官能小説(オリジナル18禁小説)

悪い飼い主、無知な猫(NLR18)
日時: 2022/02/06 01:44
名前: 白楼雪


悪い飼い主、無知な猫というタイトルの官能小説を淡々と亀更新で書いていきます。
内容は売れ残りだった猫の獣人の女性と、何と無くそれを飼う事にした家事に無頓着な男性の話です。
所謂「なんか可愛い獣耳女が俺を求めていたから飼う事にしたぜ!」的なある意味夢のあるテーマです。

一応R18なシーンのある物ですが、主の思考書き方から恋愛要素が濃い事だけ了承して貰えたら助かります。

では、始めます。

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Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.1 )
日時: 2022/02/06 02:05
名前: 白楼雪


 一滴目 プロローグ


この世界では、人間と獣人という生き物が存在している。
正確に言うならば、他の獣も魚も植物も、極々溢れるように存在しているのだが、人間視点で見れば目立つのはやはり自分達と獣人を基準にして見てしまうものだ。
言葉や意思の疎通が出来る。二足歩行が基本。そして望めば性行も人間同士で行うのとそれほど変わりなく出来るという点から、人間と獣人を主で見てしまうというのも理由の一つと言えるかもしれない。
ここで一つ、疑問が浮かぶだろう。
獣人の視点、思考はどうなのかと。
結論から言って、獣人には人権が殆ど無い。
この世界、国々の殆どは人間が支配しており、法も当然人間の為に作られ存在しているのだ。

- 獣人は所詮は獣であり、人にあらず -

そんな思考が一般であり、獣人は家畜や愛玩動物としてしか扱われない。
その為彼等獣人の思いなど意味を成していない。それが世界だ。
それでいいと思っていたし、俺もそれを当たり前だと思っていた。
あの日、あの店で猫に出逢うまでは。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.2 )
日時: 2022/05/22 06:11
名前: 白楼雪

 二滴目 ペットショップの売れ残り


「あとは、本屋でも寄ってくか。売れ行きも気になるし」
良く言えば体格が良く、長身の筋肉質。悪く言うなら線の細さと程遠い男がそこにいた。
彩りのある街中を緩やかな歩で進み、方手にはビニールの買い物袋が一つ。
男の名は時崎亮(ときざき、あきら)、職業小説家の独身男である。
ビニール袋の中身は飲み物のペットボトルとインスタント食品。それに冷食と果物が数個。
その中身から一人暮らしのこの男の食生活というものがどれ程のものか、おおよそ察しはつくだろう。
実際食事なんてのは倒れなければ良いと思っているし、健康だの気遣わなくともそうそう死にはしないだろうと思っていた。
「ん?ペットショップか。どれどれ、うわ!結構高いのもいるんだな」
本屋に向かう道すがら、ふと老舗の雰囲気を感じさせるペットショップが目に入った。
入り口側には大きな硝子越しに見える、幾つかの大小合わせた硝子ゲージが置かれていた。
小さな硝子ゲージには子犬や子猫といった獣の類いが皆昼寝や玩具遊びに興じており、純粋な瞳がなんとも愛くるしい。
各ゲージに貼られている証明書には種類やワクチン摂取等の管理や金額が詳細に書かれており、その丁寧さから店の管理細やかさが分かった。
「お前ら良い飼い主に買われろよ。よしよし」
亮に気づいた子犬が硝子越しに小さな尻尾を嬉しそうに振る。
その様子に癒されながらふと隣の大きなゲージへと視線を向けた。
大きなゲージは二つ。その一つは空で、もう一つのゲージには黒い耳に黒く長いしなやかな尻尾、そして曇った琥珀色の瞳を持つ艶やかな女性が座っていた。
彼女のゲージには猫獣人。黒、ワクチン済み等々の証明書が貼られていたが、不憫な事に値段を二度に渡り安くされていた。
獣人は希少な者や幼い者ほど価値が上がり、それほど珍しくもない成体は最悪ろくでもない施設にて調整されて競売に掛けられる事も多々ある話だ。
この黒猫の獣人もおそらくは、遠くない未来はあまり幸せになれない可能性も想像できる。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.3 )
日時: 2022/05/22 06:09
名前: 白楼雪

