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「 こいつ、吐いたんだよ、本音 」
「 ほぅ? 」
という内容の話らしい。昨日あたしだけチクらなかった理由――か。
いたのは、優菜となつと、何故か海村遼平。
梨帆も彩弓もいないかわりに、遼平がいた。
「 梨帆と彩弓は? それとなんで遼平が? 」
「 こいつ、『 鎌田さんと仁藤さんには言わないで 』ってさ(笑) 」
「 なんで梨帆と彩弓は駄目なのに、なつと遼平はいいの? 」
「 あ、俺たまたま聞いてて 」
「 そうそう。海村は偶然聞いてたの。あと、あたしが問い詰めたからあたしはいいよ的な 」
「 へー。で? 何なの理由って 」
「 それが聞いてよ、大笑いだから 」
なつと遼平は本当に楽しそうにケラケラ笑ってる。
そういえば遼平も優菜の事嫌いなんだっけが…。
「 ほら、早くいいな? 優菜ちゃん? 」
「 ご本人前じゃ言えねぇの? なんなら城倉も―― 」
「 やっ! それはやめてっ!!! 」
「 じゃあ早く言えや 」
あたしもいい加減いらついてきたからキツく言ってみた。
優菜はビクッと身体を震わせて、少しずつ喋り始めた。
「 あの……その、あたっ、あたし……そのぉ…… 」
「 うっわ、うざこいつ 」
「 もういいや、なつ、なんて言ってたのこいつ 」
耐えきれなくなって結局なつに喋らせる。
肝心の優菜はもう泣きそうになってて超ウケる。
本当こいつ、ぶっさいく。
「 だからぁ、こいつ城倉君が好きなんだってぇ 」
「 ……は? 」
「 あんた、城倉君と付き合ってんじゃん? 」
「 うん 」
「 だから、麻可の事チクって城倉君に嫌われたら…って。 」
「 ……はぁ?! 」
キレた。
こいつ何? 陽翔の事狙ってたって事…?!
ふざけんなよ、本当。
止まらなかった。
ふざけんなって連呼して蹴って殴った。
もうこんな奴タヒんでもいいと思った。
最終的にあたしはなつと遼平に押さえつけられて止められて、
優菜の方はまた被害者ぶって泣き喚いていた。
結局優菜は保健室行き、あたしは生徒指導室行きとなった。
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「 てめぇ反省してんのか! 」
「 何であたしが反省しなきゃなんねぇんだよ! 離せや! 」
大仏だとか後藤だとか、糞教師が集う部屋の中で
あたしは必死に暴れ続けていた。
停学3日を喰らった。
帰り際、クラス中からの視線にいらつきながらも
陽翔に「 元気出せよ 」と慰めてもらって少し耐えた。
優菜……次は覚えてなよ?
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