大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 銀土 記憶喪失ネタ
- 日時: 2019/09/05 13:27
- 名前: 月
俺は知らなかった
彼奴が俺と出会う前、どんな奴で
どんな人付き合いをしていたのか
そんな事なんて、俺は知らない
また万事屋と喧嘩してしまった
いつも通り自然に仲直りできるかと思ってたけど
そんな世の中甘くはなかった
次に会った時彼奴は
俺の記憶をごっそりと無くしてしまっていた
ーーー
はい、おはようございます、こんにちは、こんばんは
月です。
これは銀時が土方の事、つまり恋仲の事など全部、忘れてしまった話です
一応ハピエンにするつもり
昔の恋人設定で高杉が出てきます
記憶なくした銀時は高杉が恋人だと思っています
土方病みます
これでもかってぐらいに暗いです
それでも良い方、ゆっくりしていってください
- Re: 銀土 記憶喪失ネタ ( No.6 )
- 日時: 2020/02/12 19:17
- 名前: 月
…お前は、俺の…ッ
悲痛な土方さんの声が頭に響く
ねぇ、土方さん、なんで泣いてるの?
泣かないで、なんでか分からないけど、俺、土方さんの涙は見たくないよ
あの後、土方さんはお金だけを置いて店を出て行ってしまった
それを使うのは申し訳なかったので、前から眼鏡君に渡されていたお金で勘定を済ませた。
土方さんの置いていったお金を大事にしまうと、すっかり暗くなってしまった空を見上げた。
あの、声が聞こえた日と同じ、満月だった。
ねぇ、土方さん。あの時、何を言おうとしたの?
俺は眩しそうに目を細め、白く光る月を眺めた
ーーー
あの後、何度か預かっているお金を返そうと街を出歩いてみた。
いつもはすぐに会えるのに、今日は全然見つけられなかった。
歩いて、歩いて、歩き疲れた頃、休憩に立ち寄った団子屋でこんな話を耳にした
真選組の副長が、高杉に攫われた、と。
晋助がそんな事するわけがない、だって、彼奴は俺の…
俺は混乱しながらも、度々道行く人に尋ねた話を頼りに二人がいると見られる船のような乗り物の中に入った
ーーー
「…クク、幕府の犬が何をしに来たと思えば…刀を持ってねェじゃねェか。生身で俺とやる気かァ?」
キセルを持ちながら高杉が口角を上げ、俺を見てくる
そうだ、ここは高杉のアジト。言うなれば、隠れ場所、だろうか。どこから聞いてきたのか、高杉は銀時が記憶喪失になっている事を知っていた。
それなら話が早いと、俺が高杉の部下の後をつけ、こうして今ここにいるというわけだ
「…あぁ、別にやりあおうって訳じゃねぇんだ、今回は。」
俺の言葉が意外だったのか、高杉は若干目を見開いた。
それを構わず、俺は続けた
「彼奴を…銀時を、お前の元へ居させてやって欲しいんだ」
高杉は30秒ほど考え込むように視線を落とし、そして口を開いた
「いいのかァ?今は手前の恋人だろ。俺が居る理由がねェんだが。」
「銀時は…彼奴は、俺の事を覚えていない。お前はもう聞いただろうが、彼奴の記憶はお前が恋人だった頃、つまり白夜叉だった頃の記憶で止まってんだ。」
俺の言葉にまた高杉は考え込み、どこか納得しなさそうに俺を見てくる
まるで、お前らしくない、と。それで良いのか、と。
問いかけてくるような視線だった。
本当は、まだ未練がある。良いんだ、とは言えない。
ただ、お前の側に居た方が彼奴は幸せだと思うから。
俺は、目の前の相手に頭を下げた。
「すまねぇが、彼奴を、銀時をよろしく頼む」
その数秒後、爆音と煙と共に銀髪に紅の双眸の男が、俺の後ろに立っていた
