大人オリジナル小説
- 病名:自己中病
- 日時: 2010/12/07 21:55
- 名前: ライアー ◆V5wAVYppW6
―拝啓、この手紙を読んでくれている皆。ウチのクラス・・いや、学年には、自慢したがり、嘘吐き、ぶりっ子など、たくさんの自己中人間がいます。なので、ウチの今年の目標を「自己中消滅」にしたいと思います。この手紙を読んでくれている皆にクラスの状況を伝えていきたいと思います。
矢野 操玖やの みさく
11歳小学六年生で、手紙の読者にクラスの現状を伝える張本人。黒いセミロングに顔は大人しめでちょっと美人。
佐々木 安奈ささき あんな
操玖の親友で12歳六年生。操玖の「自己中消滅」に協力する。茶色のショートでボーイッシュ。明るい性格で人気者。
今回の患者さま
敷島 佑香しきしま ゆうか
12歳の六年生で「自慢人間」の部類に入る人間。こげ茶色のロングに少し派手目な美人だが、性格でダメになる。
第一診目:病名自慢病・前
斜篠小学校六年二組
ガララッ
「みんなぁ、おっはよぉ」
来た。今回の患者敷島 佑香。いつも、髪飾りや服の
事を自慢する奴だ。
ちなみに、ウチの学校は制服なので服というのはコー
トとかなんだけど。
「見て、このコート。人気のブランド物なの。やっぱりあたしが着てこそよね」
あたしにとっては、別に〜って感じなんだけど。
だって、そんな高級な物買う必要ないしさ。ジャンバ
ーでも可愛いのあるじゃん?みたいな。
ウチは、とっさに安奈にアイコンタクトを送った。
「ねぇ、操玖もみ「操玖〜」」
実は、ウチと安奈で「自己中消滅」の為の作戦を考えていたのだ。
それは、「自慢を始めたら妨害」。
「あ、安奈も見てよぉ。このコー「宿題見せて!」
「もう、何で話「良いよ、はい」
さて、大体ならこれで諦めると思うんだが・・。
「ほら!このマークが・・」
まぁ、コイツはこんなことで諦める奴じゃないってこ
とはウチだって分かってたし。
まぁ、これを続けても効果はないだろう。
でも、作戦はまだ実行しちゃいけない。二時間目算数
のテストが返ってくる。その時だ。
二時間目
「敷島さん」
「はいっ」
テストの下から見える佑香の唇が嬉しそうにぷるぷる
震えている。良い点でも取ったんだろう。
でも、それは分かってること。なぜならテスト直後
「今日は頭が冴えちゃってぇ。勉強してないのに、あたしってすごーい」
と言っていたから。まったくバカだよ・・。
「矢野さん」
「はい」
テスト用紙を見てみると・・百点!ひとまず安心。
ちらっと安奈の方を見てみると、あたしにむかってこ
っそりVサインを送っている。
次の休み時間、作戦実行だ―
切ります;
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
- Re: 病名:自己中病 ( No.2 )
- 日時: 2010/12/07 23:06
- 名前: ライアー ◆V5wAVYppW6
第二診目病名自慢症・後
キーンコーンカーンコーン
「みんなぁ、見て!78点!」
祐香がテスト用紙を見せびらかす。
「ねぇ、あんた何点だったぁ?」
「ろ、六十五点」
祐香の問いに友達が答えると、祐香はニ
マァっと笑みを浮かべた。
「やっぱり、勉強してきた子に勝てるなんてあたしすごーい!」
みんながひいてることに気付かないで祐香
はテストの点を自慢しまくる。
「あのさー」
「何ー?」
「テストの点自慢すんの、もう止めたら?」
そこへ、安奈もやってきて言う。
「引かれてるって、分かんないの?」
「何よ…あ、分かったぁ。あたしよりわる点なんでしょ」
何点?と訊いてくる祐香に向かってテスト
用紙を見せる。
「ひ、百点!?」
「嘘だろ、二人とも…」
「すごく難しかったのに……」
クラス中がざわめく。
「ねぇ、祐香。あたしらの百点はさ、頑張って勉強して取った百点なんだよ」
安奈に続いてウチも言う。
「それなのに何?~勉強してきた子に勝てるなんてすごい~?ふざけないでくれる?」
ピシャリというと、祐香の肩がビクッと揺れる。
でも、これだけじゃないから。
「あんた、それ人を傷つけてるって事にきがつかないの?これまでだって、自分の服とかばっかり自慢して、それで酷い事言って誰かを傷つけてるんだよ。あたしにはね、当てずっぽうや、偶々合ってて取れた78点なんかより、頑張って勉強して取った65点のほうが良い点に思える。あんたなんてね……」
みんなが呆然とウチの事をみる中、ウチは
祐香にこういった。
「人を傷付けてる事にも気付けない、最悪な人間だよ!」
「ごめんなさい……ごめ…ヒクッ」
泣き出した祐香の肩に優しく手を置いて言う。
「あのね、買ってもらったものとか、ブランド物の服とかを見せるのは別に悪い事じゃないの。テストの点だって同じ。でもね、自分だけ変な優越感に浸って、いいたくないのに無理やり点数を言わせて馬鹿にしたりするのはおかしいよね」
「……うん…」
「でも、点数を教えあって″次は頑張ろう″とかは全然いいし、その方がいいよね。いい?もう人を馬鹿にするような事は言っちゃ駄目。ちゃんと言葉を選んで話すの」
「分かった」
と言って頷く祐香。
「じゃあ、まずやる事があるよね」
ウチがそう言うと、祐香は立ち上がって
さっきの子の所へ行った。
「さっきは、頑張って勉強してきたのに点数馬鹿にしてごめん」
「いいよ!私も気にしてないから」
「ありがとう!みんなも、傷つけたりするような事言って、本当にごめんなさい」
「良かったね」
「うん!操玖本当にありがとう」
あのあと、祐香はすぐに許してもらえて、
自慢をすることもあまり無くなって、人を
傷つけるような事は言わなくなった。
第一、二診目病名自慢症・治療完了
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24