大人オリジナル小説
- 恋舞う夜 【モデルをいじめてみる。殺ってみる。】
- 日時: 2014/02/11 17:15
- 名前: クルミ ◆8DJG7S.Zq.
消える
1秒
たった1秒の出来事で
恋の実が
――ボトッ
と落ちる
手を緩めるだけで 消えていく
あたしの恋、また 消えていく
羽ばたいて 一緒になる前に 消えていく
今度こそ…
消えないで――――――
もう二度と 泣きたくないから
もう二度と 悲しい思いしたくないから
たとえ 失っても
あたしの胸にだけ 残ってればいいから
もう二度と 悲しい思いしたくないから
もう二度と 泣かないために
――――――
作者挨拶>>1
目次>>2
登場人物>>3
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- Re: 恋舞う夜 【モデルをいじめてみる。殺ってみる。】 ( No.12 )
- 日時: 2014/02/13 21:06
- 名前: クルミ ◆8DJG7S.Zq.
それからの徒歩、スキップしながら、楽しそうなリンは まわりの目を結構ひいていた
「わ!ルリ その服めっちゃかわいい…!これ、どこの?って…そりゃドリテリだよね」
「そうだよ」
ドリテリ…ドリームアステリ
「わー。この椅子 いいなー。あたしの部屋に置きたいわ。」
お店のガラスに顔を押し付け、元気にはしゃぐリン。
いつも リンはこういう風。
カッコいい服が似合う顔柄なのだけど、性格は、元気で明るい。
こういうリンは、いじめられたりは しないのだろうか。
わたしと違って 誰とでも話せてフレンドリーな リンには いじめなんて 無縁なのかな。
「…ねえ、リン」
でも、わたしは聞いていた。
「なに?」
でも
「…学校で いじめられたりとか しない?」
リンの顔が曇った。
唐突に訊きすぎただろうか?
「…うーん、無いワケ、無いんだよね。」
ないわけがない?
「どういう、こと?」
「フツーの。極フツー子でも、いじめられたりは、するんだよ。あたしは今はしてないけど、小学生の時、同じ小学校だったレナを いじめてた。」
え…
予想もしてない、答えがかえってきた。
「レナ?」
聞いたこと、あるような気がする
確か…
「鈴城玲奈 あたしと同級生。モデル、やってた。今はやってない。女優さんやってる子。その子ね、人気あったんだ」
「人気?」
「そう。男女ともに好かれていて。特定の友達とずっといるだけのあたしと違って まわりに友達がいっぱいいたの。
ルックスもよくて、もうアイドルっぽい感じで。でも、あたしにだけはウザい人間にしか見えなかったのね。他の子と違う、モデル。ライバルだから、あたしのこと敵対視してみてたの。」
「うん」
「あ…。こいつ、嫌いだな。 それだけ思ったんだ。そんなけでいじめはしないけど、それからと言うもの、お互い嫌いなのに、なぜか相性だけはあう。」
「相性、だけ?」
「そう。クラス替えあるのにずっとクラスは一緒。席は 必ず 隣か前か後ろか斜め。言いたいことが一緒で 意見があう。図書室に行ったら、たまたまレナが居た。そればっかしに、あたしも、レナを嫌いな仲間連れて、いじめ刷り込んだ」
「ふうん」
「給食のとき、仲間がレナの机に足ひっかけて転んだマネをした。 レナの正面に居る私が給食全部レナにぶっかけたっていう「お芝居」をしたり。わざとレナの筆箱に教科書にシュシュからなわとび。全部教室のごみ箱に捨てたりした」
「・・」
「でも、いくらそんなことやっても キリがない上 さらに恐ろしいことをやってみたくなる。レナの図工の粘土の作品を落として壊す。レナの悪い噂を流す。」
「そしたら レナ、反発も睨むも何もしなくなった。ふうん じゃあ、もっといじめてみよ。そう選んでずっとしてきたら、あたしが先生に怒られるじゃないの。最後の三学期に、仲間ともども全員怒られた」
「……そっか」
「つーいた。あ、あれ須藤先輩じゃない?」
リンが、わたしの目の前に 躍り出た。
リンは いじめたことがあったんだ。
レナさんは どうしたんだろう?
