや自身の着替え。それと琥珀の寝間着用にと買った白いネグリジェや下着を籠に用意していく。
「風呂の湯も、一応な」
次に風呂場の照明を付け風呂場内に入るとバスタブに湯を溜めながらシャンプー等のボトルを確認して、そのまま風呂場を後にした。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.12 )
日時: 2022/04/04 08:09
名前: 白楼雪

亮がリビングに戻るのと琥珀が絵本を読み終えたのは、ほぼ同時のようだった。
絵本を閉じテーブルに置く琥珀を、手招きで呼ぶ。
すると彼女はしなやかな尾を揺らしてソファーを降り、不思議そうな表情を浮かべ亮に近寄り添ってきた。
「絵本、面白かったか?」
彼女の髪を軽く撫で問うと、琥珀は口元に小さな微笑みを浮かべ頷いた。
その様子に亮も微笑み、彼女の手を柔らかく握り脱衣スペースへと連れ立つ。
「服は一人で脱げるか?」
自身のTシャツの裾を掴み、手慣れた仕草でシャツを脱ぎながら琥珀に問い掛けると、彼女もシースルーのカーディガンを脱いでいる最中だった。
「ふくは、おみせでもきてたからだいじょうぶ。でも、これ、ぶら…じゃー?とぱんつ?は、きょうはじめてきたから、むずかしい」
そう答えながら水色のノースリーブワンピースの裾を捲り、琥珀は可愛らしい桜の花柄レースが繊細に施された白の下着を亮に見せてくる。
「っ!?はしたないから、そういう事をしてはいけません!あぁ、パンツはだな…脱ぎかたは男物と基本は同じだろう。良いか?こう、脱ぐんだ。わかったか?」
上半身裸の男性が、スカートを自分でたくしあげている女性の前でベルトを外してデニムを脱ぎ、更にパンツを脱ぎ裸体を晒す。堂々と宣言をする。時と場所、場合によってはあまりに酷い図だった。
しかし目の前の黒猫の女性はどこまでも純粋らしい。
亮の様子を手本に、スカートの中で身動ぎ、やがてするりと三角の布地を脚から抜き手に取る。
「うん、あってる。脱いだら他の脱いだ服と一緒にこれに入れてな」
白い下着を片手に亮を見上げる琥珀と視線を合わせぬようにしながら褒め、布製のランドリーボックスを指差し告げる。
その様子に彼女は小首を傾げるがすぐにカーディガンと下着をランドリーボックスに入れてくれた。
「これ、むずかしい」
亮が気を取り直してタオルを腰に巻いていると、次はワンピースの背のファスナーが下ろせず琥珀が助けを求めてきた。
女性と風呂に入るのはこれ程手間が掛かるのかと溜め息を溢しつつ亮がワンピースのファスナーを摘まみ下ろすと、白い肌と繊細な刺繍の入った同種の下着の布地が露になる。
琥珀の話から察するに、おそらくこの下着も脱げないだろう。
「おとなしくしてろよ。俺も久し振りに脱がすから不慣れだからな」
余計な動きをしないよう彼女に声をかけてから、背中側の下着の金具を片手で外してやる。
「ん…。ぬげそう」
ノースリーブの肩紐と下着の肩紐を滑らし脱がしていくと、琥珀が安堵の吐息を溢した。
そのまま肩紐を彼女の両腕から抜いてやると衣服と下着は衣擦れの音を立て、するりと床に落ちる。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.13 )
日時: 2022/04/15 17:48
名前: 白楼雪

