大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- ONEPIECE BL小説集 R18表現アリ ロー中心w
- 日時: 2015/07/21 20:38
- 名前: 緋朽葉
どうも、緋朽葉です(´∀`)/
ちなみに、これが初投稿のスレなので、これから頑張っていきたいと思います。
このスレは題名通りのスレです。トラファルガーとユースタス屋が中心のBL集。ロキド・キドロ中心小説ですね。他にもcpは気が向いたら書きます。
と、スレ名には書いていませんが、この小説はボカロの曲にそって物語を書いていきます。はい。「この曲で書いてほしい」というようなものがあったら、是非お願いします!全力で書かせていただきますので…!
そのくらいですかね。
では、お楽しみください!!
- Re: ONEPIECE×ボカロ R18表現アリ ( No.4 )
- 日時: 2015/07/13 22:44
- 名前: 緋朽葉
【リンネ】〜朽ちた想いは駅へと向かう〜
暗い、暗い、夜。
あの日と似ているような、暗闇の中でローは一人、ベッドに寝転んでいた。
もう、このベッドにはアイツの体温は残っていない。アイツの匂いも、面影ですら残っていない。残っているのは、自分の劣等感と誰にも向けることのできない嫉妬。
アイツが今、何を思って自分と距離をおいているのか。
それすら分からないまま、生きてきた。
「今、お前は誰と何をしてるんだろうな」
キラー屋と一緒にケンカか?
それとも勉強をしてるのか?
…女が、出来たのか…?
心の中の黒い感情を抑えながら、自分の右手首を握った。
脈をうっているのが、よく分かった。
「おれには、お前の考えてることが分からねェよ」
そう言って、握っていた手首を離した。
右手首には、自分がどれだけの力を込めていたかがよく分かった。
案の定、赤く痕がついている。
「まるで、迷路に迷ってるみたいだな」
ローはそう言うと、立ち上がった。
そして、机に置いてあったペットボトルを握ると、部屋を出る。
その際に、ちらりと時計を見た。12:46分。あの『駅』は、確か最終列車が1:00までだったハズだ。走れば間に合うかどうか、そのくらいの時間帯だった。
ローは急いで部屋を出ると、玄関へ向かい、靴の踵を踏んだまま外へ出た。
街灯が染める道を、ただひたすらに走る。目的地まではまだまだ遠い。
ふと、猫が通り掛かる。
「何処へ行くんだい」
そんなことを言っているような目つきだった。
おれは目をきって走ることに集中する。黒猫は追ってくる気配もなく、ただローの後ろ姿をじっと見つめていた。
「ハァっ…ハァっ…」
そして、やっと目的地が見えた。
速度を落とし、駅のホームへと入る。
時刻を見ると、只今1:07分。予定時刻に間に合わなかったようだった。
ローはペットボトルの蓋を開けると、錆びた味のする水を飲み干した。
「…次の駅は、もうない」
口から無意識にこぼれ出た言葉。
ホームのベンチにゆっくりと近付き、腰を落とした。
下から、何かおかしな感情が沸き上がってくる。まるで、黒い何かが押し寄せてくるような感覚だった。
「なァ、ユースタス屋。どうしてお前は、おれを嫌ったんだ?」
突然突き放されたヤツの気持ちなんて、きっと分からないだろう。
「またお前が愛してくれたら」
また、どうか、どうか、愛を…。
「もう、帰りの電車はどこにもない」
お前に捨てられたおれは、もう帰るべき場所もなくしてしまったんだ。
「なァ、教えてくれよ。どうして、おれを嫌ったのか」
「どうして、おれを突き放したのか」
ローは静かに一人で自問自答を繰り返すが、それに誰も答えてくれる者はいずに、さらりと空間に消えていく。
両手を頭に当て、その頭を抱え込む。
相変わらず、握っていた右手首は赤いまま。携えられていて。
「大丈夫かよ、トラファルガー」
「…!?」
キッドの声が聞こえた。
「ユースタス屋!!」
ローはそう言いながら、後ろを振り返った。
しかし、そこには誰もいない。真っ暗闇な空間が広がっているだけ。人の影すら、捕らえられない。
「幻聴か…」
ローは自傷的な笑みを浮かべると、目を閉じた。
声が聞こえたんじゃない。おれが、そうあってほしいと思っていただけだった。
そう、声が聞こえた。
ような、気がした。
- Re: ONEPIECE×ボカロ R18表現アリ ( No.5 )
- 日時: 2015/07/14 18:52
- 名前: 緋朽葉
【リンネ】〜左目の涙は枯れてしまった〜
「よォ、キラー屋か?」
無機質で静かな部屋に、ローの声はよく響いた。
電話越しの相手はキラーという。ちょくちょくローの相談にのる、ロー曰く「いいヤツ」らしい。
『おう。ローか。一体どうしたんだ?こんな時間に』
「少し、確認したいことがあってな。すぐに終わる」
『...?まァ、別にそんな急いでる訳じゃねェんだが...』
「いいんだ。こっちも、そんな重要なことじゃねェ。本当に確認程度だからな」
ローはひとつ間をおくと、顔付きを変えて話した。
「ユースタス屋に×××はいんのか?」
「...?アイツに...か?いや、それは...」
まるで何かを隠すような、あちらでは動揺を隠しきれていないように思える。
ローは顔を顰めながら、返答を待った。
「ちょ、ちょっと待ってくれ...今、聞く...」
そう言うと、携帯のモードが切り替えられた。
ローは大きな溜め息をつくと、携帯をテーブルの上に置き、天井を見上げた。
キッドは、恋人だった。でも、ある日を境に自分を避けるようになる。理由を聞いても、まともな返答は返ってこなかった。幾度も幾度も。挙句の果てには、「しつこい」の一言でかたずけられてしまった。
ローはただ、知りたかった。
何故、自分を嫌ったのか。何故、自分を突き放したのか。
そんな考えが渦巻く中、嫌な黒い感情が押し寄せてくる。
嫉妬。
誰に向けるべきかも、アイツの目に映るヤツも分からずに。アイツの目を引き止めるのは、一体誰なんだ?