そんなことされて、誰にも相談せずに、ずっと耐えてきたの?
わたしにそれが出来るとは とても思えない。
立ち上がって反発して ひたすら負け惜しみの挙句に睨んで。
何をするだろう。その立場に立った 私が。
今は他人事だとしか思わなかった
―――――
「あ、ルリ、リン」
声をかけられて振り向く。
たくさんのモデルとチーフマネージャーなど関係者もたくさんあつまっている。
「お、留美さん。今日はお願いします。」
リンが、いち早くあいさつする
「おはようございます」
わたしもあいさつする。
「おはよう。リン、森加ならあっちに居るわよ」
「ありがとうございます!」
リンは、森加のもとにかけていく
森加は リンのチーフマネージャーだ。
「どう。迫力あるでしょ」
「は、はい!」
思わず声が出る。
「気になる人は?」
「…えっと 泉田さん。誰か 解らないんですけど」
自分よりも 可愛い人。
自分よりも 実力の高い人
上の存在
下の存在
「泉田藍花は、凄そうに見えるかもしれないけれど、あの子よ。」
「や、優しそう…」
ふんわりとした笑顔の一面だけど
「ちっちゃくないですか」
自分よりも小さい。もしや…先輩では無かったり…
「ええ、小学六年生じゃないかしら。」
「ええっ!!」
「朝夷カイリ。あの子は、ここの事務所のはずよ。それに、あなたと同じような雑誌で活動しているはずなのだけど。あ、小学五年生ね。」
と留美が付け足す。
「…そうなんですか」
上に 上にしか目が行かなかったからさっぱり。
「大先輩は…」
わたしが言うと 留美は目配せした。
「まずいのは、星崎きはると、令城美麗@でも、星崎は体調不良で休みよ。ルリも、身体弱い方なんでしょう?今日は、大丈夫そう?」
「はい!」
ルリは、身体が弱い方だ。
どちらかと言うと、リクが強い方だ
「清水若菜と、大海ノノカは仲良くなると思うわ。きっと話しやすい。どちらも中学二年よ。ほら、はやめに打ち解けてきなさい。仲間は多い方がいいわよ」
そう肩を押されて、モデルの波に入り込む。
ずっと前のコトが思い出される。
小学五年生の頃。
リクと、わたしと来瞳で、東京へ出てきたこと。
街中のおばあちゃんの家に 初めて、三人だけでいった。
あまりに、リクが頼もしかった。
人が多くて、いきなりスリにあったわたしだったけど、盗まれたお金は、たったの150円。
お小遣い ピンチだったのに。
残念だったけど、来瞳がお姉ちゃん可哀想
と、50円くれた。
そんな風に、歩いていると、目を離したすきに、来瞳が女の人に話しかけられていて。
「…な、」
リクを押しとめて、わたしは来瞳にかけよった
「妹に、な、なにかようですか」
「お、お姉ちゃん…」
なに、と 来瞳を向いた
「この人、スカウトの人だって。あたしじゃなくて お姉ちゃんに用があるんだって」
と、来瞳はリクと わたしの後ろに隠れた
「何か用ですか」
リクが前に出る。
「怪しいものじゃないわ。あなた、ファッション雑誌の オレンジ・キャンディって知ってる?」
そう言われて、こくこく頷いた。
オレンジキャンディは、わたしが愛読しているファッション雑誌
「知ってる〜!ユウナちゃん大好き〜」
と、来瞳が無邪気に笑う。
「…は、はい」
わたしも頷いた
「そう、それならよかった。わたしは、芸能事務所Honeyrainbowの、須藤ユウナのチーフマネージャー。池松留美よ」
「あなた、モデルにならない?」
その一言が無ければ、わたしは此処に居なかった。
そして 辛い思いをしなくても済んだ。
学校に行って、きっと笑っていたと思った。
少しだけ。少しだけ 憎たらしい。
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