「随分安くされちゃって、お前もう少し愛想良くしないと…まあ、あれだ。兎に角愛想笑いの一つでもしてみろ。な?」
飾りげもない丈の短いノースリーブの黒ワンピース。黒く艶やかな毛質の猫は、不思議そうに小首を傾げ亮を眺めていた。
琥珀の曇った瞳。背に触れる艶やかな黒髪。手を掛け磨けば質の良い雌に育つだろう。
そんな事を考えショーケースの前で獣人を眺めていると、店内から中年の男性店員が出てきた。
「いらっしゃいませお客さん、この黒猫に興味が?こいつは売れ残りなんで、今なら更に安くしても良いですよ」
男性店員の胸元を見ると、そこにはこの男が店の店主である事を示していた。
「この子は、いつから売られてるんですか?」
硝子越しに獣人の髪辺りを撫でてやると、彼女は亮の手に擦り寄るように硝子に髪を擦り付ける。
愛嬌のある彼女に、亮の心は揺れていた。
それを商人の勘で察したのだろうか、店主の男は苦笑混じりに溜め息を溢す。
「こいつは半年前に安く仕入れたんですけどね、見た通り珍しいわけでもないし成体に近くて。あと一ヶ月置いても駄目なら処分も考えているんですよ。獣人なんて初めて仕入れてみたんですけど、値段のせいか手間を考えさせられるからか売れなくて。やっぱり仕入れるなら幼いのじゃないと駄目ですね」
苦笑混じりに話す店主の言葉は、どこか亮の心を逆撫でするものがあった。
男の商売は生き物を商品として成り立つものだ。仕入れや処分は商売において、日常茶飯事なのも想像はつく。
だが、それでも目の前の幼さの残る女性を容易く処分する、駄目だ等と聞かされると気分が悪かった。
「お前、家に来るか?俺も獣人なんて飼った事ないから、最初はろくな世話も出来ないかもしれないが」
亮が獣人の瞳を見て問い掛けると、黒猫はまるで頷く様にゆらりと細くしなやかな尾を一振りする。
その様子を眺めていた店主は嬉しそうに微笑み、亮に話しかける。
「いやぁ、助かります。処分するのも何かと費用が掛かりますからね。さあさあ店内へ。色々サービスもしますから」
嫌な言葉を続ける店主は気に食わないが、一先ず店内に入り、店主に言われるがまま獣人を飼育するための雑貨等を購入する事にした。
何せ自分は男一人暮らしで、獣人とはいえ女性の扱いなどわからない。
最低限飼育本や替えの衣服、食品等を揃えてやらねばならないだろう。
(猫自体はそんなに高くないけど、物入りになりそうだな)
店内に入り黒猫の彼女と目が合うと、思わず口元に小さな苦笑を浮かべてしまった。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.4 )
日時: 2022/05/22 06:05
名前: 白楼雪

 ※※※

あれから一時間も掛からず、ペットショップでの手続きを終えると、亮と黒猫は街中の遊歩道をゆっくりと散策していた。
隣に歩く黒猫の彼女は、親鳥についてくる雛のように黙々と彼の隣を歩いている。
そんなあどけない彼女を可愛らしいと思う反面、晃はこれからの事を考えていた。
ペットショップの店主の話によると、獣人の病院は普通の動物病院と併設された獣人専門医院があるから、自宅付近のところに通えば良いと言われた。それもワクチン等は接種済みなので特別急ぎで行く必要はないらしく、ならばあとは彼女の身仕度や躾等の買い物をするべきだろうと考えていたのだ。
考えていたのだがなんというべきか、独り身の男に若い女性の衣服についての知識は少なく、彩り溢れた華やかさを持つ女性衣料品店に入るのは些か気負いがしてしまう。
「なあ、お前はその、どういう服を着たい?どの店が良いと思う?」
まだ名もつけていない黒猫に問い掛けてみると、片言に近い返事が返ってきた。
「ふくは、これがある」
彼女は自分のノースリーブの黒いワンピースの裾を摘まみ、尾をゆらりと揺らす。
確かにその黒く丈の短いワンピースは、彼女の毛並みにも日焼け知らずの肌にも良く似合っている。しかし、彼女の手持ちの服は今この黒猫が着ている一着しかない。
ワンピースの裾を捲って確認するわけにもいかないのでわからないが、もしかすると下着も身に付けていない可能性もありそうだ。
いくらペットとはいえ、彼女は女性だ。服一着の着たきりとしておくのは忍びない。
何よりもこの黒猫は素材が良い。
店の管理なのかはわからないが、胸元の膨らみはワンピースの胸元に僅かな谷間を作る程で、だというのに背から腰、臀部へと続くラインは華奢で滑らか。脚もすらりとしており、顔は幼さを残しながら瞳は猫目で唇は色素が薄いのか桜を思わせる色をしていた。
せっかく良い素材ならば活かさねば損というものだろう。
彼女を横に連れ、一先ず近くのナチュラル系女性衣料店に入る事とした。
「いらっしゃいませ。あら、あらあら可愛らしい。黒猫さんのお洋服をお探しですか?」
店に入り何から見れば良いのかと周囲を見渡していると、若い女性店員が近づいてきた。
女性店員は獣人にも慣れているのだろう。黒猫の彼女を見ても嫌な顔一つせず、寧ろ微笑ましそうに声をかけてくれる。
普段は煩わしい店員の接客も、今の亮にとっては救いでしかない。
「あの、この子に合いそうな服と、あと先程買ったばかりなので下着とかも見繕ってくれませんか?」
黒猫の肩に手をやり、店員に苦笑混じりでお願いしてみると、女性店員は瞳を輝かせ黒猫に微笑み試着室に案内していく。