『もしもし...?』
やっと、電話が鳴った。
『アイツに...×××は...いるよ」
その瞬間、その黒い感情は、一気に体を包んだ。
何も言えずに、携帯を耳に当てたまま硬直する。
『ロー...?オイ、ロー?』
ローは何も言わずに携帯の電源を切ると、携帯をポケットに突っ込み、部屋を飛び出した。
蝉がうるさく、自分の最後の声を上げながら落ちていく。
その姿はまるで、これからの未来の自分を暗示しているよう。
踏み切りの音が聞こえた。少し、遠くから。
全速力で、踏み切りへと走ル。
目の前には、愛していた、憎んでいる、アイツがイル。
電車が通り過ぎるのを待っているのだ。
踏み切りの音が近くなる。近くナル。
「遅ェよなァ...早く通り過ぎてくんねェかな」「じゃァ、おれが押してやるよ」「...?」
前のめりに倒れ込む体は、電車に吸い込まれていく。
踏み切りの音が、大きく聞こえた。
部屋の中で、ローは静かに携帯をいじっていた。
只今、午後6:37分。
外はもう夕暮れ時で、あの暑さは何処かへと消えていた。
携帯を持っている左手の手首。あの時の痕はまだ癒えぬまま、しっかりと残っていた。まるで、切り傷のように。
携帯を置き、その手首を握った。しっかりと、脈打っているのが分かる。
「なんで、この痕は消えないんだ...?」
不思議に思いながら、その腕を眺めていると、テーブルに置いていた携帯が音をたてた。
キラーからのメールだ。
『大変だ、ロー。早く、×××町の×××駅の近くの踏み切りに来い。』
ローは「分かった」とだけ打ち、携帯の電源を消した。
その踏み切りの前には、「立ち入り禁止」と書かれた看板が置かれていた。その下には、ひとつの花束。
きっと、キラーが置いたものだろう。
「ロー...」
後ろから、声をかけられる。
振り向くと、顔を涙で濡らしたキラーがうつむきながら立っていた。
「誰かに、ここから突き倒されたらしいんだ...目撃者もいなくて...。証拠が無い限り、どうしようもないって...」
その声は震えていて、今にもかき消されそうだ。
「おれが...アイツと帰ってたら...!キッドも死ななくて済んだのにっ...!」
キラーは頭を掻き毟ると、しゃがみ込んだ。
今更だが、後ろには野次馬がいたらしく、ざわざわと口々に異口同音を発していた。
ローは無言のまま立ち入り禁止の看板に近寄る。
「...」
そして、その立ち入り禁止を蹴っ飛ばした。
「ロー...?」
そこには、赤いシミが模様のように広がっていた。
しかし、小さな飛沫のようなものなので、吐き気が催してくることはなかった。
「...」
赤い飛沫と、自分の影が重なる。
陰り影がドロドロと零れだすように、中から黒い腕がこっちに手招きをしてきた。
「誰ガ一体コンナコトヲ?」
- Re: ONEPIECE×ボカロ R18表現アリ ( No.6 )
- 日時: 2015/07/14 19:28
- 名前: 緋朽葉
【リンネ】〜左目の涙は枯れてしまった〜
「どうしてだ…どうして、こんな空回りをしたんだ…!?」
一人ローは、あの事故が起きた場所で、泣き叫んでいた。
時刻は、只今午前1:18分。どの家も寝静まった頃で、誰にもローの声は届かない。
「ユースタス屋のバカ野郎…!!」
そう言って、ポケットに入っていた携帯を投げ棄てた。
画面にヒビが入り、やがて割れてしまう。
…アイツも、こんなに痛かったのだろうか?骨にヒビが入り、まるで機械の部品のように赤い華が空を舞って、赤を装飾していく。そして、何も言わなくなった、動かなくなったそれは、もうガラクタも同然で。それでも、今のローは、そのガラクタを愛している。
それは、キッドの持っていた、ローへの最後の贈り物のせい。
そして、キラーから告げられた言葉のせい。
『今まで、隠しててすまなかった…。アイツは、キッドは…お前にケンカの火種を浴びせまいと、お前から距離をおいてたんだ』
『女がいたのも、キッドが気を使った上で言った…嘘なんだ』
『不器用なアイツを、許してやってほしい』
