大人オリジナル小説
- 生き方......__
- 日時: 2011/05/08 16:21
- 名前: そらね ◆v56v3zaHE6
人間に、綺麗な生き方なんてあるのかな。
#
お久しぶりです、そらねです(`・ω・´)キリッ
初めて書いた小説は社会問題。下手糞の道を極めてしまったので初心に返るべく、舞い戻ってきました。
題名は仮です。なんとでもなれ、です。
交流を避けている訳ではないんですが、友達が少ないです。それはもうガッコに行って一人でお弁当を食べるくらい。
友達が少ない可哀相な奴なんて友達募集中です。
どしどし、ご応募ください。待ってます(´・ω・`)
▼生き方......の足跡
≫序章>>3
▼お客様
:華世さま
コメント貰ったら嬉しさ百倍ですっ(^ω^)
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- Re: 生き方......__ ( No.14 )
- 日時: 2011/05/11 20:40
- 名前: そらね ◆v56v3zaHE6
≪3≫
「ごめんね……手が滑らないでもないよ」
僕は薄い笑顔を顔に貼り付けながら、明るい声音で白い粉で顔を汚したクラスメイト――鹿嶋ヤツシを見下ろした。
鹿嶋はすぐにむくりと起き上がって、僕を敵意と殺気を向けてきた。憤怒に満ちる茶色の瞳。
――ああ、綺麗な瞳だ。虹彩を放って輝いている。
「手前……」
顔に付いた白い粉を払いながら、ギロリと刃先でも向けるように目付きで僕を睨む。
僕は怯えることも屈することもなく、笑ってみた。そしてブレザーの内ポケットに触れる。
「調子こくなよォォ!」
僕ははなを鳴らして余裕ぶってみた。
相手を挑発させることはこの上なく、面白くない。
だけど、僕は挑発させるような皮肉しか、言葉しか言えなくなってしまったのだ。そして呟く。
「……調子なんてこかないさ、君と違って」
ブン、と音が耳音で鳴った。首を右にずらす、拳が耳を掠る。
冷や汗が一瞬滲んだ。短く溜め息を吐いて呆れ顔を作る。
これが修羅場って奴ですか。思わず笑みが零れそうになった。
「君はさあ、自分が汚いって思わないの?」
鹿嶋は怪訝に僕を見つめる。
僕はにっこりと薄い笑顔を作る。
「人を泣かしてさあ……罪悪感とか無いワケですか?」
ただ、僕は告げる。
誰か≠ェ教えてくれた真実を。
甘い嘘で包んであげて。
ブレザーの内ポケットからカッターを取り出す。
きらりと銀色が光る。唇が歪む。
僕は今、汚い人間だって理解する。
「じゃあ、僕は教えてやるぜ。人間って奴を」
今度は鹿嶋が冷や汗をかいたのだろう。
僕はその隙をついて、床を思い切り蹴り上げ、近づいた。
男の顔が目の前って、いい気分はしないが僕はふわりと飛ぶように彼の耳元に近づき、カッターを首筋に当てた。
これからだ、悪魔の囁きは。囁いて魅せるぜ、僕は。
悪魔のように、汚く汚れた人間を描くように。
「人間は劣悪種なんだよ?」
これはもうオブラート10枚は軽く包んでいるなあ。
僕はカッターを少しだけ、彼の首筋に埋めた。
とろりと、卵の黄身のように。血が流れた。そして笑みを浮かべた。
「……ひ、」
喉の奥からか弱い悲鳴。
僕は興奮しながら、カッターで自分の手首を浅く沢山切り刻んだ。 ぐちゅと血が溢れる。ああ、生きてるね。僕は。
でも、僕は生きて経って死んでたってどうだっていいんだけど。
「ああ、でも僕は正義にはなれないみたいだなあ」
僕はゆっくりと顔をあげて、振り返った。
冷たい。
冷たい瞳で僕を見つめるサオリをみつめて、僕は笑った。
そして、教室の窓に向かって翔けた。窓を開けて、出入り禁止のベランダに入る。
さすが5階、風の強さも地面からの高さも半端無いなあ。
そう思いながらも、僕には余裕が広がっていた。
正義になれない僕は平民にもなれず、悪党にだけならなれるかもしれない。
いや、選択肢は最初から悪党(それ)しかなかったのだ。
汚く穢れて残酷で冷徹な人間は、悪にしかなれない。
それでも僕は正義になりたい。空を飛んで民を助けるヒーローに。
風が強くなった。だらだらと伸ばした髪が頬をくすぐる。
手すりに足をかけて、教室の方を見つめた。皆は僕を見ていた。
僕は笑った。自嘲の笑み。
そして、軽く後ろにジャンプして、落ちた。
「さあ、正義のヒーローごっこの始まりだ! イッツ、ショータイム!」
僕は、生きることに執着にすることもある。
けれど、それ以上に。僕は人間じゃなくなりたいし、人間でありたかった。
―――――――人間でなく、人間である生き方を僕は求める。
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