大人オリジナル小説
- 咲かないつぼみが開くとき。〜夢、受験、友情、恋〜
- 日時: 2014/11/01 22:15
- 名前: kurin(チェリー)
咲かないつぼみが開くとき。
そんな時、くるのかな?
固く閉ざされた私の心のつぼみ。
これは、受験と友情、そして難しい恋でゆれる、私の小6の、たったひとつの物語――。
*登場人物*
片瀬結葉(かたせゆうは)
私立桜沢学園をめざす、無邪気で明るい女の子。引っ込み思案で運動オンチだが、一度決めたことにはまっしぐらに頑張る。
塚田理奈子(つかだりなこ)
結葉と同じ塾。通称:塚ちゃん。まじめで、本が好き。ちょっと変わっているが、優しくて大人。家があまり裕福でない。
竹本美里(たけもとみさと)
結葉とは塾の同期。元気で、誰とでもすぐに仲良くなれるちゃきちゃきした子。岸本が好き。
本田まり(ほんだまり)
結葉の学校のクラスメイト・おさななじみで、おっとりしている。学校では常に結葉とともに行動している。受験はしない。
安藤蓮果(あんどうれんか)
結葉と同じ学校。クラスは別。スポーツ万能!でちょっとキツイ性格。
新川仁菜(しんかわにな)
結葉と同じ塾。活発で美人。理系が得意で、将来は色の研究家になりたいと思っている。
岸本健(きしもとたける)
結葉と同じ塾。勉強ができるみんなの人気者。
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こんにちは〜kurinです!
ちなみに今は本館で、チェリーという名前で「らくだい魔女と幻の魔法」という小説も書いています。
興味があったらこちらもよろしくお願いします(*^v^*)
そして、本作は私のいじめ体験談です。
もちろん、ちょっと設定は違いますが…
私自身、受験という忙しい時期につらくて、苦しくて何度も悩みました。
これは、みなさんが共感できて、勇気をあたえられるように…という私の思いをこめて書きます。
がんばりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
- Re: 咲かないつぼみが開くとき。〜夢、受験、友情、恋〜 ( No.5 )
- 日時: 2014/11/01 22:43
- 名前: kurin(チェリー)
この頃、塚ちゃんは休み時間もずっとひとりで勉強している。
最近、一言もしゃべっていない――。
「まったく蓮果ってばなんなのよ!自分の成績が悪くて、ただねたんでるだけなのに」
仁菜が憤慨している。
ホントに、ひどいと思う。
塚ちゃんは全然悪い子じゃないし、成績をひけらかしていばったりするような子でもない。
黙って机に向かい、カリカリとペンを動かす塚ちゃんの姿に、ズキンと胸が痛む。
痛む。
――けど、
結局私たちはなにもできなかった。
三日前。
私たちは蓮果と美里に呼び出された。
『ねえ、今日からあいつのことあんたたちも無視しなよ。あのビンボーなくせにクッソ生意気なやつに、優しくする必要なんてないって」
え?
『そんな…塚ちゃんはそんな子じゃ…』
必死に抵抗する私に、蓮果の冷たい言葉がのしかかって、グチャグチャにつぶしていく。
『逆らったら…。どうなるか、わかってるよね?』
(――ッ)。
言い返せない私たち。
『じゃあ、そういうことで♪バーイ』
手を振り去っていくふたりの姿を、私はただぼーっと見つめることしかできなかった。。。
「うん。自分が、がんばればいいのにね…」
仁菜に答える。
でも、私は今、大事な友達が困っているのをただ「私には関係ないから」というふうに目をそらしている。
手を差し伸べずに。
身勝手。
わがまま。
そんなのわかってる。私だって塚ちゃんを助けたい。でも、「おはよう」 そのたった4文字の一歩の言葉が、動かなくて、出てこないの。
先には、進めない。
ああ、情けないよ。塚ちゃん、本当に私もつらい…。
もう一度、塚ちゃんの笑顔が見たいよ。
見上げた空は、かすかににじんだ灰色の雲。
まるで、私の心をそのまま写し取ったよう。
ポタ…。
しずくが一滴落ちて、スカートの色を変える。
私の心も空も、
雨模様みたいだね…。