大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 月音の短編・リク箱【リク受付中】
- 日時: 2017/03/18 16:01
- 名前: 月音
こんにちは、月音です。
今回は二次・三次・オリジナル問わずちょっとした短編を投稿していきます。
また、あればですがリクエストにもお答えしていきたいと思っています。
cp名、シチュエーション、どこからどこまでやっていいかを明記して頂き、
ここにコメント頂ければ善処します。
遅れても気長に待って下さる方のみ、お願いします。
今のところ、
悪ノ娘オリジナル
忘却の覇王ロランからニケロラ
夢王国と眠れる100人の王子様
Fate-zero綺礼ギル
声優 宮野×梶
オリジナルで戦時中悲恋
オリキャラ学生
オリキャラファンタジー系
オリキャラ双子+親友
というラインナップです。
では、どうぞ。
- Re: CP色々、一話完結でぐだぐだ書く。 ( No.10 )
- 日時: 2017/01/18 22:09
- 名前: 月音
オリキャラ双子・クラスメート
俺は怒っていた。
アイツに、もしくは彼に、もしくは不甲斐ない俺自身に。
理由?馬鹿馬鹿しい理由だ。
犬も食わない色恋沙汰だった。
俺には一卵性の双子の弟がいる。名前は紘(ひろ)という。ちなみに俺の名前は哲(さと)。学校ではよく哲紘(さとひろ)と呼ばれる。いやそんな事はどうでもいい。大切なのは──言うのも恥ずかしいが──俺達が愛し合っているという事だ。先程も言ったが一卵性の双子である俺達が、愛し合うというのはかなり危ない。ヤバい。世間には認められないだろう。十人共感者がいればいい方だ。そんな危ない橋を俺達は渡って来た。余談になるが、昨日クラスの女子がキャーキャー騒いでいた。「近親相姦の何が悪い!萌えだよ!」と。うちの学年には腐女子が多過ぎる。萌えだよ!じゃねえ、苦労してんだよ、何も知らないくせに戯れ言抜かすな、そう心の中で愚痴っていた。勿論他人に言える訳もなく。家で紘にこぼすくらいしか出来ない。アイツは精神的にも肉体的にも老けてるから、放っておけという感じだったが。
本題は、アイツが最近学校の一人と非常に仲が良い事だ。もう本当に仲好し小好し。傍目に見ても「何かあるんじゃねえか?」ってくらい。その腐女子のヤツらがネタにしていやがった。「彼と彼がデキてて、なら双子の片割れはどうなるんだろう?嫉妬?嫉妬なのかな?美味しい!」てな感じ。お前らは超能力者か。嫉妬したよ!悪いか?するだろ普通!
どうしたらいいのだろう。嫉妬してるだなんてアイツには絶対言えない。兄としての尊厳が無くなる。いつもアイツにはリードされっぱなしだというのに、この上弱味を握られるなんて!でも方法が浮かばない。どうしよ。
悶々としていると、アイツからラインが来た。
『今夜どう?』
同じ家にいるのに、何故ライン。やりたいなら襲いに来い。
『明日練習試合だから無理』
『じゃあ早く寝ろし』
『黙れうっせ殺す』
『w』
返信が来なくなったので、スマホを放り投げて寝転ぶ。そろそろ深夜アニメが始まる頃だろう。
「お、キタキタ!」
アニソンを口ずさんでしまう俺。イタい奴だな。誰にも言えないわ。
「この曲マジ神曲だわ」
「って何でお前いるし!?」
彼奴の声で気付く。隣に紘がいる。