- Re: 銀土 記憶喪失ネタ ( No.7 )
- 日時: 2020/02/12 19:47
- 名前: 月
パラパラパラ…
崩れた石が、コンクリートの壁が、砂のように落ちてくる
これ、俺がやったのか…などと驚きながら目の前の二人を見た。
一人目が、土方さん。
そして、もう一人目が…隻眼になった俺の恋人の晋助だった。
土方さんは驚いたような顔で俺を見てくるが、それもお構いなく俺は晋助の元へと駆け出し、抱きついた
「晋助!!探したんだぞ!お前どこ行ってたんだよ、心配したんだけど…」
俺が興奮しながらまくし立てるが、晋助は落ち着いた様子で返す
「まァな。久しぶりじゃねェか?銀時。」
微笑みと共に発せられた言葉は、俺に染み込んでいった
「この目は?もしかして、土方さんが、ッ」
「違ェ、それは…」
晋助はなにかを言おうと口を開き話すが、それを遮るように土方さんが笑みを浮かべて
「それ、やったの俺だ。」
と呟いた。
晋助の制止も聞かず、俺は土方さんを殴り飛ばした。
拳が当たる寸前、俺の拳に暖かい液体がつたったような気がした。
かなり力を入れて殴った筈なのに、気絶していない。
俺に殴られた土方さんはゆらりと立ち上がると、俺たちに背を向けて歩き出した
「待てよ!俺の大事な晋助に、ッ!」
今度は俺の言葉を遮るように、晋助が俺の腹に拳を入れた。
俺を殴った晋助は、心底呆れたような、失望したような顔で俺を見つめた
こうしている間に、土方さんは何処かへと消えてしまった。
「…目ェ覚ませよ、銀時。手前の恋人は、俺じゃねェ。」
低く呟かれたその声は、俺を拒絶するようだった。
「違う!!俺の恋人はお前で、彼奴は、土方はお前の目に傷を負わせた悪人」
「ふざけてんのか、それはよォ。」
晋助が、片目で俺を睨みつけながら言う
「これは彼奴につけられた傷じゃねェよ。それだけ言っておく。俺は彼奴に頼まれたから、手前を連れて行く。手前は、どうする。」
晋助が俺の側から離れ、空が見える窓辺に移動すると呟いた
「これはこれは…綺麗な青空だなァ…今夜は月がよく見えそうだ」
月…そういえば、何処かで同じような言葉を…
強い頭痛と共に、何かが流れ込んでくる
「………月、綺麗だぞ、銀時…」
「俺は、土方十四郎。真選組の副長をやっている」
「…お前は、俺の…ッ」
そうだ、俺は、俺は
お前の恋人だ、土方
高杉に別れを告げ、走り出した。
最後にちらりと見た高杉の顔は、どこか満足げに笑っているように見えた
- Re: 銀土 記憶喪失ネタ ( No.8 )
- 日時: 2020/02/13 22:54
- 名前: 月
…終わった、な…
俺を殴り飛ばした銀時の顔は、怒りに満ちていた
高杉の傷一つで、そんなに怒れてしまうのか。
だとしたら、その傷を俺のせいにした方が、銀時に余計な負担をかけずに送ってやれるだろう
彼奴は優しい男だ。きっと、俺を殴った事を反省しているだろうが
ただ、銀時から離れるってだけなのに、胸が痛くて切なくてたまらない
俺は知らぬうちに、お前に溺れてしまっていたらしい
殴られたところを手でさすり、よろめきながらも俺は屯所へと戻った
ーーー
「山崎〜ィ…山崎〜…や」
「そんな幽霊みたいな声で俺を呼ばんでくださいよ副長!!…って、どうしたんですかその怪我!?」
障子を勢いよく開けて出てきた山崎は俺の顔を見て絶句した
それもそのはず、俺が銀時に殴られたところは青く変色し、腫れ上がっていたからだ
手加減はしてくれたのだろう、記憶を失ってもとことん優しい男だ。
山崎は慌てて俺をおいて何処かへ走り出し、数分後、総悟と近藤さんをお供に救急セットを持ちながら俺の元へと現れた