それが、キラーからの告げた言葉。
キッドは、ローから嫌われるのを覚悟した上で距離をおいていたらしく、それにローは嫉妬していた。
「見えない…見えねェよ…!なんで、そこまでするんだ…!?」
全てが零に還された今は、自分が何処に向かっているのか。自分の想いは何処へ言ったのかすら分からない。
「今でも、お前と交わらない、おれの想いを探してるのに…」
「教えてくれよ…教えてほしいんだっ…」
そして、頬からは涙が滴り落ちる。…右目だけ。
「あぁ…!」
叫びながら、上を見上げた。
耳元で、金属音が鳴る。耳飾りが、ふれあったのだ。
これが、キッドからの最後の贈り物。明日は、付き合い始めてから丁度三年目の記念日だった。そして、その贈り物をもらえたのは前日、最悪の形で。
「なにかっ…おれに声を、声を…聞かせてくれ…!」
鳴らぬ電話の、命は何処へ…?
- Re: ONEPIECE×ボカロ R18表現アリ ( No.7 )
- 日時: 2015/07/14 20:37
- 名前: 緋朽葉
【リンネ】〜終点の無い駅にて大人は〜
誰もいない、ただただ暗い駅のホームにて、枯れ果てた花は、一人うずくまっていた。
次が最終地点だ。次を逃せば、また明日になってしまう。
電車が近付いてくるのに気付く。
茹だるような環状線。繰り返す劣等感に、罪悪感。哀しみ、寂しさ。そして、濁った愛情。頭が目眩を起こしそうなくらいに、胸の中で感情がいり混じる。
「あぁ…」
嗚咽が無意識のうちに漏れる。
いくら終点を探そうと、いくら終わりにしようとも、自分にその終点は無い。
ここは無い。ここに、終点は無い。
あの時の、左や右で鳴る踏み切りの音。カンカラリンドウ。
耳に張り付いて離れない声、音、全て全て。もう、手に入れることはできない。思い出せるのは、あの時の、アイツの驚いた横顔だけ。
「あぁ…」
哀しみに暮れていても、悪いのは自分。
勝手な思い込みに、勝手な感情。沸き上がってきた嫉妬。どうしても、愛してほしかった。自分を見ていてほしかった。突き放されたくなかった。
いくら、相手に罵声を浴びせても、返ってくる訳でもなく、返ってくるとしたら、自分に対しての自己嫌悪だけだった。
何かが羽ばたく音がして、それの方向に目を向ける。
真っ黒な烏がこちらをじっと見つめていた。
そして、烏は言う。
「あの頃にはきっと戻れないぜ」
「君はもう、大人に…」
「なってしまった」
「ああぁぁっっ……!!」
「何してんすか!船長!!」
「急に飛び出して…!!ひかれたらどうするんですか!?」
飛び出そうと前のめりになったローの体を、ペンギンとシャチが二人がかりで止めていた。
「ユースタスのことは…そうっすけど…船長まで死んだらっ、アイツが悲しみますよ!?」
それ以上言わないでくれ。殺したのは、おれなんだ。
もう、やめてくれ。
「頼みますからっ…死ぬようなマネだけはしないで下さいっ…!!」
優しくしないでくれ。
殺したのは…愛した男を殺したのは、自分なのだから。
「なァ…ペンギン、シャチ…」
「船、長…?」
悲しみに歪み始めている二人の顔を見つめながら、おれはこう言った。
「明日から本当に…どうしたらいいんだろうな…?」
おれは、右目で泣いていた。
繰り返す、自分への劣等感。
いくら切りはなそうとしても離れない、自己嫌悪。
忘れようとしても、忘れられない、アナタとの思い出。
それらが、自分の心を深く抉って嗚咽として吐き出す。いつの間にか、心には、ぽっかりと穴が空いていて。穴は、もう誰も埋め合わせることも出来ずに。例えばそれが、アナタとの思い出だとしても。
「またどうか…どうか…愛を…」
もう、誰にも愛されなくなった。
自分に愛を分けてくれるヤツはいなくなった。
その代わりに、嫌な程に離れない哀しみだけが付いてきた。
何度も何度も幾度も幾度も繰り返し繰り返し。
そんな終わらない『輪廻』を千切っておくれ。
「じゃァな…」
さよなら。ダァリン、ダァリン。ねぇ、ダァリン。
おれは…おれは…。
あの日、おれは『大人』になった。