Re: 悪い飼い主、無知な猫(NLR18) ( No.5 )
日時: 2022/05/22 06:02
名前: 白楼雪

黒猫は呆けた表情を浮かべていたがそれでも素直に店員と共に試着室へと向かっていく。
(商品扱いであんな狭いゲージに入れられて、それでも人間を疑わずにいたんだな)
店内の女性服を適当に見ながら彷徨き、瞳を細めて琥珀の瞳の黒猫の事を思う。
自分の家事も疎かにしているそんな男だ。獣人の、まして女性の世話などしたこともない。
それでも彼女を選んだのは亮自身だ。売り物にされていた彼女に選択権等なかったのだから、すべての責任は彼に有り、可能な限り幸せにしてやるのが飼い主の義務というものだろう。
「お、この服、あの子に似合いそうだな。下は…」
何気無くハンガーに掛けられていた衣服を見ていたのだが、ふと真っ白な胸元の縦ラインに小さなフリルが二段で付いているノースリーブのブラウスを見つけた。
辺りを見回せばスカートが売っているスペースも見つけ、ブラウスを手に幾つか商品を物色していく。
彼女は成体だったが、顔はまだまだ幼さがあった。
それならば少し丈の短いスカートも、いや敢えて膝下丈で落ち着いた装いも悪くはない。
「女の子の服ってのは難しいな。いくら獣人とは言っても、あの子は可愛いからな。肌を出し過ぎたら若い男に見られかねないからな」
飼い主とペットというよりは、年頃の娘を持つ父親のような思考になっていた。
「あまり丈が短いのは嫌だが、まあ似合うだろうからな。とりあえずこれは購入予定って事で」
数分悩んだあげく、僅かに膝上丈の柔らかな素材の黒いフレアスカートを手に取り頷く。
その後更に焦げ茶色のローファーにも目をつけ、あとで彼女に試着させてサイズを確認しよう等と考えながら店内を見て廻った。
それから数分、店内奥から先程の女性店員が黒猫の獣人を連れ戻ってきた。
「お兄さん!黒猫ちゃんの試着、見て上げてください」
自信満々に店員笑顔で彼女を晃の前に差し出すと、そこには清楚な美女が呆けた顔でこちらを見上げていた。
紺色のシースルーの長袖カーディガン。薄い水色のノースリーブのロングワンピースは軽い素材なのか、彼女が歩くとふわりと揺れる。
足元は白の踵が低い革紐のサンダルで、まるでどこかの令嬢を想わせた。
「なっ…お前、似合いすぎ。これ、買います。着ていかせます」
黒猫の令嬢に惚け視線を逸らした亮を、不思議そうな顔で黒猫は見つめる。
だが、店員は楽しそうににやにやと笑い続けた。
「お兄さん、これで終わりだと思ってませんよね。まだ二種類程合わせたコーディネートがあるんですよ。是非とも見てあげてください」
女性店員は告げると、黒猫の両肩に手を置き再び試着室へと彼女を連れ去っていった。
女性のお洒落は金が掛かるというが、これは仕方がない。初期投資は金が掛かるものだ。
結局それから数十分後、店員に乗せられるまま大量の衣服を購入する事となったのは、言うまでもなく察せられるだろう。
補足するならば、先程亮が選んだブラウスとスカート、ローファーは勿論購入していた。

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