「何だ、いちゃ悪いかよ」
「いや今日は無理つったな?」
「だから添い寝だけでいい」
「違うだろ!」
思わず声を荒げる。
「あーもう帰れよハゲ!」
「何だよ、萎えるな」
一触即発の空気が流れる。でも俺に止める事は出来ない。
「変態が、やるなら一人でやっとけスエヒロガリが」
「はあ?ふざけんな、誰がスエヒロガリだオラ縁起いいじゃねーか」
「縁起いいとかどうでもいいし!お前に決まってんだろ色魔。昨日も今日も俺誘っといて、学校でも色目使って、ホントお盛んな事で!」
「……お前いい加減にしろよ」
ヤバイ、これ、ガチだわ。キレる直前の静けさ。てかちょっとイジっただけでガチギレしないで欲しい。やっぱり何かあるのか、ってなる。
「はいはいつまりモテモテのイケメン紘君は相手に困ってないんですねー!俺なんかより蓮(れん)の方が上手いかああん?」
「何で蓮が出てくんだよ」
「お前ら仲良すぎ。何かあんだろ?ハッ、隠れてこそこそしないでも俺は何にも言わねえし!」
半殺し覚悟の挑発。テニスラケットで殴られたら痛いだろう。ああ、結局俺は双子の弟にも敵わないような奴なんだ。
彼奴が立ち上がる。
「おい」
ビクッと体を竦ませてしまう。彼奴の手が俺に近づいて来て、
ぽん、と。
「へ?」
頭を撫でられる。
「間抜けな顔してんな。バーカ」
「は?ちょ、待て、着いて行けない」
「お前嫉妬してたんだろ。蓮に。何か最近お前蓮に冷たいから不思議だったんだよ」
かあっと顔が赤くなる。つまり、最初からお見通しだったって訳?
「ん?いや、さっきの『隠れてこそこそしないでも俺は何にも言わねえよ!』が引き金になった。つまりツンデレだろ?」
「……ツンデレとか笑えるんですけど」
それしか返せない。うわあ俺自分で墓穴掘ってた。
「わけワカメ……俺の葛藤は何だった」
「はは!お前感情隠すの下手過ぎだろ。バレバレだっつの」
「うるせぇハゲ帰れし……」
「もう家だけど?」
「土まで還れ!」
「それは困る。土まで還ったらお前にヤって貰えねーじゃん」
ここでサラッと恥ずかしい事言うなし。そうだよ、ここまで精神的に紘の方が優位にあるのに、上は俺。せめてここだけは兄の尊厳を!
「分かった、じゃあ八つ当たりしたお詫びとしてヤってやるよ」
「ラッキー♪よしきた!」
うずうずしながら服を脱ぐ絋。ホントにこいつのペースに乗せられてばっかで、でも嫌じゃない俺がいて。もしこれが俗に言うBL小説だったなら、読者は展開についていけなくて放り投げるくらいの急展開。駄作者って呼ばれるだろう。でもこれが俺達には普通。
「哲、早くしろよー」
「はいはい」
こんな俺達、刹那的だろうとなんだろうと今んとこ幸せです!
行為を終え、学校までの短い間、惰眠を貪る俺達。
隣でスッキリとした顔で眠っている彼奴を見ながら俺は思う。
「一回も否定してないのにな」
優しくするとすぐ信じるお目出度い脳のこいつが可愛い。
俺はこいつとヤるのが好きだ。
だからって彼奴とヤっちゃいけない事は、ないだろう?
ゲスだろうがクズだろうが、ま、どうでもいい。
だって俺は俺を求める奴らの需要を満たしてやってるんだ。
嫉妬なんざ醜い。
俺を与えるから、そんな醜い争いはしないでくれよ。
俺の体ごときで幸せになる奴がいて、俺の体ごときで不幸にならない奴がいるなら、俺は体をやる。
偽善か?