「よいっしょ」
足下に落ちた衣服を救い取る琥珀の裸から視線を逸らしている亮の事など気にもせず、琥珀は小さな声を一つ呟きながらランドリーボックスに脱いだ衣服を放り込んでいく。
黒い猫耳と、長毛の黒い尻尾。しなやかで艶のある黒い髪が薄いベージュの肌に触れる後ろ姿は、繊細な硝子細工を思わせるように綺麗で、無意識に亮の喉が鳴った気がした。
「ぬいだ。おふろはいる」
振り向く彼女は亮を見つめると純粋な瞳でこちらを見つめ、猫耳を僅かに揺らす。
「あ、ああ。そうだな。おいで、先ずは身体を洗わないと」
対面した彼女の裸体は後ろ姿とはまた別の魅力があり、穏やかで純粋な瞳に桜色の小さな唇。華奢な身体だというのに胸は豊かで、二つの尖りも薄紅に染まり清廉されているというのに成体らしい妙な色気を感じてしまう。
手足も今時なのか華奢な癖にしなやかで程好く長い。
(琥珀は猫。琥珀はペット。琥珀は獣)
内心でそう言い聞かせておかなければ理性が持たなくなりそうな彼女を連れ、亮は風呂場に入り、琥珀を浴槽の縁に座らせる。
「ん、こんなものかな。先ずは髪からだな。耳は避けて」
シャワーを片手に湯の温度を調整していると、琥珀はシャワーや浴槽に張られた湯を物珍しそうに見ていた。
「あたたかいみず。きもちいい」
浴槽の湯の水面に、彼女の人差し指が僅かに触れる。
琥珀はその感覚に嬉しそうに微笑むと、更に指先を湯の中に沈め指先を湯の中で遊ばせるようにかき混ぜた。
「よしよし、髪と身体を洗ったら入ろうな。ほら、目閉じてな」
濡れた手で雑に彼女の髪を撫で、湯の流れているシャワーを見上げると素直に頷き琥珀が瞳を閉じる。
その様子を確認してから亮はシャワーを片手に、出来る限り彼女の猫耳と顔に湯が掛からないように艶のある黒髪を濡らし、軽く汚れを流していく。
大まかにシャワーの湯を掛け終えると今度はシャンプーのボトルを手に、とろみのある液体を片手に取り手のひらで軽く泡立て、丁寧に彼女の髪を撫で洗っていった。
「痛くはないか?女性の髪なんて洗った事がないからな。俺も勝手がわからないからな」
売り物とはいえ、管理には気を付けられていたのだろう。
琥珀の髪はそれほど汚れておらず、綺麗なものだった。
「いたくない。きもちいい」
嬉しそうに揺れる琥珀の尾と、弾むような彼女の声に安堵してシャンプーの泡を洗い流すと、そのままリンスもしてやり、再びシャワーの湯で流してやる。
「もう目を開けて良いぞ。次は身体か。一人で洗えるか?」
彼女の顔をタオルで軽く拭ってから問いかけると、琥珀は頷き、しかし予想だにしない言葉を口にした。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.14 )
日時: 2022/04/26 22:20
名前: 白楼雪

