大人オリジナル小説
- 君の吐いた嘘 いじめ
- 日時: 2011/01/16 23:36
- 名前: リクア
こんばんは!!
このリクアの小説2個目!!
今回は実話だけでなく、9,5割をフィクションにしたものを書きたいと思います
それでは宜しくお願いします
○登場人物○
主人公
・翡翠 翼(ひすい つばさ)♀
いじめの主犯・裏切り者
・美空 久留(みそら くる)♀
主犯に従う人達
・郷田 當麻(ごうだ とうま)♂
・赤崎 澄(あかざき すま)♂
・瑠璃 京子(るり きょうこ)♀
・水原 みさ(すいはら みさ)♀
順次増えるかも…。
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- Re: 君の吐いた嘘 いじめ ( No.15 )
- 日時: 2011/02/16 17:22
- 名前: リクア
第四話『地獄の始まりを告げる使者』
バタバタと大きな足音が校舎内に響く
放課後の誰も居なくなった長い廊下を、赤いランドセルを背中で跳ねさせながら全速力で走る
ようやく廊下の端っこまで駆け寄って、私は荒くなった息を整えた
膝に手をついて、霞む視界を何とか安定させる
「はぁっ、はぁっ…」
どうして、あんなに久留は急に変わってしまったの…!?
ちゃんと、昨日までは久留だったのに!
「ふあああ、今日は疲れたぁ! んじゃあ行くか澄!」
「ん、そうだな〜。今日は帰ったら早速ゲームしてよっか!」
後ろから、今は最も聞きたくない声が聞こえた
郷田 當麻と赤崎 澄の声だ!
まだ酸素の補給を必要とする体に鞭を打って、私は走り出した
幸いあの2人には私の存在はバレていないらしく、追いかけてきたり声を荒げたりしなかった
勢いよく下駄箱まで走り、殆どノンストップで体当たりするようにして靴を取り出して履き替え、上履きも放り込むようにして入れる
後ろから緩やかに足音が近づいてくるのを確認して、更に鼓動は早まった
額に嫌な汗をかきながら走り続け、学校から徒歩2分程度の家に着いた
バタン!
いつもよりも大きな音を立てて玄関を閉めると、それに驚いたのか少し目を見開いたお母さんがリビングから顔を出した
やがて帰ってきたのが私だと悟ると、顔に笑みを浮かべて玄関まで出てきた
「おかえり、翡翠。あら? 汗をたくさんかいているのね。走ってきたのかしら?」
クスクスと笑いながらお母さんは私の前髪を掻き上げる
一瞬いじめられた事を言おうかと思ったけれど、その言葉は飲み込んだ
いじめられた事を話して、お母さんが苦しんでしまったらいけないと思ったからだ
幼い私なりに、それだけは考えた
大好きな母を苦しめる存在になってはいけない、と
それが間違っていることに気がつくのは、きっともっと大きくなってからだろう
今はその自覚は無いけれど…
リビングの電話が鳴る
それにいち早く反応した私は、走って受話器を取りに行った
受話器を耳に当てると、嫌な声が聞こえた
「ぃやっほお〜! 生きてるぅ? イヤ、生きてるよね? 生きてないと出られないもんね! で・ん・わ!」
その声の主は、三条 藍(さんじょう あい)だった
藍は、クラスの中では比較的おとなしい人で、頭も良い
それなのに、この状況は…何?
この口調からすると、どうやらいじめる側に加わったようだけれど、そんなことは在るはずが無いと信じたかった
「あっれえ? ひょっとして人語分からなくなっちゃったぁ? 私がこれから特別にそっちに行ってあげようか?」
ボオっとしていると、藍が恐ろしいことを言い出した
ハッと我に返った私は、急いで受話器に向かって叫んだ
「い、いいです! えんりょします!」
そう言うと、電話はぷっつりと切れた
ツー、ツー、ツー…
その音が、耳に届く
これは、どういう事なのかな?
行かないって事? それとも…
その先を考えようとして自分が恐ろしいことを考えようとしていたことに気がつき、頭を横に振った
玄関からお母さんが戻ってくる
「どうしたの? 急に大きな声を出して」
不思議そうに首を傾げるお母さんに向かって、私は無理矢理作った笑みを向けて首を横に振った
「何でも無いよ。久留がちょっとびっくりするような事を言ったから、大きい声が出ちゃっただけ」
「そうなの。あなた、久留ちゃんと仲が良いものね」
そうほほえみ、お母さんは台所へ入っていく
久留、と言う名前が今は一番聞きたくない
突然始まったいじめ、うらぎり……
さっきの藍の言葉を思い出して、私はガバッと頭を上げる
もしかしたら、さっきの無言で切った電話は、肯定の意味だったのでは…?
そう考えると恐ろしくなって、私は家を飛び出して木の陰に隠れた
数分すると、やはり予想通りに藍が自宅にやって来た
中からお母さんが出てきて、私が居ないことを不思議に思いながらも告げると、藍は静かに頷く
そしてお母さんがドアを閉めた途端、大和撫子! と叫びたくなるような雰囲気は一気に不良の様な雰囲気になった
チッ! と思い切り舌打ちをして、さっさと帰っていく
私が逃げたことがバレちゃった
とりあえず藍の姿が見えなくなっても、用心して私はその木の陰からは数分間は出なかった
脚がしびれてきて、もう大丈夫だろうと思った私は、家に入った
恐怖がじんわりと頭の中を占領していく
ガチガチと大きな音を立てて歯が鳴る
やがて恐怖だけで支配された私の体も、記憶も、その後のことは翌朝までぷっつりと事切れた
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