いや、善ですらない。
俺は結構性欲ある方だから、性欲処理にも使えるしな。
金も貰ってるし。
誰がどう思おうと、俺はこの行為、止めないから。
……俺のテクだけを求める彼奴と違って、不器用で悩みながらも真っ直ぐ俺を愛してくれるこいつが、今は愛しい。
だから、こいつには、嘘の反応はしない。
それが最低な俺の、最低限の愛の証だから。
END
- Re: CP色々、一話完結でぐだぐだ書く。 ( No.11 )
- 日時: 2017/01/19 21:28
- 名前: 月音
続き
「は……?」
唐突に告げられた言葉に目を丸くする。何となくそろそろかとは思ってたけど。
「僕ら、別れようか」
蓮がそう言った。こんな関係ずっと続けるわけにはいかないし、時間も出来るから有り難い。
「……そうか。いいぜ別に。じゃあな。恨みっこ無しで」
「それでさ、その……理由、なんだけど」
「ん?」
「好きな人、出来たんだ」
照れたように頭をかきながら言う。俺といた時にはついぞ見せた事のない表情だった。嫌な予感がする。
「……誰?」
「え、いや、その……さ……哲、なんだけど」
「っ!」
ふざけんな。
何でお前が。
俺を慰み者にしてたお前が、何で双子の哲を好きになってんだよ。
選りに選って、俺がただ一人本心から愛してる、彼奴を。
「テニスでペア組んでる内に惹かれて。カッコ可愛いよ、哲。でね、紘なら好きなもの……とか知らない?あ……応援して、くれるかな?」
応援する訳がない。厚かましいにも程があるだろう。逆に呆れてしまう。
「悪いけど……俺、彼奴と好み合わないからあんまり知らないな」
「そっか。なんだ。……ごめん。今までありがとう。バイバイ」
あっさりしている。俺もそうだけど。体が繋がったところで心が繋がっていなければ、意味がない。蓮で何人目だ?汚れきった体の俺を、哲は知らない。哲は、何も知らない。俺が言うまで俺とセックスしようなんて思ってなかったし、テクも、駆け引きも、知らない。俺のために知ってくれてる。同時に、他の奴らを知れば、そちらに靡いても不思議ではないのだ。俺は男で体売ってて兄弟で。美人の処女の下級生の女子なんかにコクられたら一発じゃないのか?
……もう止めよう。
それより、哲を蓮に渡したくない。どうにかしなければ。それを考えようか。
「え?蓮?」
「そ。お前、蓮どう思う?」
その日の晩。直接単刀直入に聞いてみた。顎に指を当てながら唸る。
「どう思うも何も……えと、テニス上手いよな!」
純粋か。
「あと、シャーペン分解するの上手い」
「それな。じゃなくて!好きか嫌いか!俺と蓮、どっち好き?」
「は!?ひ、紘バカだろ!聞くなよそういうのは!」
何でキョドる。おいおい……まさか?そのまさかかよ?顔を真っ赤にしてあたふたするこいつは可愛いが、深読みしてしまう。
「何?まさか……蓮の方が?」
「いやいや、ただその……面と向かって言うの、はずいってか……」
目を泳がせてもごもご言う。ヤバイなこいつマジ可愛いな!くあ、死ねる。
「口に出して言わなきゃ分からないだろ?お前が浮気者かも知れないし、ほら、言ってみろよ」
「うっ、うるさいハゲ!バーカバーカ!誰が言うか!お前の方が誰よりもカッコいいなんて、一度も思った事ねえし!」
「ああ?それツンデレか?うるさい駄犬は嫌いだから、黙らすぞ?」
「うぐっ……い、いいし!俺を駄犬呼ばわりするやつなんか嫌いだし!蓮の方が好きだよーだ!」
あ。
あーあ。
こいつ、地雷を両足で踏み抜きやがった。
流石に言い過ぎたと思ったのか、口をつぐんで上目使いにこちらを窺う。
「紘……?何。どうした……?」
「なあ、本気でそう思ってんの?」
「え……ちょ、紘……なあ」
「俺を愛さないなら、俺以外のやつを愛するなら、お前、死──」
死ねよ。
と。
そう言えない。
不意に黙り込んだ俺を泣き出しそうになりながら見つめる哲。
ああ、俺は本気でこいつが愛しいんだな。
殺したいくらい愛してて、殺せないくらい好きだ。
