大人二次小説(BLGL・二次15禁)

D灰短編集(r18BL アレン、神田、ラビ主)
日時: 2019/11/10 16:57
名前: 白楼雪


  久しぶりの二次、久しぶりのD灰。
 オリジナルの作品とは別に書き進めていこうと思っています。

 一応アレン、神田、ラビ。三人をメインとしますが、ティキとか、クロス元帥とか、
 コムイの兄さんも時々参加したりしたら面白いと思うんだ。

 なお、主は基本雑食。三人の組み合わせなら、どれでも美味しく書かせて戴きます。


 更新は……少ーし、ちょっとだけ亀かもしれないな…。悪気はないです

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Re: D灰短編集(BL アレン、神田、ラビ主) ( No.4 )
日時: 2019/01/05 02:29
名前: 白楼雪

神田の言葉に、店員は幾つかのチョコレート菓子を見せる。
その中の洋酒を効かせた生チョコレート。シトロンと洋酒を混ぜたトリュフショコラを物を彼は選び、それを店員に包ませ受けとった。
神田自身甘いものはあまり好まないが、選んだものはどちらも甘さが控えられ、食べやすい。
「助かった。釣りは取っておいてくれ」
そう言って立ち去る神田を、店員の女性は笑顔で見送った。



 *****

数日後、教団内。
神田ユウは、自室にて眉間に皺を浮かべていた。
その日は神田もラビも任務がなく、教団にて過ごしていた。
教団内は、本日のバレンタインデーに浮かれた者ばかり。
別に、今さらコムイやリナリー達がイベント事に浮かれ、教団内を騒がしくする事に苛立ちを浮かべたりはしない。
いや、些細な苛立ちはあるが、怒鳴り散らすつもりはないという程度だ。
ならば、なぜ眉間に皺が寄るのかというと…。
「ユウ〜、これ見て欲しいさ」
ノックもなく、ラビは神田の部屋の扉を開け放ち、満面の笑みで入って来る。
ラビの両手には、抱えるほどのチョコレートの山。
その何れもが可愛らしく綺麗な包み紙やリボンをかけられ、華やかさを魅せていた。
気に入らない。この男は、本当に馬鹿なのではないだろうか。

Re: D灰短編集(BL アレン、神田、ラビ主) ( No.5 )
日時: 2019/01/13 03:59
名前: 白楼雪

普通、恋人の部屋で他の好意を向ける奴から貰った菓子など、持ってくるべきではないだろう。
神田自身、恋愛なんて甘ったるいものに詳しくはないが、それくらいの理解はある。
だと言うのに、この目の前の馬鹿兎はその程度の事も分からないらしい。
「…おい、用はそれだけか?」
普段と変わらない声を意識して、神田は問う。
だが、そんな彼にラビは呆れたような声で詰め寄る。
「ユーウ、冷たいさ。今日はバレンタインなの!そして、バレンタインと言えば、恋人同士の甘い夜!」
必死に告げる彼の腕には、変わらずチョコレートの山。
神田からしてみれば、まずその懐の物を何とかしてから言えと言いたい。
「お前、やっぱ馬鹿だな」
溜め息混じりの神田の言葉に、ラビは悲しげに驚きを表した。
その時、ラビの手元から一つのチョコレートの箱が落ちた。
淡い水色の包装紙に、薄い桜色のリボン。
それを神田はそっと拾いあげ、ラビに手渡した。
「ありがとう、ユウ」
「早く部屋に持って帰れよ」

Re: D灰短編集(BL アレン、神田、ラビ主) ( No.6 )
日時: 2019/01/13 04:26
名前: 白楼雪

煩わしさを見せる神田の言葉は、ラビの耳にちゃんと届いているはずだ。
しかし、ラビはそんな彼の気持ちを気にする素振りも見せず、神田の部屋に備え付けられている机へと歩み寄ると、その上に菓子の箱や包みを全て乗せた。
「おい、なに勝手においてんだ」
ラビとの距離を詰める神田に、彼は笑みを返す。
「ちょっと置かせて?両手塞がってたらこんな事も出来ないさ」
そう言い、ラビの両手が神田の腰に触れ、更に抱き寄せていく。
「っ…、なんっ…」
何のつもりだ。そう、苛立ちを伝えようとした神田の言葉は、ラビの口に呆気なく塞がれてしまった。
数週間振りの会瀬。久しく触れていなかった口づけ。
それらに酔しれてしまいそうな思考は、ふと向けた机の小箱達に塞き止められた。
「…ぅ…、…やめろ」
愛しい恋人との一時。いっそこのまま情事に落ちてしまいたいとまで思えた。
だが、それも彼に、ラビに思いを寄せた者達が気持ちを込めて送ったそれらのある場で行うのは、やはり神田自身気が滅入ってしまう。
「ユウ?」
この馬鹿兎は、どうやら本当にそんな事も分かっていないらしい。
彼の瞳にははっきりと疑問の色が見てとれた。
ラビから離れ、神田はベッドに腰を下ろす。
その仕草には呆れが混じり、眉間には皺が寄っていた。
「俺が言うのも何だが…、一応その菓子類は、お前を思って寄越した奴等からの物だろう」
ラビの視線は神田から、机の菓子へと移る。
その瞳からは未だに疑問の色が消えていない。

Re: D灰短編集(BL アレン、神田、ラビ主) ( No.7 )
日時: 2019/01/19 21:49
名前: 白楼雪

そのラビの瞳が、彼を不愉快にさせていく。
神田の心に僅かな熱が帯びる。欲とは違う、嫉妬のような熱だ。
こんな感情、昔の神田は知らなかった。
ラビへの恋慕を懐いてから、初めて知った感情だった。
「…断れとは言わん。だが、俺の部屋に持ってくるのはやめろ」
ラビの女好きは、教団でも周知されている。
その為彼が女共に好かれ、贈り物を貰う事も極ありふれた様子と言えるだろう。
寧ろ、ある時から突然それらを拒否したりなどすれば、その行動は間違いなく怪しまれる。
そうなれば、ラビと神田の関係すらも気付かれかねない。
だから、神田自身、ラビに強く言えずにいたのだ。
それなのにこの馬鹿兎は、そんな神田の思いも理解していない。
数秒の沈黙は、室温を冷やす。
互いの視線は、交わされずにいた。
「…ユウ」
ラビの声が、柔らかに響く。
彼は神田の隣へと腰を下ろす。
「寄るな」
拒絶を露にする神田の声を無視し、ラビは言葉を紡ぐ。
「聞いて、ユウ」
悲痛な声に、神田の視線は僅かにラビへと向けられる。
それに吸い寄せられるよう、互いの視線が交わり、苦痛を滲ませた笑みを浮かべるラビの表情が、神田の心に戸惑いを生んだ。
「俺、ユウが好きさ。ユウだけが好き。他の人からどれだけ思われても、俺は…」
ラビの熱い想いが、神田の心に温かな愛を注いでいく。

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