近藤さんは何故か泣きながら今にもこちらに抱きつかんばかりだ。
総悟はいつもなら、
「はッ、土方さんまたどっかで喧嘩買って来たんですかィ?青タンこさえちまって、良いですねィモテ男は」
ぐらいは言っても良いはずなのに、何故か今回は黙って俺を見てくるばかりだ
一応、心配してくれているのだろうか
俺が総悟を見つめ返すと総悟はゆっくりと口を開いた
「…誰ですかィ、その青タン土方さんにこさえやがったのは。」
珍しく、怒っているようだった。
自分以外に俺を傷付ける存在がいるのが許せないのだろうか
勿論、それなら素直に嬉しいとは言い難いが。
俺は苦笑いし、山崎の手当てを受けながらも答えた
「銀時…万事屋、からだ。」
万事屋と呼ぶのはいつぶりだろうか。
俺の口から銀時の事が出ると一同は驚きを隠せずにいるようだった
それもそのはず。記憶を失っている事は、真選組の隊員には言わなかったからだ。
これは俺個人の問題だから、隊に報告する必要がないと、俺が判断したからだ
驚きで固まっている3人を他所に、俺は中断されていた手当てを一人で済ませ、3人へと言った。
「…今はあまり人に会いたくねぇ。万事屋も、例外じゃない。近藤さんと、総悟、そして山崎以外は絶対に俺の側に近付けないでくれ」
と。
3人が頷いたのを確認し、俺は自室へと戻った。
ーーー
…土方さん、アンタ、気付いていやすかィ?
いつもなら上手くできる微笑みが、微かに悲しそうに、歪んでいた事。
旦那の名前が出てきた時は驚きやしたが、まずは土方さんの言う事を聞かないと、ですかねィ…
近藤さんも隣で拳を握りしめて怒りに震えてますし、今回ばかりは、俺が止め役に入らなきゃ、ですかねィ…
…残念だ、土方さんに、俺の土方さんに傷をつけやがったあの外道を殴り飛ばせると思ったのに。
ーーー
ごめんな、トシ、俺があの時一緒に行って居れば、お前はそんな傷付かなかったかもしれないのに。
あの時、高杉の居場所が分かるかもと一人で行こうとした時、止めてやれば。
せめて付いて行ってやれば、少なくともあんな痣にはならなかっただろうに。
こんな、腹立たしい事はない。
久しぶりに、本気でやれそうだ
待っていろ、トシ。
俺が必ず、彼奴から守ってやるから
ーーー
あの副長がやられる相手なんて、いったい誰なのだろうと思っていたら、まさか恋人の旦那だったとは。
腹立たしい。恋人という、一番良い立場にいながら副長を傷付けるなんて。
とにかく今は、副長の願いをまっとうしよう。
暗部として、情報役として副長の片腕となっているこの身だからこそできる事がある。
待っていてください、副長。
俺は、俺たちは必ず、局長と隊長と一緒に貴方を守ってみせますから。
それぞれの決意と共に、日は落ちていくのだった。
- Re: 銀土 記憶喪失ネタ ( No.9 )
- 日時: 2020/02/29 17:46
- 名前: 月
ーーー
俺が屯所についたのは夕日が沈む寸前の時だった。
何故か屯所前にはゴリラと総一郎君、そして俺の近くの家の屋根にはジミーと、なんだか大掛かりな警備のようになっていた
俺が屯所内に入ろうとすると、ゴリラと総一郎君が刀を抜いて俺に襲いかかってきた
危機一髪、二人の刀を木刀で受けるが流石に大人の男二人の力に木刀が耐えられず、ミシミシと嫌な音を立ててひびを作っていった
折れる寸前で二人の刀を払い、二、三メートル程離れたところに着地し見上げると、いつの間にか距離を詰めた総一郎君が俺を静かに見ていた。
否、睨んでいたと言うべきだろうか
ゴリラは総一郎君から距離を取り、これまた怒った様子で俺を見ていた
「何よゴリラに総一郎君…冗談キツくねぇ?」