「ひろぉ……俺、ごめん……嘘だから。紘だけだって……許してくれよ……」
もう、何で泣くんだよ。泣き虫。俺が酷い事を言ったのに、謝るなよ。バカ。
「ごめんな……意地悪した。ヤキモチ妬いたんだよ。お前は悪くないって、バカ」
優しく抱き寄せて、背中を撫でる。哲も俺をぎゅっと抱き締める。俺とは違ってまだ汚れていない、こいつ。俺はあの行為を止めない。止められない。けど、こいつは誰とも違う、特別だ。
「紘……俺さ、紘が皆に優しいの、知ってる。俺なんかじゃ満足させられないかも知れない。だから捨てられてもいい。文句言わない。でも俺……紘、好きだから……紘がどう思おうと、俺は、紘を愛してるから……」
耳元で囁かれた。もしかしたら、こいつは何も知らないなんて俺の勘違いで、全部分かってたのかもな。それでも愛してくれると言う。
「俺だって、哲が好きだぜ?何よりお前が俺を捨てるような事があったら、殺す」
「ヤンデレかよ……」
ま、紘ならいいよ。
とか、微笑むな。俺まで赤くなる。ラブラブ新婚さんか!俺の拙いボギャブラリーでは可愛いとしか言えない。
「じゃあ哲、蓮からコクられたらどうする?」
「ある訳ねえし」
「あったら」
「そりゃ勿論断るだろ。俺には紘以外いらねえよ」
眩しいくらいの笑みで断言する。哲梓に何か言われるだけで嬉しくなれる。それがこんな事ならなおさらだ。杞憂だったかな。
「哲ー」
「何」
「大好き」
「っ……俺も、だし」
二人向き合って、いちゃいちゃしながら、その日の夜は明けた。
もう蓮とかどうでもいい。
哲に俺しか要らないように、俺にも哲しか要らない。
ま、要するに、兄弟愛、だろ?
俺、知ってた。
紘が、蓮とか、色んな奴らと色んな事をやってたの。
全部、じゃないけど、知ってた。
ある時、見てしまったから。
幻滅して、絶望して、嫌悪した。
でも、その時の紘……すごく辛そうで。
俺とヤってる時とは全然違って。
いや、ヤってる相手も、紘が辛いのは分からないと思う。
俺だから、分かった。
家でも学校でも、そんな事おくびにも出さずに強がってる。
何もない、って、振る舞ってる。
そんな紘を、俺は、癒したいと思った。
一人だと苦しくても、二人なら。
三人だとこわくても、二人なら。
意地っ張りな彼奴も、少しは、楽になれるかな。
生まれた一分後からずっと一緒。
これからもたぶん、ずっと一緒。
大好きだぜ、紘。
END
- Re: 月音の短編・リク箱【リク受付中】 ( No.12 )
- 日時: 2017/03/31 14:00
- 名前: 月音
リクエストが来ません……さみしいものです笑
オリジナル息抜き
一体なんのためにここまで来たんだか……
少年は深いため息を吐いた。
小型のバンに下ろされた場所は、店から小一時間はする高層マンション。
いつも通り指定された部屋に向かいチャイムを押す。
たっぷりの営業スマイルで店名を告げたところ、細身の男性が出てきて、は?みたいな顔をされた。
「え、俺はそんなの頼んでませんけど……」
「またまたぁ。恥ずかしがらなくても結構ですよ?住所はきちんと控えてあるんですからね。一時間のご予約でしたよね、じゃあさっそくいやりましょうか!」
「えええ!?だ、だから本当に身に覚えが……っ」
青年は顔を赤くさせ、必死に否定する。
少年は心中、それはそれでいいカモさ!とガッツポーズをした。
「あら、こういうのは初めてのご利用ですか?」
「噂では聞いていたんですが……俺には必要ないし」
「うふふ……なら折角ですしぃ、初体験いかがですか?」
メイド服をふわりと翻し、誘惑する。
少年の仕事。
それは、いわゆるデリヘル嬢。
しかしただのデリヘルではなく、少年がメイド服などの女装をするというマニアックな方面である。
しかも悪徳で、最終的に睡眠薬を吸わせ金をふんだくって逃げる、というもの。
訴えようにも羞恥心には誰も勝てないのが現状だ。
少年はほとんど行為に及ばず、早々に睡眠薬を使うが、中にはやるだけやる本当のビッチもいる。
さて、青年はどうするだろうか?