「わたしも、あらう」
亮が壁に掛け戻したシャワーに彼女は手をのばすと、シャワーを両手に持ち俺を見上げてきた。
彼女の表情は感情が薄く分かりにくいものがあったが、その頭部の猫耳はピンとしてどこかやる気を感じさせるものがある。
「洗うって、俺を?」
困惑した表情で問いかけると、琥珀は小さくけれど決意を滲ませて頷いた。
彼女の表情と言葉には頑なな雰囲気を感じさせられるものがあり、俺は諦めの溜め息を一つ小さく溢して、彼女に背を向け浴室の椅子に腰を下ろす。
「それじゃ、お願いします」
背を向け答えた亮に機嫌を良くしたのだろう。
湯の調整は琥珀の髪を洗う時に調整をしておいたので、亮がシャワーの湯を出すハンドルを回してやると、琥珀が俺の背に近寄る気配を感じた。
「おゆかける。いい?」
そう背中越しに問われた彼女の声がどこか艶っぽく聴こえて、亮の心音が僅かに乱れた気がした。
気のせいだとは分かっているのだが、彼女の声が俺の耳元に囁かれたような錯覚を感じる。濡れた髪の雫が浴室の床に時折繊細な水音を立てる。その一つ一つに意識してしまうのは男の性だろう。
亮が黙って頷くと、琥珀が持つシャワーから出る温かな湯が亮の髪や肩を濡らし、徐々に薄く鍛えられた身体を温めていった。
「かみ、あらう」
湯の出たままのシャワーを壁に掛けると、琥珀は濡れた肌を恥ずかしげもなく堂々と見せながら、亮の目の前にある幾つかのボトルを屈み拾い持ち、それらを抱えて再び亮の背後に戻る。
彼女がボトルに意識を向けていてくれて良かった。
目の前で綺麗な黒髪。水に濡れた繊細な裸体。豊かな胸に小ぶりな臀部。華奢な腰にすらっとした脚線美など見せられて、男性として反応せずにいられなかったからだ。
そもそも幾ら獣人とは言え、そんなもの少しばかり普通の人間とは違う耳やら尻尾やらが付いているだけでしかない。
少なくとも亮から見た琥珀は、人間の成人女性とそれほどかわらない。純粋で綺麗な淑女としか思えなかった。
その女性と互いに裸体で狭い浴室に等入っていれば、健康な男性である以上、無反応でいるのは無理があるだろう。
だが理性と欲との精神的戦いに強いられている亮の思いなど、無知な琥珀に気づけるはずもなかった。
彼女は先程亮がボトルから液体を取り出し泡立てていたのを真似するように、思い出しながらボトルからシャンプーの液体を手に取り、軽くその可愛らしい繊細な手に塗り馴染ませてから亮の髪を撫で洗い始める。
「いたくない?」
欲と理性の戦いをしながら瞳を伏せている亮の耳に、琥珀が問い掛けてくる。
そんな艶やかで純粋な声で問い掛けるのはやめてくれ。それでなくとも未だに俺の下肢のモノは張り形を変えたまま、落ち着きを取り戻してくれないのだから。意識をせずにしようと瞳を伏せても、亮の思考には琥珀の綺麗な裸体が焼けるように脳裏に映り消えてくれないのだ。
忘れたい、とは思わない。だが、今でも欲に駈られてツラいというのに、このまま彼女と最後まで何事もなく風呂の一時を終えられる自信はなかった。
事実亮の髪に触れるその細くしなやかな指一つ一つにも意識を引き摺られてしまっているのだ。
「おゆ、かける。めとじて」
髪を洗い終えた琥珀の声が聴こえる。程無く亮の髪に絡む泡を流すように、シャワーの湯が髪を伝い身体を濡らしていった。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.15 )
日時: 2022/05/06 03:11
名前: 白楼雪

そのまま彼女がリンスまでしてくれている間、亮の言葉数が少なくなっていたが琥珀は目の前の飼い主の髪を洗う事に集中しているようだった。
数分後、亮の髪は琥珀の手により綺麗に洗われ水滴を落としていた。
琥珀の無防備な誘惑を堪えきり安堵していると、不意に琥珀が亮の正面に再び歩き現れる。
「おい、何だ。どうした」
未だに欲で僅かに反応している下肢のモノに気付かれぬよう焦りタオルで前を隠す亮に、彼女の視線が痛かった。
「それ、はつじょう?」
発情。性的な欲求の現れ。その症状等々を示す言葉の一つ。
その発情という言葉を目の前の女性が透明で綺麗な声のまま発していた。
琥珀の視線は亮の下肢のタオルと、それ越しにくっきりと形を変えて見える亮の下肢のモノを見つめていた。
返す答えに悩み視線を逸らしていると、彼女がその裸体を露にしたまま屈み、亮の下肢を隠すタオルの端を指先で摘まみ捲ろうとする。
「にんげんもオスははつじょうするとセイキがおおきくなるって、おみせのおじさんとかがおしえてくれた。でも、おちつかせかたはかいぬしさんにきけっていわれたから、わからない。おしえてくれる?」
琥珀の珍しい長い言葉に惚けていると、数秒で我に返り俺は彼女の言葉の意味に驚きの声を上げた。
「待て!待て待て、落ち着け。まずタオルから手を離してくれ」
亮が自身の下肢を隠すように再びタオルを両手で押さえ琥珀に焦り告げると、彼女も負けずとタオルの端を引っ張り言葉を返す。
「タオルだめ、みれない。みせてくれないと、なにもできない」
そんな押し問答とタオルの引っ張りあいは数秒で勝敗がついてしまった。
「あっ、こら!駄目だって。あぁ…」
焦る亮の手からタオルはすり抜け、琥珀の手に奪われてしまったのだ。
結果濡れたタオルを片手に、飼い主の立派なモノをマジマジと純粋な瞳で見つめる琥珀と、居たたまれずに視線を逸らす亮の姿がそこにあった。
「これはこれは」
濡れたタオルを浴槽の縁に置き、彼女は観察するような表情で亮の前に座り欲と羞恥で大きくなった亮のモノに触れようとしてきた。

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