「近藤さんはゴリラじゃねェし、俺は総悟でさァ、旦那。これが冗談に見えるなら、旦那も落ちぶれたものですねィ…」
流石、真選組最強の剣士、と言うところだろうか。
殺意と怒りのこもった瞳で、俺を刺すように見つめてくる。
「じゃあ何、また上様とやらが屯所にいんの?お偉いさん?」
俺は軽く笑いながらなんとか二人の鬼気迫った表情を戻そうと問い掛けた
総一郎君は俺を睨みつけたまま答えた
「…俺たちが守ってんのは、旦那の恋人だった土方さんでさァ。」
土方の名前が出た瞬間、俺は身を硬くした
それを見ながら総一郎君は続ける
「随分とお楽しみだったようですねィ…土方さんにあんな痣こさえさせて…楽しかったですかィ?」
薄ら笑いを浮かべながら総一郎君は俺に話しかけるが、その目は全く笑っていなかった
まるで拷問でもするような口調で俺を責め立てる総一郎君の肩を掴み、ゴリラは俺に聞いた
「…お前の事は、信用していた。あのトシが、そこまで気を許してる相手なんか俺と総悟と山崎以外には居なかった。…なのに、何故、お前はトシを殴りつけた。恋人とやらは、相手に痣や傷を作るのが愛情表現になるのか?」
珍しく正論を言い、感情の読めない瞳で見つめてくるゴリラに溜息をつきながら話した。
「それがさ、俺自身も良く分からないワケ。記憶失ってるんだよ?俺さっきまで高杉が恋人だと思ってたもん。」
「それが言い訳になるとでも思ってるんですか?旦那。」
頭上から声がして見上げてみると、屋根から屋根へと飛び移り、軽やかに下に降りてくるジミーが居た。
「確かに、記憶を失っていたのだから仕方ないですよ。でも、旦那は副長を深く傷つけた。心身共に、副長はボロボロになって帰って来ました。そして、人に会いたくないと。そう言いました。そこまで副長を追い詰めた旦那を、例え謝りに此処に来たのだとしても、俺は通すつもりはありません。お引き取りください、元副長の恋人さん」
まるで揶揄うような、意地悪い笑みの中に不気味さを交えながらジミーは笑った。
皆、土方の味方らしい。
俺は続けた。
「…俺、別にただ謝りにきたってわけじゃねぇんだ。もう一度、チャンスが欲しい。今度こそ、彼奴を、不器用で人一倍繊細な彼奴を幸せにしてみせる。」
「…そんな戯言が、俺らに、土方さんに通じると思うんですかィ?」
「勿論、思ってねぇさ。土方は散々俺が傷付けちまったし、もう戻れねぇかもしれないな。でも、彼奴は俺にとって凄え大事な奴だ。例え、彼奴が閉じこもったとしても、俺はそれをこじ開けて幸せにしてやりたい。」
「…俺たちの信用は、どうやって取るつもりですか?」
「さぁな…元々俺そんなに信用できる人間じゃないだろ?土方を幸せにしてやれば、信用はされるんじゃねぇかなー、って。」
「…トシは、どうするつもりだ。」
「勿論、これから会いに行くけど?それの邪魔すんならお前ら纏めてぶっ倒して行くし。だから、邪魔しねぇでくれねぇかな。」
逆ギレ、俺が悪い、そんなのは分かってる。
それでも、俺はお前に謝りたい
傷付けてしまった分、お前を幸せにしてやりたい。
俺は3人を睨み返した。
しばらくお互い見つめ合っていたが、少ししてゴリラが笑い始めた
「ははッ、あー、負けだ万事屋。俺たちの負けだ。お前の執念には恐れ入った、入って、トシを連れ出してやってくれ。トシは自室にいると思うから。」
今までの張り詰めた雰囲気を解き、柔らかく穏やかな雰囲気に変える辺り、ゴリラは大将の器だと言えるだろう
見ると、両隣に居る2人も満足気に笑っていた。
おいおい、土方。
お前、隊員の皆から愛され過ぎやしないか?
俺は3人にお礼を言い、屯所の中に入って土方が居るという部屋に急いだ