「……すみません」
しゅん。
「俺は……あなたのような美人な人にそういうこと、させられません」
「え……っと?」
「お金があればいいんですが、貧乏なもんで……ちょっと待ってて下さい」
足早に中に駆けていく青年。
本気で申し訳なさそうだ。
こんな人間は少年の周りにはいなかった。
あれ?
今、まさか胸がきゅんとした!?
いやいやいや!!
自問自答を繰り返しテンパる少年の前に青年が帰ってきた。
その手に握られていたのは封筒で。
「これ……少ないですが、どうぞ」
「え、いや、結構な額じゃないですか!」
「月給の残りです。これで幸せになってください」
ふんわり微笑む青年には悪意がまったくない。
少年の手にはずしりと重たい封筒。
ぽたり、と雫が落ちた。
「……ごめんなさい……」
「あ、あれ?何であなたが」
「僕はあなたをだまそうと……してたんですっ……なのに、こんな……ごめんなさいっ!」
いたたまれなくなって封筒を押し返し少年は走り出した。
その手が掴まれる。
「待って!」
「何で……ぼ、僕は、悪いやつです……離して下さい」
「イヤだ。俺は、あなたを苦しめたくない。きっと強要されてるんですよね?この後も。だから、俺の家に来ればいい」
「え……?」
「出来るだけ、俺はあなたを招待しますから、その間は自由に過ごして下さい。辛かったでしょう」
「な、な、なな!?」
プロポーズか!
青年はあくまで真面目な表情を崩さない。
「嫌、ですか?」
「そ、そんな!僕……そんな事を言ってくれる人、いなかったから……」
「それはそれは……あ!」
青年の視線の先には小型のバン。
少年を連れてきた大男が立っている。
「僕、もういかなくちゃ……」
「はい。また……あえますよね?」
「あなたが、ご指名くだされば」
にこりと笑いあい、別れる。
バンに乗り込む間際、青年の声が聞こえた。
「あなたのその僕っていう一人称!大好きですよー!」
かあっと顔が赤くなる。
あわてて座席に座り、ドアを閉める。
運転手兼ボディガードの大男が呟いた。
「いいやつだな」
少年はさらに縮こまり、返す。
「馬鹿みたいなお人好しでした」
その口元には笑みをたたえながら。
END
- Re: 月音の短編・リク箱【リク受付中】 ( No.13 )
- 日時: 2017/09/20 20:02
- 名前: 月音
三国志(みらい文庫版から)
オリキャラ、曹操、劉備、夏侯惇、孔明
劉備を滅ぼしてはつまらない。仲間にしたいな
なら帝さんを助けてあげればいいんじゃない?
それは出来ない。劉備が折れてくれればいいんだが
……それなら、僕に名案があるよ
何だ?
玄徳さんと結婚すると良い
ええっ!?
あ、孟徳さんの慌てた顔は珍しいね
からかうな、真面目に聞いてるのにっ
ははは!面白いな、それは
おい、夏侯惇!
まあ食おう。話はそれからだ
やったね、僕ここの料理大好き
はあ……
それで、さっきのはどういう作戦だ?
意外だなぁ、夏侯惇さんが乗り気なんて
突拍子もなくて面白い
裏切り者……!
ふふ、ありがとう。じゃあ説明するよ
『孟徳さんと玄徳さんが結婚する
玄徳さんは良い人だから妻を裏切ろうとはしない
孟徳さんが帝さんを倒そうとする
玄徳さん迷う
その隙に帝さん倒す
孟徳さんが帝になる
孟徳さんは帝だし妻なので、玄徳さんは従わざるを得ない』
はい、完璧
そんな訳ないだろう!第一どうしてわたしが妻なんだ?
いや、面白いな
大体、劉備がそんな申し出を受ける筈がない。それに彼ならわたしを倒してでも正義を貫くだろう
よく分かってるんだね
そうか?
じゃあさ、結婚してからこっそり帝さんを暗殺、玄徳さんを帝に据えて改革させるっていうのは?
……穴は見当たらないが、論理性に欠けるぞ
やっちまえよ、孟徳。離婚したかったらおれが叩き斬ってやるから
ああもう!こんな実りの無い話は止めだ!料理人、もっと酒を持って来い!
