大人オリジナル小説
- クラスメイトの宇佐井さん
- 日時: 2011/05/06 16:19
- 名前: 神崎
この作品はすべて架空です。
宇佐井 裕美
うさい ゆみ
神崎 真樹
かんざき まき
広末 琴葉
ひろすえ ことは
- Re: クラスメイトの宇佐井さん ( No.7 )
- 日時: 2011/05/17 21:05
- 名前: 神崎
カラカラと軽い音を立てて教室の扉が開かれる。
先「それでは授業を始めますので、日直さんお願いしますね」
にっこりと笑顔で先生は促すと、日直の宇佐井はビシッという効果音が出そうな勢いで立ち上がり、
宇「きりーつ! きをつけー! 礼!!」
と、大きな声で元気に挨拶をする
出席番号順のせいで同じ机に座っている神埼は煩そうに眉間に皺をよせ、小さくため息をついた。
反対に広末は宇佐井とは一番離れた机に座っているので、宇佐井の公害並の大声の影響はあまりない。
神崎が広末にチラリとアイコンタクトと取ると、広末は苦笑して肩をすくめた。
それから授業が始まり、今回は版画だったのでベニヤ板がみんなに配られる。
広末は同じ机の子に視線を向けて頷いてから板を貰いに行くために席を立つ。
と、丁度宇佐井も席を立ってこちらへやってきた。
宇「版画頑張ろうね! 琴ちゃん!」
無邪気な笑顔でそう言う宇佐井にカチンと来た広末だったが、その感情を押しかくして愛想笑いをして、
広「うん、そうだね。彫刻刀で手を切らないように注意してね?」
と、軽い嫌味を含んで優しく語りかけてやると、宇佐井は嬉しそうに頷いて席に戻っていった。
広(気軽に琴ちゃんなんて呼んでんじゃねぇよ。
広末様と呼ばせてやりたいところだけど、せめて広末さんにしておけよ、クズが)
席についた広末はフゥ、と息をついて作業を始めた。
広末の机の班は順調な滑り出しだ。
だが、神崎の机はと言えば…。
宇「でねでねっ! 昨日のスペシャル番組でねっ、奈瑚(なこ)ちゃんがね!
すごく可愛い衣装で歌ってたんだよぉっ!」
必死に神崎に大声で語りかけていた。
神崎は曖昧な返事を返して切り抜けていたが、同じ机に座ってるもう一人の子が困っている表情をしているのに気がついた。
ふとまわりを見回してみても皆一様に五月蠅そうに宇佐井を静かに見つめている。
半分あきれながらも、出来るだけ優しそうな笑顔を作った神崎はまっすぐに宇佐井を見て、
神「少し声のボリューム落そうか。
授業中だし、少しうるさいから」
そうやって促したが、相も変わらず同じ声の大きさで言う。
宇「それ、小学生の時から言われてて落ち込むんだよねぇ…」
カチンッ
神崎と広末は同時にその言葉に反応した。
広末に関してはただ単に他の人よりも嫌いな人のムカツク発言は聞き分けられると大して役にも立たない能力を持っているだけだが。
神崎は額に血管が浮きそうになるのを我慢して、
神「そっか、ごめんねぇ」
と、上辺だけの謝罪を述べて後は作業に没頭した。