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運悪く、その日の5校時は保健体育だった。
つまり担当が、大仏。
説教を受けるのは承知の上だったけど、きちんと着替えて授業に出た。
何故か優菜が戻ってきていて、あたし達とは目を合わせようとしなかった。
案の定、授業開始直後らへんに、皆が準備し出すのに紛れようとすると
大声で「 鎌田! 篠田! 仁藤! ちょっと来いおめぇら!! 」と声が掛った。
……ん? あたしは? あたしはお呼び出し無しなパターン????
「 何考えてんだよ、尾嶋の野郎 」
優菜をキツく睨んでみたけど、あいつはあたしと目をあわせることはなかった。
決まり悪そうにそそくさと授業に合流していった。
やべぇ、馬路うぜぇぞ。
その日の体育はあたしの好きなバレーだったけど、
優菜が気になって授業に身が入らなかった。
だからミスとかいっぱいしたんだけど、皆あたしを恐れて
「 ドンマイ 」しか言ってこないのがこれまたうざかった。
偶然同じチームだった、海村遼平だけは笑って話しかけてきた。
結局、授業に梨帆達が戻ってくることはなかった。
* * * * * * * *
「 お前、何考えてんの? なんであたしだけ? 」
「 別に…あたしの勝手じゃない 」
「 あたしが主犯だってことはわかってんだよねぇ? 意味不明だよ、君 」
放課後、あたしと梨帆となつはトイレに優菜をつれこんでいた。
彩弓は家の都合が…とかいって帰った。
なんかあいつも最近行動が意味不明。
怒られたくらいでへこたれてんだろうか。
何より面倒なのは尾嶋優菜だった。
言ってることとしてることが微妙に矛盾してる。
いらいらしてる梨帆がたまに蹴ったりするけど
決して本当の事は喋ろうとしなかった。
これだからあたしはこの女が嫌いなんだ――。
自分の意見を言おうとしない癖に、他人にはうざかったり、
危険な立場に陥っても生意気な口利いたり――。
とにかく、あたしの嫌いな要素を詰め込んだような女。
「 本当の事いいなよ 」
「 だから、別にあたしの勝手でしょ 」
「 あたし等の事チクったくせに、それでいい逃れれると思ってんの? 」
「 …… 」
これだもん。
都合が悪くなってくると黙りこむ。
ほんっと、ムカつく。
―― タヒんでくれればいいのに ――。
「 あー、ムカつく。もうお前タヒねよ 」
キリがないから切り上げた。
なつが「 また明日ね、優菜 」と微笑みながら言う。
優菜はこっちを見ないで鼻で笑いやがった。
む か つ く 。
まぁいい。
どんなに足掻いたってあんたは、
あたし達からは逃げられないんだから――。
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