ははっ、呑みすぎるなよ
あ、僕もご飯お代わり〜
やあ玄徳さん。久しぶり
あなたが曹操さんからの使者ですか?
うんうん。いやあ、君のせいで孟徳さんは悩みっぱなしだよ
曹操さんならそんな事はないだろう
ふふ、まるで恋煩いだ
?
何でもないよ。じゃあこれ手紙。読んで
ありがとう、今から読んでくるよ
わが君、あの人は何者です?
あの子は、おれと曹操さんが黄巾族を討伐した時に一人で半分を倒したすごいやつだよ
本当ですか?それで今は曹操軍に?
ああ。理由が分かるか?
……報酬ではないのでしょうね
もちろん。おれには心を許せる相手がたくさん出来るだろうが、曹操さんには夏侯惇一人しかいないから、だそうだ
そんな理由で……
すごいだろう?さて、手紙は……
親愛なる劉備玄徳殿
お元気ですか?
あなたは相も変わらず帝にご執心のようでわたしとしては悲しいところです。
一体、あなたよりもわたしよりも劣るあのような者をなぜ立てるのでしょうか。
きっと帝だからという理由からでしょう。
あなたが余りにもそう言うので、わたしも決めました。
あなたと友達でいるのは無理だろうと思いますので、夫婦になりたく存じます。
そして行く行くは、帝の血を引くあなたに良い帝として天下を治めて頂きたい。
わたしはその隣であなたと共に国を支えましょう。
ご一考のほど宜しくお願い致します。
曹操孟徳
追伸
わたしは黄巾族討伐の頃から、君とは運命を感じているよ
え……えええぇぇーーーーっ!!??
どうしたんです、わが君
あ、孔明、いや、何でもないんだっ
……怪しいですね
いや本当に何でもないから!ちょっと出掛けてくる、護衛はいらないよ!
あ、わが君!
おい、この手紙はどういうことなんだ!?
え?降伏を促す手紙じゃないの?
読んでみてよ!
……え、嘘……まさか、本気にするなんて
君が発端だな?
ううん、半分冗談でこうしてみたらって提案しただけなんだけど
半分本気だったのか!
取り合えず、孟徳さんに聞いてみる
待て、僕も連れて行くんだ
いいの?
ああ。頼む
分かった。じゃあ行くよ、玄徳さん
ああ、あれは冗談だ
はい?
あの提案が面白かったから、試しに釣ってみただけだったんだが
お、驚かせないでくださいよ……
はは、でもまさか乗り込んで来るとは思わなかったな
お忍びなので、そういうことなら帰ります
まあ待て。食おう
またですか……
料理人、あの子を呼んで来て、三人分料理を頼む
かしこまりました
ああ〜、そういう事だったのかぁ。まったく孟徳さんにも困ったものだね
その通りだよ
すまない。で、劉備君、君はあの計画についてどう思う?
え?
来てくれたという事は、協力してくれるんだろう?
いや、それは……
孟徳さん、本気?
まあね
ええっ?
孟徳さん、玄徳さんをからかっちゃいけないよ
からかってたんですか!?
いやいや、君が呉についてわたしと戦うならば滅ぼさざるを得なくなるぞ?それと比べれば良い案だろう
それとこれとは違います
そう言うと思ったよ
あーあ、折角の案だったのに
すいません
謝らないでいいよ、面白かったし
そうか、なら君はあくまでわたしと戦うつもりなんだな
もしおれがあなたと結婚しても、あなたはきっと今の帝を大切にはしないだろうから
そうかも知れないな
じゃあ、おれは行きます。次会うときは戦場ですね
手加減はしない。今度はしっかり勝たせてもらう
望むところです
じゃあ僕が送ってくよ、玄徳さん
ありがとう、それじゃあ
また会おう
……惜しかったな
何がだ?
もしかしたら無駄な血を流さずに済んだかも知れないのに
だが、お前は戦うんだろ
ああ
……そろそろ出撃か?
ああ、先に行っててくれ
分かった
……本当に、惜しかった
END